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「W41T」開発者インタビュー
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HDD搭載で音楽の楽しみ方を広げる
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W41T(フィーチャーグリーン)
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9日より順次発売される東芝製CDMA 1X WIN端末「W41T」は、国内の携帯電話として、初めてハードディスクドライブ(HDD)を内蔵し、音楽機能に注力した端末だ。HDD搭載で工夫した点や新たに追加されたポイントなど、モバイルコミュニケーション社 商品企画部の兵頭 正邦氏と、モバイル国内営業第一部の東條 正勝氏に話を聞いた。
■ HDDを載せるために
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W41Tを担当した兵頭氏(右)と東條氏(左)
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HDDは、衝撃吸収材とシールドケースで保護されている
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――4GBというHDDが搭載されるW41Tですが、開発自体はいつからスタートしたのでしょうか?
兵頭氏
企画は、2004年春から始まりました。当社から0.85インチHDDの開発発表が行なわれたのが2004年1月でしたが、その直後にW41Tの企画がスタートした形になります。ただ、当時発表された0.85インチのHDDをそのまま搭載したのではありません。
携帯電話に搭載するということは、それだけのスペックが必要となります。今回W41Tに搭載されたHDDは、さまざまな工夫が凝らされています。
東條氏
0.85インチのHDDそのものは、SDカードを2枚重ねたようなサイズです。しかし、W41TのHDDは、ゲル状の衝撃吸収材で包み、さらにその周りは金属製のシールドケースで覆われています。これがカスタマイズの1つ、と言えるでしょう。吸収材で包む、というのはHDDをフローティング構造で包み込んでいるイメージです。
兵頭氏
HDDは、内部のディスクが回転しますので、どちらかと言えば熱を発するデバイスです。金属製のシールドケースは、耐衝撃という意味に加えて、放熱の役割も果たしています。
東條氏
携帯電話として基本的なスペックを満たすための落下テストも行ないました。高さを決めて、あらゆる方向から落下させて、というものですね。これはHDD搭載だから、というわけではなく、携帯電話として必要な試験です。もちろんそうした試験はクリアしていますが、そこに至るまでは苦労しました。
兵頭氏
落とし方によって、こういう形状が良いんだ、といろいろ試行錯誤を重ねた結果が、今回採用した仕組みです。W41Tの開発にあたって、一番苦労したポイントかもしれません。振動という面では、当初は、携帯電話のバイブ機能の影響がありましたので、それへの対策も行なっています。
東條氏
最初の頃は、端末をパタンパタンと開け閉めした際の振動だけでも影響がありましたね。
兵頭氏
HDDからノイズが発生すると、音楽や通話などに影響がでますので、それを抑えられるよう、HDDの基板も変更しています。
――HDD搭載ということで、消費電力も気になるポイントです。
東條氏
いかにディスクを回さないか、という点を掲げて開発してきました。消費電力だけではなく、ディスクが回転している時は、衝撃にも弱い瞬間ですから。楽曲再生時には、楽曲にもよりますが、およそ3曲分のデータを専用のフラッシュメモリに移して、再生しています。ここで使うフラッシュメモリは、50MBというデータフォルダとは異なる部分です。
兵頭氏
ちなみにW41Tの連続再生時間は、イヤホンでの視聴時で約8時間です。今回のauの春モデルの中では、長いほうかもしれませんが、消費電力という面でもHDDがネガティブな影響を与えないようにしています。
――細かな点ですが、デフラグはできるのでしょうか? またHDD部分だけ壊れた場合は、どうなるのでしょう?
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W41Tで扱えるデータの種類と、保存される場所の一覧
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兵頭氏
デフラグはありませんが、エラーチェック機能は用意しています。ちなみにユーザーに見えるUSBマスストレージ領域はFATフォーマットで、それ以外の部分は、独自フォーマットです。
東條氏
エラーチェックを行ない、エラーを発見した場合はその部分のみ初期化するようになっています。またHDDだけが壊れる、という点ですが、そういったシチュエーション自体は否定できません。ただ、HDDだけ壊れても携帯電話としては利用できるようになっています。
兵頭氏
HDD搭載はリスクがある、と言う声があるかもしれませんが、危ない危ない、というだけでは進化していきませんから、それよりも大容量のメリットを享受、活用していただければと考えています。
――USBマスストレージとしては、512MBしか利用できないのはなぜでしょうか?
東條氏
W41Tでは、QVGAサイズの動画を最大2時間まで連続撮影できます。この動画ファイルは、理論上、上限が512MBですので、そこから上限値を定めました。
兵頭氏
この動画ファイルをマスストレージの領域に移動すると、パソコン上で動画が楽しめます。
■ 音楽プレーヤーと肩を並べる機能を
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W41Tでは、専用機と同様の使い勝手を目指したという
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――そもそもW41Tが狙うユーザー層とは、どんな方々なのでしょうか? HDD搭載という大容量化を図った理由は?
東條氏
音楽を普段から聴いていて、流行に敏感な層、新しい物が好きな層ということになるでしょうか。既にiPodなどのプレーヤーを持っている方ではなく、これから買おうかと検討しているような方がメインになるのではないかと考えています。また、512MBのUSBマスストレージとしても利用できることから、ビジネス層にも利用されるのではないか、という期待もあります。
これまで、携帯電話の音楽再生機能に対しては、操作性や音質、収録曲数について不満点があったと捉えています。W41Tは、それら全てを解消した携帯電話であり、携帯音楽プレーヤーに遜色ない仕上がりと自負しています。
HDDを搭載したのは、音楽対応ケータイの一線を抜け出したい、大量の楽曲を楽しめるようにしたかった、という想いがあったからです。iPodに対抗し得るケータイということですね。同じ4GBでも、miniSDカードであれば4万円以上しますから、HDDのほうがコスト面でも断然有利です。とりあえず手持ちの楽曲を入れて、聴きたいものだけ聴いていただきたいです。
兵頭氏
これまでは、楽曲を入れては消すという作業が必要でしたが、W41TではHDDを搭載したことで、DVD/HDDレコーダーと同じような使い方が可能になりました。どんどん貯めて、残したいものだけ抽出する、という形ですね。
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すっきりしたデザイン、そして操作性の向上を図る静電パッドキー
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――W41Tには静電パッドキーが装備されていますが、どういった理由があるのでしょうか?
東條氏
操作用ボタンが配置される、という選択肢もあるでしょうが、それでは普通のケータイでしょう。今回、W41Tに関しては、普通のことはしたくありませんでした。また、なぞるだけで操作できる静電パッドキーは、数多くの音楽プレーヤーで搭載されています。
サブディスプレイがある背面部は、ダブルモールドという製法が用いられていますが、全体としてはすっきりとしたデザインに仕上げています。さまざまな要素が存在し、それらを1つにまとめることを考えれば、「ボタンなんか、ここにあっちゃダメだよね」と判断し、このような形にしたのです。
■ デザイン、ソフトウェアのポイント
――W41Tは、スクウェアなシルエットが印象的ですが、ダブルモールドというのは、どのようなものでしょう? また、3種類のカラーリングはコンセプトは?
東條氏
当社のデザインセンターは、ハイ・ミドル・ローと、大きく分けて3種類のカテゴリーでデザインを考えています。ミドルとローについては、暖かみや優しさを感じられる丸みを帯びたデザインが受け入れられやすいものですが、フラッグシップモデルでは高級感などが求められます。
ダブルモールドですが、液晶側ボディの背面側(サブディスプレイ側)を2層構造にしています。フィーチャーグリーンの場合、生地色となる白のボディの上に黄緑色のパネルを載せているのです。このパネルは、0.7~0.8mmという薄さで、ヒンジ部周辺などは丸みを付けています。薄いパネルに丸みをつける、というのはHDDに次いで、非常に苦労したポイントなのですが、外側に配されたボディカラーが端末を開けたときに内側でも見える、中に入っているというデザインを実現するために、妥協せずに開発した部分です。
生地色の上に薄いパネルを載せている、という構造によって、太陽光が当たったときと、屋内の光が当たったときでは、色が若干異なって見えます。また同じ太陽光でも、朝と夕方は光の波長が異なりますので、フィーチャーグリーンでは黄色か緑か、どちらかの色が強く見えます。
ちなみに3色のボディカラーのうち、ビートブラックとアンビエントホワイトは、スタンダードなカラーリングです。一方、フィーチャーグリーンは、新サービスであるLISMOのテーマカラーと合わせています。W41Tは、LISMOのフラッグシップモデルでもありますので、デフォルトの待受画面やペア機能の画像部分などに、LISMOのキャラクターが登場しています。
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ディスプレイ側ボディは、薄いパネルを載せた「ダブルモールド」
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外側の色が内側にも、というデザイン
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――Bluetooth対応となっていますが、音楽関連では、独自プロファイルが使われていますね。
東條氏
標準的なAVプロファイルよりも、W41Tの独自プロファイルのほうが高音質です。音楽再生時にはイコライザ機能などで、音楽をより楽しめるようになっていますが、Bluetooth経由の場合、楽曲データをイヤホン側に直接送信していますので、イコライザ機能などは反映されません。
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フォントのダウンロード追加も可能だ
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――音楽再生時には、Flashアニメーションが連携して再生できるようになっていますが、どういう仕組みなのでしょうか? またフォントも追加できるようになっていますが、これはHDDならではの機能、ということになるのでしょうか?
東條氏
音楽機能と連携したFlash壁紙、という機能ですが、10種類あるプリセットのFlash壁紙を設定していただくとお楽しみいただけます。アーティスト名やタイトル名、再生時間などの情報をFlashアニメーション上に楽しく表示します。ユーザー自身の手、あるいは東芝のEZwebサイトから追加することはできませんし、楽曲再生中に画面を見るのか、という指摘があるかもしれませんが、メールやEZwebなどを操作した後、一瞬、楽曲再生画面に戻った際にアニメが見えるという“一瞬の楽しみ”が得られるのではないかと考えています。ちなみに、(パソコン向けソフトの)au Music PortでもFlashでのアニメ再生が用意されていますが、特にあわせたわけではありません。
フォント追加機能ですが、W41Tではスケーラブルフォントが採用されています。ビットマップフォントであれば1種類あたり数MBというサイズになるかもしれませんが、スケーラブルフォントでは1種類あたり1MB弱です。
追加するフォントデータは、HDDではなく、内蔵メモリに保存されますので、「HDD搭載だからこそ」という機能ではありませんね。むしろ、全体的な機能の底上げを図った結果、フォント追加ができるようになった、というわけです。メインメニューについても、4種類のプリセットに加えて、ダウンロードで追加できるようになっていますし、画面内もユーザーの好みに応じてカスタマイズできる幅が広がっているのです。購入された後は、ぜひゆっくりと中身も見ていただきたいですね。
――ありがとうございました。
■ URL
W41T 製品情報(東芝)
http://www.toshiba.co.jp/product/etsg/cmt/au/w41t/w41t_menu.htm
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(関口 聖)
2006/02/07 18:25
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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