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「K002」開発者インタビュー
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10.9mmに実用性とデザイン性を備えた大人の携帯
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5月25日、KDDIよりauの2009年夏モデルが発表された。バラエティに富んだ8モデルのラインナップの中にあって、必要十分な機能と高級感のある落ち着いたデザインを採用したモデルが京セラ製の「K002」だ。今回はそんな「K002」について、京セラの担当者に話を聞いた。
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京セラの川居氏(左)と城ノ下氏(右)
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K002
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――それではまず、「K002」の概要について教えてください。
京セラ 通信機器関連事業本部
マーケティング部 川居伸男氏(以下、川居氏)
「K002」のポイントは、10.9mmという端末の薄さに、3.2メガカメラ、3インチ液晶ディスプレイ、そしてワンセグやおサイフケータイを搭載した点です。これらのスペックは、機種変更が市場の中心になってきていることを見据えて検討を致しました。
機種変更前のユーザーさんが使われている携帯電話は、2メガ以下のカメラや3インチよりも小さいディスプレイが搭載されている傾向があります。「K002」はそういった方々に機種変更していただくため、遜色ないスペックをしっかり搭載しようと考えました。また、auの夏のラインナップの中では最薄のモデルになっており、そういった点もしっかり魅力をアピールしていきたいですね。
京セラでも過去、「W44K」、「W44KII」をはじめとした薄型モデルを出しており、非常に好評を頂いておりました。このような京セラの薄型モデルを使って頂いている方にも機種変更してもらえるとうれしいですね。
――端末コンセプトやターゲットユーザーは?
川居氏
コンセプトは「オール イン スーパースリム」です。ユーザーが重要視するスペックがほぼ網羅されているのではないでしょうかさらに今回、デザイン面にも非常に力を注ぎました。もちろん使い勝手の部分も改善されています。
メインターゲットは、実用性にもデザインにもこだわる30~40代の男女です。大人に似合う落ち着きのあるデザイン、そして実際に使って満足いただけるケータイに仕上げました。
デザイン面のコンセプトは「大人の色香」です。ターゲットユーザーを30~40代と想定し、大人の色香を醸し出せるようなケータイをイメージしました。さらに今回、薄さにこだわるため、スペック値だけでなく、視覚的にも薄くみえるようなものを狙っています。
――フロントのデザインが印象的ですね。
川居氏
一番のポイントは、スピンフィニッシュデザインと呼んでいるパネルの加工です。これにより、端末を閉じた時にみえる印象的な表情を演出しています。
「K002」では、薄型化を実現するためにボディにステンレス素材を採用しています。ステンレスは、これまで使われているアルミなどと比較すると非常に硬い金属です。10.9mmという薄さの実現にあたって、構造部材としてまず使うことになりました。しかし、ただ金属の部材をあてはめるだけではこれまでと同じような表情のケータイになってしまいます。そこで一工夫としてスピンフィニッシュ加工を施しました。
ボディカラーのピンクゴールドをご覧いただくとわかりやすいと思いますが、スピンフィニッシュ加工では、小さい幅の回転した砥石をスライドさせていく処理を3列行います。これによって磨かれてはいるが、光の加減で表情が変わるように見えます。金属加工を施した他の製品では、表面がざらついたものが多かったのですが、このスピンフィニッシュ加工はそういったものとはひと味違った表現だと思います。
こうした加工をステンレスで行うのは難しく、量産ベースにもってくるのに非常に苦労しました。
京セラ 通信機器関連事業本部 デザインセンター
城ノ下恭博氏(以下、城ノ下氏)
量産ベースの製品となるので、加工自体は機械ですが、人の感覚、手で調整したものとなります。実際、試作段階では圧力や速度、幅など何日もかけて調整しており、なかなかできるものではないものに仕上がったと思います。手作業という面では、側面部の鏡面仕上げの部分はスピンフィニッシュ加工を行った後に行う職人さんの完全な手作業によるものです。かなり高品質な出来栄えではないでしょうか。これまで以上に携帯電話をデザインで購入される方が多くなってきているので、今回は特に力を入れました。
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端末を開いたところ
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スピンフィニッシュ加工
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――各カラー、スピンフィニッシュ加工を施し、その上に塗装を吹き付けているのですか?
城ノ下氏
そうですね。金属処理の上に塗装が施されています。今回の「K002」では金属素材を採用しているので電気を通します。この特性を活かし、塗料をパネルにくっつけるような塗装方法をとっています。クリアカラーで通常の塗装を行うと、どうしても色が微妙ににじむなどムラがでてしまうのですが、今回の塗装方法であれば、きれいに均一に行えます。
――なるほど、素材の特性を活かした塗装方法ですね。
川居氏
「K002」では、イルミネーションにもこだわっています。イルミネーションというと、女性向けの演出のように感じられるかもしれません。しかし調べてみると、男性でも好きな方が非常に多いのです。
そうはいっても「K002」は大人向けのモデルなので、あまり派手なものは敬遠される方もいらっしゃいます。そういったユーザーに配慮しつつ、イルミネーションを搭載するため、今回はさりげなく、でも美しく光るという演出になりました。金属パーツ下のスリットから光り、カラーも7色から選べます。
城ノ下氏
「K002」は、どちらかというと男性的な端末デザインとなっています。このため、ほわっと光るものではなく、細く鋭く光るものを考えました。高級感のある端末のアクセントにもなりますし、男性にかっこいいと思ってもらえるものを意識しました。イルミネーションのパターンについても、男性に受け入れられるようチューニングされています。
――端末を開いたときのデザインはいかがでしょうか。
川居氏
そうですね、キーデザインにも工夫しました。薄型モデルだからキーが押しにくいとすれば、それは言い訳になってしまいます。「K002」では、キーの面積を大きくとり、文字盤も見やすいように配慮しました。キーのつや感とマットな下地のコントラストも高級感のあるものに仕上がっています。文字盤デザインはボディカラー毎に印象の違うものを用意しました。
城ノ下氏
薄型化する上で使いやすさを犠牲にすることは避けたかったため、ほかの薄型端末に比較して大きなキーを採用しています。こだわったのは、そういった気を配りつつ、それでもやっぱり色気を感じさせるようなかっこいいものを目指したところです。
――薄型モデルながら、しっかりした作りを感じさせますね。
城ノ下氏
そうですね、薄いけど柔ではない、男性が好む緻密感は意識しました。ディスプレイには強化ガラスも採用し、剛性を確保しています。
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川居氏
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――「K002」はauのモデルとしては珍しく、発表時から4色展開となっています。ボディカラーについて伺います。
川居氏
インテリジェントブラックとディープレッドは男性を意識したカラーです。特にディープレッドは落ち着いた深みのある赤を表現しました。対して、プラウドホワイトやピンクゴールドは少し女性を意識したカラーとなっています。いずれも高級感のあるものをイメージしたカラーリングで、プラウドホワイトは高級車にみられるような質感の高いカラーをイメージしています。
城ノ下氏
白色系の端末は、中庸で優しいイメージの端末が多いのですが、「K002」は色気のある大人向けモデルですので、ちょっとキザな白を狙いました。ベンツやランボルギーニといった高級感のあるカラーをイメージしました。
――ピンクゴールドは女性のアクセサリーのような印象ですね。
川居氏
そうですね、そういったカラーをイメージしました。ピンクというと強いピンク色が多くありますが、今回は微妙なニュアンスが出せたと思います。
城ノ下氏
最近、ピンクゴールド系の色が出てきてはいますが、「K002」はボディに金属を使っていることもあって、かなりアクセサリーのような仕上がりになっているのではないでしょうか。
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城ノ下氏
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――それでは端末ソフトウェアなどメニュー周りについて教えてください。
川居氏
まず、「K002」はこれまでの京セラ機で培ってきたオリジナルの機能が豊富に搭載されています。薄型端末ということもありますが、ターゲットユーザーも踏まえ、ビジネス系の機能を強化しています。「K002」では、通常のメインメニュー画面で左上のソフトキーを押していただくことでメニューが切り替わる「セカンドメニュー」という機能を搭載したのですが、その切り替わるメニューの初期値としてビジネス系の機能がひとまとめになったビジネスメニューをプリセットしています。
ビジネスメニューには、京セラとしては初となる名刺リーダー機能が用意されているほか、ストップウォッチ、ドキュメントビューアーといった機能も用意されています。名刺リーダーは認識率を含めチューニングされており、ボタンを押下して入力していただくより間違いなく早いと自負しています。
――KCP+のモデルは現状、ICレコーダーには対応していないので、機能的なポイントになりそうですね。
川居氏
そのほかにも、オリジナルの機能として、メールやCメールなどを受信すると画面上部に情報が表示される「ピクトインフォメーション」といった機能も用意されています。「K002」にはサブディスプレイがないため、利用頻度も高いのではないでしょうか。
「W65K」から搭載している「すぐ文字」も拡張しました。以前から搭載されていますが非常に好評を得ており。今回はパワーアップさせました。待受画面でアプリケーションを立ち上げずにすぐに文字入力ができ、その後、アプリケーションに文字が受け渡せます。今回、検索系の機能や漢字をチェックする機能などを追加し、より使い勝手があがっていると思います。調べ物をしたいときなどに非常に便利ですよ。
さらに、旧三洋電機さんのSA端末で好評だった機能などもフォローしています。閉じるとロックやオートロック機能などを用意しており、ビジネスメニューと併せて便利にお使いいただけるのではないでしょうか。
――KCPの採用について伺います。なぜKCP+にしないのでしょう?
川居氏
「K002」を開発するにあたり、KDDI様とも協議の上、端末のポジショニングなどを考慮して、既存資産が活かせるKCPを採用しました。
――メモリカードも最大16GBのmicroSDHCカードに対応していますね。
川居氏
そうですね。ワンセグ関係ではオート画質設定搭載、予約録画にも対応しております。大容量のメモリカードが使えるので、ワンセグをどんどん録画して欲しいですね。
カメラ機能は3.2メガと他機種と比べますとそれほど高画質ではありませんが、普段使いで重要となってくる起動や保存のスピードをチューニングしています。実使用という面では、とても使い勝手が良く仕上がっていると思います。調査でも、受画面サイズで撮影される方が多く、このようなベースとなる部分は非常に重要です。
カメラ機能もですが、K002に搭載した機能は、日常、ビジネス両方のシーンで役立つ機能を充実搭載しています。実用性とスタイリシュなデザインを10.9mmという極薄の端末に実現したケータイですので、是非、大人の方に使っていただきたいと思います。
――なるほど、本日はお忙しい中ありがとうございました。
■ URL
製品情報(京セラ)
http://www.kyocera.co.jp/prdct/telecom/consumer/k002/
製品情報(KDDI)
http://www.au.kddi.com/seihin/ichiran/kishu/k002/
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(津田 啓夢)
2009/06/03 19:08
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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