ウィルコムから発売される「WX330K」は、薄型で上質なデザインが施された京セラ製の折りたたみ型PHS端末。一方、「HONEY BEE」(WX331K)は遊び心のあるデザインとカラーバリエーションが特徴のストレート型PHS端末だ。どちらも京セラ製端末として初めての試みを取り入れながら、ターゲットユーザーに向けて意欲的にデザインされたWXシリーズの音声端末となっている。
今回は「WX330K」「HONEY BEE」のデザインの話題を中心に、京セラ 通信機器関連事業本部 マーケティング部 デザイン課 副責任者の漆畑 睦氏と、同社 通信機器関連事業本部 マーケティング部 商品戦略部デザイン課 デザイン係の西本 圭太氏に話を伺った。
■ WX330K――飾りすぎない上質なデザイン
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京セラ 通信機器関連事業本部 マーケティング部 デザイン課 副責任者の漆畑 睦氏
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WX330K
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――まず、「WX330K」の基本的なコンセプトを教えて下さい。
漆畑氏
機種変更などでの代替機種として、スタンダードでシンプル、飾りすぎず上質な佇まいのデザインを目指しました。高級感のあるこだわった塗装で魅力のある端末に仕上がっています。
――アンテナが内蔵式になっていますね。
漆畑氏
薄型を目指した上で、京セラのPHS端末として初めてのアンテナ内蔵型になりました。メッキ処理の部分なども含めて、デザインシートを作成した時の最初のコンセプトから大きく変わらず製品化できました。
――どういった層がターゲットなのでしょうか。
漆畑氏
ターゲットユーザーは、既存のWXユーザーとウィルコムをしっかりと選んでいる人で、中心は30代の男女です。形状は薄いボディが分かる構成で、ユニセックスなイメージですが、カラーバリエーションは男女を明確に意識しています。フレームレスキーはキー自体の大きさに加えて印字も大きくし、使いやすさを演出しました。また、キーに印字したフォントは「トルマリンピンク」のみ女性向けに用意したものを採用しています。
トレンドとして端末の素材で凝っているものもありますが、「WX330K」では塗装の質感をデザインのポイントとしました。ラメ感やツヤを強調した塗装仕上げを施すことで高級感を演出しています。メッキ仕上げの部分も実はカラーにより微妙に色を変えています。大人の方に持ってもらえると嬉しいですね。
――音楽再生機能に対応していませんが、後から追加も無いのでしょうか?
漆畑氏
このモデルでは、そうですね。「WX320K」「WX320KR」からデバイス的に拡充した位置付けで、Operaは「WX320KR」と同じものを搭載します。
――既存モデルからの進化のポイントはどのあたりでしょうか?
漆畑氏
外部メモリはmicroSDカードで、赤外線通信はIrSimpleに対応しました。「デコラティブメール」に対応するのもポイントで、デコレーションの素材は10種類をプリセットしました。京セラのサイトでも素材は配信します。
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薄型に仕上げられたボディ
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ラメ、メッキ処理などは京セラとしても珍しい仕上げとなる
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フレームレスキーを採用、トルマリンピンクのみフォントを変更している
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底面にはマイクロUSB端子を装備する
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■ HONEY BEE――コミュニケーションの楽しさが伝わるデザイン
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左から漆畑 睦氏、西本 圭太氏
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「HONEY BEE」。ミツバチのストラップは数量限定でパッケージに付属する予定。ぬいぐるみは販促用の非売品
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――「HONEY BEE」についても特徴を教えていただけますか。
漆畑氏
「WX330K」と「HONEY BEE」は同時発表という形ですから、「WX330K」の上質感とシンプルなデザインに対し、「HONEY BEE」はさらに若い世代に向け端末をデザインしています。そのユーザーに魅力を感じてもらうために、遊べるだけ遊ぶというか、自由にやってしまおうというコンセプトになっています。
西本氏
当初から意識していたポイントは、既存のPHS端末や携帯電話とは違う佇まいの製品にしようというものです。シンプルだけれど遊び心のある、雑貨にあるような世界観を表現できないかなと考えていました。
主に狙っている層は10代後半~20代前半の、比較的自由な時間があり、仲間でワイワイ楽しんでいる層です。端末も、みんなで話したり、メールをしたりというコミュニケーションの楽しさが伝わるデザインを目指しました。
「HONEY BEE」という名前の由来ですが、社内の女性デザイナーがミツバチが楽しく集まる世界観を、開発当初のコンセプトにしていました。そこから、集団生活をするミツバチが増えていくように、ウィルコムの輪が大きく広がればいいな、という想いを込めてこの名前を付けました。
最初は画面の中に登場するキャラクターとしてミツバチを設定していたのですが、社内でも好評で、最終的にプロモーションでも前面に出てくる格好となりました。
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数字などを凸状にしたユニークなキーが目を引く
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フラットで小型のストレート端末に仕上がっている
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――この5色はどうやって決めたのでしょうか?
西本氏
ターゲットの中心である大学生とディスカッションを行ない意見を集めたり、カラー以外のデザインについても彼らの意見を参考にしました。「HONEY BEE」の開発では従来通りの市場調査に加え、ターゲット層の生の声も重視しています。
2台目としてPHSを選ぶ、という調査結果もあったので、1台目とは違う少し冒険のできる色、今までにない色を意識して選びました。
――機能面では「WX330K」に迫る内容なのでしょうか?
西本氏
WX330Kと比較して、カメラが非搭載で外部メモリに対応していない点については、コンパクトなサイズを優先した結果です。画面は2インチのQVGA(240×320ドット)です。カメラを搭載することは不可能ではありませんでしたが、突起の無いスッキリとしたデザインとこのサイズ感を大切にしたいと考え、通話やメールなど、コミュニケーションのツールとしての機能を重視しました。
漆畑氏
いろいろな部分が京セラとして珍しい取り組みですが、とことん楽しもうということで「HONEY BEE」のロゴひとつとっても遊び心を取り入れたデザインを心がけました。カタログの隅にも一口コラムとしてミツバチに関わる楽しいことが書いてあったりするんですよ(笑)。
西本氏
デザインから設計まで、作り始める段階から楽しいものにしようという想いが皆にあり、最終的に今までとは違う雰囲気の製品になったと思います。
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デザイナーによるコンセプト画
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端末搭載のメニューなどにミツバチが登場する
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――キーのデザインも特徴的ですね。
西本氏
キーは、操作性と雑貨のような遊び心を意識して、操作性を損なわずに何かできないかなと考え、数字が凸状になったデザインを採用しました。ただ、凸状にした数字は、暗い場所での照光時に字として見辛いという問題があり、アルファベットなどの横に数字も小さく印字しています。
――キー自体は小さめですが、思いの外、普通に操作できますね。
漆畑氏
水平の線が多いフォントを使用したので、指にひっかかりやすくなっていると思います。
西本氏
キーは操作性とデザインを両立させる意味で重要な部分だと認識していました。凸状の数字キーだけのモックアップをいくつか作り、凸量や数字のフォントが違うものを比べて最適なものを選んでいます。
また、キーとボディを同色にすることで塊のような一体感をだすことができました。どの色もワントーンできれいにまとめられたと思います。
漆畑氏
社会人のユーザーでも、色を選べば普通に使ってもらえる雰囲気になっているのではないでしょうか。
――本日はどうもありがとうございました。
■ URL
製品情報(WX330K)
http://www.kyocera.co.jp/prdct/telecom/consumer/wx330k/index.html
製品情報(HONEY BEE)
http://www.kyocera.co.jp/prdct/telecom/consumer/wx331k/index.html
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(太田 亮三)
2008/01/22 11:09
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