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「W52H」開発者インタビュー
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「美画質×長時間」を実現した日立のワンセグ携帯
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「W52H」担当者の面々
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auの夏モデルより、日立の液晶テレビ「Wooo」の映像技術が採用し、広視野角IPS液晶を搭載したワンセグケータイ「W52H」が発売された。同端末は、7日発売の沖縄エリアを皮切りに、9日までに全国で販売が開始される。
同端末は、「W43H」から正当に進化したワンセグ対応モデルとして、高画質化を実現し、さらに大容量バッテリーによる最長7時間のワンセグ視聴も可能、技術的にも新たなチャレンジを試みている。今回、発売されたばかりの「W52H」について、企画開発担当者に話を聞いた。
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日立の吉田氏(右)と青木氏(左)
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――それではまず、「W52H」の特徴について教えてください。
日立 コンシューマ事業グループ ソリューションビジネス事業部 携帯電話本部 営業部 部長代理 吉田征義氏
「W52H」は、日立のワンセグケータイの3モデル目となります。今回の「W52H」はホップ・ステップ・ジャンプのジャンプという位置付けで、集大成と言える作り込みを行ないました。特に今回は、日立のハイビジョン液晶テレビ「Wooo」の画質技術を投入した高画質化と、長時間使っていただける大容量バッテリーにこだわりました。
日立 コンシューマ事業グループ ソリューションビジネス事業部 携帯電話本部 営業部 技師 青木敏行氏
「W52H」のキーワードは「美画質×長時間」です。携帯電話購入者が重視するポイントを調査した結果、現在の端末の購入時の重視点と、次に購入する際の重視点で大きな差がついたのが、バッテリーの持ち時間や画面の大きさや美しさでした。我々はそこに着目しました。
ワンセグを視聴する際の重視点でも、同じようにバッテリーの持ちと映像の美しさなどが求められており、今回、美画質と長時間をキーワードとしました。
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ボディカラーは、左からフレスコオレンジ、レリーフブラック、グレイズシルバー
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高画質化、長時間化を実現しながら薄くなった「W52H」
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左から、「W41H」「W43H」「W52H」。画質の向上だけでなく、ワンセグの受信感度も向上させた
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――具体的に高画質化でこだわった部分というと?
青木氏
まず、「美画質」では、日立のハイビジョンテレビ「Wooo」で培ったIPS液晶を採用し、高画質エンジンの携帯版となる「Picture Master for Mobile」を搭載しました。メインディスプレイは、2.9インチのワイドQVGAサイズとなり、上下左右から見ても色調の変化が少ないIPS液晶となっています。
カシオ日立モバイルコミュニケーションズ 開発設計本部 ハード設計グループ 矢野英氏
「Picture Master for Mobile」はモバイル用に開発したもので、「Wooo」の高画質技術を活かした「ヒストグラム伸張型γ補正」「彩度補正」「画面輝度対応イコライジング補正」のほか、新開発の「光センサー連動γ補正」を採用しました。これにより、コントラストの最適化、彩度の調整、画面の黒つぶれや白飛びが補正できるほか、屋外など外光による黒つぶれも明るく映されます。
――「Picture Master for Mobile」はどんなシーンで利用できますか?
矢野氏
基本的にはワンセグやデジタルラジオの部分で高画質が得られます。もちろん、端末に録画したワンセグデータなどもきれいに表示されます。
――ワンセグを斜めから見ると、やはり従来のものよりかなり色が出ていることがわかりますね。
カシオ日立モバイルコミュニケーションズ 事業統括グループ 企画チーム リーダー 白澤聡氏
特に肌の色が再現されていると思います。機能的には全部入りの端末となりますが、より映像に注力したモデルとしました。
青木氏
ワンセグの3号機として、日立の技術の集大成とすべく、IPS液晶を搭載し、ハイビジョン液晶テレビ「Wooo」の技術をモバイル向けに提供し、さまざまなシチュエーションでユーザーの方にきれいな映像をご覧いただけるようにこだわりました。
白澤氏
今回、WQVGA液晶としたのは、こうした美画質と長時間を追求する上でも現状ではWQVGAサイズが最適と判断したからです。
VGAサイズでは引き延ばすだけになり、VGAのよさがワンセグでは引き出しにくいですから。それに、消費電力も大きくて視聴時間が短くなってしまいます。
また、サイズを抑えながら機能を搭載するのは本当に苦労しました。やはり、各社さんそこは注力しているポイントなので、我々も手を抜けませんでした。
そのなかで大容量バッテリーを搭載できたことは、大きなポイントになると思ってます。これから夏に向けて外出する機会も増えるでしょうから、バッテリーが大きい方が安心ですし、手間が省けて嬉しいシーンが増えてくるのではないでしょうか。
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画面左から、日立の矢野氏、カシオ日立の白澤氏、日立の高田氏
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――「長時間」へのこだわりについても教えてください。
白澤氏
「W52H」では1100mAhの大容量バッテリーを採用し、ワンセグで約7時間の連続視聴が可能になりました。「W43H」と比較すると約1.5倍長くなり、連続通話時間も330分とauのコンシューマー機では最長となっています。ワンセグだけでなく、さまざまな機能が十分楽しめると思います。
――このほかの特徴は?
白澤氏
新機能としては、ワンセグの録画予約機能やバックグラウンド録画に対応しました。デジタルラジオにも対応しています。音楽機能では、LISMOに対応し、BGMモードで連続28時間の音楽再生が可能です。もちろん、W51Hと同様にUSBクレイドルも採用しています。
また、文字をカメラで撮影すると、わからない文字を「モバイル辞典」で検索できる「テキストリーダー」が搭載されました。名刺を撮影すれば、そのままアドレス帳に登録も可能です。
カメラはW51Hと同様、オートフォーカス付きの2.1メガカメラを装備し、手ぶれ軽減機能も用意されています。フルブラウザ「PCサイトビューアー」や「IrSimple」など、一通りの機能を備えた全部入り端末となります。
――auの新サービスの対応状況はいかがでしょう?
白澤氏
おサイフケータイに対応し、新機能「Touch Message」にも対応しているほか、「ラッピングメール」や「EZニュースフラッシュ」「EZナビウォーク」なども利用可能です。
■ デザイン
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シートキーを採用だがしっかりと押下感があるボタン部
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左から「W41H」「W43H」「W52H」と着実に進化するワンセグ携帯
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――デザイン面はいかがでしょう?
日立製作所 デザイン本部 ホームソリューションデザイン部 デザイナー 高田裕一郎氏
デザイン面のキーワードは「Allure and Freedom」、つまり「憧れ そして 自由さ」です。大容量バッテリーによって時間を気にせずさまざまなコンテンツが楽しめるようになりました。これによって、これまでバッテリーを気にしながら行なっていた機能が、時間を気にせずに利用できることで生まれる余裕、そしてそれを自由に使いこなしている姿が回りから羨望のまなざしに変わっていくのではないか、そういう想いを込めました。
デザイン的には、機能的で美しい高級時計で採用されているような美しさを求めたフォルムをめざし、さらに端末は持ちやすく開けやすいような処理を施しました。背面に搭載されたサブディスプレイには通常表示に加え、グラフィカルな時計表示が3パターン用意されています。また、各ボディカラーに応じて素材感を演出し、質感の高いものにしました。
――今回シートキーを採用されていますね。
高田氏
はい、シートキーを採用している中で、端末のぎりぎりの幅まで大きくボタンをとり、使いやすさを損なわないよう配慮しました。
白澤氏
そこはかなり苦労した部分です。タッチタイピングのように使った場合にキーが識別できるような工夫も施しました。
――シートキーなのにかなり押下感がありますね。
白澤氏
今回、バッテリーが1つのポイントとなるため、バッテリーは大きくなっています。しかし「43H」と比較すると背面ディスプレイを搭載した上で1mm薄くなっています。薄型化を実現する上でシートキーを採用する一方で、しっかりと押せるボタンになるよう、回路構成を見直した結果です。
――長時間ということで法人需要も期待できそうですが、ターゲット層は?
白澤氏
そうですね。法人層でもある、20代後半から30代の社会人、わりと大人な層をターゲットに想定しました。
――本日はありがとうございました。
■ URL
製品情報(KDDI)
http://www.au.kddi.com/seihin/kinobetsu/seihin/w52h/
製品情報(日立)
http://k-tai.hitachi.jp/w52h/
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(編集部)
2007/06/08 13:58
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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