|
SH906iTV/SH706i/SH706ie開発者に聞く
|
|
テーマは基本性能とユーザビリティの向上
|
|
|
この夏、ドコモ向けに5モデルを投入するシャープ。今回は「SH906iTV」「SH706i」「SH706ie」の3モデルについて、シャープ パーソナル通信第一事業部 商品企画部 副参事の伊藤謙一郎氏に聞いた。
■ HIに重点を置き、ケータイを使いやすく
|
伊藤謙一郎氏
|
――今回はSH906iTV、SH706i、SH706ieの3モデルについてご紹介いただけるとのことですが、これらの機種に共通する考え方というのはあるのでしょうか?
伊藤氏
SH705iIIやSH906iの時にも同じような説明をしたと思いますが、弊社としては「HI」(ヒューマンインターフェイス)という観点で、商品を進化させて行こうと考えています。HIの大きなポイントですが、1つ目が基本性能の向上、2つ目がインターフェイスなどユーザビリティの向上となっています。
基本性能の向上に関しては、SH705iIIに引き続き、今日ご紹介するSH906iTVとSH706ieという2つの製品で通話音質の革新に取り組みました。もう一方のユーザビリティ向上ですが、こちらはSH906iTVやSH706iが該当します。この2つに積極的に取り組むことで、ハード面でもソフト面でユーザーの意識により近いところで革新して行ける、と我々は考えています。
そうは言っても、ユーザーさんが求めるベストなHIとは人それぞれであり、全てをオールインワンで備えることは大変難しいです。現在弊社の製品ラインナップにはクラムシェル、スイベル、スライダー、……と豊富なバリエーションを揃えていますが、これは一人でも多くのユーザーさんの要望に応えるためには、やはりスタイルの違う製品展開が必要という結論ゆえであり、バリエーションを増やすことそれ自体が目的ではありません。
弊社の既存製品に比べて、操作性よりの視点を戦略として重視した結果、ドコモさん向けで初めてスライダータイプを開発した、というわけです。
――そのHIという観点が明確に現れている製品が、今回お持ちいただいた3モデルなんですね?
伊藤氏
各機種の紹介する前に全体像で言いますと、SH906iTVは3.3インチの大画面とサイクロイドスタイルによる横画面での操作性。そして、文字の見やすさやトリプルくっきりトークを搭載したことで、基本性能の向上を図っています。
SH706iはスライダーならではのコンパクトさでありながら、早く情報にたどり着きたいというニーズに応えられるUI周りへの配慮が特徴です。
3つ目のSH706ieはご覧の通り、ベースはSH705iIIとほぼ同じです。目玉となる機能も従来機から継承したトリプルくっきりトークです。では、HIとしての進化はどこに現れているのか? と言いますと、サブディスプレイの時計表示にあります。従来は2行表示だったものを、3行分全て時刻にすることで、より見やすくなりました。
■ SH906iTV
――では順番に、まずはSH906iTVの特徴からお願いいたします。
伊藤氏
前モデルのSH905iTVでも似たようなお話をしていますが、横ワイド画面に光TOUCH CRUISERという組み合わせで、AV機能もPC的な機能も使いやすい端末、というのが基本思想にあります。SH906iTVは光TOUCH CRUISERの使い勝手に磨きをかけ、さらにPC的な用途に最適化しています。横画面で使えるアプリケーションも広がり、グラフィカルなUIを備えることで、SH906iTVはインターネット利用としてのAQUOSケータイとして、ほぼ完成形である考えています。
――横画面でグラフィカルなUIという組み合わせは、SH906iでも見られます。SH906iは光TOUCH CRUISERというより、タッチパネルで訴求されていましたが、ベースとなっている発想は同じところにあるんでしょうか?
伊藤氏
はい、発想はほぼ同じです。強いて違いを言うならば、AQUOSケータイはアクティブに情報にアクセスする使い方で、SH906iはより簡単に手軽にインターネットを使っていく、という考え方になります。結果的にユーザーがやりたい行為は全く同じですが、アプローチが異なると思ってください。横画面でPC的な使い方に積極的にトライしたい、というユーザーにはAQUOSケータイがオススメですね。
――たしかに横画面のままテンキーがそのまま打てるというのは、大きなポイントですね。SH906iとの違いで目立つ点は、SH906iTVにはGPS機能が無いぐらいでしょうか?
伊藤氏
一番大きい差はGPS機能の有無ですね。今回はGSMにも対応してますし。
――AQUOSケータイにGPS機能を搭載するのは、やはり難しいのでしょうか?
伊藤氏
技術的に入れられないことはないんですが、今回はサイズ感を重視しました。GPSのアンテナは、意外なほど面積を取ります。これ以上、本体を大きくするわけにはいきません。前モデルと並べると分かりやすいのですが、実はフットプリントはほとんど同サイズなのに、3.3インチの液晶を搭載しているわけです。これを3.2インチのままにすれば、GPS機能も搭載できたかもしれませんが、今回は液晶のサイズを優先しました。
――TOUCH CRUISERから光TOUCH CRUISERになって、見た目にもスッキリしました。TOUCH CRUISERは上部にスペースを設けていたので、テンキーがわりと詰まった感じでしたが、SH906iTVを見ると通常の端末と同じようにスペースが取れて、キーもずっと押しやすそうです。
伊藤氏
そこも実はHI取り組みの一つでして、独立キーの重要性に最近とくに注目しています。
弊社では定期的に一般のユーザーさんによるユーザビリティテストを実施しています。その際、タイルキーよりも独立キーの方が押し間違いがない、あるいはタイルキーは見た目の評価として押しにくそう、間違えそうという印象を与えていることが分かりました。
端末によってはスペース上の問題で、キー同士がくっついたタイルキーを搭載することもありますが、ユーザーからも独立キーの方が押しやすいという評価をもらっていますので、できる限り独立キーを搭載していきたいと思っています。
――独立キーでさらにキートップの面積を大きく取ろうとすると、なかなかスペースの確保が難しいのかなと思いますが。
伊藤氏
そうですね、キーの押しやすさに関する配慮としては、その他にも決定キーから0キーまでの距離、つまり親指の稼動範囲も重要です。一定の寸法内で収まるのであれば、なるべく大きな独立キーを配置していきます。
光TOUCH CRUISERという進歩的な機能を搭載したとは言え、実際にはテンキーで操作する率のほうが高いでしょう。ですからキーの操作性は犠牲にできませんね。
――その他にSH906iTVのこだわりポイントがあったら教えてください。
伊藤氏
Virtual 5.1ch対応のDOLBY MOBILEは、ぜひ実際に聴いていただきたいですね。今回は普通のサラウンドではなく、5.1chのソースをそのままの臨場感で再現できる、というのが最大のポイントになります。この夏はぜひ、映画やスポーツを3.3インチの大画面+5.1chのAQUOSケータイで楽しんでいただきたいです。
あとは機能と関係ありませんが、本体カラーに大人の女性にも使ってもらえそうな綺麗なピンクを用意しました。
■ SH706i
――それでは次に、SH706iについて教えてください。
伊藤氏
SH706iはドコモ向けとしては、弊社初のスライダー携帯ですので、開発にもかなり力を入れた製品になってます。大きな特徴はフルスライダーに光TOUCH CRUISERを搭載したところで、その中でも光TOUCH CRUISER誤動作防止機能を最初にご紹介します。
画面上部に小さく指のアイコンが出てるのが見えると思いますが、これが表示されている時には光TOUCH CRUISERが反応しません。スライドを閉じてポケットに入れた後に、どこかに勝手に電話がかかってしまったり、液晶が付きっぱなしになって充電がすぐ切れるといったことがなくなるわけです。
もう1つの特徴的なのが、キーロックと画面オフ機能の連動です。スライダーは閉じた状態でも、画面上でいろいろ作業できるのが長所ではありますが、場合によっては用事が済んだらすぐにでも画面をオフにしたいこともあるでしょう。たいていは電池が切れそうな時ですけれど(笑)、そんな時のために、キーロックがかかるとそのまま画面オフになる機能を設けました。
その他、細かい機能ですがぜひ紹介しておきたいのは、省電力モードです。スライダー携帯の場合、ワンセグの録画中でも常に画面が点灯してしまい、やはり電池の消耗が激しくなります。ワンセグの音だけ楽しんでいる場合や録画中など、画面を見る必要が無い時に消せる機能ですね。
元々、弊社はスライドタイプのノウハウを持っていますので、基本機能に加えて、SH706iはスライダーならではの配慮が生かされています。
――ところで、この「Simple Lighting」という機能はどんな目的で使うんでしょう?
伊藤氏
4のキーを長押しすると、画面が最大輝度で光って簡易懐中電灯のように使えるんです。夜中に起きた時に手元を照らしたり、夜遅く帰宅したお父さんが、家族を起こさないで部屋を歩くために使うというわけです。
――そういえばサイドキーが一切配置されていませんね。
伊藤氏
気がついていただけましたか(笑)。スライドにはコンパクトさを求めるユーザーさんが多いというのは、最初にお話ししたとおりで、実はSH706iは技術的にはもっと小さくできるんです。ただ、手に持った時のホールド感を重要視した結果、あえてこのサイズにとどめました。真横から見ていただくと、本体のちょうど真ん中がくびれて、かなりへこませているのが分かります。ひょうたん型とでも言いますか。
このくびれに指がピタッとフィットして安定したホールド感が得られるように、デザインを損なわないために、サイドキーは全て排除しました。本音を言えばアンテナもmicroSDカードスロットも無くしたかったくらいです。
■ SH706ie
――続いて3機種目のSH706ieについてお願いします。
伊藤氏
SH706ieについては、弊社のHI取り組みの中でも通話音質にこだわった、トリプルくっきりトークを今一度、ユーザーの方々に思い出していただきたい製品です。
また、SH706ieだけに限ったことではありませんが、キーの押しやすさは、ユーザーさんにも納得していただけるんじゃないかと思います。これも先ほどお話したユーザビリティテストを重ね、凹凸からキーピッチまで平均値を出した結果が反映されています。
――それは、本体サイズの持ち感も含めての平均値という意味ですか?
伊藤氏
液晶サイズとの兼ね合いもあるとは言え、業界的にも本体サイズは幅48mmか50mmの2択になっています。48mmというのは今の携帯電話の仕様を詰め込んでいくと、だいたい48mmに収まるんです。そこで液晶サイズにこだわったりすると50mmになります。それ以上のサイズはちょっと考えられないですね。
――なるほど。その他に追加した機能はありますか?
SH706ieのメインターゲットは複雑な機能よりも文字の見やすさ、使いやすさを求める40代以上のユーザーさんです。だからといって遊び心のある機能を全て削ぎ落としてしまうのではなく、GIFアニメーションが作れる「ショットデコプラス」機能を搭載しています。
通話音質、使い易さなど、SH706ieは、自信を持っておすすめできる端末です。店頭で一度手にとってみてください。
――ありがとうございました。
■ URL
SH906iTVの製品情報(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/products/sh906itv/
SH906iTVの製品情報(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/906i/sh906itv/
SH706iの製品情報(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/products/sh706i/
SH706iの製品情報(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/706i/sh706i/
SH706ieの製品情報(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/706i/sh706ie/
■ 関連記事
・ GSM対応、通話も聞き取りやすいAQUOSケータイ「SH906iTV」
・ ワイドVGA液晶搭載のシャープ製ワンセグケータイ「SH706i」
・ ワイドQVGA液晶で320万画素カメラ搭載の「SH706ie」
(編集部, 麻生 ちはや)
2008/08/12 11:12
|
ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.
|
|
|
|
|
|