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「W63CA」開発者インタビュー
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8.1メガカメラ搭載、新EXILIMケータイのこだわり
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auの秋冬モデルの中で、「W63CA」のカラーリングは、カメラ然としたデザインもあってか、かなり鮮烈な印象を残す。EXILIMのブランド名を冠し、デジタルカメラとケータイという2つの顔を持つ「W63CA」の開発について、カシオ 開発本部 デザインセンター 第四デザイン室 花房紀人氏、カシオ日立モバイルコミュニケーションズ 第一事業部 戦略推進グループ 商品企画チーム リーダー 本間敦氏、カシオ日立モバイルコミュニケーションズ カシオ営業グループ マーケティングチーム 高木健介氏にお話を伺った。
■ 開発経緯
――W63CAはすでに発売されていますが、反響はいかがでしょうか。
高木氏
EXILIMケータイは今回で2代目になりますが、初代W53CAは女性比率が約4割と他のCAモデルと比べると高く、W63CAも同じ傾向にあります。コアターゲットを女性で設定していたので、ある程度は想定していたんですが、カメラコンセプトが確実に浸透しているようでうれしいですね。
花房氏
まだ2週間程度しかたってないので、どのカラーが売れるのかはもう少し見極めないといけませんが、声として聞こえてくるのはピンク、グリーンですね。特に女性にはピンクが人気のようで、ご好評いただいております。
――では端末の開発コンセプトをご説明いただけますでしょうか。
高木氏
初代EXILIMケータイと同じキープコンセプトです。高画素でスタイリッシュなデザインをしたデジタルカメラケータイということで開発しております。8.1メガカメラと、17.4mmのスタイリッシュボディが特徴です。
本間氏
W53CAになかったワンセグやBluetoothというようなトレンド機能を装備し、グローバルパスポートCDMAに対応した形で、EXILIMのDNAを引き継ぐスタイリッシュなケータイを目指しました。
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W53CA（一番左）と、W63CA。画面サイズの違いがわかる
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カメラ部分の違い。下がW63CA
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――W53CAのときは機能として若干足りない部分もあったので、今回は必要とされているものはすべて入れましょうということですね。
花房氏
機能的にもデザイン的にもより洗練された端末を目指しました。
――なぜ画素数を5メガから8メガにグレードアップしたんでしょう？
本間氏
カメラの画素数というのは、非常にわかりやすいキーワードだと思います。3メガよりも5メガ、5メガよりも8メガのほうが綺麗じゃないか、というところがストレートに伝わるデバイスかなと考えています。
■ カメラとしてのデザインのこだわり
――W53CAと比べて、W63CAはレンズ周りが一層カメラっぽくなった気がします。デザインのポイントは？
花房氏
カメラらしさを表現するルックスアピールと、高級感ですね。機能的な緻密さや、機能美からくる優雅さみたいなものを目指したんです。それによって、手にとってもらった人に、確かな喜びと満足感をもっていただきたいと考えました。
前回のW53CAですが、当時としてはカメラ側を「顔」と捉えたデザインというのがあまり例が無かったので、新鮮さをもって受け入れていただき、かなり評判だったんですが、そこからさらに機能感とカメラらしさを増した形で洗練を加えました。
――特にこだわったところはどんなところですか。
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花房氏
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花房氏
一番はやはりこの「顔」の進化ですね。カメラリングの部分が一番の特徴なんですが、レンズの配置や、レンズリングの大きさといったところをさらに適正化して、8.1メガの高機能化をアピールしています。
また、電池蓋の分割線をなるべく減らして、カメラ部分を裏側に見えないようにするというW53CAのときからのテーマもさらに進化させました。カメラリングの部分と、グリップの部分に分割線を持ってきたことで、端末全体を横切るラインが1本もないんですね。これによって、さらに完成度が上がっていると思います。
W53CAにくらべて厚みが1.5mm薄くなっているんですが、シャッターキーの径は変えていません。押しやすさをキープしたまま、本体全体を薄型化しているというところもポイントですね。
ちなみに、W53CAのときにかなり残念だったやり残しポイントがmicroSDカードスロットのカバーなんです。これも今回は電池蓋を拡大して、一体化することができましたので見えなくなりました。スロットはバッテリーの裏ではなく、カバーを外せばすぐにアクセスできる場所に置いていますので，差し替えの際の使い勝手も問題ありません。さらにカメラリングの周囲には、インジケータの発光部をぐるりと回しました。カメラモードの起動時にこのリングが赤や緑に光ることで、よりカメラ機能を情感的に演出することを目指しました。EXILIMケータイのキャラクターとして際だっているのではないかと思っています。
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本間氏
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高木氏
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――従来ケータイの電池のフタにあったFeliCaマークが、ディスプレイの背面に変わりましたね。
本間氏
よりカメラらしい顔を目指すために、FeliCaマークとスピーカーを、ディスプレイを搭載した表示側のほうに移動させてます。今回はワンセグと3.1インチ有機ELディスプレイを搭載していますので、ビュースタイルでのテレビ視聴時に音が聞こえやすくなりました。また、FeliCaも、ディスプレイ側にあるほうがメールをしている時などオープンスタイルのままで、軽くタッチしやすいと思います。
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W63CAはパッケージもEXILIM風
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――ボディカラーですが、かなりインパクトのある色が2色あります。
花房氏
W53CAのときには、EXILIMブランドのテーマカラーである赤、白、黒をストレートに表現しましたが、今回はより洗練し、幅を広げるということで、20代女性をターゲットに、テーマカラーとは違うビビッドでインパクトのある色を2色入れています。
特にピンクはパープルパールの光り方と、エナメルのようなグロス仕上げで、今まで踏み込んだことのない色です。ストレートに女性向けを表現していますが、今のところはかなりご好評いただいています。グリーンに関しても、非常にビビッドな発色と半ツヤのアルミのような質感がうまく出せたかなと思っています。また、セットの薄型化に合わせて、本体側と画面側を同色の塗装にしています。W53CAの二色成形に比べ、より指紋が目立たない。ケータイとしての使い勝手の向上にも配慮しているつもりです。
ホワイトとゴールドに関してはシックめに仕上げています。ゴールドには、W53CA当時と同じ画面側とのツートン使いで、本物志向の大人の男性にも受け入れてもらえるような質感を演出しています。ホワイトはかなり特殊な塗装で、金属質でありながら、より白さを増したメタルホワイトを表現しています。
――カメラらしさに、金属感は重要になってくるんですか。金属を使うと電波が悪くなるというデメリットがありますよね。
花房氏
金属筐体にももちろんいい点はたくさんあります。薄型化に貢献しますし、ひんやりした手触りとか、カメラらしさをストレートに表現するには確かに最適です。その反面デメリットもあって、落下に非常に弱く、一端凹むと元に戻らないとか、意外に傷がつきやすいとか、アンテナ感度の問題もあります。そこで、我々としては今のところ金属でカメラを表現するよりも、あえてプラスチックを使うことで、そういったデメリットを回避する方向を選んでいますね。そのかわりカラーリングでの金属感の表現には非常にこだわっていますので、それを感じ取っていただければと思っているんですけれども。
■ カメラ機能について
――カメラの機能として強化された点も教えてください。
本間氏
今回新たに「EXILIMエンジン for Mobile」も新たにバージョンアップしております。カメラの画素数を8.1メガに高画素化したことで、デバイスのインチサイズが若干大きくなっているにも関わらず、歪み等の補正などの新しいエンジンで劣化させることなく、高画質を実現しております。また、ノイズリダクションも強化し、ISO感度も最大ISO1600にアップしております。
――特にユーザーにお勧めしたい機能はありますか。
本間氏
今回からフェイスフォーカス（顔検出AF）に対応しております。最大9人まで検出可能な「人数優先」と最大3人まで検出可能な「速度優先」という設定があり、「速度優先」に設定するとストレスなく速やかに顔を検出することが可能です。オートフォーカスは初期設定では「シングルポイントAF」になっているので、ぜひ「フェイスフォーカス」にして活用していただきたいですね。
そのほかにもご好評いただいております「ベストショット」も引き続き搭載しております。シーンごとに最適なシーンを選んで撮っていただければ失敗の少ない撮影が楽しめます。
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カメラモードでリングが発光
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――カメラのEXILIM同様に、YouTubeにアップロードする機能をCDで提供されていますが、撮った後に加工するようなものは提供されていますか？
本間氏
撮った写真を楽しむ機能として、充電台に置いた時にお気に入りの写真を美しい大画面の有機ELディスプレイで楽しめるメディアスタンド機能を搭載しております。
――今回そのVGAサイズの有機ELを積んだというところが１つ特徴だと思うんですが、なぜそのデバイスを選んだのでしょうか。
本間氏
前回のW53CAは、カシオとして初めてワイドVGA液晶を搭載しましたので、W63CAに関しても、ワイドVGAの解像度は必須で大画面化で進化させたいと考えていました。
ケータイで撮った写真の利用頻度を見てみると、プリントしたことがあるというお客様も多数いらっしゃるんですが、やはり多くの方はそのままケータイで見る、楽しむという使い方が圧倒的に多いんですね。
そこでW63CAでは、カメラ付きケータイを極める上で、撮った画像を綺麗で発色のよい有機ELで楽しんでいただき、ワンセグや、LISMOビデオも、有機ELで楽しんでいただけると思います。
――有機ELで見るとなると、従来やってきた液晶との色の味付けなどが全然違ってくると思うんですが、そこはやはり苦労した点ですか。
本間氏
そうですね。ディスプレイ表示とプリントではギャップがありますので、プリント画質というところに若干比重を置きながら、かつ、ディスプレイ表示のときに破綻しないような絵作りを目指して開発しました。
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カシオの歴代カメラモジュール
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W63CAに搭載されているCMOSセンサー
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■ 今回もユニークなキャラクターが和ませる
――カシオのケータイといえば、ペンギンやカツオ、ゴリラなど、待受画面に動きを与える親しみやすいキャラクターへのファンも多いです。今回はいかがでしょうか。
花房氏
画面デザインでもちゃんと新しいチャレンジをしていまして、今回はFlash壁紙を3パターン用意しています。1つはW53CAに引き続き、EXILIMテーマの壁紙で、歴代のEXILIMカメラなどがワイヤフレームでクールに表現されるというものです。もう１つはシンプルでユースフルというテーマで、黒基調の画面に時計やカレンダーなど、日常使って便利な機能がスタイリッシュに表現されています。最後もう１つが「ジャーニー」というテーマ。旅行をテーマにした写真です。
今回グローバルパスポートに対応させていただいたということで、ヨーロッパなど海外に旅行したときに、このW63CAを持って行って写真を撮ってもらうと、こんなステキな写真が撮れますよ、というコンセプトです。実はこのジャーニーの中に、遊びの要素としてキャラクターが登場するんです。
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Flash壁紙「ジャーニー」。よく見るとミジンコがいる
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――なにやら小さいものがコミカルに動いていますが、もしかしてこれはミジンコですか？
花房氏
あ、分かりましたね（笑）。その通りミジンコです。今までペンギンやゴリラ、カツオなど、CA伝統のキャラクターの世界というのがあるんですが、今回あえてキャラクターを表に立てずに、よく探すと実はいる、という新しい考え方にチャレンジしています。
――それにしてもなぜミジンコなんでしょうか。ゾウリムシではダメでしたか？（笑）
花房氏
先ほど言ったようにあえて表にキャラを出さない、とにかく小さいキャラクターにしてみようというところから始まっています。VGAの高解像度感を表現できるという点と、探さないと見つからないという逆転のおもしろさが発想の軸です。
ミジンコを選んだのはかなり感覚的な部分が大きいんですが、小さいもの、そしてどことなくユーモラスで愛嬌のある姿という点が選定のポイントでしょうか。手ではないけれど、手のように見える器官があるし、割と黒目もハッキリしていてかわいらしいですから。実はミジンコって、意外と女性の心をつかむようなんです。
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ミジンコによる英会話講座
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高木氏
特に女性に見せると2段階でいいリアクションが返ってきますね。まず「なぜミジンコなの？」と。次に「かわいい！」と（笑）。
花房氏
このミジンコたちは待受画面上の他のアイテムとコラボレーションもします。天気予報の上に乗っかって遊んでいたり、端っこから落ちそうになっていたり。ニュースフラッシュのティッカー上では、自分の荷物をいっぱいおいてベルトコンベヤーにしてみたりと、よく見ているといろんなことをしているのがわかると思います。キャラクターは単体で存在するのではなく，それの組み込まれている機種自体と密接に関連すべき、という考え方の元，KCP+とVGA高解像度の環境ならではの表現を追求して生まれたアイデアです。
省電力対策として、旅の写真をしばらく放置しておくと、黒基調の画面に変わるようになっています。そこでは、それまで隠し要素的だったミジンコが主役の立場に変わりまして、海外で役立つ英会話シチュエーション集といった構成で、ミジンコくんがいろいろな場面で慣れない英語を駆使して海外でがんばるという物語が展開されます。
――これで防水だったら……とか、加速度センサーは搭載しないのか？ という声もあるようですが、いかがでしょうか。
本間氏
次機種以降で検討させてください（笑）。
――それでは最後に一言お願いします。
高木氏
EXILIMケータイは、国内で初めてデジタルカメラブランドの冠をつけて誕生しました。キレイな画像がカンタンに撮れるカメラ性能の良さはもちろん重要ですが、同時にケータイとしても使いやすいというバランスが、ブランドとして重要なポイントだと思っています。カメラ付きケータイの最高峰を目指して行きたいですね。
――本日はどうもありがとうございました。
■ ＵＲＬ
製品情報（カシオ計算機）
http://k-tai.casio.jp/products/w63ca/
製品情報（au）
http://www.au.kddi.com/seihin/ichiran/cdma1x_win/w63ca/
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（すずまり, 編集部）
2008/12/17 11:48
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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