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「W61H」開発者インタビュー
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国内初の電子ペーパー採用でデザイン性を徹底追求
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2008年春の新モデル「W61H」は、2.8インチのワイドQVGA IPS液晶を搭載した回転2軸ヒンジ方式のワンセグ端末だ。背面には、国内初となる電子ペーパーディスプレイによる「シルエットスクリーン」が搭載され、デザインパターンを変えることができる。さらには、「シルエットスクリーン」を2色成形ケースで包み込み、透明感ある仕上がりとするなど、デザインにこだわったつくりになっている。
今回は、カシオ日立モバイルコミュニケーションズ 事業統括グループ 企画チームの白澤聡氏、同社 日立営業グループ マーケティングチームの吉田征義氏、上枝恵子氏、日立製作所 デザイン本部の高田裕一郎氏に、W61Hの開発コンセプトやこだわりについてお話を伺った。
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カシオ日立モバイルコミュニケーションズの吉田征義氏(左)と上枝恵子氏
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――電子ペーパーディスプレイによる「シルエットスクリーン」について教えてください。
吉田氏
今回のW61Hでは“アメイジング”をテーマに、今まで見たことのないような驚きや新しさを提供したいと考えました。その最大の特長が電子ペーパーディスプレイによる「シルエットスクリーン」です。クリスタルホワイトとグラファイトブラックの端末では、「シルエットスクリーン」のデザインをグラフィックデザイナーのセキユリヲさん(生活用品を扱うブランド「サルビア」を立ち上げ、洋服、雑貨、本作りなどを手掛ける。ユニクロやSAZABYなどとのコラボレートでも知られる)にお願いしています。今回採用の電子ペーパーディスプレイは、セグメントタイプというもので、繊細な曲線まで表現できることが特長になります。手描きで温かみのあるデザイン表現との相性が良いので、今回セキさんにデザインコラボレーションをお願いしました。
白澤氏
シルエットスクリーンは、パーツを取り替えることなくデザインパターンを変えることができる、着せ替えケータイの進化形のデザインを目指してつくりあげました。電子ペーパーディスプレイの、一度表示した画面は電力を消費することなく表示できる特性を生かし、好みのデザインパターンを外装デザインの一部として楽しんでいただけるようになっています。
電子ペーパーディスプレイの特長として、グラフィックが表示される時にフッと浮かび上がってくるんですね。今までの電子デバイス的なチカチカした表示とは違う、やわらかいアナログ感のある影絵のような雰囲気を、ぜひ手にとって確かめてもらいたいですね。
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日立製作所の高田裕一郎氏(左)とカシオ日立モバイルコミュニケーションズの白澤聡氏
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もうひとつ、「シルエットスクリーン」の表示パターンというか、表示のバリエーションにはかなりこだわっています。時間の経過によってアニメーションしていくだけでなく、着信や通話中、メール送受信、アラームなどシチュエーションによって、さまざまなパターンの表示を設定することができるようになっているんです。アドレス帳に連動した設定もできるので、たとえば特定の人からのメール着信があった場合にだけ花を表示させたり、自分だけにしかわからない表示パターンでお知らせすることもできます。
また、全白表示や全黒表示も用意してあるので、普段は何も表示しないシンプルな形で使って、何かがあった時だけパターンを表示する、通知用がメインの使い方もできたりします。ユーザーさんのアイデアで様々な使い方をしてもらって、楽しんでもらいたいですね。
――デザインのコンセプトやターゲット層を教えてください。
高田氏
20代後半から30代の働く女性を意識しています。デザインのコンセプトは“Perfume”で、香水のボトルのような透明感のあるイメージを追求しています。W53Hではエッジを効かせたようなフラットなデザインであったのに対して、W61Hでは「シルエットスクリーン」や、その外側にある2色成型ケースの透明層によって、やわらかいあたたかみのあるデザインに仕上げました。
白澤氏
この表面の透明層の調色が大変だったんですよ。電子ペーパーディスプレイのベースのカラーはモノクロになってしまうのですが、2色成形の透明層の色によってカラーの雰囲気を変えているんですね。たとえばクリスタルホワイトは、春をイメージして多層コート蒸着でほんのりと薄い桜色に仕上げているのですが、いままでの塗装の調色とはレベルの違う難しさで、この色を出すまでにはデザイナーと試行錯誤の連続でした。
高田氏
他にもリキッドグリーンは、透明なガラスボトルにグリーンの液体が入っているイメージで、グラファイトブラックは、スモークガラスで包み込んだようなカラーに仕上げています。
こちらの調色でも、電子ペーパーディスプレイの色味との合わせこみや、綺麗に映える色味を出すのに苦労しました。
表面のデザインを際立たせるため、内部のデザインはシンプルな仕上げになっています。フラットなシートキーを採用していますが、大きめのボタンで押しやすく、クリック感にもこだわっています。液晶面の強化ガラスにも注目してください。W53Hでは実現できなかったのですが、W61Hでは継ぎ目のない一枚パネルになっているんですよ。
――W53H有機ELディスプレイだったのに対し、今回はIPS液晶ディスプレイですが何故でしょうか。
白澤氏
今回のW61Hは、「シルエットスクリーン」によるデザイン性の追求がメインでしたので、あえて有機ELを採用はしませんでした。しかし、二軸ヒンジや内部アンテナ、シートキーなどW53Hで実現されたさまざまな技術は、そのままW61Hにも引き継がれています。
上枝氏
W53Hと比較すると、表面の透明層の分だけW61Hの方がやや厚みがあるのですが、それがかえって、「シルエットスクリーン」の温かみのあるデザインと併せて、やわらかいイメージを醸し出しています。彼氏はW53Hで彼女はW61Hで並べてワンセグを観たり、デザインを見比べてみるのもおもしろいかもしれませんね。
――GUIについても教えてください。
高田氏
GUIはキラキラ輝く宝石のようなクリスタル、アンティーク調のかわいい感じのパピエ・コレ、都会的で知的なイメージのブラックマテリアルが用意されています。実は開くたびに表示される壁紙が毎回微妙に違うんですよ。ちなみに、パピエ・コレはコラージュという意味で、アンティーク調の切り絵のグラフィックがアニメーションする、とてもカワイイものになっています。もちろん、セカンドプロフやおサイフケータイ機能など、W53Hと同等の機能はW61Hにも搭載されています。
上枝氏
また、プリセットのケータイアレンジは、同じテーマでシリーズ展開しているのですが、今回のケータイアレンジで用意されているのは、“マイリトル ジェリーフィッシュ”つまりクラゲです。ぽよーんと浮いているように画面の中でゆっくりとアニメーションする様は、見ているだけで癒されます。ぜひ試してみてください。
――本日はお忙しい中、ありがとうございました。
■ URL
製品情報(日立製作所)
http://k-tai.hitachi.jp/w61h/
製品情報(KDDI)
http://www.au.kddi.com/seihin/kinobetsu/seihin/w61h/
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(北原静香)
2008/03/06 17:00
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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