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HTC Nippon社長インタビュー
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SIMロックフリー端末を本格投入するHTCの戦略
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Windows Mobile対応のスマートフォン端末を提供しているHTC Nipponは、9月にも「HTC X7501(HTC Advantage)」「HTC P3600(HTC Trinity)」の2つの端末を発売する。今回の端末は、デバイスの機能もさることながら、HTCが日本においてSIMロックフリーの端末を本格投入する戦略的な商品でもある。メーカーブランドとして提供する理由など、HTCの戦略について同社Country Manager(社長)のJennifer Chang(張 敏君)氏に話を聞いた。
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HTC Advantage
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HTC Trinity
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HTCのJennifer Chang氏
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――国内でAdvantageが発売されると聞いて非常に驚きました。数あるラインナップの中で、なぜAdvantageとTrinityを発売されることになったのでしょう。
今回の2つのモデルは、いずれも欧州やアジアで成功している端末となります。海外で発売済みの端末ですが、日本ではまだ満たされていないニーズがあり、かなりポテンシャルがあると思っています。
――日本では、携帯電話というとキャリアを通じて提供されるのが一般的で、HTCでもドコモやソフトバンクに端末を供給しています。今回、キャリアブランドを選ばずにメーカーブランドで提供する理由を教えてください。
ご存知の通り、日本の市場は世界の他の市場と比較として非常にユニークな市場です。今回、AdvantageとTrinityは、HTCブランドとしてすでに他の市場で実証済みのものを提供することになりました。メーカーブランドの端末では自由にSIMカードが利用できます。旅行されたとき、現地の国のSIMカードが利用できる点は大きなポイントになるのではないでしょうか。
日本政府の方針も今後変わっていくと聞いています。我々は総務省の方針について、その道筋を作れると考えています。2010年に向けて着実に展開していきたいと思います。
HTCでは、グローバルにスマートモビリティを展開しており、今回の端末も含めて、どの端末も非常に魅力的なものとなっています。さまざまなシーンで活用いただけるはずです。もちろん、キャリアからご関心いただければ、キャリア向けの端末についても検討していきます。
――キャリアブランドとメーカーブランドで供給する端末の方針に違いはありますか。
HTCは、欧州のスマートフォン市場で2位につけており、グローバルでの成功を日本でも展開していこうと考えています。キャリアに供給する場合は、追加機能を用意して差別化を図った上で展開することになるのではないでしょうか。
――メーカーブランドで展開する上で、ユーザーが気がかりな点としてサポート体制の問題があります。キャリアブランドであれば、キャリアが既存のサポートセンターで対応しますが、HTCは国内で万全なサポート体制を築いていけますか?
とてもいい質問ね、うれしいです(笑)。というのも、それは重要な戦略だからです。まず、HTCは日本でコールセンターを設立します。端末を購入したユーザーはAdvantageであれTrinityであれ、グローバルな保証を受けられます。日本で購入した端末でも、欧州でもアジアでも、アメリカでも、どこで買った端末でもグローバルな保証が受けられるので、安心して利用いただけます。
今回の2つの端末は、グローバルに保証が受けられ、どんなSIMカードも使っていただける、日本では非常にユニークな存在になるのではないでしょうか。
――もう1つ気になるのは端末価格です。国内ではインセンティブがあるために、新しい端末でも数万円で購入できます。メーカーブランドの場合はどうなるのでしょう?
今回、特にインセンティブは設けていません。ただ、いろいろなサービス面を充実させることで差別化し、新規のユーザーに対しても非常に魅力的な商品になると思います。すでにご利用しているSIMカードが使えるわけですから、新たな料金プランは必要ありません。
――AdvantageとTrinityは、法人と個人のどちらに響く商品ですか?
他の市場の動向を見ると、TrinityのようなPDAタイプの端末は一般コンシューマーにお使いいただいています。だいたい6~7割ぐらいですね。一方、Advantageに関しては、欧州ではハイエンドユーザーや法人顧客の需要が高いです。欧州では、非常に有名な保険会社で約2万台採用されており、保険の営業に使われています。8GBの容量があるため、重たいパソコンを持ち運ぶことなく保険の説明が行なえるからです。日本においても、企業向けのビジネスソリューションをご用意し、大企業においてもスマートモビリティ提供できると思います。
――国内の携帯電話会社は、HTCの端末を含めスマートフォン端末を複数投入しています。他メーカーの存在も気になりますが、HTCはどういったカラーを打ち出していくのでしょうか。
HTCはグローバルな戦略に基づいて、常に革新性を打ち出しています。全てのセグメントに対して、グローバル戦略に則して展開する方針で、そうすることで日本でも強い市場をつかめると考えています。
ある欧州の記事では、「iPhoneと戦うことができる唯一のベンダー」とされました。最近、欧州ではTouchという端末を発表しました。日本でもこうした革新性を活かして、我々のサービスを提供していきたいと考えています。グローバルでは、スマートフォン、スマートモビリティの分野でリーダー的な立場になっています。日本でもそうなるとものと自負しています。
――日本市場における、目標値はありますか?
調査の結果、2007年度のスマートフォン市場は50万から60万台と見ています。我々は、メーカーブランドおよびキャリアブランドを含めて、マーケットシェアでトップに立ちたいと考えています。
――本日はお忙しい中ありがとうございました。
■ URL
HTC Nippon
http://www.japan.htc.com/
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(津田 啓夢)
2007/08/10 16:39
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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