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QuickTime開発者インタビュー
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3GPP2をサポートした6.5についてアップルCasanova氏に聞く
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米アップルコンピュータ QuickTime プロダクトマーケティングディレクターのFrank Casanova氏。今回は米国とのテレビ電話によるインタビューとなった
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アップルコンピュータは19日、3GPP(3rd Generation Partner Project)と3GPP2をサポートしたメディアアーキテクチャ「QuickTime 6.5」を発表した。バージョン6.3では、FOMAやJ-SH53の動画をQuickTimeを介してパソコンで楽しめるようになり、今回さらにCDMA 1X WINでサポートしている3GPP2や、KDDIで従来より提供されているAMCをサポートした。携帯電話との親和性をさらに高めた新バージョンについて、米アップルコンピュータでQuickTime プロダクトマーケティングディレクターを務めるFrank Casanova氏にテレビ電話でインタビューを行なった。
-まずは新バージョンの発表おめでとうございます。早速になりますがQuickTime 6.5の特徴を教えて頂けますか?
まず非常に重要な点は、3GPP2をサポートしたことです。従来は3GPPでGSM圏をサポートしていましたが、今回それに加えて世界でも人気のあるCDMA2000に対応したのです。これは非常に重要なことでした。
また、今回のサポートに当たってはKDDIと非常に密接に仕事続けてきました。6月のQuickTime 6.3の発表時にはNTTドコモでしたが、今回のKDDIではAMC形式と呼ばれるKDDIで長く使われてきたムービー形式もビルトインしました。
-今回3GPPと3GPP2の双方をサポートしたことで、他社のメディアプレーヤーを1歩リードしたかなと感じたんですが、もし他社が両方とも採用してきた場合に、QuickTimeのアピールポイントはどこにありますか?
QuickTimeは、他社に先駆け初めてMPEG-4、3GPP、そして今回の3GPP2といったものを統合的にサポートしています。他社のメディアプレーヤーがこれに参入してくることは、オープンスタンダードの観点からもとても歓迎すべきことだと思います。
そして、他のプレーヤーがサポートするようになれば、我々としては各社と競合していくことになるわけですが、他のコーデックだけでなく、別のコーデックをもって新しい価値を作り出していくことになると思います。きっと競争になるでしょうから、とても良いことだと思います。
時間はかかるでしょうが、アップルとマイクロソフト、リアルネットワークスが全てオープンスタンダードをサポートしたとしても、やはりアップルのアドバンテージは非常に大きなものになるでしょう。我々はベストなハードウェアとソフトウェア、そしてコンテンツのクリエイションなどの面でもベストなものを持っているし、また、ユーザー体験といった意味でも秀でたものを持っていると考えています。
-パソコンの市場ですと、ムービーはすでに魅力的なコンテンツとして機能していますが、これはそのまま携帯電話の市場でも当てはまるとお考えですか?
携帯電話の市場にとってコンテンツプロバイダーがコンテンツを提供する市場というものが重要だと思います。しかしさらにおもしろいことは、いわゆる個々のユーザーがコンテンツを作っていくことにあると思います。携帯電話でキャプチャーしたものをパソコンに送って楽しむこともそうですし、もっとエキサイティングなことは、パソコンで作ったコンテンツを個人が携帯電話の方に送信できる点にあると思います。これはKDDIは特に力を入れていることだそうですね。そういう世界になっていけばいいなと思います。
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「日本の携帯電話市場はエキサイティングだ」と語るCasanova氏(画像は2003年6月11日来日時のもの)
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-KDDIではCDMA 1X WINという新サービスで、パケット通信の定額制サービスを開始しました。これについて意見を聞かせてください。
固定レートでいくらでも利用できるということはとてもいいことだと思います。ただ、実際にやってみたことがないので、残念ながら意見といえるほどのものはないです。
-日本の携帯電話市場についてはどんな認識を持っていますか?
あなた(日本人)はとてもラッキーだ(笑)。私は日本に行くのがとても大好きで、NTTドコモのパナソニック モバイルコミュニケーションズ製の携帯電話を持っています。日本でドコモのサービスを受けるのが楽しみなんですが、日本からアメリカに帰ってくると少し歴史が戻ってしまったような感じしますね(笑)。
-6月の3GPPの対応が発表されてから半年が経ちました。世界の3Gの携帯電話市場はいつ頃拡大していくと思いますか?
もちろん日本は3Gに対して大変アグレッシブにやっていますが、6月以降、世界の様子を見ていると、太平洋に面した国々の香港・シンガポール・北京でも積極的に進められているようです。そして、そのほかの東南アジアの国々も徐々に始まってくるでしょう。アメリカと欧州はだいたい同じ時期に普及していくのではないでしょうか。実際にトライアルなどが開始されており、様々な活動が動き出しているようです。
たとえば、米スプリントではカメラ付き携帯電話を提供しています。動画にも対応しており、携帯電話から動画をパソコンに取り込むことも可能で、これはQuickTimeで実現しています。
-携帯電話とよりいっそう関係を深めたQuickTimeですが、このメリットをどのようにユーザーに伝えていきますか?
幸いなことに我々にはドコモやKDDIといったパートナーがいます。彼らが加入者に対して、Webサイトやパンフレットなどでいろいろな情報を伝えていくのではないでしょうか。携帯電話とパソコンと融合することでどんな楽しいことがあるのか、日本だけでなくその他の国でも通信事業者を通してアピールしていく方法になるでしょう。
-では最後に、携帯電話へのQuickTimeのアプローチの方向性について聞かせてください。
3GPP対応のサービスをサポートし、3GPP2対応サービスもサポートしていきたいと思います。たとえばiMovieやFinal Cut Pro 、QuickTime PROでもサポートしていくことになるかと思います。つまり、どんなサービスもQuickTimeでサポートされることになるでしょう。
それを続けていくことによって、QuickTimeが大量に配信される状況になると思います。すでにQuickTime 6はWebサイトを介して1億7,500万もダウンロードされており、かなり幅広い方々に使っていただける環境にありまた、多数の言語にも対応しています。
-お忙しい中ありがとうございました。
■ URL
プレスリリース
http://www.apple.co.jp/news/2003/dec/19quicktime.html
製品概要
http://www.apple.co.jp/quicktime/
ダウンロードページ
http://www.apple.co.jp/quicktime/download/
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(津田 啓夢)
2003/12/19 23:03
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