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【キーパーソン・インタビュー】
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Huawei社長が語る端末戦略、WiMAXや“ガラパゴス市場”について
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Yan Lida氏
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イー・モバイルより発表された「D21HW」と「E.T.」
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イー・モバイルより中国の通信関連ベンダーであるHuawei Technologies(華為技術、ファーウェイ)製端末「E.T.(H12HW)」と「D21HW」が発表された。国内では、イー・モバイルのデータ通信端末「HW」シリーズなどで知られており、イー・モバイルのHSDPA対応基地局なども同社が供給している。
今回、日本法人であるHuawei Technologies Japan(華為技術日本、以下Huawei)の代表取締役社長で、Huaweiの東アジア総裁でもあるYan Lida(エン・リダ)氏に、日本における展開などについて話を聞いた。
――それではまず、Huaweiの端末について伺います。
Huaweiは、ネットワーク設備だけでなく通信端末も提供している会社です。端末についてはHuawei Communicationsを設立して展開しており、毎年約70%の成長を遂げています。データ通信および音声端末を含めた世界市場での出荷実績は、2007年に約4000万台を達成しました。今年は7000万台に到達する見込みです。
なお、世界では130カ国470事業者で採用されています。我々は、データ通信端末や音声端末のほか、固定電話なども手がけており、5つの商品群を展開しています。データ通信と音声端末の詳細な割合は持ち合わせていませんが、多くの市場において、データ通信端末の割合が多い傾向にあります。
データ通信端末の主なマーケットは欧州で、先月までに累計で2000万台を突破しました。調査会社のABI researchの調査結果によれば、グローバルでのシェアはNo.1とのことです。
――端末メーカー各社それぞれに特徴がありますが、Huawei製端末の特徴を教えて下さい。
我々の端末はカスタマイズ商品が中心となり、エンドユーザー向けの開発ではなく、オペレーターが求めるものをカスタマイズ提供しています。オペレーターのブランディングに合わせた端末をフレキシブルに提供可能で、Huaweiとしてもブランディング費用がかからずに端末展開できるという面があります。
また我々の音声端末は、他のメーカーと比較してシンプルなものを提供しています。ハイエンド端末の開発はそれなりにコストがかかり、市場も小さいと見ているからです。
――なるほど、先日イー・モバイルから発表された「E.T.」もシンプルなものでした。音声端末の供給は日本では2度目になりますが、日本の通信事業者が端末に要求する条件は高いと聞きます。それでも日本市場にチャレンジする意図を教えてください。
日本市場は、グローバルの市場の中でももっとも要求の高いマーケットだと考えています。日本の通信事業者とコミュニケーションをとっていくことで我々の成長にも繋がっていくと思いますし、前述の通り、我々はカスタマイゼーションを非常に大事にしています。オペレーターと長い時間をかけて仕様を決めていきますが、そういった課程が大切だと思っています。
日本の市場は、ユーザーインターフェイスについて特別好みがあると理解しています。画面の大きさや解像度などにも高い要求を感じますね。
■ 通信設備やWiMAXについて
――これまでの展開を見ていると、日本市場においては端末展開よりも、基地局展開に比重を置いているようにも見えます。
そうですね、ネットワークの方に力を入れています。我々はBtoBのマーケットをターゲットにしており、端末もネットワーク設備も同じということです。
――イー・モバイルの先日の発表では、国内で初の事例となるHSUPAの導入が明らかにされました。HSUPAへの対応は、既存基地局のソフトウェアを書き換えするだけで完了するのでしょうか?
他の基地局ベンダーについてはわかりませんが、Huaweiの製品については書き換えのみで対応可能です。
――WiMAX事業についても聞かせて下さい。既存ネットワークとの連携についても期待できそうですが。
日本のWiMAXは、全国バンドと地域バンドがあります。全国バンドは、UQコミュニケーションズが事業展開に向けて進めています。すでにいくつかのベンダーが発表されていますが、我々もチャンスがあればと思っています。
一方の地域バンドについては、通信関連メーカーのフジクラさんと協業して展開しているところです。
WiMAXとの連携についてですが、将来的にはCDMAとWiMAXのデュアルモード端末が登場するのではないかと見ています。ニーズがあればもちろん我々も協力していきたいですね。我々はWiMAXの端末も持っていますし、CDMA端末についても高いシェアがありますので、比較的に簡単に端末を提供できるものと考えています。
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製品ポートフォリオ
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国内におけるトピックス
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■ 日本の携帯電話について
――日本市場の印象について伺います。事業展開する上でのグローバルとの違いなど、驚いたことなどありますか?
以前から聞いていましたので、大きな驚きは少なかったですね。ただ、非常に特徴のあるマーケットだと思っていました。日本市場は、総務省からの指示やオペレーターの動きにしても、長い時間をかけて計画的に動いているように思えます。総務省から政策が出る前には会合などもあり、その中である程度の方針が見えてきます。透明性が高く、わかりやすいと感じています。
――日本の携帯電話市場はガラパゴスだという意見もありますが、72%が海外事業者からの受注を占めるHuaweiにはどう映っていますか?
日本の携帯電話市場はある意味で非常に先進的であり、他の市場では見られないことが発生しています。例えば、ワンセグ対応端末が高い割合で登場していますが、他のマーケットではこうした状況は見たことがありません。
日本の業界の中で独自の特徴を持っていることに、プライドを持ってはいかがでしょうか。なぜかというと、今日本で流行っていることが、たぶん数年後にほかの市場でも流行ってくるのではないかと思うからです。それはとてもすばらしいことだと思います。
そしてもう1つ言いたいのは、日本の端末はブランドは違うけれども皆、機能や特徴が似ており、なかなか区別しにくいと感じます。日本のエンドユーザーは皆、似たようなものを選ぶ傾向があるのかもしれません。個人的には、いろいろな商品について、もう少しバリエーションがあった方がエンドユーザーにとってはうれしいのではないかと思います。ニーズがあれば、そういった市場ができあがるでしょう。
――本日はお忙しい中、ありがとうございました。
■ URL
Huawei Technologies Japan
http://www.huawei.com/jp/
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(津田 啓夢)
2008/11/11 16:42
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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