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気になる携帯サイト 制作者に聞く
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ソニー・エリクソンが提供する「PlayNow」で話題のコンテンツ
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携帯電話端末を提供するメーカー各社は、端末で利用できる待受画像やゲームなど、さまざまなコンテンツを提供する携帯サイトを運営している。しかし、ソニー・エリクソンでは、そういった自社端末向けの携帯サイト「PlayNow」に加えて、他社の携帯電話端末でも利用できる有料のEZwebサイト「PlayNowキセカエ」を展開している。
同社では2007年からコンテンツ拡充に取り組んでおり、同社商品企画部でコンテンツ部門に携わる石橋氏は「PlayNowに代表されるコンテンツ事業は、ソニー・エリクソンにとって新たな柱になりつつある」と語る。
■ 月間ユニークユーザー数は140万以上
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ソニー・エリクソンの携帯サイト「PlayNow」
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――「PlayNow」の現状から教えてください。
ソニー・エリクソンでは、これまでも携帯向けサイトを展開してきましたが、海外のコンテンツ戦略にあわせ、昨年、国内でもサイト名称を「PlayNow」に統一しました。携帯メーカー提供のサイトは、「ユーザーが携帯電話をもっと楽しめるように」といったコンセプトに基づくサイトが多いと思いますが、ソニー・エリクソンでは、海外でのコンテンツ戦略を継承し、新製品情報など会社情報を伝えるだけのサイトから、ニュースや乗換案内なども提供する総合エンターテイメントサイトに変化させました。これらの取り組みは、2007年から行っており、たとえば有料コンテンツの今年度の売上高は、2007年度の倍程度になると見込んでいます。
月間のユニークユーザー数は140万人以上に達しており、男女比は男性が約6割、女性が約4割ですね。
――その男女比は、ソニー・エリクソン製端末のユーザー層と比べると、異なる点があるのでしょうか?
そうですね、当社の携帯電話は男性層が比較的多く、「PlayNow」のユーザー層のほうが女性比率は高いですね。
――端末メーカーが携帯サイトを展開するケースは一般的です。しかし携帯コンテンツ市場の中心は、メーカーではなく、コンテンツプロバイダと呼ばれる企業です。コンテンツプロバイダ提供のサービスと比べて、ソニー・エリクソンが提供するコンテンツはどういった点が異なるのでしょう?
1つは、端末の特性にあわせたコンテンツの提供が可能ということです。端末メーカーだからこそ、きちんと特性を理解してコンテンツを開発できる。たとえば、NTTドコモ向けの「SO906i」向けには加速度センサー対応の待受コンテンツを配信しています。
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ソニー・エリクソンの石橋氏
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当社では、携帯電話端末とコンテンツとの関わり方について、ハードウェアだけではなく、いかに機能を楽しめるか、携帯電話を楽しく使ってもらえるか追求してきた面があります。たとえば“Cyber-shot”ケータイでは、単に高画質な写真を撮影するだけではなく、その写真をきちんと後から楽しめる機能を用意する必要があると考え、スライドショー機能で工夫を凝らしたりしています。「PlayNow」の運営でも、そういった考え方がベースにありますね。
――ソニー・エリクソンだけでコンテンツまで提供すると、コンテンツプロバイダが参入する余地がなくなるようにも思えますが。
いえ、そこは当社とコンテンツプロバイダさんがいっしょに展開するという形です。たとえば着うたは「music.jp」さんと一緒にやっています。囲い込みではなく、ともに手を携えて展開するという形です。たとえばゲームアプリでも過去には「SO902i」でハドソンさんから「ボンバーマンカート」というゲームを提供していただきましたが、ゲーム中には機種名が登場するなど、ハドソンとソニー・エリクソンによるコンテンツという部分が実現できています。
着せ替え系のコンテンツでは、自社製が半分、コンテンツプロバイダ製が半分といった形ですね。
■ 自社コンテンツが人気に
――自社ならではのコンテンツとして「頑張れサラリーマン」がユーザーから支持されているそうですね。
ええ、ネット上の大規模掲示板などでも話題で、あるソーシャルネットワークサービスではユーザーが1つのグループを作って、ファンサイトのような活動をしています。そのグループのユーザー層を見ると、9割が女性と聞いていまして、ソニー・エリクソンのコンテンツとしては高い人気を得ています。
――どういったコンテンツなのでしょう?
ある会社に勤める「おっさん」の日常を描いたコンテンツで、メニューカスタマイズ用コンテンツとして有料配信しています。時間帯や日付によって風景が変わり、ほとんどは日常的な風景なのですが、特定のタイミングでは、珍しい場面を見られるときもあります。2006年8月からEZweb向けコンテンツとして初めて配信したところ、ユーザーの反応が良く、その後、「頑張れサラリーマン2」「頑張れサラリーマン3(大阪編)」「頑張れサラリーマン4(学生編)」までリリースしました。
ついには、コナミさんの人気ゲームである「メタルギア ソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」とのコラボ企画まで立ち上がって、2008年5月には同ゲームの主人公「オールド・スネーク」が登場する「頑張れスネーク」を配信することもできました。
――ソニー・エリクソンのコンテンツと言えばクールさを演出したものなどをが印象にありましたが、「頑張れサラリーマン」はずいぶん肩の力をぬいたようなキャラクターですね。
そうですね、ソニー・エリクソンのイメージとちょっとギャップがあるかもしれません。もっとも、当社のコンテンツはさまざまな雰囲気のものがあります。「頑張れサラリーマン」は、そういった幅広いラインナップのコンテンツがあるからこそ、成り立つものかもしれません。
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会社勤めの“おっさん”の日常がたんたんと描かれる「頑張れサラリーマン」
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W32Sで採用された「ドラマメニュー」が「頑張れサラリーマン」に繋がっている
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――どういった経緯で誕生したのでしょうか?
特にマーケティングを重ねた結果、産み出されたキャラクターというわけではありません。もともとは2005年9月に登場した「W32S」で採用した「ドラマメニュー」がきっかけです。「ドラマメニュー」は、日付や時間帯によってさまざまな場面、風景が表示されるというメニューで、機能だけを追求したメニューというものにエンターテイメント性を加えて誕生しました。
ドラマメニューのように時間帯などによって表示内容を変化させられるという機能を使いたいと考えていました。そのなかで、自社で独自のキャラクター、世界観のコンテンツを追求し、たまたまスタッフが思いついたのが「頑張れサラリーマン」でした。
――思いつき、ですか。そのままリリースされたんですか?
議論を重ねて検討して……という流れではなく、比較的スムーズにコンテンツとして投入することになりましたね。これも多種多様なコンテンツを提供しているという背景があるからこそだと思っています。
――キャラクターものと言えば、ついつい愛らしいキャラクターを思い描いてしまいますが「頑張れサラリーマン」は、“おっさん”が主人公なんですね。「メタルギア・ソリッド」とのコラボコンテンツでも、スネークはずいぶんイメージが異なる描かれ方です。
ユーザーからの反応を見ていると、そのあたりの世界観、ギャップを面白がってもらっているようです。このコンテンツは、コナミ側の担当者さんが「頑張れサラリーマン」のファンということで実現したんですよ。この話が持ち上がった当初は「まさかそんな話が」と誰もが思いましたね(笑)。
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「メタルギア・ソリッド4」とコラボした「頑張れスネーク」
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――「メタルギア・ソリッド」はシリアスな雰囲気の世界観というイメージですが、「頑張れスネーク」ではなぜコミカルな方向にしたのでしょう?
コナミさんとの話し合いで、双方が「むしろシリアスなのはやりたくない。“頑張れサラリーマン”風にしよう!」という意向でしたので、方向性を決めるのはスムーズでした。ちなみにコンテンツの中には、「メタルギア」シリーズの産みの親である小島秀夫監督も登場します。また、プレイステーション3向けの「メタルギア ソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット」では、キャラクターが持つ携帯電話としてソニー・エリクソン製の端末が登場します。
――ソニー・エリクソン全体で見ると、海外でもビジネスを展開しているわけですが、「頑張れサラリーマン」も海外展開する可能性があるのでしょうか?
そうですね、明確なスケジュールが確定しているわけではありませんが、「メタルギア・ソリッド」というゲームは海外でも人気ですから、海外向けの当社製端末に搭載するなど、「PlayNow」でグローバルとの連携は図っていきたいですね。
――ありがとうございました。
■ URL
ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ
http://www.sonyericsson.co.jp/
「PlayNow」コンテンツ案内
http://m.sonyericsson.co.jp/
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