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HTC Nippon社長インタビュー
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HTC参入で国内スマートフォン市場は飛躍するか
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HTC NipponのJennifer Chang社長
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Windows Mobile搭載のスマートフォンの歴史はそれほど長いものではないが、台湾のHigh Tech Computer(HTC)はこれまで、欧米を中心にOEMや自社ブランドのWindows Mobile端末を開発してきた、いわば老舗メーカーである。
2006年7月、HTCの日本法人となる「HTC Nippon」が誕生した。その第1弾となるスマートフォン「hTc Z」は、フルキーボードを搭載した法人向けのWindows Mobile端末として、NTTドコモの販売ルートを通じて投入されることになった。ドコモとしても初めてのメーカーブランドの端末である。
ウィルコムのW-ZERO3が発売されて以来、国内ではスマートフォンに熱い視線が集まっている。今回、HTC NipponのCountry Manager(社長)のJennifer Chang(張 敏君)氏に話を聞く機会を得た。hTc Zの特徴や、HTC日本法人のビジネス展開などについて聞いた。
■ スマートフォン市場の動向、hTc Zの特徴
――日本のスマートフォン市場をどう見ていますか? なぜ、このタイミングで日本に参入したのでしょう?
世界のスマートフォンの市場は、6~8%の成長市場にあります。ところが日本では、最先端の技術があり、ニーズもあるのにスマートフォンが少ないというのが現状です。3Gになってようやくオープン化されつつありますが、iモードなどがそうであるように、日本の市場は技術的な面で閉鎖的だと思います。HTCは、欧州と米国でさまざまな経験を積んできました。今なら技術面において日本で発展できると思い、このタイミングで進出しました。
――では、参入第1弾となったhTc Zについてその特徴を教えて下さい。
まず、リアルタイムのメールプッシュ機能です。これまでパソコンのメールは、サーバーに問い合わせをしなければ受信できませんでしたが、hTc Zでは、Windows Mobile 5.0でリアルタイムにメールが閲覧できるようになっています。また、マイクロソフトのOfficeの機能も全てプリセットされていますので、WordやExcel、PowerPointといったファイルが見られるようになっています。
もう1つは高い無線接続性です。W-CDMAとGSMモジュールを搭載し、日本だけでなく全世界で使える携帯端末となっています。もちろん無線LANも利用可能で、VoIP電話としても使えますし、Bluetoothにも対応しています。
全てのスケジュール、アドレス帳がパソコンとシンクロすることが可能です。社長の秘書がスケジュールを変更した場合でも、端末側にすぐに反映されます。もし携帯電話を紛失した場合でも、リモートで端末ロックをかけることも可能となっています。
端末は非常にコンパクトですが、日本語の入力も簡単に行なえますし、ビデオ会議やネットミーティングでもスピーカーで話せます。画面は2.8インチのタッチスクリーンで、メディアプレーヤーを使ってmicroSDカードの中の音楽や動画データを楽しむことも可能です。このあたりが、日本のマーケットの中でhTc Zの特徴となります。Windows Mobileはオープンなシステムとなるため、インターネットからいろいろなアプリケーションもダウンロードできます。
■ 音声端末型のコンシューマー向けモデルの提供も
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端末はSIMフリーで提供するという
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――魅力的な機能が満載ですが、今回は法人向け端末として提供されていますね。一般ユーザー向けに販売しても良かったのではないでしょうか?
そうですね。ウィルコムのW-ZERO3の成功のように、個人のニーズがかなり高いと思っています。現在コンシューマー向けについても計画を立てていますが、法人だけではもったいないでしょうか?
――ビジネスでもプライベートでも使い倒せる端末というのは便利だと思います。hTc Zは販売をドコモが請け負っていますが、計画中のコンシューマー向け端末はドコモから提供されるのでしょうか? それとも独自に展開するのでしょうか?
現在は、HTCブランドでドコモが販売している形をとっていますが、弊社としてはいろいろ計画しています。今後、自分たちの販売ルートでも提供できるようになるのではないかと思います。
――一般的な携帯電話に近い形の音声端末なども提供される予定ですか?
現在その計画があります。形は普通の音声タイプに近いものですが、中身は無線LANなどを搭載し、PDAタイプのものと同等です。カメラを2つ搭載し、ビデオ会議も可能で、もちろん世界とのローミングも可能なものです。
――コンシューマーモデルとなると、日本の販売手法として象徴的なインセンティブモデルが関係してきますが、これをどうとらえていますか? どういった販売手法を予定しているのでしょう?
あくまで現時点での考えですが、日本の携帯電話はSIMロックがかかっているので、我々は値段が少し高めでもSIMフリーで提供したいと思っています。いろいろな戦略は考えていますが、まだ最終決定はしていません。
――hTc Zのような端末は、エグゼクティブ層を狙った端末として販売されるということでしょうか?
そうですね、プロフェッショナルな人をターゲットにした端末になるでしょう。欧州では、携帯電話の中でスマートフォンは10%ぐらいしか使われていません。しかし、売上げベースでは60%を占めており、普通の携帯電話と比べると売上げが高くなっています。
■ 2007年に数機種のスマートフォンを投入
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HTCはさまざまなタイプの端末を提供している
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――HTC日本法人の強みは何でしょうか?
簡単にいうと、製品が一番の強みです。HTCはフルレンジの端末を持っているため、これまでの日本にはない端末を提供できます。欧米向けにさまざまな端末を提供しており、市場のニーズに合わせて、日本のマーケットに沿った端末も提供できます。
もう1つの強みはフルサービスを提供できるという点です。セールス、マーケティング、テクニカルサポート、そしてコールセンターやターミナルセンターなどのフルサービスを我々で展開し、全て日本のスタッフが担当することになるでしょう。
――7月のHTC日本法人の発表会では、本社の最高経営責任者であるピーター・チョウ氏から、日本において「2007年までに100万台」という大きな販売目標が示されました。目標を達成するために、日本において今後、何機種を投入するのでしょうか?
すでに発表している我々の2007年モデルは6~7種類あります。この中から日本市場に合うもの選んで提供する予定です。欧州では、10数種類の端末が同時に市場に出ています。日本の市場にも徐々に投入することになります。
――2006年中の投入はありますか?
今はまだ計画中です。2006年のメインはhTc Zとなります。
――HTCは日本の携帯電話市場にどんなインパクトを与えますか? 最後に日本のユーザーにアピールしてください。
我々は他のメーカーにはないもの提供します。日本のユーザーには、フルなモバイルの環境を提供したいと思います。モビリティというのは、パソコンがいらなくなってしまうような、もっと自由なものです。パソコンと携帯電話が統合された環境を提案したいです。
実は、私もノートパソコンをほとんど使わなくなりました。それは、インターネットもメールも小さな端末1つでできるからです。今まで受けたことのないような、完全なモバイルサービスを提供したいですね。
――本日はお忙しい中、ありがとうございました。
■ URL
HTC Nippon
http://www.japan.htc.com/
製品情報
http://www.japan.htc.com/product.htm
製品情報(NTTドコモ)
http://www.docomo.biz/html/product/htcz/
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(津田 啓夢)
2006/09/13 17:42
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