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「W65K」開発者インタビュー
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3つの異なる外観デザインと防水性能で女性にアピール
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携帯電話の販売方法が割賦中心へと変わり、メーカーはユーザーに飽きさせない機能や長く使える生能の開発にしのぎを削っている。その中で徐々に注目を集めつつあるのが「防水性能」だ。
auの2008年秋冬モデルとして登場した京セラの「W65K」は、一見すると防水とは分からないデザインが特徴の端末である。また、同一型番で全く異なる3つのデザインを打ち出すなど、非常にユニークな試みを行っている。
今回は、通信機器関連事業本部 マーケティング部 マーケティング課 若狭哲史氏、マーケティング部 デザイン課 光永直喜氏、そして開発全体のプロジェクトリーダー 大和田靖彦氏に、その開発背景について伺った。
■ 防水端末の開発経緯
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全く異なる3つのデザインが印象的な「W65K」
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――今回登場したauの秋冬モデルの中では唯一の防水タイプですね。まず防水にした経緯から教えてください。
若狭氏
防水機能自体は弊社としても昔から着目していたんですが、最近対応する端末が増えるにしたがって認知されてきたことや、販売方法の変更により1つの携帯電話を長く使わなくてはいけないという使用環境になってきたということがきっかけです。
突然の雨に見舞われたり、思いがけない水没による故障は容易に考えられますし、キッチンなどの水周りで使うというのはもはや当たり前にあることなので、長く安心してご利用いただくためには大切な機能ではないかと考え、IPX5とIPX7に対応させました。
――作り始めたのはいつごろからでしょうか。
若狭氏
防水自体は1年半くらい前から検討し始めたました。実際にしっかりと端末の形になって、「W65K」として検討とし始めたのは1年ほど前からになります。
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若狭哲史氏
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――特に女性を意識された理由はなんでしょうか。
若狭氏
弊社としては、防水機能自体は、老若男女問わずみなさんに便利な機能だと考えております。メインターゲットは女性ですが、デザインも全く異なる3タイプをご用意させていただいてますし、防水に対応しながら、ワンセグもFeliCaもサポートして、さらに15.8mmで重さも116gという「薄くて軽い防水モデル」に仕上がっていますので、男性でも十分ご利用いただけます。ただ、女性向けにこういった使い方ができるよ、という1つの例を提示してあげることで、防水の魅力をより伝えやすくなるのかな、という思いはあります。
――確かに防水のわりにはかなり薄くて軽い仕上りだと思います。
大和田氏
弊社はW44K、W53Kといった過去モデルからベストスリムゾーンを継承してきました。防水タイプにしてはかなり軽くできたというのも、最軽量の競争をしていた時代からのノウハウの蓄積もありますし、軽量化の意識がメンバーに根付いているからかもしれません。気がついたら116gになってたという感じですね(笑)。
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開いたときのイメージにも違いが見られる
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――防水をテーマにしたWebドラマも制作されてますね。
若狭氏
これからは防水があって当たり前の機能になることを考えると、「え、これで防水なの?」という一見防水とは思えないデザインが理想だと思うんです。ただその中では防水の魅力を伝えていかなくちゃいけないということで、今回は特にプロモーションを工夫をしました。
防水機能をお伝えするためには、具体的な利用シーンを表現することが一番重要かなと考えまして、どういうシーンでどう扱えるかということを、端末のデザインにあわせた3つのWebドラマを作って表現しています。
たとえば「Clair White」では、キッチンでぬれた手で着信したメールを確認するというシーンがあったり、「Luxe Silver」の中には、ケータイが突然の雨にぬれるシーンがあって、それでも拭けば大丈夫、普通に使えると分かる内容です。女性のみなさんに、生活シーンや利用シーンの中で、防水がどう便利かというのを無理なく、すんなり受け取ってもらえる構成になっていると思います。
販売店でモックに防水シールをつけたりという、分かりやすい訴求はもちろんあわせてしていきます。
■ 全く異なる3つのデザインを用意
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光永直喜氏
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――同じ型番で全く異なるデザインを3つ用意されました。なぜでしょうか。
光永氏
今回3つのデザインバリエーションということで、今まで見たこともない取り組みに挑戦してみました。
同年代の女性でも人の好みは千差万別ですから、1つのシンプルなものですべてをカバーするのではなくて、さまざまな趣味趣向の方々にそれぞれの好みで選んでいただけるような、ある程度特徴を持たせた提案をしていきたいと考えたんです。
特に今回の端末の大きなポイントは防水性ですが、防水らしいデザインではなく、高い防水性を持ちながら、ファッションとしての視点でバリエーションを展開しておりますので、これまでとは違うアプローチの商品に仕上がっているのではないかなと考えてます。
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大和田靖彦氏
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――かなり技術的な話になりますが、形状の違うものを1つの型番でTELECなどを通しているわけですよね。問題なく認証されるものなのですか?
大和田氏
規定があって、中身などが一切変わらないという前提で、外概観だけですと縦×横×高さの総和で許容の範囲内に入っているので大丈夫なんです。その幅の中でデザインする分には問題ないんです。
――なるほど。ではそれぞれのデザインコンセプトを教えてください。
光永氏
「Clair White」は非常にクリーンなイメージです。シンプルで誰にでも持ちやすいデザインですが、サブ液晶周りは金属処理を施すなどして、シンプルでありながら輝きをもって質感の高いものに仕上げております。
「Fleur Pink」は、花やカラフルな衣装、小物など、かわいらしいものが大好きな女性をイメージしています。画像を金型で入れてしまうという大胆な表現も特徴です。植物がメインですが、動物が少し隠れてますので、ぜひ探してみていただきたいです。サブ液晶は、かわいらしく透明感がありながら、質感が高く、輝度の高いような処理を施してます。
「Luxe Silver」はかなりゴージャスな女性をイメージしています。最近は鞄などでも編み込みタイプでゴージャス感を演出しているもの、かつ輝度が高いものが結構ありますので、そのようなニュアンスを取り入れ、輝度の高い塗装を施して、今までの携帯電話ではなかった新しいゴージャス感を表現してみました。
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外観に合わせてキーのデザインも変えられている
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――よく見るとテンキーのデザインも違います。
光永氏
実は表のデザインに合わせてキーのデザインも変えてるんです。「Clair White」に関しては表がスッキリしている分、キーには少しだけ遊び心を加えてグラフィカルにしてみました。
「Fleur Pink」と「Luxe Silver」は、表のデザインにインパクトがありますので、内側はスッキリさせました。一方で「Clair White」は表がシンプルな分、キーに凝っています。
――「Clair White」のテンキーはサイズも異なりますが、特にこのキーが押されやすいとかそういうわけではなく?
光永氏
そうですね。指で隣のキーとの差が分かりやすく、キータッチがしやすいという操作性と、グラフィカルな遊び心をあわせた「アクセント」として取り入れています。
――全く異なるデザインを見せるという意味では、着せ替えパネルで対応するという方法は考えなかったのでしょうか。
光永氏
パネルで変えれば簡単にガラリと変えるのですが、一方であまり目新しくはないんですね。そうではなく、モデルとしてまったく違うものに見えるくらいのチャレンジがしたかったので、あえて交換パネルではなく、金型自体を変えてしまうという方法をとりました。
大和田氏
着せ替えパネルで防水を実現するには工夫が必要になりますし、サイズも大きくなることが懸念されますから。
――男性がなかなか手を伸ばしづらい印象があるんですが、いかがでしょうか。
若狭氏
この3つのデザインの中で、最も女性向けのデザインになっているのは「Fleur Pink」ですが、「Clair White」や「Luxe Silver」は男性が持っても違和感はないと思いますよ。
「Luxe Silver」は男性の中でも少し年齢層の高い方までをカバーできるデザインとして考えていますし、「Clair White」は若い男性にお持ちいただいても違和感ないと思います。
■ 従来機よりも高性能なアンテナを搭載
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外観・サイズなどは微妙に異なる
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――薄さの中にも防水性があり、ワンセグもサポートされているわけですが、特に配慮された点はありますか。
大和田氏
実は防水、ワンセグときたらこれはもう「お風呂でワンセグ」だろうと強く意識しました。そこで、最初から技術のメンバーには「お風呂でワンセグ」というシーンは必要なので、絶対に従来よりワンセグの感度を上げなさい」とハッパをかけていました。そこでハードウェアのほうではいろいろと工夫しているのですが、お風呂で安心してワンセグを受信できるよう、特にアンテナの性能はこだわりました。
――明確な数字として性能を表現できるのでしょうか。
大和田氏
比較できる数値は持っておりますが、お答えすることはできません。しかし、自社機、他社機含めて同じ環境で何度もテストしてみましたが、W65Kの感度はかなり上位に入っていると自負しています。ただし、ご利用いただく場所や環境によっては電波の届かないエリアもありますので、必ずしも保証できるわけではありませんが。
――あくまでも従来機よりは非常に高性能になっていると。
大和田氏
はい。お風呂でワンセグっていうコンセプトに達成するためにはどうしても不可欠でした。大々的に訴求しにくい部分ではあるのですが、性能がアップしていることは間違いありません。
■ 便利な機能について
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待受画面からすぐ起動できる「すぐ文字」
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――「すぐ文字」や「自動マナー」は非常にユニークな機能ですね。
若狭氏
ありがとうございます。今回は防水モデルというところもありましたので、お風呂でワンセグを見るというキャッチーなシーンで訴求はするものの、実は一番利用頻度が高いものではメールだったりするので、そのあたりの使い勝手にもこだわった次第です。
「すぐ文字」機能は、待受画面からすぐにメールの本文が作れるので、頭に浮かんだことをパッと本文に入力して、すぐ送るといった使い方ができます。もちろんメモも取れますし、インターネットで検索することもできます。
「自動マナー」は指定した時刻に自動的にマナーモードに切り替わる機能です。一番マナーモードをご利用になるのは通勤時間帯などではないかと思いますが、それ以外の生活シーン、例えば水回りの作業中ではむしろ着信音が聞こえないと困る場面もあると思います。着信音を有効にしたあと、また通勤時にマナーモードに戻すのって手間ですし、忘れてしまうこともある。そこで時間を設定して、指定した時間は必ずマナーモードに復帰できるようにしました。夜寝る時間にも有効にしておけば静かで便利ではないでしょうか。
「カウントダウンタイマー」はキッチンタイマーとしても使えますし、設定しておけば料理中など、時間が気になるけれど合間にメールしたいといった方に便利です。
――防水モデルは、御社としては標準的な位置づけとして今後も継続されていくのですか?
大和田氏
継続していかなければいけないと思っています。
若狭氏
防水機能をフックにして便利な機能をとりいれると、違った側面から別の便利さが追求できると思うんで、それをいろんな端末に応じて育てていきたいなと思っております。
――最後に本誌読者に向け、一言お願いします。
若狭氏
「W65K」の魅力が分かる井川遥さん主演のWebドラマはぜひご覧いただきたいです。そして軽くて防水機能もついて便利な「W65K」をぜひ手にとってその性能を確かめていただきたいですね。
――本日はどうもありがとうございました。
■ URL
製品情報(京セラ)
http://www.kyocera.co.jp/prdct/telecom/consumer/w65k/
W65Kスペシャルサイト「3つのプロポーズ」(京セラ)
http://namida.tv/
製品情報(au)
http://www.au.kddi.com/seihin/ichiran/cdma1x_win/w65k/
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(すずまり, 編集部)
2008/11/26 17:04
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.
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