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シャープの山本氏(左)と馬場氏(右)
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5月22日、ソフトバンクから6機種のシャープ製端末が発表された。ソフトバンクの夏モデルの半分がシャープ製ということになる。ワンセグに対応するAQUOSケータイ「912SH」とスライドスタイルの「FULLFACE 913SH」、女性向けと男性向けに分けた「814SH」と「815SH」、使い勝手重視のリファインモデル「GENT 812SH s」、そしてスライドコンパクト機「816SH」。さまざまなユーザー層に向けた個性豊かな端末が、シャープから登場する。
それらの端末について、開発を担当したシャープ 通信システム事業本部 パーソナル通信第二事業部 商品企画部 部長の山本 信介氏と同 商品企画部の馬場 木綿子氏に話を聞いた。
なお、今回は機種数が多いため、まずは「912SH」と「913SH」のワンセグ対応2機種のインタビューをお送りする。
■ ワイドディスプレイをさらに進化させたAQUOSケータイ「912SH」
――今夏のシャープさんは、非常にモデル数が多くて混乱しているので整理させてください。「912SH」、「FULLFACE 913SH」、「814SH」、「815SH」、「GENT 812SH s」、「816SH」の6機種がありますが、登場の順番はどうなっているのでしょうか。
山本氏
決定はしていませんが、だいたい912SH、814SH/815SH、913SH、816SHの順番で、リファインモデルのGENT 812SH sはこの中のどこかに入る、という感じだと思います。
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912SH
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――では、まずは912SHの特徴を教えてください。
山本氏
みなさんご存じのAQUOSケータイ第3弾です。AQUOSケータイでは初めてワイドVGA液晶を搭載しています。ワンセグの使い勝手はこれまでも進化してきましたが、912SHではワイドVGAの高解像度を活かして、ワンセグを見ながらウェブも見られるようになっています。サイクロイドスタイルの進化系、という感じですね。
ワンセグだけでなく、ウェブやメニューも横画面で使えるようになっています。たとえばメールを横画面で表示させると、パソコンのメールソフトのように、フォルダとメールのリスト、メール本文をそれぞれ同時に表示させる、いわゆる3ペイン画面ができます。カレンダーなどほかの機能も、ワイドVGAのディスプレイを最大限に活用しています。ソフト開発チームにはかなり苦労してもらいました。
メニューの着せ替え機能であるカスタムスクリーンも横画面に対応しており、コンテンツプロバイダーさんにも作っていただいています。このようにコンテンツも充実してきているのは、シャープが作ってきたものが認められた形ですし、今後もこの流れを加速させていきたいですね。
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ワンセグ+データ放送と同時にフルブラウザなどほぼすべての機能を利用できる
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横画面ではパソコンライクな3ペインのメール表示が可能
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――ワイド横画面でのマルチ機能など、使い勝手・機能で大きく進化していますね。
山本氏
ワイド横画面の進化としては、当然ここは目指すべきところだったと思っていました。905SHから911SHと進化してきましたが、最初の905SHは、「ワンセグを含めてサイクロイドが受け入れられるか」、という半分はチャレンジングな機種でもありました。しかしどちらも大々的にプロモーションしていただき、ご好評もいただいて良い感触を得ました。それでサイクロイドの進化として、912SHにたどり着きました。
大画面・高解像度化により電池の消費も大きくなります。電池容量も少し大きくなっていますが、設計を改良することで、さらに長時間利用に対応しています。
――マルチ画面以外にワンセグで新機能はあるのでしょうか。
山本氏
他社もやっていますが、タイムシフト再生に対応しています。録画したものは1.33倍の早回し再生もできます。
また、Windows用ソフトの「SD-MobileImpact」も同梱しました。このソフトを利用すると、912SHで録画したワンセグ番組を、パソコンに移動し、パソコン上で再生することができます。取り込みに必要なUSBケーブルも同梱されます。
――メモリカードリーダー経由での取り込みはできますか? 他の機種でも使えるのでしょうか?
山本氏
SDカードのセキュアモードに対応したメモリカードリーダーがあれば利用できます。取り込みの形式は規格に則っているので、905SHなどで録画したものも読み込めるはずです。
――デザイン面ではメタリック調なイメージを受けますが。
山本氏
911SHと差別化しつつも、912SHでは装飾を落とし込んで表面をすっきりさせることにより、金属的な質感をより際立たせるハイテク端末的なイメージを出しました。
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6色のカラーバリエーションで登場する
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数字ボタンはフレームレスデザインになっている
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■ ワンセグにも対応する、シャープ初のスライドスタイル「913SH」
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シャープ初のスライドケータイとなる913SH(写真はモックアップ)
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――続いて913SHの特徴を教えてください。
馬場氏
スライドスタイルの端末ですが、ご覧いただいた通り、閉じたときにボタンが見えないフラットフェイスになります。元々の開発コンセプトとして、「閉じているときは画面だけが見えるスタイルにしよう」ということで始まりました。それを実現させるため、物理的な操作キーは全て下筐体に格納し、上筐体には閉じた状態でもAV関連の操作ができるようセンサーキーを採用しています。
方向ボタンや電源ボタンなど、通常のスライドスタイルに比べると下筐体にあるボタンが増えています。それでもボタンを小さくするのではなく、スライド量を増やすようにしています。通常のスライドスタイルでは35mmくらいのスライドですが、913SHでは57mmくらいスライドします。
このスタイルを実現させたことで、閉じたときに「AVスタイル」、開くと「コールスタイル」となるようにしました。ボタンのサイズも普通と同じですし、薄型化のためのシートキーでもありません。ボタンの手前に向かってわずかに段差をつけて、指の当たりがよくなるようにしています。
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閉じたとき専用のAVメニュー。センサーキーで操作する
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AVメニューで呼び出せる機能は、横画面表示に対応する
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スライドを開いた状態。ボタン類はすべて下筐体に搭載されている
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――スライドと連動した機能というと?
馬場氏
閉じたときは「AVスタイル」としてAVプレーヤーとして使ってもらおう、ということで、専用のAVメニューを作りました。このメニューにある項目は、横画面での操作にも対応します。
また、AV機能以外の画面でのスライド開閉動作は作業保留操作になります。たとえば、駅でメールを作成中に電車に乗る、というときに、クローズすれば作成中のメールは保留され、待受画面に戻るようになっています。この状態から、AVメニューを呼び出してAV機能も起動できますし、、また開けばメール作成も再開できます。
開閉によって「AVスタイル」と「コールスタイル」という別の世界になる、というコンセプトを持っています。
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側面にはワンセグ操作などに使うボタンがある
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――本体を閉じる、という動作が、ボタンロック機能的に使えるわけですね。
馬場氏
側面ボタンを誤操作することもあるので、AVメニューボタンを長押しすることで閉じたまま全体をロックできるようにもなっています。
ディスプレイマナー機能として、就寝時など、設定した時間帯によって電話やメール、キャスト配信などがあってもバックライトが起動しない、といったような機能もあります。変わったところでは、時報機能もあります。
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8色のカラーバリエーション。モックは正しい順番で並べると、画面の波がつながるようになっている
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――913SHはボディカラーも8色と多めで、ビビッドなものが多いですね。
山本氏
実は同じスライダーの816SHとのバランスも考慮に入れて色展開しています。同じ緑でも、816SHでは艶のあるものを使ったり、という風に違いを付けています。
――そもそもなぜ913SHではスライドスタイルになったのでしょうか。
山本氏
ワンセグ機能は、今後カメラなどと同じように、ケータイの普通の機能になると考えられます。ありきたりな機能として埋もれさせてしまいたくないですし、人によってワンセグを楽しむスタイルもいろいろですので、全ての人にとってサイクロイドスタイルが一番良い、というわけでもないと思います。そこで、新しいスタイルのワンセグケータイを追求しました。
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背面にFeliCaアンテナとカメラを搭載している
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可倒・伸縮式のワンセグアンテナを内蔵する
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(後編:「814SH」「815SH」「812SH s」「816SH」開発者インタビューに続く)
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(白根 雅彦)
2007/06/07 15:39
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