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「SIMPURE L」インタビュー
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国内市場にLG参入「我々は1機種で終わるつもりはない」
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SIMPURE L(Cotton Pink)
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4月14日、韓国の総合家電メーカーであるLG電子製FOMA端末が日本携帯市場に初めて登場した。
韓国メーカーといえば、ノキアやモトローラといった携帯電話のビッグメーカーを脅かす存在として、グローバル市場で注目を集める企業だ。今回、NTTドコモから発売された「SIMPURE L」(L600i)は、国際ローミングサービス「WORLD WING」に対応した韓国LG電子製のコンパクトなFOMA端末。GSM(GPRS)/W-CDMA方式に対応し、日本で使っている端末を海外でもそのまま利用できる。今回、韓国LG電子・情報通信事業本部・日本事業部長のアン・チャンソク氏、LG電子ジャパンのシン・チョルホ氏、リ・トンウ氏の3名に、SIMPURE Lの特徴や同社の今後の展開について話を聞いた。
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写真中央が韓国LG電子・情報通信事業本部・日本事業部長のアン・チャンソク氏、LG電子ジャパンのシン・チョルホ氏(右)とリ・トンウ氏(左)
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――まず、SIMPURE Lの特徴を教えて下さい。
アン・チャンソク氏
SIMPUREシリーズは、ドコモの従来のシリーズと比較すると非常にコンパクトなモデルとなります。また、グローバルローミングに対応し、日本のW-CDMAや世界のW-CDMAエリアだけでなく、GSMエリアもサポートしています。ヨーロッパなどに出かけても普段使っている携帯電話をこのまま使えますし、もちろん韓国でもW-CDMAエリアで利用できます。
また、コンパクトな端末ながら、液晶ディスプレイが2つ搭載されており、サブディスプレイは1.17インチの大きなサイズとなっています。端末を開かなくてもサブディスプレイ側で簡単な機能を確認できます。
あとはカメラですね。回転式のカメラを搭載し、1つのカメラで普通の撮影から自分撮りまで可能です。自分撮り用のカメラはこれまでVGAサイズが通常でしたが、回転式としたことで、自分撮りでも1.3メガで撮影できます。
ソフトウェアの面では、アバター機能を用意しています。電話帳に登録する人のイメージを組み合わせてオリジナルキャラクターを登録できます。機能的には、グローバルローミングやカメラがありますが、使う楽しさを提供するためにこうした機能も用意しました。あとは、絵文字の入力が簡単に行なえるといった工夫も行ないました。
――グローバルローミング対応としたのはなぜですか?
アン氏
日本の方が旅行や出張で海外に訪れる機会が多くなったこともあります。iモードに慣れている日本の方は、海外でもiモードが使えるのは便利ではないでしょうか。今回、グローバルローミング対応にあたって、バッテリーを大きなものにしました。待受時間が550時間と長持ちで、他社の携帯電話でバッテリーに不満があった方にも満足いただけると思います。
シン・チョルホ氏
ちなみに容量は1400mAhとなっており、大きなバッテリーですがコンパクトにまとまっています。
――ターゲットとなるユーザーは?
アン氏
30~40代のビジネスマンや海外旅行に行かれる方、簡単に使えるのでお年寄りにもお薦めです。また、90Xiシリーズを持っている方の2台目の端末としても考えられるでしょう。
リ・トンウ氏
movaの20Xiシリーズなどを使っている方にも買い換えていただけるのではないでしょうか。
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「SIMPURE L、1機種で終わるつもりはありません」と意気込みを語るアン氏
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――SIMPURE Lで日本市場に初参入となりますが、苦労した点や他の国と違う点はありましたか?
アン氏
LG電子では、グローバルで年間7,000万台を越える携帯電話を販売しています。中でも、W-CDMAの場合は昨年、一昨年と世界シェアトップとなり、こうしたグローバルで身につけた力で日本に参入しようと考えました。しかし、ドコモの求める品質の厳しさは海外とは異なりました。それはたぶん日本のユーザーさんの求める品質の厳しさだと思いますが、まずそれに合わせるのに苦労しました。例えば、他国の事業者さんのチェック項目が100個あったとすれば、ドコモさんの場合は500個以上といったところです。
海外で販売されているものを日本にそのまま持ってきたと思われるかもしれませんが、SIMPURE Lの発売に向けて、ちょうど1年前からドコモに特化したものの開発にあたりました。もちろん共通の部分もありますが、ユーザーインターフェイスやデザイン、充電端子やイヤホンマイクも日本の仕様となっています。私たちは、日本のユーザーが使って違和感のない携帯電話を目指しました。
――そこは日本に参入する欧米のメーカーにはあまり見られない特徴ですね。それはドコモ側の注文だったのでしょうか?
アン氏
いえ、日本に参入する以上、私たちはSIMPURE L、1機種で終わるつもりはありません。やはり日本市場に合わせたものを考えて提供する必要がありました。
――最近の端末には珍しくアンテナが出ていますが、これはなぜでしょう?
アン氏
少し気になるところだと思いますが、グローバルローミング対応なのでいろいろな通信方式が入っており、FOMAの通信感度を高めるために必要でした。しかし、これも次の端末からは改善していきたいと考えています。
――SIMPURE Lはエントリー向けの端末だと思いますが、やはり我々としては、海外のLG端末のような高機能なものも期待してしまいます。現在、さらに高機能なモデルについても検討されていますか?
アン氏
事業としては1台で終わるつもりはありませんし、技術的にもマーケット的にも次の世代のものを検討しています。技術的に難しいと言われているFeliCaといったものについても、1つのモジュールとして検討していきたいと思っています。もちろん今すぐというわけにはいきませんが、いろいろ勉強していきたいです。
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特色のある端末を提供していくという
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――携帯メーカー各社にはそれぞれメーカー毎の特徴がありますが、御社はどういったカラーを押し出していきたいですか?
アン氏
今のところは、やっとドコモの要望に合わせた1号機が発売された段階です。これからは、やはり私たちの特徴をさらに活かせるようなものを提供していきたいですね。LG電子はグローバルカンパニーで、グローバルローミングもその1つですが、現時点で言えるのはデザインのことですね。我々は年間200機種を世界各国に投入しており、そのラインナップには車の形をしたものや、チョコレートフォンと呼ばれるスライド式の端末、飲酒センサー搭載端末など、さまざまなタイプのものがあります。日本のメーカーのものはある面でとても保守的で、オーソドックスなデザインの端末が多いので、使いやすく特徴のあるものを見せていきたいですね。ドコモさんも私たちにそうした面を期待しているのではないでしょうか。
ドコモからは、LGはスピードが速いと評価をいただいています。昨年2月頃に開発をスタートして、1年間で携帯電話を発売しました。私たちは、今日の朝言われたことをその日のうちに返す気持ちで動いています。日本市場のためにチームを設立し、韓国だけでなく日本にも営業チームを置いています。サービスセンターも日本にあり、こうした態勢で日本のマーケットに挑戦していきたいと考えています。万が一、日本で対応できないことであっても、韓国には2時間で行けます。沖縄に行くより近いですからね(笑)。
もっとも、これまで長い間ドコモと付き合ってきた日本のメーカーに比べれば、私たちは至らないところもあるかと思います。しかし我々の事業は始まったばかり、これからなのです。
リ氏
我々は、日本のユーザーが求めるレベルというものをまだ感じていないところがあります。今後、様子を見ながら積極的に展開していきたいと考えています。
――今後、FMCが本格化すると予想されますが、総合家電メーカーであるLG電子の展開はどうなりますか?
これまでの携帯電話は、マルチメディア関連の機能がどこまで進化するかということに注目が集まっていました。1つの方向性として、全ての機能が入った端末というものももちろんありますが、ユーザーの好みに応じて端末を選ぶというのもあるかと思います。その1つにFMCも考えています。
総合家電メーカーとして、我々は内部にいろいろな技術があり、それを携帯電話に持ってくることが考えられます。その1つとして、地上デジタル放送との連携も充分に可能性があるでしょう。
――韓国メーカーの勢いを日本の携帯電話市場でも見せてくれることを期待しています。本日はありがとうございました。
■ URL
製品情報(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/simpure/simpure_l/
LG電子
http://jp.lge.com/index.do
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(編集部)
2006/04/14 15:23
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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