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ディズニー・モバイルの鳥海氏
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携帯電話のコンテンツプロバイダーの中でも、とりわけ人気のある強力なキャラクターを持つのがディズニーだろう。そんなディズニーが今年5月、携帯向けのバンキングサービス「ディズニーおさいふプラス」を発表した。今回は、iモードの黎明期よりコンテンツを提供してきたディズニーの携帯ビジネスについて、ウォルト・ディズニー・ジャパンのインターネット部門、ディズニー・モバイル担当のバイス・プレジデント 鳥海清氏に話を聞いた。
■ 「ディズニーおさいふプラス」でオンラインバンキングを身近に
――現在、ディズニーのモバイルサイトはどのように展開されていますか?
我々は、2000年の8月にiモードから携帯サービスを開始しました。現在、3キャリアに展開しており約80サイトを運営しています。基本的には公式コンテンツで配信しており、登録者数は全体で約400万人います。ディズニーという一つのブランドが提供しているモバイルサイトとしては、最大級のユーザー数を誇ると思います。
――5月28日より、携帯向けのバンキングサービス「ディズニーおさいふプラス」を開始されましたが、これはどういった狙いがあるのでしょうか?
三菱東京UFJ銀行は、40年以上のお付き合いがあるライセンシーパートナーです。長い歴史の中で築いてきたライセンシーパートナーの良き関係を踏まえ、今回「ディズニーおさいふプラス」という新しいビジネスを立ち上げ、お客様に満足いただけるより良いサービスを提供していく運びとなりました。
「ディズニーおさいふプラス」は、我々が従来行なってきた、コンテンツを配信して利用料を得るというビジネスとは異なり、コンテンツプロバイダーとしての地位を確立したディズニーが、三菱東京UFJ銀行が提供する銀行サービスにエンターテイメント性を上手く付加することで、今までにない新しい、分かり易いバンキングサービスの提供をサポートしていく試みです。ディズニーのエンターテイメントを付加することで、今までオンラインバンキングに馴染みのなかったお客様にも、オンラインバンキングを身近に感じてもらい、消費者のお役に立てればと思っています。
――携帯電話上のバンキングビジネスを本格展開して、利益を上げたいと?
いいえ、違います。ご存知の通り、ディズニーは金融業は行ないません。簡単に例えると、従来行なっているディズニーのキャラクターライセンスをネットサービス上で展開しているのが今回の試みです。これまで、複雑で難しいと思われがちだったオンラインバンキングを簡単にするため、機能を絞り込んだり、従来の銀行の堅いインターフェイスを廃して、ディズニーらしいデザインを盛り込んだことで、ユーザーは全く新しい、フレンドリーなサービスに感じるのではないでしょうか。これなら使ってみようかな、と思わせるよう、デザインを検討しました。
――ターゲットはどんなユーザーですか? また今回のバンキングサービスを決済プラットフォームとして活用される方針ですか?
将来家庭を持つであろう女性やファミリーをはじめ、幅広いお客様に楽しんでいただけるよう、ターゲット設定をしています。決済については、公式ショッピングサイト「ディズニー・モール」などを軸に展開できればと思っていますが、現在はまだ未定です。
■ コミュニティサイト「ディズニー・ワンダー・デイズ」
――2月にはコミュニティサイト「ディズニー・ワンダー・デイズ」をオープンされましたが。
3年ぐらい前からコミュニティサービスについて企画を進めており、まずスケジュール管理などが行なえる「ディズニータウン」というサイトを展開しました。「ディズニー・ワンダー・デイズ」は、より深く遊べる拡大版という位置づけで、アバターやブログなど最近の要素を取り入れ、メインターゲットを10代のユーザーに絞り込みました。
サイトはFlashベースで開発しました。こうしたコミュニティサービスをつきつめていくと、セカンドライフのような、ユーザーが主体的にコミュニケーションをはかっていくものになるかと思います。「ディズニー・ワンダー・デイズ」では、すべてFlashで構築することで制作のハードルを下げ、コストも下げました。また、我々の公式コンテンツでは久々の月額105円で提供し、多くの人に気軽に遊んでもらいたいと思っています。より豊富なアバターアイテムを入手して、もっと深く遊びたい人たちのニーズも満たす事ができるよう、追加料金を払ってもらうシステムになっています。
――ディズニーのキャラクターの強みは何でしょう?
基本的な部分でほかと違うところは、全てのキャラクターに性格があり、またストーリーも備わっているということです。そこが他社と大きく違うと思います。映画に出てくるキャラクターに人気が出て、映画以外の場でも広く活躍しているという感じでしょうか。
――3キャリアに対応したことで“デコメ”も人気があるようですね。
たしかにデコメは非常に調子がいいですね。最近のディズニー公式サイトの中では、デコメと着せかえが非常に注目され、登録数も伸びています。過去2~3年はゲームコンテンツが強かったのですが、デコメと着せかえが待受画像や着メロのときのような盛り上がるを見せるのではないかと期待しています。
――ディズニーといえば世界的なブランドですが、国内と海外のマーケットの違いはありますか?
日本の携帯マーケットは特殊で、環境が海外と違うために海外の方と話していてもわかりあえない部分があります。海外では、メーカーが強くキャリアの影響力はそうでもありませんが、日本はキャリア主導で展開されています。コンテンツビジネスにとって、統一の課金システムが用意され、著作権も守られた中でコンテンツが展開できたのは大きかったですね。
■ 携帯は大切な窓口
――今後の展開について教えてください。
ディズニグループ全体として、携帯電話を通したサービスは、ダイレクトに消費者との接点を生み出すサービスとして重要だと考えています。携帯電話を使うことで、誰が映画をみたのか、誰が商品を買ったのかなど、これまで知る術がなかったものがわかるわけです。ユーザー側も欲しい情報が簡単にとれるし、我々としてもユーザーと長期に良い関係を作る橋渡し的な役割を担うと思っています。ディズニーブランドにとって非常に大切な窓口だと思います。
現在、いわゆるオープンサイトとしてのサービス展開をも始めたところです。ビジネスにするためには、現時点では広告モデルしかありませんが、今後は広告以外のビジネスも検討していきたいと思っています。ディズニーブランドを活かし、我々にしかできないビジネスモデルを携帯電話の中でも展開していきたいですね。
また今後、実用系サービスとの連携にも可能性があると思います。例えば、GPSを使った位置情報サービスにおいて、インターフェイスがディズニーでもいいわけです。サービス全体を僕らが最初から開発するのはちょっと難しいので、他の会社と組んで展開していきたいですね。そうしたことがやりやすい会社だと思っているので、いろいろ検討していきたいと思います。
――本日はありがとうございました。
■ URL
ディズニー・ワンダー・デイズ
http://disneywd.jp/?mid=cojp_mb2
ディズニー・モバイル
http://www.disney.co.jp/mobile/
ディズニーおさいふプラス
http://disney.bk.mufg.jp/
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2007/06/20 12:53
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