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「W43H」開発者インタビュー
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ワンセグケータイNo.1を目指す日立の意欲作
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auより発売される「W43H」は、ワンセグに対応した日立製作所製のCDMA 1X WIN端末。前モデルにあたる「W41H」のワンセグ機能を進化させ、EZチャンネルプラスなどの最新サービスに対応しながら普及機としての側面も持ち合わせる日立の意欲作だ。
テレビらしさをアピールしたW41Hとは対照的に、さまざまなモチーフを元にイメージされたボディデザインも印象的だが、“テレビスタイル”の卓上ホルダが付属するなど、人気のポイントは継承されている。日立製作所、カシオ日立モバイルコミュニケーションズの担当者に話を聞いた。
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W43H
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――「W43H」のコンセプトについて聞かせて下さい。
石田 伸二郎氏(カシオ日立モバイルコミュニケーションズ 戦略推進グループ 商品企画チーム)
まず、ワンセグ対応で前モデルとなる「W41H」ですが、端末は大きさや価格などから本当に売れるだろうか、という不安もありましたが、おかげさまで好調な売れ行きでスタートできました。ワンセグケータイや日立ブランドケータイの更なる浮上のきっかけになったと思います。
また、W41Hは各方面でたくさんの賞を受賞しましたが、単にワンセグの受信機能を携帯に取り込んだことより、ワンセグケータイで生活が豊かになった、という内容の賞が多かったようです。ケータイの新しいトレンドとしてワンセグが来る、ということがリアリティを持って受け入れられたのではないでしょうか。
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石田氏
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そこで第2弾としての「W43H」ですが、目指したのはズバリ「ワンセグケータイ No.1」です。ワンセグケータイ=日立というブランドイメージをこのモデルで確立したい、というのが一番の狙いです。
そのためのポイントですが、まず2006年12月のワンセグの全国展開を機に、ワンセグ普及モデルとして展開していきます。デザインや使い勝手も特定ユーザーの為のモデルではなく、誰にでも気軽に使えるモデルに仕上げました。
もうひとつのポイントは、最新の映像系コンテンツサービスである「EZチャンネルプラス」に対応したことです。「EZチャンネルプラス」は、大容量で高画質な動画番組を手軽な料金で配信サービスしてくれるサービスなので、新しいメディアとして人気が出ると思います。
ワンセグ、EZチャンネルプラス、FMラジオなど、多彩なメディアコンテンツを気軽に楽しめる機能を搭載していますので、メディアケータイとしても完成度の高い端末が実現できたのではないかと思っています。
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高田氏(右)と吉田氏(左)
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――ボディカラーや質感など、デザイン面も特徴があります。
高田 裕一郎氏(日立製作所 デザイン本部 ホームソリューションデザイン部 デザイナー)
今回のW43Hは、新しいサービスへの対応やさまざまな機能を搭載するという点からコンセプトを抽出しました。内に秘めた力は美しき容姿に宿る、という意味で大きなデザインコンセプトを「Energy Seed」(エナジー・シード)とし、ほどよい丸みと手がかりの「Roundness and edge」、衣装を身につけたような感覚の「Material like clothes」、使いやすく、かっこいい「Stylish detail keys」というキーワードを中心にデザインをまとめました。
「Energy Seed」には、さまざまなコンテンツで得られた情報を美しい筐体に収め、新たな世代に導くという意味を込めています。造形のキーワードである「Roundness and edge」ですが、化粧品の持つ曲面やシャープなエッジ感をモチーフとしてイメージしました。背面の曲面や、ほどよいラウンド感で持ちやすい形状を作りました。
「Material like clothes」は、仕上げや色の質感をまとめるためのキーワードで、宝石や化粧品などの身近にあって美しい物をモチーフにしています。W43Hのボディカラーは、ミスティックバイオレット、メローホワイト、センシアルブルーの3色を用意しました。表面ケース側ボディには2色成型を採用し、透明層の厚みを場所によって変えるという技術を採用しながら、それぞれに異なる仕上げを施しました。
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ミスティックバイオレットは光の加減で印象が変化
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ミスティックバイオレットは、光によって紫からゴールドにがらりと変化する印象を与える色で、光が強く当たった時の印象からバイオレットとしました。一般的にマジョーラと呼ばれている塗料を、透明な樹脂の上に薄く塗装することで上質な質感を表現しています。また、光の強弱によっても下地の色が出るか、塗装のメタリック色が出るかで見え方が変化します。
メローホワイトはフロスト調のサラサラとした質感の塗装ですが、下地が透明ということもあり、角は化粧品のガラスボトルのようなイメージになっています。
センシアルブルーは、表面ケース側ボディの角をマニキュア、香水瓶などの透明層の溜まりの部分をイメージしています。若干赤みがかかったブルーの着色を施して光が当たったときの美しい見え方にもこだわりました。ボディ側はブラックですが、ブルーの細かい粒子を塗装してあり、光が強く当たるとブルー系の印象にもなります。
「Stylish detail keys」として大きめのテンキーフォントを採用し、センシアルブルーだけは異なるフォントを採用しています。ミスティックバイオレットとセンシアルブルーはフォントのみが光る文字照光、メローホワイトはキー全体が光るキー照光という違いもあります。
背面にはワンセグ用のアングルフリーアンテナを搭載していますが、スッキリと収納できるような形状を採用しています。赤外線通信の受発光部はヒンジ付近に設けて使い勝手を向上させています。
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サラサラとした質感。角は化粧品のガラスボトルのよう
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角の透明層は、わずかに赤みがかった色に見える
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黒いボディ部分は植物由来樹脂「エコディア」を使用
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――テレビスタンドも引き続き同梱されます。
高田氏
W41Hでも特徴的だったテレビスタンドは、W43Hでは「2スタイルチャージャー」としてパッケージに同梱します。携帯電話を横位置、縦位置のどちらでも保持することができ、コンテンツにあわせて向きを変えて利用できます。
また「2スタイルチャージャー」はトウモロコシを原料とした植物由来樹脂「エコディア」を使用し、環境にやさしい材質となっています。
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白澤氏
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寺本氏
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――今回、microSDスロットを内部に搭載したのは何故でしょうか?
白澤 聡氏(カシオ日立モバイルコミュニケーションズ 戦略推進グループ 商品企画チーム)
小型化の過程で、ワンセグの回路とアンテナを収めると、スロットを配置する場所が限られてしまった、という点が大きいですね。他のスロットと2段重ねにするとボディに厚みがでてしまいますので、電池パックを外した端末内部にスロットを設けました。
――視聴時間や録画など、機能面のポイントはどこでしょうか?
寺本 信哉氏(日立製作所 製品開発事業部 携帯電話本部 営業部)
ワンセグに対応することが大きな特徴ですが、観る、という面では、W41Hより連続視聴時間が30分ほど長くなり、最長約4時間15分になりました。録る、という面では外部メモリにも録画が可能になり、例えば512MBのメモリカードなら約2時間40分の録画が可能です。
W41Hでは、タイムシフト再生機能として1.3倍速の音声付き時短再生を実現しましたが、W43Hでは外部メモリに録画した番組でも時短再生ができるようになっています。
また、DBEX機能を搭載して音質の向上も図っていますが、LISMOの音楽だけでなくワンセグでもDBEX機能が利用でき、より高音質な音が楽しめるようになっています。このほか、ナチュラルカラーマネジメント機能や画面キャプチャ機能、字幕機能など、W41Hのワンセグの機能はすべて踏襲しています。
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「2スタイルチャージャー」は縦向きにも対応
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――連続視聴時間がW41Hと比べて伸びた最大の理由はなんですか?
白澤氏
ヤマハの音源チップが新しいものに変わり、低消費電力化が実現できました。主に音声系の消費電力が抑えられた結果、ワンセグでは30分視聴時間が伸びました。音楽再生でも連続再生時間が伸び、W41Hと比べて10.5時間伸びた連続約18時間の再生が可能になっています。
――外部メモリは最大でどのくらいの容量まで対応しているのでしょうか。
白澤氏
やっと1GBの製品が市場に出てきたので、メーカーとして保証できるレベルの確認を行なっている最中です。ソフトウェアの仕組みから理論上2GBまでサポートできますが、現在は市場に出た製品を使って検証している段階です。開発段階で市場に出ていた512MBまではサポートしています。
――外部メモリに録画したワンセグの映像は、ほかのワンセグ端末でも再生できると聞いています。これはauの機種だけでの話でしょうか?
白澤氏
W43Hのワンセグの録画は標準の規格を採用していますから、他の機種とも互換性があります。SD-Videoのワンセグ対応の新しい規格「ISDB-T mobile Video profile」に対応している機器なら、W43Hで録画したワンセグの映像を再生できます。
――ワンセグを見ながらメールを返信したりといった、マルチタスクの動作はできないのでしょうか?
白澤氏
要望として非常に多くいただいている機能ですが、現在はシステム的にマルチタスクの動きができないため、マルチタスク機能は搭載できていない状況です。
――最新サービスに対応しますが、独自に工夫したポイントはありますか?
寺本氏
「EZニュースフラッシュ」では、横向きのビュースタイルで充電している時にはテロップも横向きになるように工夫しました。
白澤氏
充電中は、配信される天気情報と連動して背景のFlashの色が天気をイメージした色に変わる仕掛けもありますね。
――W41Hでは、FMラジオやワンセグでサイドキーに割り当てられる機能がバラバラでしたが……。
白澤氏
その部分については仕様を改善して、対処しました。W41Hとは操作が変わることになりますが、より直感的に操作できるようにしています。イヤホンマイク端子もビュースタイルで上側にくるよう場所を変更しました。
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音が左右に分かれやすくなるよう、センターにリブを設けた
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――そのほか、こだわったポイントなどはありますか?
白澤氏
デザイナーのこだわりですが、閉じた状態の裏側のボディも、ねじのキャップを廃し、アンテナを綺麗に収まるデザインにしてすっきりとした印象に仕上げています。
高田氏
ネジキャップはユーザーには不要なものですので、見えない部分に隠すようにこだわりました。外側に見えているのは受話スピーカー部分だけです。サイドキー部分も最外周より出ないようにし、誤作動を招かない形状にしました。
2スタイルチャージャーでは、端末の後ろに付いているスピーカーの音がこもらないように隙間を空けて、音が前に流れやすいようリフレクターの役割を果たすように工夫しました。左右に音が分かれやすいようにセンターにリブも設けています。
――最後に、本誌読者に一言。
吉田 征義氏(日立製作所 製品開発事業部 携帯電話本部 営業部 主任)
進化したワンセグの機能と美しいフォルムとカラーのW43Hを体感できる、ワンセグ体験イベントを今後計画していますので、ぜひ手に取ってご覧下さい。
――本日はどうもありがとうございました。
■ URL
製品情報(KDDI)
http://www.au.kddi.com/seihin/kinobetsu/seihin/w43h/
製品情報(日立)
http://www.hitachi.co.jp/Prod/vims/mobilephone/w43h/
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(太田 亮三)
2006/09/20 11:12
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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