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「W61PT」開発者インタビュー
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“日本らしくない”デザインにこだわるパンテック
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韓国メーカーのパンテックがau向けに今春投入した「W61PT」は、これまでに無いデザインで注目される。同社初のCDMA 1X WIN端末となるW61PTについて、パンテック・ワイヤレス・ジャパンの木村一氏に開発コンセプトを聞いた。
――W61PTで一番目を引くポイントは、やっぱりこの独特なデザインですね。
木村氏
今回の端末を企画する上でまず考えたのは、W61PTはパンテック初のCDMA 1X WIN端末となるという点です。つまりこれまで弊社が参入してきたCDMA 1X市場から、多くの競合他社がひしめく環境へ飛び込まねばならない、という事が大前提にありました。飽和状態に近づいている日本の携帯電話市場で、既に地盤を固めている国内メーカーと正面きって戦うのは大変だということは容易に想像できました。
そこで弊社は一体どこで勝負すべきか、ということになりました。一番良いのはもちろん機能面で他社にない特徴を持たせることなんですが、機能で特化しても実際には一般ユーザーには理解されにくかったり、情報が浸透するまで時間がかかります。結論として、誰が見ても一目で違いがわかるデザインに重点を置き、今までの日本のメーカーにはないテイストを持ち込もうと考えました。それが我々にできる一番素直で、なおかつ他社との差別化を図れる方法だろうと思ったわけです。単純に言えば、とにかくパッと目に付く。これが基本コンセプトですね。
――その結果がこのキー形状と配置なわけですか。
木村氏
まさにその通りです。初めてW61PTを見るとキーがどこにあるかわからないデザインになっています。これは、あえてキーをキーに見せないために、キーをデザインに溶け込ませるように、この形にしているんです。携帯電話というと普通、液晶ディスプレイがあってその下にキーを配置して携帯電話であることをわからせています。しかしW61PTはデザインによる他社との差別化を計ると同時に、もう一つのコンセプトとして、携帯電話をアクセサリーのように持って欲しいというコンセプトがありました。少し極端な言い方ですが、携帯電話に見えては困るんですよ。女性がハンドバッグから、お財布やコスメポーチなどと一緒にW61PTを取り出しても違和感がない。携帯電話に見えない印象を打ち出すための工夫と努力をわざわざしました。
――普通はキー配置やサイズ、素材と打鍵感にこだわると思いますが、あえて携帯電話に見せないためのキーデザインに注力するとは意外です。
木村氏
これまでの製品の顔にあたる液晶ディスプレイやキーの部分は、携帯電話らしさの枠をはみださないようデザインされています。W61PTはその既成概念をあえて外したおかげで、これまでの携帯電話とは“何かちがう”という印象を持たせることができたと思っています。事前に試作機をお見せすると、ほとんどの方からまず「可愛い!」という声をいただきました。それも女性だけでなく、男性からも可愛いというキーワードを得ることができました。おそらく、これまでの携帯と雰囲気が違っていて、可愛いとしか形容の仕方が無かったのではないかと思います。
今回は韓国からデザイナーが複数のデザイン案を持ってきたのですが、W61PTはその中で最も“日本らしくない”ものでした。おそらく日本のメーカーでこのデザインを企画しても、おそらくブレーキがかかって実現までは行かなかったでしょうね(笑)。
――このテイストは日本に限らず、海外でも見ないですよね。W61PTは完全に日本向けオリジナルになるわけですか?
木村氏
海外でも今までにないタイプのデザインですね。日本でヒットすれば、海外で発売される可能性もあります。
――ちなみにスライド式を採用されたのは、やはりこの顔のデザインを活かすためでしょうか?
木村氏
はい、前面のデザインを活かす目的もありますし、同時にスライドタイプはより筐体が小さく見える効果があります。初めて見た人の中にはスライドタイプであることに気づかず、キーがどこにあるのか聞いてくる人もいるんですよね。
――この端末のメインターゲットは女性と考えてよいのでしょうか。
木村氏
想定しているのは女性ユーザーです。ただ、当初こちらが考えていたのは、「これまで携帯電話を買い換えて使ってみたけれど、思ったよりワンセグは見なかった」、とか、「FeliCaも意外に使わなかった」とか、自分に必要な機能はわかっている、20代~30代のOLさんでした。ところが意外に中高生からの注目度が高かったんです。特に、このピンクは想像以上でした。
――デザインが持つインパクトは間違いないところですが、機能面についてはいかがでしょう。
木村氏
WINの基本機能はしっかりサポートしたうえで、コンパクト感を出したかったのです。機能を求めるよりは、アクセサリー感覚で持ってもらい、デザインを楽しんでもらう。そんな使い方を想像しました。また、これまですでについている機能の見直しをしました。
例えば、カメラ機能の中での特殊効果には力を入れました。どこのメーカーも特殊効果というモードを、だいたい8~10種類搭載してますが、W61PTでは24種類用意しました。その中でも特にお勧めの効果としては、色鉛筆という効果があります。風景を絵画として切り取ったような写真が簡単に取れます。これには、ほとんどの人がびっくりされます。また、撮影も簡単でW61PTは撮影しながらエフェクトをその場で次々に切り替えられ、好みの写真を誰でも簡単に取ることができます。
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パンテック・ワイヤレス・ジャパンの木村一氏
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――今回はBREW対応で、GPS機能も使えます。難しくはなかったですか?
木村氏
難しいか否かということであれば、もちろんかなり難しかったですよ(笑)。日本のメーカーですら苦労していますから。
本当にハードルが高くて、完成したときには涙が出そうでした。みんなでバンザイをしたくらいです(笑)。
――メニューのインターフェイスなどは、かなりスタンダードな作りですね。
木村氏
メニューやインターフェイスは、多くの日本の他社機を参考にし、弊社なりにアレンジし作りこみました。また、デザインやカラーに合うようにケータイアレンジも3種類用意させていただきました。
――では最後に、コメントを一言。
木村氏
W61PTは、これまでさまざまな携帯電話を使ってきて、デザインを気に入ってもらって、自分に合った携帯が欲しいなと思う方に、ぜひ使っていただければと思います。
――本日はありがとうございました。
■ URL
製品情報(パンテック・ワイヤレス・ジャパン)
http://jp.pantech.com/products/w61pt.html
製品情報(KDDI)
http://www.au.kddi.com/seihin/kinobetsu/seihin/w61pt/
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(麻生 ちはや)
2008/03/18 17:31
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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