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「N704iμ」開発者インタビュー
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先代モデルから進化したポイントとは
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N704iμ
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2月に発売された「N703iμ」の後継モデルとなる「N704iμ」は、薄型デザインに加えて3G国際ローミング対応となったことが新たな点として発表された。だが、商品企画を担当したNECモバイルターミナル事業本部の井上達哉氏は、「違いはそれだけではない」と説明する。N704iμは何が変わったのだろうか。
■ 開発の経緯
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N703iμ(左)とN704iμ(右)
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NEC井上氏
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――N704iμは、先代モデルのN703iμの反響を受けて開発されたのでしょうか?
「N703iμ」は、どちらかと言えば先端的なユーザー層を想定した機種でしたが、結果的には想定外のユーザー層にも受け入れられました。メニューなどの文字サイズの小ささ、あるいはボディカラーのバリエーションといった点など、多くの反響をいただきましたが、N703iμで好評だったポイントは踏襲しつつ、デザインを変化させた機種が「N704iμ」になります。
――N703iμが発売された後に開発がスタートしたと?
N704iμの企画自体は、「N703iμをベースにした機種を開発する」という基本的な考えの元で、N703iμの発売よりも前にスタートしていました。ただ、発売後の反響は「N704iμ」の開発に影響しましたね。
――LEDがさまざまなパターンで光るMY SIGNALが特徴の1つとなっています。
LEDの数自体は7×7で、N703iμと同じです。しかし、今回はダウンロードした発光パターンが最大50件まで保存できるようになったこと、そして当社サイト上でオリジナルのシグナルパターンを作成できるようになったことが大きな違いです。
また、N703iμでは「端末を閉じている間はONに、通話中はOFFに」という個別設定ができませんでしたが、N704iμではサポートしています。メールや通話の発着信時など、個別のシーンによってLEDの光り方が変わる、という考え方はこれまでも対応してきましたが、MY SIGNALも同じ考え方を取り入れたことになります。
――そもそもLEDを搭載しないという選択肢はなかったのでしょうか?
もし薄型でLEDなし、ということであれば新たに基板を設計する必要があります。端末コンセプトの策定にあたっては、開発期間も考慮する必要がありますから、今回はN703iμをベースにした機種として開発したことになります。ただし、7×7のLEDを搭載する代わりにサブディスプレイの搭載を検討したこともあります。N703iμとの違いをいかに出していくか、という点で考えてきましたね。
――背面一面は、窪みがあるように見えます。これは筐体に穴が開いているのでしょうか?
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プレミアブルーとプレミアブラックは特殊な塗装技術で仕上げられている
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いえ、ボディそのものはLED搭載のフラットな形状です。N704iμでは「立体感のあるペイント」として、ミラージュフェイスと名付けたのですが、特殊な塗料を使って凹凸を感じられる塗り方に仕上げています。それでいて、LEDの光を通すようにしなければなりませんでした。深さをより感じさせるよう塗ると透けなかったりするなど、ここは最も苦労したポイントです。
この塗料技術自体はもともと存在していたものですが、国内の携帯電話で用いられるのは初めてです。携帯電話は出荷数が多い製品ですので、量産時の品質維持が大きな課題でした。
ただ、3色のカラーバリエーションのうち、この塗装を行なっているのはプレミアブルーとプレミアブラックで、プレミアホワイトだけはフラットな塗装にしています。これは白いボディに魅力を感じるユーザー層が、本当に真っ白なものを求めるためですね。
N703iμをベースにしながら、ただのカラーバリエーション、あるいは外観を少し変えただけでは芸がありません。どこまで変化が出せるか、という進化を感じさせる部分は高いハードルでしたがクリアできたと思います。
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キー周辺部は指紋が目立たない形になった
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左からN904i、N704iμ、N703iμ。N704iμのキーアサインはN904i相当に変更された
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■ ソフト面での変化
――704iシリーズの発表会では、3G網の国際ローミングに対応したとアナウンスされました。
これはハードウェアでのサポートに加え、ソフトウェアの作り込みでサポートしたことになります。またユーザーの使い勝手を考えて、国際電話のダイヤルアシスト機能や世界時計なども搭載しました。開発時には女性を強く意識したところがありますが、待受時間の長さは旅行期間中でも安心して使ってもらえると思います。
――N703iμの反響で、文字サイズが小さいという指摘があったそうですが。
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N704iμのシンプルメニュー
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その部分への改善点として、最大30ドットの文字(拡大もじ)の適用範囲を増やしました。またメニュー画面で左のソフトキーを選ぶと「シンプルメニュー」に切り替えられるのですが、このとき「文字サイズを大きくするか?」と尋ねるようにしています。さらにシンプルメニューは第3階層まで作り込んでいますが、これはSIMPURE N1で搭載された機能を受け継いだことになります。
――ほかの改善点、進化したポイントは?
1つは直デンです。たとえば直デンに誰も登録されていなければ、ただ「未登録」というリストが並んでいただけでしたが、N704iμでは「写真」「電話」「メールアドレス」「テレビ電話」といった項目を表示し、未登録でもどんな機能かわかるようにしました。また、タブ型表示にすることで5件まで登録することがわかり、メールアドレスなどの表示もわかりやすくしています。
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シンプルメニューへの変更時や通常メニューに戻すときは。文字サイズの設定も尋ねられる
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シンプルメニューは第3階層まで
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インタビュアーを驚かせた「Diary」
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――N703iμでは、プリセットの待受画像などにもこだわったと聞いていますが、N704iμではいかがでしょう?
今回もいくつかプリセットコンテンツを内蔵しています。そのうちの1つ、「Diary」と名付けたコンテンツは、空を背景にしたもので、待受画像やメニュー画面、発着信時のアニメーションなどで利用できます。「Diary」の特徴は、あらかじめ用意した語彙をランダムで選び出し、詩のような文章を自動生成するというところです。たとえば待受画面では、画面左に「街角の時計は16時23分を指している」という文章が表示され、右には「あの人は ふと立ち止まり 大切な思い出を ポケットにしまう」と表示されます。この右側の文章がランダムに生成されるのです。あまりに日本語としておかしな組み合わせにならないようにしていますが、「猫が電車に乗る」といったレベルの文章が表示されることはあります。
日時にあわせた変化をするようになっていて、たとえばクリスマスの夜だけ表示されるものも存在します。また昼間でも夕刻になると赤みがかった雲が見える、といった変化もします。ちなみに時間表示については、これまでの仕様ではクリアキーを押した場合などで時計表示がストップしてしまいますので、少し手を加えて、端末本体の時間が進むとFlashを描画しなおして、リアルタイムに時刻が表示するという工夫をしています。
――これはおもしろいですね。
「Diary」のシナリオは、グループ会社のNECデザインに所属するシナリオライターが考えたコンテンツで、N704iμならではのもので、最初から社内では高評価されたコンテンツです。携帯電話の待受画像や時計の表現方法はある程度パターン化されてきましたが、「違ったものができないか」と検討してきました。最近ではFlash Liteがサポートされたことで表現方法に幅が出ましたので、議論を重ねた上で、内蔵することになりました。
――さきほどのMY SIGNALのカスタマイズについては、自分が作ったデータを他のユーザーに渡したりできるのでしょうか?
この機能は専用サイトを構築したことで実現したもので、N703iμでも利用できるのですが、ダウンロードした独自ファイルは外部出力できません。ただ、サーバー上には一定時間保存されますので、作った直後に友人に伝えてダウンロードしてもらう、といったことは可能です。
――ありがとうございました。
■ URL
N704iμ製品情報(NEC)
http://www.n-keitai.com/n704imyu/
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(関口 聖)
2007/07/25 12:33
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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