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「CA001」開発者インタビュー
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タッチパネルを搭載したカシオのスタンダード端末
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CA001
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au向けの春のカシオ端末というと、W41CA以来、バランスの取れたスタンダードモデルが発売されてきた。今春のCA001もスタンダードモデルではあるのだが、au初のタッチパネルディスプレイ搭載モデルとなっている。
タッチパネル搭載でスタンダードモデルがどう変わったのか。今回は開発を担当したカシオ日立モバイルコミュニケーションズのカシオ営業グループ マーケティングチームの高木健介氏と、同社 第一事業部 戦略推進グループ 商品企画チームの佐合 祐一氏、カシオ計算機の開発本部 デザインセンター 第四デザイン室の花房 紀人氏に話を聞いた。
――まずは製品のコンセプトからお聴かせください。
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カシオ日立モバイルコミュニケーションズの高木氏
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高木氏
CA001はau初のタッチパネル対応ケータイとなります。ただ、商品の見せ方としては、タッチだけ前面に出すのではなく、むしろ通常の2軸ヒンジケータイにタッチパネルが追加されたことによるキー+タッチでの使い勝手の良さを訴求していきたいと考えています。商品的には、ユーザーニーズの高いトレンドスペックを取り込みつつ、バランスの取れたカシオ春の定番モデル、という位置付けです。
ターゲットユーザーは、日常生活の中でケータイを積極的に使うユーザーを想定しています。これまでもカシオが春に発売してきた定番モデルでは、性別や年代を問わず幅広い層のお客さまにご購入いただいているので、今回のモデルも特定の年齢層に絞っているわけではなく、ケータイを使いこなす幅広い層の方々にお使いいただきたいと考えています。
CA001はいろいろな顔を持っているのが特長です。利用スタイルシーンにあわせ、さまざまな使い方が楽しめます。たとえば、「映像・音楽系」と「スポーツ系」、「普段の生活系」の大きく3つに分けて考えています。
まず「映像・音楽系」としては、3.1インチのフルワイドVGA液晶を搭載しました。もちろんワンセグやLISMO Videoもフルワイドで楽しめます。さらに今回は独自の機能として、「Touch Session」を搭載しました。これは、ケータイで楽器を演奏し、さらにセッションまでできるというユニークな機能が入っています。
「スポーツ系」としては、au Smart Sports系の各種機能・サービスに対応しています。CA001はauの春モデルでは唯一、モーションセンサー(加速度センサによる歩数計)を搭載しているので、この春のau Smart Sportsの訴求の中でも中心的な端末になるかと思います。
また、「普段の生活系」では、フェイスフォーカス付き5メガのカメラや、「モバイル大辞泉」の新搭載で辞書コンテンツがさらに充実したモバイル辞典、さらに編集機能対応のPCドキュメントビューアーも搭載。もちろんグローバルパスポートCDMAにも対応しています。
このように、普段良く使う機能がバランス良く搭載され、いろいろな使い方ができるというのがCA001の特長になります。そしてこれらの機能を、キーとタッチでバランス良くアクティブに使いこなそう、というのが開発思想です。
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タッチパネルによるカメラ操作
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――なにを狙ってタッチパネルを採用されたのでしょうか。
高木氏
CA001でのタッチ操作は、ビュースタイル(ディスプレイを表に出して折りたたんだ状態)で使います。ワンセグのチャンネル切り替えや音量調整、カメラ撮影、さらにはLISMOやナビウォークなど縦画面の機能もタッチ操作で使えます。このあたりは後ほどご説明します。
昨年、タッチパネルに対するニーズを調査したところ、約5割のお客さまから「タッチを使ってみたい」というお答えをいただきました。欲しい機能としても、タッチパネルが10位以内にランクインしています。お客さまのタッチ操作への興味・関心は高まっている状況です。
しかし、「タッチを使いたい」と答えた方にだけに、「タッチとキーのどちらが必要か」という質問をしたところ、「両方必要」という解答が圧倒的に多い結果となりました。今のお客さまとしては、メールの文字入力などがどうしても煩わしいフルタッチより、キーもタッチも両方あるのが理想の端末像と考えられているようです。
こうした経緯から、今回はタッチパネルとキーの両方を併用する形式としました。
――カシオの春の定番モデルというと、W41CAからW62CAまで似たデザインテイストを踏襲していましたが、今回はちょっとテイストが変わっていますね。
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カシオ計算機の花房氏
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CA001
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花房氏
まず製品の成り立ちとして、先ほどお話しがあったように「幅広い層にスタンダードに使ってもらう」というコンセプトがあります。今回は防水性能はありませんが、その分コンパクトに仕上げています。カシオ端末としては比較的一般的な、昨今のケータイのシンプルトレンドに即したテイストに寄せています。
一方で、単純に無個性にしてしまうつもりもありませんでした。シンプルトレンドに対する我々なりの解釈を煮詰め、カシオブランドならではの回答を提示したい。具体的には、洗練されたスポーツシーンで使っていただきたい、ということで、「プレミアムフィットネスグッズ」をモチーフに選びました。アスリート志向ではなく、いわゆる身だしなみとして日常にフィットネスがある、そんな都会的なスタイルに似合うグッズです。ヨーロッパなどには、そういった先進的で、インテリアに美しく調和するフィットネスグッズが少しずつ現われてきています。CA001ではそういったもののイメージを取り込み、スクウェアな中にも適度な曲面のある表情を持たせています。体に自然になじむスポーティさがあり、頑丈さも感じられつつ、かつ日常生活やインテリアに違和感のないデザインになっていると思います。
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テンキーは市松模様状に表面処理が異なる
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――キー面のデザインが市松模様というか、ちょっと面白いですね。
花房氏
キー面もそういったテーマでインテリアからヒントをもらい、籐のや革の家具などの編み込みをパターンをモチーフにしました。横目と縦目で作られた面の表現、ということです。それをキーに立体として取り込むことで、見た目の美しさだけでなく、手触りで一つ一つのキーが判別しやすくもなっています。
――デザインが面白いだけのキーかと思っていましたが、実際に触ってみると、押しやすさ重視のデザインなのがわかりますね。
花房氏
W41CA以降、カシオのケータイはキーの押しやすさにこだわってデザインしてきましたが、その進化版でもあります。内部構造もW41CAから洗練・進化させてきたタイルキーで、シートキーとは違う、より確実にクリックできるものになっています。
キーだけでなく、手になじむ持ちやすさ、片手で自在に開ける開けやすさ、カバンやポケットにスルリとしまえるフォルムのなめらかさなど、CAケータイの追求してきたユーザビリティに、今回も変わらずこだわっています。シンプルなフォルムに再構成されたこれらの要素に、ぜひご注目いただきたいですね。
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サブディスプレイはドットタイプ
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カメラまわり
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――カシオというと画面デザインにペンギンを使われていますが、今回は画面デザインのコンテンツはどうなっているのでしょうか。
花房氏
3つのテーマを搭載しています。まず、一つ目は、「プレーン」。オーソドックスで邪魔にならない、スタンダードなテーマです。毎回CAケータイで用意させていただくベーシックなテーマですが、W63CAに比べると、やや女性を意識して、色遣いや内容に優しさを持たせています。
二つ目は「ジャーニー」(旅)。壁紙としての写真がメインのテーマです。グローバルパスポートCDMAとVGA表示のスペックに着目して作ったもので、W63CAにも搭載されました。さまざまな国でこのケータイが活躍し、撮った写真をVGA表示でキレイな壁紙にしている、そういったイメージです。ご好評をいただいております隠し要素のミジンコアニメーションですが、今回は質的・量的にかなりボリュームアップしています。基本的なパターンの強化だけでなく、季節に連動するイベント、特定の日の特定の時間にしか見られないイベントなどが追加され、よりユーモラスになり、探す楽しみ、気づく驚きが味わっていただけれると思います。
残りの1つが、「ペンギンスポーツ」です。スポーツポジションである今回の端末に特化してデザインしたメニューです。モーションセンサーを使ったカロリーカウンター機能が盛り込まれており、そこにカシオ伝統のキャラクターであるペンギンが登場します。その日のユーザーの歩数=運動量に応じて、ペンギンがさまざまなスポーツに上達していく様子が見られます。たとえば最初はろくにサッカーができなかったペンギンが、次第に自在にリフティングができるようになって、最後にはオーバーヘッドキックを決めたりします。逆にユーザーがスポーツをサボってしまうと、ペンギンも一緒にサボって間食したりします。こういったインタラクティブな要素を入れることで、ユーザーの皆さんに運動を楽しんでいただき、もっと続けようと思ってもらえるようなコンテンツに仕上げました。
――画面を見ると、余った行を情報表示エリアにしているのですね。
佐合氏
お知らせエリアという機能を使っています。こちらは各種通知のほかにも、歩数も表示させることが可能です。
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カシオ日立の佐合氏
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9ポイントAF対応のカメラ画面
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データフォルダ操作なども、操作パレットをタッチして操作できる
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――機能面では今回、タッチパネルを搭載したことでどう変わったのでしょうか。
佐合氏
液晶を出して折りたたんだ状態=ビュースタイルでの使い勝手を向上させたい、ということで、従来通りキー操作をメインにしつつも、タッチで操作性を補完させるようにしました。
とくに作り込んでいるのが、ワンセグとカメラの操作です。これまではサイドキーでの操作に煩わしさもありましたが、そこをタッチで直感的に操作できるようにしました。
まずワンセグでは、チャンネルや音量をタッチで操作できます。ちなみに加速度センサにより、縦横の自動切り替えもできます。
カメラの方は、右上のメニューアイコンをタッチすると、撮影設定のメニューを開きます。画面デザインにも力を入れていて、W63CAも行なっている、グラフィカルなUI要素をタッチ操作に組み合わせています。このほかにも、ズームや9ポイントAF位置指定などもタッチで操作できます。
ワンセグとカメラ以外も、ある程度の操作をするために、タッチするとカーソル・決定キーなどをエミュレートするパレットが画面上にオーバーラップ表示され、そこで操作ができるようになっています。
――サイドキーを残された理由は?
佐合氏
オープンスタイル(普通に開いた状態)でもサイドキーは使います。タッチパネルはあくまで補完という位置付けなので、サイドキーも従来通り残しました。
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Touch Sessionのピアノ
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サイドキー
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――「Touch Session」という新機能はどのようなものなのでしょうか。
佐合氏
ケータイを楽器としても楽しめる遊び機能です。ワンセグとカメラをタッチで使えるようになった、というだけでなく、ケータイとタッチパネルで何か面白いことはできないか、と考えていたところ、音源チップなどでご協力いただいているヤマハさんの話が出てきました。ヤマハさんはモバイル機器向けに「Mofiano」という楽器エンジンを作っていて、それを使って「Yamaha Mobile Orchestra」などをやってらっしゃいます。そこで、ヤマハさんの楽器エンジンを搭載し、弊社オリジナルのアプリとして作り込みました。
ギターやピアノなど、メジャーな楽器に加え、マイナーな民族楽器も入れています。最初は遊び要素として作っていましたが、最終的にはクオリティ高いものに仕上がりました。特徴的な機能としては、自分の演奏を録音し、ほかの楽器に切り替えて重ね撮りし、一人でもセッションが作れるようになっています。16トラックまで重ねられるので、ドラムだけでもスネアを入れてバスまで入れたり、あるいはそこにギターやマラカスを重ねることもできます。
さらにエクスポート機能があり、このアプリで作ったものをデータフォルダにSMFの着信メロディとして書き出せます。ほかの人に送って使ってもらうことも可能です。
――このほかの機能は、モバイル辞典など、カシオ端末で好評な機能は引き続き搭載されていますね。
佐合氏
モバイル辞典はだいぶ進化していまして、23万項目の大辞泉などの大きな辞典を搭載しています。このクラスの辞典が入っているケータイは弊社では初めてです。あとPCドキュメントビューアーは編集にも対応しています。
――本日はお忙しいところありがとうございました。
■ URL
製品情報(カシオ計算機)
http://k-tai.casio.jp/products/ca001/
製品情報(au)
http://www.au.kddi.com/seihin/ichiran/kishu/ca001/
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(白根 雅彦)
2009/02/12 11:25
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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