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気になるケータイ周辺機器
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サードパーティ製充電機器の現状は?
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携帯電話が普及したことで、店頭にはさまざまな関連グッズが並ぶことになった。その1つが補助バッテリーのような役割を果たすサードパーティ製の充電器。自動車のシガーソケット経由で充電するものや、乾電池を使うものなど、さまざまな携帯用充電器が登場しているが、その一方でそれらの製品は非純正品であり、「利用は自己責任」という状況だ。
そんな中、店頭で販売されている携帯電話用充電器には「MEIA」というロゴが付された製品がある。MEIAとは、2005年11月に設立された団体「携帯電話緊急充電器工業会」(Mobile-phone Emergency-charger Industry association)の略称で、その名の通り、携帯用充電器のサードパーティ各社で構成されている。
■ MEIAの活動内容
MEIAとはいったいどのような活動を行なっているのか、Webサイトを見てみると、加盟各社の一覧や「品質表示規定」、「規約」がわかる。特に品質表示規定では、充電器のパッケージに表記する文言や、製品そのものの安全性について一定の水準を掲げている。MEIA加盟各社の商品は、この規定を守ることで、わかりやすく、かつ派手な表記を避けながら安全性などをアピールする狙いのようだ。
設立は2005年11月で、現時点ではアークス、朝日技研工業、アリスティ、FDK、カシムラ、グルマンディーズ、セイワ、センチュリー、多摩電子工業、トップランド、モビ、ラスタバナナ、リックス、リンケージの14社が加盟している。
団体の設立経緯や規約の内容などについて、MEIA会長でラスタバナナ取締役の深瀬知之氏に話を聞いた。
――MEIAが対象とする充電器はどのようなものなのでしょうか?
団体名が示すとおり、携帯電話向けのみです。乾電池式や車載式、使い切り式が主流です。かつて存在した製品の中では、9Vの角形乾電池を用いるタイプは容量などの面で少なくなってきていますね。主な販路はコンビニエンスストアですね。基本的に都市部での販売が多く、ビジネス層に利用されていると考えています。ただ、お盆など休暇シーズンは旅行先で買う人が多いためか、地方での売上が伸びます。
とはいえ、MEIA自体は携帯向け充電器の品質に関わる団体ですので、市場規模などは把握していませんが、コンビニなどで販売されている携帯用充電器の7~8割のシェアはMEIA会員企業によるものと見ています。
――設立の経緯を教えてください。
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深瀬氏
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2005年9月、公正取引委員会(公取委)から当社を含め、13社に対して「充電器側に過充電防止機能はないにもかかわらず、搭載しているような表記をしている」と警告が行なわれました。この警告を受け、ユーザーが充電器を購入する際に、判断しやすい形にすること、業界発展といった考えに基づき、MEIAは設立されたのです。
店頭で充電器を購入する場合、どこで評価されるのか。それは「充電したら何分通話できるのか」といった点でしょう。そこで、MEIAでは測定方法を定めて各社が試験を行ない、JET(電気安全環境研究所)やJQA(日本品質保証機構)などによる第三者機関で測定します。規約の内容は公取委に提出したもので、改訂する場合も公取委のチェックを受けます。こうした活動を行なうことで、安全性を高め、正しく性能を判断してもらえることを目指しているのです。
――具体的にはどのような技術要件を定めているのでしょう?
乾電池式と車載タイプそれぞれに対し、電力量の算出式などを定めています。MEIAは任意団体ですので、規約そのものは各社の活動を縛る効力はありません。ただ、重要な点は、短絡(ショート)と過電流を防ぐ仕組みを入れるよう求めていることです。もし非対応であれば、実際に対応するのはコストがかさみ、なかなか難しいでしょう。この点をクリアしていなければ、MEIAには加盟できませんし、逆にMEIA加盟各社の製品はそういった基準をクリアしていることになります。
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5月からドコモが発売しているFOMA用補助バッテリー。このような製品がサードパーティから登場すると見られている
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こういった安全性の追求は、きわめて当たり前のことです。たとえば単3電池4本を使う充電器の場合、携帯電話に適した出力にするには、安全回路ではなく、抵抗器を入れれば良い。ですが、それでは規約をクリアできません。また、USB経由で充電するケーブルも規約を守っています。USBは国際的な標準規格ですから、過電流になることは非常に考えにくく、加盟を求める企業の中には「USBケーブルには安全回路は必要ないのではないか」と指摘するところもあります。ですが、それではいけない。安全性を高めるために、USBケーブルでも安全回路をサポートしなければいけないという考えなのです。
――現在の規約は、安全性や正確性などの面で十分なレベルにあるということでしょうか?
いえ、決してそうは言えません。パッケージには「最長通話○時間」といった表記が為されていますが、これは通話時の電流値を仮定した上で算出しています。最近の携帯電話は多機能化が進み、通話時の電流値がばらけてきています。また、携帯電話での通信が多くなっている中、通話時間の表記で良いのか、とも考えています。
現在は乾電池型などが主流ですが、今後はリチウム電池など二次電池型が増えると見ています。しかし現在の規約では、二次電池型製品にはまだ対応できていませんので、8月中にも改訂する予定です。
――試行錯誤が続いている状況という印象です。
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MEIAの規定により、容量や通話時間の目安などがパッケージに表記されている
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MEIAのロゴマークも付されている
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携帯電話や携帯ゲーム機を充電できるタイプの製品。パッケージ上で性能をアピールする過度な表現も避けている
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その通りです。まだまだこれからです。ただ、日本の携帯電話市場というのは、世界的に見て非常に大規模ですよね。充電器という分野でも、海外企業は日本市場への進出を狙っています。市場のパイが大きいので、国内のどこかの企業が海外から輸入して販売することは容易な状況です。
しかし、海外では携帯電話用リチウム電池の爆発事故が報告されています。たしかに充電池というものは、皆さんが思っているほど安全なものではありませんが、たとえば純正品は膨張することはあっても破裂して怪我を招くような製品はありません。これから増えるであろう二次電池型のサードパーティ製品についてもMEIAとして規約を整え、安心して購入できる環境作りに取り組まなければならないと考えています。
――本誌でも携帯ゲーム機向けなどのサードパーティ製充電器を紹介することがあります。その際は「利用は自己責任で」という注意書きを添えています。この現状はどう捉えていますか?
確かにサードパーティ製充電器を使って故障したら補償が効かないなど、キャリアさんやメーカーさんからは認められていません。MEIAの目的としては、そのあたりをクリアにしたいと考えています。
ソフトバンクモバイルさんの場合、ACアダプタが共通化されていないため、「ソフトバンクのケータイでサードパーティ製品はダメ」と言われても仕方ないと思います。しかしNTTドコモさんやauさんはACアダプタを共通化していますので、その仕様がオープンになれば、我々もそれに則った製品開発ができます。ユーザーにとって、より快適に、より便利になるようにしたい。現状は、何も理由がないまま「ダメ」と言われています。
もっとも、CIAJ(情報通信ネットワーク産業協会)や電池工業会とも話をしていますが、充電池、バッテリーというものは単体ではなく、充電方法を含めた1つのシステムとして考えるべき物です。我々の製品は、そのシステムから外れており、現状では「携帯の電池に影響は与えません」とは言えません。しかし、できるだけ安全を守るために規約を設けているということです。
――今後、キャリア、メーカーが認める製品になる、というのは難しいのでしょうか?
難しいでしょうね。そもそも出発地点が誰から依頼されたわけでもなくやってきたことです。団体を設立し、規約を設けることで「超高速充電!」といったあり得ない表記を行なわないようにしようと取り組んでいます。
――今後については?
時間はかかると思いますが、キャリアさんにも認められる製品を作っていきたいですね。
――ありがとうございました。
■ URL
MEIA
http://www.meia.jp/
■ 関連記事
・ 「充電器側に過充電防止機能はない」、公取委が13社に警告
(関口 聖)
2007/08/07 11:14
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