|
「W63SA」「W64SA」開発者インタビュー
|
|
SAらしさ健在のGLOBAL PASSPORTモデルと女性向けモデル
|
|
|
auから発売される「W63SA」と「W64SA」は、三洋電機の携帯電話事業が京セラに承継されてから初めて新端末として発表されたSA型番の端末だ。開発は京セラに移籍した元三洋のチームが担当している。はたしてSAシリーズの遺伝子は受け継がれているのか。京セラの通信機器関連事業本部 移動体通信機器第二統括事業部 国内事業部 国内商品部 国内商品1課の横田 希氏に話を聞いた。
――まずはW63SAの方からコンセプトなどをお聞かせください。
横田氏
CDMA 1X WINとしては初めての、CDMA2000による国際ローミングサービス「GLOBAL PASSPORT(グローバルパスポート)」対応機種と言うことになります。GSMによるローミング対応は、W61Sで対応していますが、米国や韓国で使えるCDMA2000のローミングができるWIN端末はこちらだけとなります。
三洋電機時代には、CDMA 1X端末でA5527SAなどGLOBAL PASSPORT対応機種をやってきましたが、2年くらい前から「WINでGLOBAL PASSPORTに対応してほしい」という意見をいただいてきました。そうした声に答える形で、今回はWINの充実したサービスが使えるように、KCP+という最新のプラットフォームの中で作っています。
ワンセグやテレビ電話、デジタルラジオなどにも対応しています。搭載していないのは、FeliCaくらいです。SAらしい機能としては、ステレオAAC対応のICレコーダーも搭載しています。GLOBAL PASSPORT関連としては、A5527SAと同様に、自動でエリアを検出して設定する機能や、為替計算機能などを搭載しています。
――デザインは男性的で、W64SAと比べると対照的ですね。
横田氏
ちょっと変わっているのですが、デザインコンセプトは「私立探偵」となっています。私立探偵が持っていそうなもの、というイメージです。金属の質感など、こだわる大人の男性が持つものをイメージしました。
カラーバリエーションでいうと「グリティーブラック」はマットブラック塗装、「インプレシブレッド」はピアノ塗装です。また、ターゲットとして30代男性ビジネスマンを設定しているので、シルバーも用意しました。
外側だけでなく、開いたときの内側も凝っています。キー回りはヘアラインの入った蒸着塗装になっています。本来、蒸着塗装するとヘアラインは消えてしまうのですが、ここは試行錯誤を繰り返しヘアラインと蒸着塗装の両立を可能にしました。カーソルキー回りはダブルアルマイトです。一度アルマイト処理で色をつけ、その一部を削って素のアルミを出し、さらにアルマイト処理を施してツートンカラーを出しています。
|
ブラックの外装は独特な質感
|
――このブラックの手触りや質感はこれまでにないタイプです。
横田氏
黒は汚れが目立ちにくいので、いろいろな素材や質感を試せます。この寛容な部分を生かすべく、素材を探しました。
――機能は一通りそろっていますが、FeliCaだけありませんね。
横田氏
GLOBAL PASSPORT目当てでの買い換え需要が大きい、と見たのが理由の一つです。従来のGLOBAL PASSPORT機はCDMA 1Xだったので、そのユーザーはFeliCaは使っていないわけですから、そこまで重要視しなくても大丈夫だという判断です。FeliCa以外の機能は一通り搭載していますが、やはりどうやってもGLOBAL PASSPORT対応機として選ばれる方が多いと思います。あとはコストやサイズなどとのバランスですね。
――FeliCa以外には、ワンセグなど、いろいろなものが搭載されています。そういった機能とローミング機能を両立させる上で苦労はありましたか?
横田氏
いろいろ細かい機能などで競合や問題が起きます。海外の事業者で認可を取るのも大変ですが、こうした機能面での競合を解決することも大変です。
たとえばワンセグは海外では受像できないようになっていますが、録画したものを視聴できないと困るので、ワンセグ機能すべてを停止するあけではありません。もちろん、周波数の問題など電波関係もやらなくてはいけないことがかなり多いです。
|
W64SA
|
――では、続いてW64SAについて、まずコンセプトからお聞かせください。
横田氏
こちらは女性向けのモデル、という位置付けです。
一番の特徴は、イルミネーション機能です。背面パネルが2色に光るようになっています。カラーボトルを選んで心理状態を分析する「オーラソーマ」のボトルをイメージしています。
また、ただ光るだけでなく、オーラソーマ同様にカラーセラピーにもなっています。イルミネーションが光っている状態で本体を振ると、色が変わります。色を変えていって、自分の気に入った色になったら、本体を開いてウェブにつなぐと、サイト上でカラーセラピーが行なわれます。
色の組み合わせは5色×5色ですが、同一色が光ることはないので20パターンあります。さらにボディカラー自体も、ユーザーの選択としてセラピーに関わってきます。このカラーセラピーは、auの夏の新サービスである「EZ MYスタイリング」に入っています。
機能面では、KCP+のWIN端末として標準的な機能を一通り搭載しています。テレビ電話とデジタルラジオがありませんが、FeliCaは搭載しています。
|
背面パネルのイルミネーション
|
|
女性向けのカラーバリエーションを用意する
|
――ちょっと不思議な光り方をしていますが、光源はどうなっているのでしょうか。
横田氏
光源は4つ入っています。カラーセラピーのイメージを壊さないよう光源をつぶし、ぼやっと全体的に光らせるために、かなり試行錯誤を繰り返しました。
――カラーセラピーといってもわれわれ男性にはピンとこないところもありますね。
横田氏
しかし女性にはかなり響くポイントで、関係者向けの説明会とかでも、ブースに女性がワーッと集まって、「カワイイ」といって一生懸命に振るんですよ。
――このほか女性向けの機能などはあるのでしょうか。
横田氏
機能というわけではありませんが、閉じたときにディスプレイ側とキー側のあいだにスリットのような谷間ができるようにして、爪が長い人などにも開けやすくデザインしました。
女性は使い方がよくわからないなどの理由でワンセグをあまり使わない傾向があるのですが、今回はテレビキーを設けて使いやすくしました。テレビキーは長押しで画面のコントラストを落とすブラインドスクリーン機能にもなっています。メニューなども全体的にシンプルな構成にしています。
女性には直接関係ないですが、ディスプレイに関しては、2.8インチのVGA解像度で、縦画面でもワンセグが見やすくなっています。ディスプレイは、前面パネルに密着させて乱反射を押さえるファインパネル構造になっていて、屋外でも見やすくしました。
――ちょっと余談になってしまいますが、他社がFMラジオの採用を見送る中、SA端末は搭載し続けています。ここにこだわる理由とは?
横田氏
A5503SA(最初にEZ・FMに対応した機種)の存在ですね。メディアとの連携で言うと、ラジオとの連携はauでしかできないものです。その橋渡しをしたのが、元の三洋電機だったりするので、端末を企画するときにも省略せずに搭載検討を行なっています。
実際にユーザーアンケートを取ると、SA=FMラジオ、という結果も出てきます。こうしたイメージを大切にしたい、という考えもあります。それに、GLOBAL PASSPORT対応機の場合、FMラジオは海外でも使えるというメリットがあります。
――これも余談ですが、三洋電機さんの開発チームが京セラにより買収、吸収されました。今後、SAとKの端末はどう棲み分けしていくのでしょうか。
横田氏
SA端末とK端末には、それぞれハイエンド端末と使いやすい端末というブランドイメージがありました。今後ブランドをどう使うのか、というのは現段階ではまだわかりませんが、当面はSAとKの2本立てで行くと思います。
auにも割賦販売が導入されたことで、「ハイエンド機種を長く使いたい」という人と「とにかく安く使いたい」という人の両方が出てくると思います。ブランドを抜きにしても、2つのニーズに応えるやり方をしていきたいですね。
――本日はお忙しいところ、ありがとうございました。
■ URL
W63SAの製品情報(京セラ)
http://www.sanyo-keitai.com/au/w63sa/
W63SAの製品情報(KDDI)
http://www.au.kddi.com/seihin/ichiran/cdma1x_win/w63sa/
W64SAの製品情報(京セラ)
http://www.sanyo-keitai.com/au/w64sa/index.shtml
W64SAの製品情報(KDDI)
http://www.au.kddi.com/seihin/ichiran/cdma1x_win/w64sa/
■ 関連記事
・ WIN初のグローバルパスポート CDMA対応「W63SA」
・ 振ると変わるイルミネーションでカラー診断「W64SA」
(白根 雅彦)
2008/06/25 11:26
|
ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.
|
|
|
|
|
|