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「P-01A」開発者インタビュー
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2WAYキーを採用し進化したWオープンスタイル
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11月19日、NTTドコモよりパナソニック モバイルコミュニケーションズ製の「P-01A」が発売される。「P-01A」は端末が縦横に開くWオープンスタイルに、新たにボタン部の印字も縦横に切り替わる「2WAYキー」を採用。進化したWオープンスタイルについて、パナソニックの開発担当者らに話を聞いた。
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写真左から、柳橋氏、渡邊氏、野中氏、沢村氏、鈴木氏、古宮氏
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なお、今回お話いただいたのは以下の6名となる。
パナソニック モバイルコミュニケーションズ
技術グループ プロジェクトマネージャー 沢村 恒治氏
商品企画グループ 主事 野中 亮吾氏
機構設計グループ 主任技師 柳橋 秀広氏
電気設計第二グループ 主任技師 渡邊 聡氏
パナソニック
デザインカンパニー 主任意匠技師 古宮 幸昌氏
NTTデータMSE
移動体端末ソフトプロダクトセンター 主任技師 鈴木直行氏
――それではまず、端末の概要について教えてください。
沢村氏
「P-01A」は、「P905i」からWオープンスタイルを採用して3世代目にあたります。NTTドコモさんに商品を出す際には、常に進化を見せたいと思っています。今回の大きな特徴は、「2WAYキー」ですが、Wオープンスタイルによって横画面でワンセグが見られるようになり、次は横画面での文字入力へと進化させたいと。そのためにはボタンも横画面用になった方がいいと考えて「2WAYキー」になりました。
パナソニックでは、ワンプッシュオープンボタンを採用し続けていますが、「P-01A」では、ヒンジ部を下側(数字キー側のボディ)に変更しました。端末を閉じた際の正面デザインをすっきりとさせたかったからです。今回は、ボディカラーに合わせて背面部のデザインも異なっています。
商品を支える技術面では、ディスプレイは3.1インチ、ワイドVGA液晶と「P906i」と同じですが、コントラスト比を6000:1、色数も1600万色相当にまで向上させました。カメラの画素数も5.1メガと同様ですが、ISO1600の高感度撮影に対応しています。動きの速い被写体や薄暗いところでもしっかり撮影できます。
野中氏
カメラの高感度化は他社も積極的に取り組んでいます。数値には表われにくい部分ですが、我々は画素を混合してノイズを低減する高感度モードを実現しています。ナイトモードを組み合わせると、2.5ルクス程度の暗闇でもはっきりした映像が得られます。
沢村氏
居酒屋で20ルクス程度、2.5ルクスは薄暗いバー程度の明るさでしょうか。実は「P906i」でフォトライトを外したところ、ユーザーからたくさんのご意見をいただきました。今回はフォトライトがなくても全く問題ないと考えています。
渡邊氏
カメラのセンサーはCMOSとなりますが、センサー自体も新しく設計されたものです。「P906i」と比較していただくとよく分かりますが、撮影した写真の周辺解像度が良くなっており、特に大きなサイズで撮影した際に違いがわかると思います。
■ Wオープンスタイル
――Wオープンスタイルを継続する理由をもう少し詳しく教えてください。同じスタイルを続けることは、ともすれば新鮮味を感じにくくなるのではないでしょうか。
野中氏
まず、我々は一環した携帯電話の流れで考えています。横画面の利便性は当初、テレビ(ワンセグ)という切り口を持っていましたが、同じスタイルを進化させていく中でビューアーとしても横画面が良いと考えました。やはり、パソコンと近い感覚でフルブラウザによるインターネットが利用できるのは大きな魅力ではないでしょうか。
沢村氏
「P905i」で初めてWオープンを投入する際、非常に不安でしたが期待通りの結果が得られました。我々はやはり、ビューアーは横画面の方が向いていると考えていますし、横画面はもはやフォーマルなスタイルだと認識しています。今回は3台目ですが、今後も続けていきたいですね、スタイルを守りながらどう進化させていくのかというのも見せどころです。
柳橋氏
「P905i」でWオープンスタイルを採用し、その時点ではワンセグ用のアンテナは端末から引き出すタイプでした。次のモデルではアンテナレスとなり小型化を行いました。今回の「2WAYキー」で技術的にホップ・ステップ・ジャンプできたと思います。
古宮氏
デザインに関して言えば、「P905i」と「P906i」では鏡面デザインを採用してきましたが、端末に付着した指紋が気になるというユーザーの声もあり、今回は鏡の部分を減らすことを考えました。しかし、単純に減らしてしまえば高級感を損なうことにもつながります。そこで今回はパネル部分にパターンをつけることで前の2モデルとは違った印象を与えるようにしました。
――Wオープンスタイルでは初めてだと思うのですが、正面部が印象的に発光する「ヒカリドロップス」も久々ですね。
野中氏
光ドロップスは、「P702iD」以来の登場です。正面パネル部分がすっきりしたことで、やはりここは光った方がいいのではないかと思いました。とくに白いボディはすりガラスのようなイメージとなるため、光をあてることでより印象的になるのではないかと思っています。
渡邊氏
以前の端末は、ある程度の厚みがありましたが、P-01Aは上筐体が非常に薄い中で以前と同じような光らせ方をするのは、電気と機構設計者の連携により実現できました。
■ 2WAYキー
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パナソニックの製品発表会では2WAYキーの機構が展示された
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――発表会のタッチ&トライコーナーでも、「2WAYキー」は注目を集めていました。ドコモが以前、電子ペーパーを使って数字ボタンを切り替える試作機を発表したせいもあるかもしれません。「P-01A」で採用している構造はそういったものではないようです。仕組みについてもう少し明らかにできますか?
柳橋氏
そうですね、まずコンセプトはワンプッシュオープンの操作で数字ボタンなどの表示が切り替わるということでした。通常の折りたたみ型端末のスタイルでは一般的なボタン配置、横画面ではそれに最適なボタン配置となり、ユーザーが何か設定しなくても縦横に表示が切り替わるようなものをイメージしました。
仕組み的には、ワンプッシュオープンでヒンジ部を中心に開いたり閉じたりしますよね、この回転の運動を平行運動に切り替えて文字のシートを動かしています。実際に動かしているのはバネになるのですが、何かの拍子にボタンが押さえつけらても切替え機能が壊れないようにしています。
野中氏
とにかく我々が配慮したのは、ユーザーに「壊れる」という不安を持たれることでした。やはり、その部分には非常に配慮しました。
ちなみに、端末が90度開く前にボタン表示が切り替わるようにしています。これは、若い女性を中心に、メールを待っている際に90度だけ開いて置きながら操作する人がいるためです。そうした方でも利用しやすいようにキーの切替えには細心の注意が必要でした。
柳橋氏
キーの表面の下には文字のシートがありますが、ボタンの押し応えは一般的なシートキーと同じように押した感じがしっかり伝わると思います。キー自体も独立しており、形状も従来のかまぼこ型のものから、縦でも横でも押しやすいように台形に変更されています。メールの早打ちをされる方も使いやすいはずです。
また、横画面でのメール入力やインターネット検索での利用を重視して、ボタンの表示は「あかさたな……」と50音の表示が大きくなっています。
――ちなみに、「2WAYキー」のような機構を搭載した製品はこれまであったのでしょうか?
柳橋氏
我々の知る限りではありません。参考になるものがない中で、本当に一からの開発が必要でしたね。
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シートがスライドさせるとキーの印字が変化する
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ヨコオープンスタイル用の印字になった
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■ 横画面でフルブラウザ
――このほかに、横画面での利用できる機能などありますか?
鈴木氏
カメラやワンセグの機能メニューや、横画面対応のiアプリがそうですね。今回はアプリ一覧も横画面に対応しているため使いやすいのではないでしょうか。また、フルブラウザを利用する際には、パソコンのマウスカーソルのようにポインタ表示もサポートしました。目立たない部分での横画面への対応はまだまだありますよ。
野中氏
ヨコオープンスタイルで端末を開くと「FB」ボタンというものが登場します。これは「フルブラウザ」のことですが、短押しではフルブラウザメニューの起動、長押しではフルブラウザでホーム設定しているWebサイトに直接アクセスできます。ホームにはお好きなサイトが登録可能なので、便利にお使いいただけると思いますよ。
鈴木氏
縦横どちらもで対応しますが、今回よりFlash Videoにも対応しました。パソコン向けのWebサイトではトップページにFlashを使っているところも多いので、よりPCライクに楽しんでいただけると思います。
ドコモの新サービスとなる「iコンシェル」についても、マチキャラは横画面に対応しています。詳細な操作については基本的には縦画面で行います。
■ 外付けメモリ・内蔵メモリ
――細かい部分ですが、メモリカードの最大容量などについても教えてください。
沢村氏
最大で16GBのmicroSDHCカードに対応しています。ワンセグなら約8.5時間の録画が可能となります。
野中氏
ハイスペックな端末を購入するユーザーは、大容量のメモリカードを求める傾向にあります。カメラで撮影画像の保存のほか、パソコンを使ってお気に入りの動画をメモリカードに記録し、携帯電話で楽しむ方もいるようです。
渡邊氏
また今回、内蔵メモリの容量も250MB(従来は101.6MB)に拡張しました。パナソニックといえばやはり、AV性能についても向上させていかなければなりません。今回、パナソニックの技術を活かしたビデオコーデックやCPUなどを統合した「UniPhier」の効果がかなり出ています。WMV形式の動画のワイドVGAサイズでの再生にも対応しています。
さらに、「UniPhier」の効果は音楽プレーヤー機能の再生時間向上にも貢献しており、今回最長108時間という3ケタに突入しました。
――今回のドコモのラインナップより、キーについてメーカー毎の差をなくしたドコモの統一仕様となりました。
鈴木氏
そうですね、事業者さまの要望によって、キーの操作体系などの統一化が図られました。買い換えた際の不便さが解消されることになるので、ユーザーさんから見れば最終的にメリットになるのではないかと思います。このため、これまでのPシリーズとは異なる部分もあり、たとえば小文字や大文字、改行、絵文字、逆トグルといったものが今回から変更になります。
――最後に読者に向けてコメントをいただけますか。
野中氏
今回は、「2WAYキー」がユーザーから見ても驚きをいただくポイントになるかと思います。しかし、「2WAYキー」は決して驚かすために用意しているわけではありません。横画面をより便利に使っていただくための使いやすさの進化であり、長く携帯電話をお使いいただけるものになっていると思います。
――本日はどうもありがとうございました。
■ URL
製品情報(パナソニック)
http://panasonic.jp/mobile/docomo/p01a/
製品情報(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/prime/p01a/
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(津田 啓夢)
2008/11/17 10:58
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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