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「N-02A」開発者インタビュー
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機能もコンテンツにも妥協しない新世代の「μ」
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ドコモの秋冬モデルの中では、STYLEシリーズに属する「N-02A」。女性を意識しており、テンキー上に打ち上げ花火が上がるといったユニークなキーイルミネーションが特徴だが、一方で硬派とも思えるほど機能も充実させており、お家芸の折りたたみ端末をまっすぐ進化させている印象だ。
そんなN-02Aの開発エピソードや苦労した点などを、NEC埼玉 携帯端末開発部 技術課長 金子康浩氏、モバイルターミナル事業本部 モバイルターミナル事業部 商品企画部 主任 加藤ゆみ氏、モバイルターミナル事業本部 モバイルターミナル商品戦略本部 クリエイティブスタジオ 加藤広務氏に伺った。
■ 開発経緯と改良点
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今回発売されたカラーラインナップ
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――かなりスリムな仕上がりですが、コンセプトを教えてください。
加藤(ゆ)氏
今回から型番が変わりましたので「N-02A」とさせていただいてますが、流れとしてはN906iμの後継機種という位置づけになります。ですから見ての通り12.9mmのスリムというところが一番わかりやすい特徴だと思います。
ただし、今回はただのスリムというだけではなく、機能やコンテンツの充実にも力を入れました。カタログには「カワイイだけのケータイなんて。」というキャッチフレーズを使っていますが、今回は見た目だけではなく、中身も充実しているというところを大きなコンセプトにして企画・開発をさせていただきました。
――確かに機能的な妥協は見られない気がします。
加藤(ゆ)氏
そうなんです。かなりスリムなデザインですが、液晶は3.2インチのフルワイドVGA液晶で、ワンセグも視聴できます。カメラは「顔検出オートフォーカス」や「スマイルフェイスシャッター」や「ダブルブレ補正」といった最新機能が使える5.2メガカメラを搭載してますし、高音質・高音域で表現できる「SRS TruMedia」によって「バーチャル5.1chサラウンド」再生が可能になってます。もちろんハイスピード対応なので、フルブラウザで快適にコンテンツが閲覧できます。ドコモの新サービス「iコンシェル」や「iウィジェット」もご利用いただけますし、Bluetoothにも対応しています。
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金子康浩氏
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――STYLEシリーズに分類されてますが、PRIMEと遜色ないスペックを持っているということですよね。
加藤(ゆ)氏
タッチ操作が行えないという点と形状の違い以外では、本当にN-01Aと同等の
スペックに仕上がっていると思います。
金子氏
特に液晶のサイズとカメラの画素数は、N-01Aと同じものにしようとこだわってやりました。
――μシリーズといえばシートキーのイメージですが、今回は立体的に改良されてますね。
加藤(ゆ)氏
今までの「シートキー」については、ユーザさんから押しやすさの点でご意見をいただいていました。特に女性からのリクエストが多かったんです。そこで今回は立体キーを採用することによって、キーの押しやすさも大幅にアップさせました。初代はほとんどフラットでしたが、2代目で段差が分かるようになりました。3代目となる今回は、それをさらに少し盛り上げたという形ですね。
改良といえば、ストラップの位置も変えたんです。こちらも特に女性のユーザーさんから元に戻してほしいというご意見を多数いただいておりましたので元に戻しました。さりげない改良点ですが。
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ストラップ穴の位置が変わった
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キーの形状の変遷。左からN905iμ、N906iμ、N-02A
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加藤ゆみ氏
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――今回のカラーバリエーションですが、女性向け端末には必須ともいえるピンク系がありませんね。ゴールドもかなりこれまでと印象が違いますがどうしてでしょうか。
加藤(ゆ)氏
確かに「今回なぜピンクをいれなかったの?」とよく言われます(笑)。弊社の調査の結果、このブルーは女性にも非常に支持を得られているという結果があったので採用しました。ブルーも今までのピンク以上に女性のみなさんにご利用いただきたいという思いから、プロモーションカラーとしても使わせていただいております。
ゴールドですが、μも(90Xシリーズでいえば)3台目になりますので、同じゴールド系でも変化をつけています。ゴールドというと女性が支持してくださる色なのかと思っていたんですが、意外と男性、特に20代の若い男性から支持が得られていることがわかりました。今回のAntique Goldは男の人も持てるゴールドということで、クリエイティブスタジオの佐藤(NEC モバイルターミナル事業部 チーフクリエイティブディレクターの佐藤敏明氏)がかなりこだわった色です。
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中国語の入力にも対応
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――中国語にも初めて対応されたとか。
加藤(ゆ)氏
はい。iモード端末としてはN-02Aが初めて中国語に対応しました。唯一の中国語対応のモデルになってます。メニュー全体が中国語になるわけではないため、メールのやりとりやウェブページの閲覧が中国語で行えます。日本にお住まいの中国人の方々が、母国の方とやりとりするときに困るということで、要望に応える形となりました。簡体中文モードと繁体中文モードがあり、どちらもPinYin入力とStroke入力に対応してます。
――NEC独自で対応を考えたのですか?
加藤(ゆ)氏
いえ、キャリアさんとしてもずっと中国語対応をしたいとお考えだったようで、今回はキャリアさんからも強い要望を請けていました。
■ これまでにない斬新なキーイルミネーション
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N-02Aをもっとも印象づけるキーイルミネーション
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――N-02Aの最大の特徴といえばキー全体を使った大胆なイルミネーションかもしれません。どんなことができるんでしょうか?
加藤(広)氏
通常操作のバックライトとして光るのはもちろんですが、ケータイを開いたときや、着信、発信、通話開始、メール受信、メール送信、時計のアラーム、不在お知らせや誕生日というようなイベントにあわせて、花火はもちろん、ラインや流れ星などのさまざまなパターンを表現ができます。キー1つ1つにREGのLEDが入っているので、結構柔らかい表現が可能なんです。
現在15パターンがプリインストールしていますが、15点だけではもの足りない方のために「みんなNらんど」という弊社の公式サイトからダウンロードできるようになっているので、お好みのパターンを適用できます。
さりげないところでは、赤外線による送受信時にも変化します。受信するときは外から入ってくるような光り方をしますし、送信時は出て行くようなイメージになるんですよ。こちらはカスタマイズできませんが。ほかにある特定の日だけ光るものなども用意しております。
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加藤広務氏
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――特定の日とはどんなときですか?
加藤(広)氏
秘密にして驚きながら楽しんでいただきたいところですが(笑)、お正月、節分、バレンタインデー、ひな祭り、ホワイトデー、エイプリルフール、子どもの日、七夕、ハロウィン、クリスマスイブの10パターンを搭載しています。
加藤(ゆ)氏
実はメールの感情によっても色が変わるんですよ。
加藤(広)氏
これまでもメールの“感情”にあわせたアイコンがつくような機能はあったんですが、今回はそれをイルミとしても搭載しました。8つのパターンがありまして、「好き」というメールが来ますと、白とピンクの模様が光ったり、「悲しい」ときは涙を流したような、水色と青をベースとした光のアニメーションが表示されます。「ハッピー」な気分のメールでは、黄色やオレンジのウキウキわくわくした感じのイルミネーションカラーになります。「質問」や「お知らせ」などでは「?」マークや「!」マークがイルミで出たりします。
――のぞき見しなくてもメールの雰囲気が分かっちゃいますね(笑)。開発はかなり苦労されたのではないでしょうか。
金子氏
こういう要望はかなり前からありましたが、設計サイドからすると何かとハードルがあり、なかなか実現できませんでした。今回できた理由の1つは、N705iμの背面パネルの「マイシグナル」という機能のおかげですね。あの技術を今回こちらに応用してるんです。「マイシグナル」は単色でLEDの数が7×17ドットあります。このドライバの部分の技術を流用して、RGBの接続1本1本を使ったということで実現できた機能です。
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キーイルミネーションはすべて異なる色にすることもできる
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――技術の流用とはいっても、コスト的にはN705iμよりかなりかかるわけですよね。
金子氏
そうですね。ドライバ部分はほぼ同等のものなんですけど、単色のLEDに対して、N-02AはRGBなので、その分コストは高くなりますね。
見せ方にはかなり苦労しました。携帯のキーはスペース的に制約があるため、ボタン全体を光らせようとしたときに、どうしても仕切りを設けることができない。つまりキーの1つずつを独立した違う色で、中心から均一に光らせるのが難しいんです。そこで、文字の下の部分をポイント的に使い、明るいところでも見えるようにLEDを配置しました。結果的にこちらのほうが非常に綺麗に見えるようになりましたが、いかに狭いスペースで光を綺麗に見せるかというところが苦労したところですね。
さらに、限られた幅の中で、いかにRGBを入れ込むかという点も苦労したところです。単色と比べて配線の本数が必要なんですが、そうすると当然配線の領域が脇に必要になってくるので。妥協せず操作性と機能をうまく両立させるというところで結構デザイナーとやりとりしました。
他にも波長の関係で、混色がうまく見えないことがあり、赤のLEDの配線などにもかなり神経を使いました。
――なるほど。さりげなく実現されているように見えてしまいますが、すごく苦労されてるんですね。
金子氏
設計者としてはこだわりを持ってましたね(笑)。
加藤(ゆ)氏
キーイルミネーションは設計の立場でも、コンテンツの立場でも非常に力を尽くしたところなんです。マイシグナルと違ってすごく複雑なので、このパターンを作るためのツールを作るのも大変だったんですよね。
加藤(広)氏
まったく初めてのことだったので「作る手段がない!」みたいな状態からのスタートでした。デザイナーにはFlashベースでイメージしてもらい、パターンの制作ツールの制作と並行して作っていました。
――「マイシグナル」のように、ツールが一般に公開されるとよりおもしろくなるのかなという気もします。
加藤(広)氏
かなり複雑なため、現状は公開できませんが、そういうご意見が多ければ、将来的にできればよいなとは考えています。
■ 待受コンテンツを充実
――コンテンツも充実したということですが、具体的に教えてください。
加藤(ゆ)氏
今回新たなサービスとして追加された「マチキャラ」も注目ポイントです。ドコモさんに「ひつじのしつじくん」というキャラクターがいますが、それ以外にNECではおなじみの「バザールでござーる」と、ロシアの人気キャラクター「チェブラーシカ」、そして弊社オリジナルキャラクターの「Paco-chan」の計4種類を用意しました。
――「チェブラーシカ」と「Paco-chan」はどんなキャラクターですか?
加藤(ゆ)氏
「チェブラーシカ」は、ロシアの有名なパペットアニメーションの主人公で、日本のドラえもんに匹敵するほど有名なキャラクターです。数年前から日本でも人気が出てましてで、三鷹の森ジブリ美術館の配給で映画が公開されたり、11月にディズニーからDVDが発売されるなどしています。キャラクターとして完成度やポテンシャルが高いということで、今回搭載することになりました。
「Paco-chan」は女性のデザイナーが作った完全にオリジナルです。キャラクターには好き嫌いがあると思いますので、趣味に合わないからという理由でご利用いただけないのはもったいない。そこで、なるべくニュートラルで好みが分かれないようなキャラクターを入れたいなと思ったのがきっかけです。箱なんですが、動物のような動きをしたり、意外と表情豊かなので社内でもかなり評判がよくて。密かに某社のペンギンちゃんのように話題になったらいいなあと狙ってます(笑)。
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時折「erico語録」が表示される
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――なるほど。マチキャラはさらに増やせるのでしょうか。
加藤(広)氏
弊社としてはより多くのものを入れてユーザーさんに選んでいただきたかったので、多めに入れてありますが、今後は端末が普及にするにつれて、一般のコンテンツプロバイダーさんが配信してくると思いますので、それをダウンロードすることは可能ですね。
――そのほかに力を入れたところはありますか?
加藤(広)氏
待受画面の写真を、著名アーティストのCDジャケットを撮影されている写真家さんに撮っていただいたり、ターゲット層にマッチするだろうということで、TBSの「erico」というOLキャラクタも待受画面に登場します。
加藤(ゆ)氏
ケータイを開く度に同世代の女性が共感できるようなアクションを起こしたり、erico語録っていわれている、ericoならではのちょっとした言葉を発したりしますので、見るのが楽しくなると思います。
加藤(広)氏
そのほかにiアプリにスクエア・エニックスの「いただきストリート MOBILE」プリインストールしております。また、女性の美や健康をサポートする意味で、オムロンの「ヘルシーiアプリ BI-LINK mobile」も用意しています。
――最後に一言お願いします。
加藤(ゆ)氏
今回は12.9mmという薄さの中、機能もコンテンツも妥協せず、さらにキーイルミネーションでも楽しんでいただけるよう心を尽くしました。ぜひご利用いただければと思います。
――本日はありがとうございました。
■ URL
製品情報(NEC)
http://www.n-keitai.com/n-02a/
製品情報(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/style/n02a/
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(すずまり, 編集部)
2008/11/28 18:04
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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