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Huawei日本法人社長に日本での戦略を聞く

 中国シンセン市に本拠地を置く中国企業のHuawei Technologies(華為技術)、主にネットワーク設備を通信事業者向けに販売するメーカーだ。そのHuaweiの日本法人が、華為技術日本(Huawei Technology Japan)である。今回は華為技術日本の代表取締役社長 華為東アジア総裁のYan Lida(閻 力大)氏にグループインタビューする機会を得たので、Huaweiの日本展開戦略などについて聞いた。

 なお本誌では先日行なわれたシンセン市のHuawei本社におけるプレスツアーのレポートも掲載しているので、Huaweiについての詳細などはそちらも併せて参照して欲しい。


華為技術日本 社長のYan氏
――まず日本のオフィスの位置付けや役割をお聞かせください。

Yan氏
 Huaweiは2002年に東京事務所を設立しました。当初は小規模なオフィスで、日本ローカルのパートナーの力を借りて日本市場に参入しようと考えていました。しかしそのような考えでは顧客と直接、対話できず、顧客との距離が遠くなってしまいます。

 そこで2005年に日本法人を設立し、顧客ニーズをより理解できるような体制にしました。もちろん、日本のパートナー戦略を放棄するのではなく、そちらも引き続き強化していきます。

――Huaweiが日本に参入しようと考えた理由とは?

Yan氏
 Huaweiの世界展開には4つの段階があると考えています。まず中国、次に新興市場、その次にヨーロッパ、最後に日本とアメリカです。いまは第4段階に入ったところです。Huaweiはすでにヨーロッパで経験を積み、世界的にリーダーシップをとっている企業をパートナーとして経験を積んできました。いまは日本市場に参入する絶好のタイミングと言えます。

 日本は全世界でも顧客の要求が高い市場です。Huaweiの製品・技術が日本で認められれば、世界中のどこでも求められると考えています。現在のところ、イー・モバイルにサプライヤーとして選ばれました。いま重要なのは、イー・モバイルによりよい製品・サービスを提供することです。それで日本での信頼を勝ち取ろうと考えています。

 ローカルなパートナーは、Huaweiよりも現地でのニーズをよりよく理解しているので、そのニーズに応えることは非常に重要なことです。

――日本の市場というと、単一国家としては規模が大きいですが、独自性が高く、ヨーロッパなどに比べると小さな市場です。その日本に参入しようという意図は?

Yan氏
 ヨーロッパの市場規模は確かに大きいですが、それでも日本市場には魅力があります。

 これはキャリアだけではなくエンドユーザーもですが、日本の顧客は品質に対する要求が高いのです。その要求の中で製品を研究・開発し、その要求に応えられれば、今後のHuawei全体の製品品質向上につながります。

 いま現在の日本での提携の中で、顧客に製品が採用するまで時間がかかってきました。その時間の中で、お互いに理解して製品を検証したりするプロセス、これに意味があると考えています。

 また、日本市場は閉鎖的ですが、ご存じの通り解放され競争の方向性へ進んでいます。2Gでは日本独自仕様でしたが、3GになってからはW-CDMAやWiMAXのように国際標準規格を採用するようになりました。


――実際にイー・モバイルの札幌や仙台でのネットワークサプライヤーとして提携してみた感触は?

Yan氏
 イー・モバイルとの協業は、最初は小さいところから大きいところへと発展することを目指しています。最初は数十局という小規模ネットワークでテストしましたが、ここでイー・モバイルには高評価をいただいて、昨年7月に正式発表していただきました。

 それから1年が過ぎましたが、このプロジェクトは順調に発展していると思います。イー・モバイルから良い評価をいただいていると聞いて満足しています。

――Huaweiは移動通信だけでなく固定通信にも製品を持っています。日本はブロードバンドが発達していますが、固定通信市場には参入しないのでしょうか?

Yan氏
 日本の固定ブロードバンドは優れていますが、モバイルにはもっとチャンスがあると考えています。いま現在を見ると、我々の重心はモバイル製品にフォーカスしています。

――固定通信と移動通信をIPベースで融合させる、いわゆるFMCやNGNという分野でもHuaweiは強いと思います。そういった方向への展開は?

Yan氏
 FMCへの展開はまだコメントが難しいですね。まずはモバイルから、です。

 Huaweiでは今年、「モバイルをIPへ導く」というスローガンを出しました。それが統合の方向だと考えています。IP技術は今後の主流になります。これまで、モバイルの基礎はATMでしたが、今後はIPに向かっていくので、そこにまたチャンスがあります。

 初期の移動通信は音声通話で発展しましたが、最近ではモバイルブロードバンドという技術が出てきました。日本ではHSDPAが導入され、通信速度は3.6Mbpsまで出ています。今後は7.2Mbpsにまでなるでしょう。移動通信はブロードバンドになるので、IP技術のサポートが必要になります。

 たとえばHuaweiからイー・モバイルに提供したものでは、札幌の基地局から東京までのインターフェイスがIPベースになっています。ここを従来のATMに比べると、コストも速度も優位です。

――現在、日本ではUSB接続型のデータ端末(イー・モバイルのD01HW)を提供されていますが、日本で音声通話のできる普通のケータイを提供される予定はあるのでしょうか。

Yan氏
 日本で音声端末を提供するかどうかについては、コメントは控えておきます。

 端末については「オーダーメイドで提供する」というHuawei独自の方針があります。つまり、顧客(キャリア)と共同で市場を検討し、製品化し、顧客のロゴをつけて販売します。

 理由は2つあります。1つは端末の宣伝広告をしないことで、コストを下げ、競争力を持たせるためです。キャリアもサービスや端末について宣伝するので、両社で宣伝するよりも1社で宣伝した方が良いのでは、という考えです。

 もう1つの理由は、Huaweiが元々、ネットワーク設備のメーカーであることです。しかし、ネットワークと端末をつなげる仕組みも理解しています。こうしたHuaweiが端末を提供することには、他社にない優位性があります。

――本日はお忙しいところ、ありがとうございました。



URL
  Huawei(英文)
  http://www.huawei.com/

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(白根 雅彦)
2007/10/29 12:14

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