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「K001」開発者インタビュー
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子供が持ちたくなるようなケータイを目指す
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auが子供をターゲットにした「安心ジュニアケータイ K001」を発売した。「着せ替えシート」や「学参フォント」などのアイデアが詰まったK001。同端末を開発した京セラ マーケティング部 マーケティング課の佐藤由隆氏に、開発の狙いなどを聞いた。
――まず製品のコンセプトを教えてください。
佐藤氏
これまでもジュニアケータイという製品はauから発売されていましたが、従来製品との大きな違いは、今回のK001ではターゲット層が小学校低学年から、高学年向けとなったところです。そのため、機能だけでなく、デザイン面でもその年齢のお子さんに受け入れられるよう意識しました。
子供にケータイを持たせるのは、塾に通っていたり習い事を始めたので、いつでも居場所を確認したいというのが親側の主な理由のようです。また父親よりも母親の方が熱心なようです。そのため、母親をもう一人のターゲットとして想定した安心・安全を重視した機能、緊急通知や通話やメール、インターネット利用の制限があります。
特にこの機能制限についてですが、従来は「ティーンズモード」と「ジュニアモード」というモードを搭載していましたが、K001では「制限モード」と「通話モード」という形にしました。通話モードでは通話とGPS機能のみが利用でき、制限モードはティーンズモードをベースにしたもので、一部の機能を制限したり、時間帯による機能制限が設定可能になっています。
このほか、「防犯ブザー」や「電池フタロック」など、既存のジュニアケータイにある機能は、引き続き搭載しています。
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着せ替えシート
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――小学校低学年から高学年へメインターゲットが移ったことによる機能やデザイン面での変化というのは、具体的にどんな部分でしょうか。
佐藤氏
やはり10~12歳の子供が持ちたくなるような携帯というところですね。ユーザーインタビューによれば、子供は子供っぽいよりものより、大人びたものに憧れる傾向があるので、子供に受け入れてもらえるケータイを強く意識しました。これが大人の我々としては、なかなか難しいところでしたが……(笑)。
デザインはインダストリアルデザイナーの柴田文江さんに監修していただいており、着せ替え可能というのが1つのポイントになっています。高学年ともなると男女で好みもかなり違いますし、大人がいいデザインとして一方的に押付けても受け入れられません。また、着せ替えというとメーカーが幾つかのパターンを用意して、この中から選んでくださいという形が基本でしたが、K001は前面のシートを入れ替えるだけで、簡単に自分の好きなデザインに変更できるわけです。これならば、子供でも飽きにくく長く使ってもらえると思いました。
――着せ替え用のシートは購入時に幾つかパターンを提供されると思いますが、それ以外にも新しいデザインシートが入手できるサービスなどは用意される予定ですか?
佐藤氏
実はK001のパンフレットの表面に、着せ替えシート用のパターンが印刷してあります。これを切り抜いて取り替えれば、そのまま使えます。ただ、これはあくまでサンプルですので、あとはユーザーであるお子さん自身が好きなイラスト等を切り抜いて使っていただければと思います。メーカーサイトにも数パターンのデザインを用意しているので、こちらはダウンロードして使っていただけます。そもそも簡単なものですし、シートについては販売という形はとる予定はありません。
――機能面ではいかがでしょう?
佐藤氏
通常の携帯電話とほぼ同等の機能を搭載しています。また、ケータイで楽しく学べるという点を意識して、モリサワ社の「学参書体新丸ゴR」というフォントを使用しています。普通はケータイの小さい画面でも文字が見えやすいよう、漢字表記の細かい部分は省略しがちなのですが、トメ、ハネなども正しい書き方に合わせたフォントです。
――これは大人向けの普通のケータイでも欲しい機能ですね。画数の多い漢字を書くときに、よくケータイで調べるのですが、省略されていて肝心の部分が分からないこともありますし(笑)。
佐藤氏
その他、珍しい機能ではありませんが、国語、英和、和英を搭載した「モバイル辞典」、12星座やスポーツについて学べる「待受Flash」、時間割を3件まで登録できる機能もサポートしています。
――小学校高学年なら、まだピュアな心で学習目的のコンテンツを楽しんでくれるかもしれませんね(笑)。ジュニアケータイとしては豊富な機能を搭載していますが、やはり子供に不要と思われるものは削ってありますね。
佐藤氏
大人と違い、親が子供にケータイを購入するにあたって、やはりワンセグが搭載されているということが購入の決め手になるとは考えにくいと思います。同じ理由でおサイフケータイ機能も搭載していません。
――おこづかい帳機能と連動させる形で、おサイフケータイの機能はあっても良いのではと思いますが。
佐藤氏
しかし、親側の抵抗感は、かなり強い部分です。まずはちゃんと、本物のお金をきちんと管理できるようになってから、ということでしょう。使い方によってはFeliCaは便利ですが、お金を扱うという抵抗感のほうが高いようです。
――ターゲット層がジュニア向けとはっきりしているだけに、リサーチは通常の製品より念入りに行ったんですか?
佐藤氏
ターゲットが明確というのもありますが、それ以前に大人が頭でいくら考えても分からないという事実がありました。教育関係者やケータイを持っている親子、持っていない親子などにかなりリサーチを行いました。
――ジュニアケータイの機能として一番人気があるものって何ですか? GPSでしょうか。
佐藤氏
そうですね、購入時の動機や情報収集時に重視されているのはGPS機能になります。あとは防犯ブザー、緊急通知、移動経路通知のような安全・安心につながる機能が人気です。居場所や足取りが分かるというのは、かなり親御さんには評価される部分です。また、緊急時だけではなく「塾に着いたよ」といった定時連絡のために、ジュニアケータイを持たせる目的があるみたいです。
――K001には防水機能が欲しかったなと思うのですが、それについてはいかがでしょう。
佐藤氏
K001は幅47mmで子供の手で持ってもホールドしやすいことを重視しています。着せ替えシート部分の厚みもありますので、今回はサイズ感を考えて、防水機能は残念ながら省きました。
携帯電話というのは、水や衝撃に弱い物だから大切に扱わないといけないというのを子供に教えるのも親の役目だと思いますし(笑)。
――ジュニア向けケータイは従来、三洋の中でも鳥取三洋が関わってきた部分だと思いますが、そこで培った情報と資産は引き継がれているのでしょうか。
佐藤氏
いいえ、開発は一からになりました。ジュニアケータイは普通のケータイにプラスαの機能がつくことで、意外に難しいところがありました。
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京セラ マーケティング部 マーケティング課 佐藤由隆氏
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――これからはコンテンツだけではなく、端末自体も小学生向け、中学生向け……と細分化していく必要があるのかもしれませんね。
佐藤氏
そうですね。大人は20~30代という大きなくくりで扱うこともありますが、小学校低学年と高学年ではユーザーとしてあまりに好みも傾向も違います。まして中学生ともなれば、いろいろ要求も出てきますし(笑)。
ただ、K001は先ほどお話したように、制限モードと通話モードがありますが、制限も細かく個別に設定できますので、小学校低学年から中学生ぐらいまで、年齢と生活の変化に合わせつつ長く使っていただけると思います。
また、先ほどお話したように、K001は機能的にも大人の携帯とほぼ同等の機能を搭載しているので、例えば、お母さんとお子さん、お父さんとお子さんとでお揃いで持っていただき、着せ替えシートをお揃いにするなどしてもらったらいいと思います。シートを何にするかなど話すことで、家族のコミュニケーションが生まれたらいいのですね。
――お忙しい中、ありがとうございました。
■ URL
製品情報(京セラ)
http://www.kyocera.co.jp/prdct/telecom/consumer/k001/
製品情報(au)
http://www.au.kddi.com/seihin/ichiran/kishu/k001/
■ 関連記事
・ 安心安全機能が充実した京セラ製「K001」
(編集部, 麻生 ちはや)
2009/03/02 12:35
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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