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「831SH」「932SH」開発者インタビュー
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ダブルワンセグのAQUOSケータイとワンランク上のスタンダードモデル
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932SHと831SH
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この春、シャープはソフトバンク向けに4機種を発売する。そのうち2機種はバリエーションモデルだが、「831SH」はスタンダードクラスながらハイエンドに匹敵するほど機能・対応サービスが満載で、AQUOSケータイの「932SH」にいたっては2つのワンセグチューナーを搭載するなど非常に豪華な内容となっている。昨年のインターネットマシンに比べると、見た目こそ普通な2機種だが、中身はひと味違った仕上がりとなっているようだ。
今回はこれら2機種について、シャープの通信システム事業本部 パーソナル通信第二事業部 商品企画部 主事の奥田 計氏に聞いた。
■ 幅広い層を狙うスタンダードモデル
――まず831SHから特徴部分のご説明をお願いします。
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シャープの奥田氏
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6色のカラーバリエーション
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凹凸の大きいアークリッジキー
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奥田氏
位置付けとしては、使いやすさを重視するスタンダードゾーンの、さらにワンランク上を目指したモデルになります。機能・スペック面では、大きめの液晶やソフトバンクの新サービスへの対応、ワンセグの搭載など、830SHよりワンランク上のゾーン向け商品として投入します。
デザイン面では、幅を握りやすい49mmに抑え、電池蓋側の筐体は手のひらにフィットするラウンドフォルムにしつつ、ディスプレイ側の筐体は透明感のあるアクリルのクリスタルカットとしました。カラーバリエーションも、春のソフトバンクではもっとも多い6色で展開します。
機能・スペック面でのポイントとしては、液晶サイズが3インチと大きくなっています。923SHから搭載しているベールビューも、初めて固定のカラーやカラーアニメーションを設定できるようになったほか、内蔵の7種類に加え、着せ替えアレンジでもパターンを変更できるようになり、カラフルでバラエティに富んだフィルタ画像で、上下左右からののぞき見を防止できます。
830SHに比べると薄型化されていますが、キーに関しては830SHと同じ、クリック感があり押しやすいアークリッジキーを搭載しています。サブディスプレイも、このクラスでは大型のものを搭載し、大きな時計表示の他、お天気情報やバッテリーメーターなど多彩な情報を表示できます。さらにカメラは830SHの2メガから今回は3.2メガになり、オートフォーカスやモバイルライトにも対応しました。またブログツールなども搭載しています。
スタンダードゾーン向けではありますが、ワンセグを搭載しました。このワンセグは、操作性に加え、録画予約機能、メールなどの2画面同時表示など、ハイエンドの9シリーズと変わらないスペックを搭載しています。
最新サービスとしては、931SHで搭載したモバイルウィジェットとデスクトップショートカットにも対応しています。931SHではタッチパネル操作がメインになっていましたが、831SHではキーで操作しやすいよう、ソフトキーでのフォーカス切り替えなどができるようになっています。プリセットされているモバイルウィジェットについても、ユーザーターゲットにあわせ、アメブロなどを搭載しました。
メールまわりでは、932SH同様に最大1MBまでの大容量メールにも対応しています。また、おサイフケータイもICデータ通信に対応しています。ダブルナンバーや着デコにも対応します。
最後にスマートリンク辞書ですが、こちらは今回、対応するすべてのネット辞書を一括で串刺し検索できるようになりました。国語辞典から和英辞典をはじめHotPepperまで、一気に検索できます。また、Amazonの商品も検索できます。
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ネット辞書は串刺し検索に対応
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モバイルウィジェットにも対応する
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――辞書専用のキーも搭載していますね。
奥田氏
ハイエンド機種では搭載していましたが、好評だったので、831SHでも独立した専用のキーを設けました。文字入力中などでもワンボタンで検索できます。
ワンキーでの起動が便利ということで、キーのショートカット機能を強化しました。メールと「Y!」キー、上下左右キーの6個の長押し操作に、自分の好きな機能もしくはウェブサイトを登録できます。先ほどもご紹介いたしましたが、デスクトップのショートカットにも対応しています。
使い勝手の強化として他にも、ステータスアイコンリストとバッテリーメーターにも対応しました。パーセント表示で電池残量を確認することができます。
――使い勝手・機能の両面で931SHなど上位機種に近いものになっていますね。
奥田氏
今回は、ハイエンドモデルで開発した機能ををスタンダードモデルである831SHにうまく反映させることができたと思います。
――ターゲットとするのはどのあたりのゾーンになるのでしょうか。
奥田氏
価格だけ見ると、旧モデルも安くなっているので、新サービスにどこまで対応できているかがポイントになると思います。831SHは、最安クラスの少し上のゾーンから、ハイエンドの下のゾーンまで広くカバーできるのではないかと考えております。
――バリエーションモデルを含めてロングセラーとなったPANTONEのような展開を831SHでも検討されているのでしょうか。
奥田氏
831SHをベースにバリエーション展開できれば、と思っています。我々の希望としては、ロングセラーにしていきたいと考えていますが、それは市場の反応を見ながらになると思います。ただ、スタンダードゾーンのプラットフォームとして改善しつつも長く使っていければ、と考えています。
■ ダブルチューナー搭載の最強AQUOSケータイ
――続いて932SHについてもご説明をお願いします。
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932SH
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奥田氏
932SHが登場する時期というのは、ちょうど初期のAQUOSケータイ「905SH」「911SH」「912SH」を割賦販売やMNPを利用して購入した人たちの買い換えの時期にあたります。AQUOSケータイを2年間使っていただいた方にも、再び驚いて、喜んでいただけるよう、フルモデルチェンジと言っていいような商品に仕上げました。デザイン面ではNewサイクロイドを採用し、ダブル・ワンセグやCCD8メガカメラ、3スピーカーなどを搭載しています。
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背面はフラットなデザインに
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内部構造紹介用のスケルトンモデル
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従来のパーツ(右)と932SHのパーツ
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――これまでのAQUOSケータイと違うNewサイクロイドスタイルを採用されていますが、こちらはどのようになっているのでしょうか。
奥田氏
2年間AQUOSケータイをお使いになったお客さまが、新鮮味を感じていただけるようサイクロイドスタイルを刷新しました。初期のAQUOSケータイのユーザーにインタビューすると、「画面を横に倒せる」ということには満足して使っていただいています、購入理由については、新しいものが好きだから、という方が多かったんです。2年間サイクロイドスタイルのAQUOSケータイを使った方が買い換えていただきやすいように、見た目も変えるために、新デザインを採用しています。
本日は、それをご説明するために、今回はスケルトンモデルをお持ちしました。これまでのモデルとの違いは、回転ヒンジをサンドイッチ構造にし、外から見た時の段差をなくしたことです。またこれにより画面を回転したときにできる隙間を埋めるためのシャッター機構を新たに追加しています。
このシャッターにつきまして説明しますと、まず左側のシャッター(ピンク色)は、サイクロイドしたときにできる内部の空洞に折りたたむ仕組みになっています。通常時に押し込んでも折りたためないようなロック機構もついています。左下側のシャッター(白色)は、サイクロイドスタイルにすると、下からせり上がってくるようになっています。これで隙間が埋められ、デザイン性と信頼性を高めることができました。
薄型化についても取り組んでおり、これまではヒンジ部分とサイクロイド機構のパーツが別々だったところを、今回は一体化しています。また、ディスプレイ側への配線についても、途中まで平たく薄いケーブルを使っています。
さらにこちらのスケルトンモデルではクリアパネルになっている部分は、実機ではアルミ・マグネシウムの合金を用いて、軽量化と剛性強化を図っています。外観となるヘアライン処理をしたアルミのパネルはその外側に取り付けています。
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回転するとピンクのパーツ(実機とは色は異なる)が内側に折れ込み収納される
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サイクロイドスタイルで生じる隙間は、白いパーツがせり出してきて埋める
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アルミ・マグネシウム合金製の内部パネル。かなり剛性が強い
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11行まで表示されるワンセグの字幕
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左右分割の同時視聴
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子画面型の同時視聴
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――ワンセグのアンテナも内蔵になっていますね。
奥田氏
いままではワンセグを起動するときにアンテナを出していましたが、今回はデザインを重視し、アンテナも内蔵にしました。デザイン面でも普通の折りたたみデザインとほぼ同じなので、普通のケータイとして使ってもらって、ワンセグやフルブラウザなどを使うときだけ横画面にすればよい、とデザインしています。
――ワンセグのダブルチューナーには驚きました。ワンセグはどのように強化されているのでしょうか。
奥田氏
ユーザー調査をすると、生活の一部としてワンセグを使われている方がかなりおられます。よく使われる方ほど、家の中など、比較的落ち着いた環境でワンセグを視聴されています。一方、電車の中などでの視聴は「ちょい見」が多く、思ったほど利用されていません。これらの調査結果から、ワンセグについては、よく使われている方がより使いやすく便利になるように、あまり使われていない方にもワンセグの面白さに気づいてもらうように、この2つの方向から作り込みました。
まずダブル・ワンセグです。ワンセグのチューナーを初めて2個搭載しまし、同時に2つのチャンネルを見ることができます。これは縦画面でも横画面でも可能で、横画面の場合は子画面表示にも対応します。2番組同時録画にも対応しています。
さらに、ワンセグを視聴中、もう片一方のチューナーを使い、ほかのチャンネルの番組情報を取得する「裏番組表」という機能を搭載しました。これは液晶テレビのAQUOSで搭載している機能を参考にしました。フルセグの地デジ放送だと、番組情報は全局分降ってきますが、ワンセグは各局のものしか降ってきません。しかし裏のチューナーで各局を走査していけば、全局の番組情報を取得できます。
また、電車の中など、音を出せない環境で、イヤホンを使わずにワンセグを楽しめるように、字幕の表示行数を増やしました。今までは3行までの表示でしたが、縦画面では最大11行までが表示できるようになっています。メールやウェブを見るようにテレビを楽しむことができます。
さらに932SHでは3つのスピーカーを搭載しました。ヤマハ株式会社さんの音場技術で2chの音声ソースを5.1ch化し、3つのスピーカーで仮想5.1ch出力が可能になっています。ステレオのスピーカーに加えて、センタースピーカーも搭載することで、セリフやボーカルの声が聞き取りやすい臨場感あるサウンドを実現しました。もちろんイヤホンでも仮想5.1ch出力となります。
このほかにも、ディスプレイには高輝度化した3.3型液晶を搭載し、ダビング10にも対応しています。
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プリインストールされる「Mobile真・三國無双」
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――カメラも従来のAQUOSケータイに比べると強化されていますね。
奥田氏
800万画素のCCDカメラを搭載しています。ISO2500相当の高感度撮影が可能で、笑顔フォーカスシャッターと振り向きシャッターも搭載しています。またサブカメラもVGA撮影対応になっています。
――このほかの機能としては?
奥田氏
モバイルウィジェットやデスクトップショートカットを搭載しています。931SHではタッチ操作だったところが、932SHでは光TOUCH CRUISERで操作できるようになっています。
細かいところではモーションコントロールセンサーを搭載していて、歩数計機能もあります。
――ほかにもGPSやおサイフケータイなど、ソフトバンクのサービスにはフル対応していますね。ゲームも強化されているようですが?
奥田氏
ソフトバンクの春の新機能となる「リアル3Dゲーム」に対応しました。対応ゲームとして、「Mobile真・三國無双」と「METAL GEAR SOLID MOBILE」の体験版を搭載しています。
――機能満載で、話が尽きませんね。本日はお忙しいところ、ありがとうございました。
■ URL
831SH製品情報
http://www.sharp.co.jp/products/sb831sh/
932SH製品情報
http://www.sharp.co.jp/products/sb932sh/
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(白根 雅彦)
2009/02/16 11:22
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