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「P-09A」開発者インタビュー
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基本機能が充実、ハイエンド志向の薄型ケータイ
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「P-09A」は、薄さ12.5mmの中に、BluetoothやGPS、ワイドVGAディスプレイ、60fps対応のワンセグ再生機能などを搭載する薄型ケータイだ。これまで「薄いケータイ」と言えば、ハイエンドよりも機能は制限されるものの、極限の薄さを追求するモデルもあったが、今回は2.7mm、厚みを増しながら、ハイエンドモデルに劣らない充実したスペックに仕上げられた。
“最薄”よりも“機能の充実”という路線を選んだ理由について、プロジェクトマネージャーの生田久敏氏は「薄さを追求したP-04Aは、ビジネス層から高い評価を受けたモデルであったが、一方で『薄さも良いがBluetoothGPSなどの機能も欲しい』という声は根強くあった」と語る。特に要望が強かったのはバッテリーだ。P-09Aでは、P-07Aなどと同じバッテリー容量(800mAh)にすることで、P-04Aと比べ、連続待受時間は160時間、連続通話時間は40分延びた。ソフトウェアは、P-07AやP-08Aと共通で、PRIMEシリーズのP-07Aと比べると、カメラの画素数やインカメラの有無、プッシュトークの有無が違いになる程度で、「薄いハイエンド」に仕上げられた。
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後列左から信号処理担当の田中氏、プロジェクトマネージャーの生田氏、コンテンツ担当の相澤氏
前列左からコンテンツ担当の土橋氏、機構設計担当の三上氏、電気設計担当の山口氏
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2.7mm厚みを増したことについて、機構設計担当の三上昇悟氏は「ひとつは電池容量のアップや液晶のVGA化と言ったデバイス面での向上がある。さらにGPS、Bluetoothを搭載すると、それぞれアンテナが必要になる。P-09Aではディスプレイ側ボディに各種機能を集約させているが、アンテナを搭載するとなると、ボディに金属は使えなかった」と説明。過去のリリースされたパナソニックの薄型モデルのうち、最薄を追求したモデルでは、基板を樹脂で固めるボードモールド工法や、ボディに金属を用いて剛性を確保してきた。P-09Aでもボードモールド工法は利用されているが、ボディは樹脂素材。金属に比べると、樹脂素材はどうしても厚みが増してしまうが、金属ボディでは各種アンテナの感度を確保できない。開発時には、機能を充実させながら、樹脂ボディでも薄さを追求した。なおかつボディの素材感は、蒸着技術を用いて金属調に仕上げられ、質感の向上も図られた。
■ ナチュラルトークの仕組み
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設定画面
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P-09Aでもっとも特徴的な機能は「ナチュラルトーク」と呼ばれる機能だ。これは、通話時に相手の声がより自然な声に聞こえるよう、カットされた音声を復元するというもの。信号処理担当の田中和之氏によれば、これまでもカットされた音声を復元する技術は研究されてきたが、復元したとしてもロボットのような声になってしまったりするなど、商品化するには課題があるものだった。しかし、ある企業と協力し、自然な声に再現する技術を開発。そのアルゴリズムを搭載することで、「ナチュラルトーク」が搭載された。
従来のFOMA端末の通話での周波数帯域は4kHz。しかし今回は、ほぼ倍の7kHz以上にまで帯域を拡張した。パソコンで行ったシミュレーションは好調で、テストを披露した田中氏に対し、生田氏は「この機能はぜひ搭載しよう」と応えた。しかし携帯電話の形状をした試作機でデモを行ってみても、予想したほどの音質の高さが得られない。試行錯誤の末、スピーカーも性能を上げなければいけないことが判明したが、既製の携帯電話用スピーカーには「ナチュラルトーク」の周波数帯域に対応したものはなく、新たに開発する必要があった。電気設計担当の山口学氏が「携帯電話のスピーカーは物理的に小さなサイズ。限られたサイズの仲で最適な音質と音量を両立させなければならない。しかも音質は、聞こえ方が人によって千差万別。さまざまなパターンの部材でモニターテストを行い、評価してもらった結果、『好みの音質』という項目で最も高得点が得られたものを選択した」と語るように、絶対的な物差しがない中で、「ナチュラルトーク」用のチューニングが行われた。
■ コンテンツもビジネス層向けに
P-09Aには、「NIKKEI NET」のiウィジェットが搭載されている。情報自体はWebサイトから提供されているものと同一だが、コンテンツ担当の相澤淳氏は「iウィジェットは一画面でさまざまな情報を参照できる。ビジネス層が求める情報を一画面で提供すべく、搭載することにした」と説明する。
iウィジェットそのものは、ドコモの2008年冬モデルから導入された、比較的新しい機能であり、ユーザーに浸透しつつある状況だが、相澤氏は「使ってみるととても便利。情報自体はWebサイトと同じでも、iウィジェットという見え方とビジネス層向けのラインナップで1つの活用方法が提案できると考えた」と利便性をアピール。同じくコンテンツ担当の土橋修一氏は、ボディカラーごとにあわせたFlashコンテンツについて「PRIMEシリーズを使う層は、比較的コンテンツを積極的に利用し、好みの素材でカスタマイズする。しかしP-09Aのメインターゲットとなる層は、そこまで積極的にコンテンツを利用しない人が多く、その分プリセットコンテンツはターゲット層を意識した制作が要求される」と苦労のポイントを語っていた。
■ URL
製品情報
http://panasonic.jp/mobile/docomo/p09a/
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(関口 聖)
2009/06/19 13:18
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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