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W44K II
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昨年のau冬モデルであるW44Kは、そのスリムデザインが好評を博し、ベストセラーモデルとなっている。そのリファインモデルとなるW44K IIは、スリムな基本設計をそのままに、ワンタッチダイヤルなどの機能追加で使い勝手を向上させている。W44K IIと同じく今夏モデルであるA5526Kも、同じ流れをくむスリムモデルだ。
京セラがどうやってスリムなデザインを実現しているのか、そしてスリムケータイにこだわる意図とは。今回は京セラのW44K IIプロジェクトリーダーの大和田 靖彦氏、ハードウェアリーダーの伊藤 高史氏、商品企画担当の横山 早苗氏に聞いた。
■ W44Kから基本設計を受け継いだW44K IIとA5526K
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左から京セラの伊藤氏、大和田氏、横山氏
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――まずはW44K IIについてお聞かせください。セカンドモデルという位置づけですが、ベースモデルのW44Kとは同じコンセプトなのでしょうか。
横山氏
W44Kはおかげさまでご好評をいただいておりまして、その流れを引き継いでW44K IIを開発しました。W44Kはターゲットを「ビジネスマン」として想定して開発しており、実際にご購入されたユーザーさまを見ても、さまざまな層で好評でしたが、やはり30代が中心でした。今回のIIとしては、さらに幅広いみなさまに使っていただけるように、ターゲット層を広げています。たとえばケータイに不慣れな人にもお使いいただけるようなワンタッチダイヤルなどの機能を追加しています。
――テンキーやカーソルキー回りのキーのデザインがW44Kとは異なっているようですね。
横山氏
形状が変わっていますね。W44Kのターゲットは30代のビジネスマンだったので、キーの形状も印刷されている文字も、どちらかというと「かっこよさ」を重視していました。W44K IIではターゲットを広げるに当たって、文字を大きくしたり、ボタンの段差をつけて1個1個のボタンがわかりやすくなるようにしています。
――そのほかにW44Kから変わった点というのはあるのでしょうか?
横山氏
ワンタッチダイヤルなどのほかには、細かい点ですが、アドレス帳が最大1,000件になりました。他キャリアでは1,000件の機種があるので、MNPによる機種変更を意識しています。
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W44K II。外面デザインはW44Kをほぼ踏襲する
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ーソルキー回りのキー形状は大きく、押しやすさを重視したものになった
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――キーの形状が変わっていますが、ハードウェア部分での変更はあるのでしょうか。
伊藤氏
外見は変わっていますが、中の部品は一緒です。
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A5526K
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――A5526Kも1Xで薄型デザインですね。基本的な設計は同じなのでしょうか?
伊藤氏
だいたい同じですが、仕様が異なるところで、デバイスも違ってきています。しかし、通信チップなどは実はあまり変わっていません。また、1X端末なのでau ICカードがありません。
大和田氏
au ICカードがないのは、小型という観点では大きいですね。
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A5526Kの外面デザインはW44K IIとはだいぶ異なる
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かんたんモードを搭載している
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■ 強度を最大限に保ったままの薄型化
――auのラインナップを見ると、薄型を打ち出した端末は京セラしか出していませんね。ほかのメーカーが出せないということは、技術的に難しいところなのでしょうか。
伊藤氏
そうですね。最初に基板サイズの数字をもらったときには、本当にこの筐体に入るのか、と思いました。
――いろいろなメーカーさんにお聞きすると、auは薄型化が難しい、という話も耳にします。どのあたりが難しいのでしょうか。
大和田氏
信頼性、耐久性、強度といったところですかね。そのあたりの基準の厳しさが、顧客満足度ナンバーワンにつながっている、というところでしょうか。
本体が薄くなると、ズボンのポケットにも入ります。ピチピチのジーパンのお尻ポケットに入れて椅子に座ったりすると、お尻の丸みで応力がかかって強度的につらくなります。強度的な信頼性を満足させるのが大変ですね。
たとえば下筐体の中身、キー面と基板のあいだに入れている電磁波シールドは、アルミのダイキャスト(鋳造)です。ダイキャストなので、あまり薄くできません。プラスチックだともっと薄くできますが、強度が落ちてしまいます。
――この構造だと、電池側のシールドがないように見えますが。
大和田氏
そちら側は、アルミダイキャストの裏にラベルを貼り付けた状態になっております。
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下筐体を裏側から分解したもの。上がアルミダイキャスト製の内部フレームで、その下に電池と基板が入る。内部フレームは立体的なダイキャストなので、簡単にしならないくらい頑丈。キーは写真でいうとフレームの裏側にある
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メイン基板。薄型化のために、電池に重ならない短縮デザインとなっている。こちらがキー面側で、左側がヒンジ部にあたる。左上にあるのがアンテナで、各種CDMA2000の電波に加えGPSの受信も行なうという
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――なるほど、電磁波を出したり影響を受けそうなデバイスは表面に集中しているのですね。そのほかでスペースを取るのはカメラでしょうか。
伊藤氏
そうですね。しかもオートフォーカスなので、かなり大きなデバイスです。
大和田氏
QRコードへの対応を考えるとスイッチでのマクロ切替かオートフォーカス機能は必須ですね。
横山氏
あとはキーですね。京セラは使いやすさを重視し、シートキーではなくフレームレスキーを採用していますが、これは厚みに影響しています。シートーキーというのは、カード電卓によく使われているキーです。薄型化の上では、有利になります。
しかし我々の独自調査でユーザーに評価を求めると、やはりシートキーでは評価に差が出てしまいます。
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カメラモジュールは基板などに比べると厚みがある。そのため、厚みが稼げるヒンジ部の空間に収まるようになっている。レンズとオートフォーカスのアクチュエーターは、小型化が困難な部品だ
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左側がキーのスイッチ部。このスイッチ部にキー部品を重ねることで、キー面が完成する。中央がW44K IIのキーで、右がW44Kのキー。デザインは異なるが、スイッチ部以下の部品は共通
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――液晶側、上筐体にも工夫はあるのでしょうか。
大和田氏
上筐体も強度的には重要なので、薄くて強度が保たれるように工夫をしています。まず強化ガラスを裏表のディスプレイ面に入れています。さらにその間にステンレスの板を入れています。そして周囲は強化プラスチックのフレームを使っています。
伊藤氏
それから、サブディスプレイの有機ELも小型化につながっています。液晶に比べると、バックライトがない分、厚みの面で有利ですね。
――ちょうど2枚の強化ガラスでステンレスを挟み込むようになっていますね。強化ガラスはディスプレイ面の保護という意味合いが強いと思っていたのですが、強度をあげるのにも役立っているのでしょうか。
横山氏
強化ガラスを採用したのは、そもそもは剛性強化のためだったのですが、傷がつくのを防ぐという効果の方がユーザーに評価が高いポイントですね。
――こうやって中身を見ると、端子類やカードスロットが大きいですね。
大和田氏
ボディをよく見ると、端子部分が盛り上がっていたりします。端子については、本当は外したいくらいですけどね。
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上筐体を背面から分解したもの。外側の基板の下に見える銀色のものが、ステンレスの板。ステンレス板の下にメインの液晶がある
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よく見るとカメラ周辺はボディ自体が盛り上がっている。しかし、端子周辺の盛り上がりは、かなり目立たないようデザインされている
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大和田氏
au ICカードが必要ない分、メモリカードスロットを電池側に入れることができました。
横山氏
内蔵させるかどうかは、ターゲットユーザーによるかと思います。頻繁にメモリカードを出し入れしないユーザーにとっては、内蔵させた方がスッキリしてよいでしょう。
■ 「ただ薄く」ではなく「薄くて使いやすい」を目指す
――今後も薄型モデルを追求されるのでしょうか。
横山氏
トレンドを見ながらやっていかなければいけませんが、携帯する機器である以上、薄型化は基本として存在するニーズだと考えています。薄型化の方向性がなくなることはないでしょう。基本的にこのポジションは狙っていきたいと思います。
――さらに薄くなっていくのでしょうか。
横山氏
薄くはできますが、そのためにはシートキーや電池容量の減少などにつながってしまいます。それはユーザーにとって嬉しいことでしょうか。使い勝手を無視してスペックだけを追求するのは、メーカーのエゴになってしまいます。
実は京セラの考える『ベストスリムゾーン』という考え方があります。あまり薄すぎるのも使いにくいのでは、ということです。薄さを2mmずつ変えた8mmから20mmのケータイのモックを作り、被験者の方に触ってもらって評価してもらうという実験をしてみました。
その結果、14mmと16mmが使いやすいと感じる人の割合が多かったのです。それより薄いと逆に使いにくい、と考える人がいたわけです。12mmくらいから、メールなどの日常利用で使いにくいかもしれない、というネガティブな反応が多く見られました。
その結果を踏まえ、京セラでは、ケータイとして現状もっとも良いサイズは14~16mmだと考えています。これがベストスリムゾーンです。
ベストスリムゾーンを下回るのではなく、このゾーンの薄さの中でトレンドを追求し、新機能を追加しつつ進化していきたいと考えています。単に薄さ軽さを追求する数字競争だけの世界になると、操作性などが必ず犠牲になると思いますし、人間の手の大きさは変わりませんからね。
――横幅というのは小さくなるのでしょうか。
大和田氏
今回もカタログスペックでは51mmなのですが、本当は51mmにはしたくありませんでした。しかし、搭載するデバイスによってどうしても決まってしまいます。W44Kの基板は、電池に重ならない半分のサイズになっています。その分、電池の容量の割には薄型化を追求できたのですが、全長が短いので、幅を小さくするのには限界があります。
――使いやすさと強度を犠牲にすることなく、薄さへこだわったことが、W44Kがベストセラーになったポイントなのでしょうか。
横山氏
たくさんの数がマーケットに受け入れられたというのは、薄さへのニーズが強いことの証明ですよね。今回の2機種は、それを踏襲して展開しています。しかしただ薄いだけではなく、ベストスリムゾーンという考え方が根底にあります。今後も、「薄かろう悪かろう」ではなく、薄くても使いやすさを犠牲にせず、それでいてトレンド機能を吸収していきたいと思います。
大和田氏
あとは使っていてお客様に不安感を与えないことですね。使っていてミシミシ言わないとか。
横山氏
買う前の時点では、薄さとデザインで選んでもらえたのだと思います。強度面で不安感がない、キーが押しやすいといった面は、顧客満足度の領域です。購入動機の要素と顧客満足度向上の要素は別だと切り分けています。
――本日はお忙しいところありがとうございました。
■ URL
W44K II製品情報(京セラ)
http://www.kyocera.co.jp/prdct/telecom/consumer/w44k2/
A5526K製品情報(京セラ)
http://www.kyocera.co.jp/prdct/telecom/consumer/a5526k/
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(白根 雅彦)
2007/06/29 12:05
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