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BlackBerryで何ができるのか
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個人向けサービス開始でドコモに聞く
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NTTドコモは、8月1日よりBlackBerryの個人向けサービスを開始した。BlackBerryはカナダのRIM社が開発する、プッシュメールを中心とするケータイ向けサービス・端末だ。キャリアによるプッシュメールが一般的ではない海外では、ビジネスマンを中心に普及している。
BlackBerryの日本語版は、すでにドコモにより法人向けに提供されている。この法人向けBlackBerryのサービスは、「BlackBerry Enterprise Server」との連携によって機能するため、利用できるのはサーバーを用意できる規模の法人などに限られていた。しかし8月1日より開始される「ブラックベリーインターネットサービス」では、ISPに届いたメールを自動的に中継する仕組みのため、サーバーを設置できない個人やSOHO環境でも利用可能となっている。
プッシュのメールというと、日本のケータイにとっては当たり前の標準機能だ。BlackBerryは普通のケータイとどこが違うのか、個人向けのサービスとはどういったものなのか。NTTドコモの法人ビジネス戦略部 技術戦略担当部長 スマートフォン事業推進室 技術担当部長の松木 彰氏に聞いた。
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NTTドコモの松木氏
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――まずBlackBerryの概要についてお聞かせください。
松木氏
BlackBerryは、端末からサービス、ネットワークインフラまでを含めた総合パッケージです。ひとつの重要なポイントはセキュリティ性能です。ハードウェアレベルでの暗号化も可能ですし、ビジネス向けのシステムならば、「圏外に何時間いるとメモリ消去」などの管理をサーバー側から行えます。世界各国の政府機関などのセキュリティ基準も満たすソリューションでもあります。BlackBerryのコアは、このセキュリティ性能により、BlackBerryだけで「最高のビジネスツール」が実現できることです。
ビジネスツールとしての側面にプラスして、「普通のISPのメールも見たいよね」という要望に応えるのが、個人向けのブラックベリーインターネットサービスです。ブラックベリーインターネットサービスでは、***@docomo.blackberry.comというBlackBerry専用のプッシュ対応メールアドレスに加え、一般ISPのメールアカウントも登録できます。通常のISPはプル型で一定間隔の自動チェックですが、Gmailと米国のYahoo! Mailであればプッシュメールが使えます。
――個人向けサービスではメールが中心になるのでしょうか。
松木氏
マイクロソフトのエクスチェンジやロータスのドミノなどのグループウェアを利用する企業向けのサービスの場合は、スケジューラーなどのシンクロもできますが、個人向けの場合は標準でメールサービスとウェブアクセス、メッセンジャーを提供します。さらにこれに加えて豊富なBlackBerry向けのサービスも利用できます。たとえばGoogleからは、専用のシンクロ用アプリが提供されており、Google CalendarとBlackBerry端末上のカレンダーアプリをシンクロさせられます。ほかにもNAVITIMEなどのアプリがすでに発売されていて、一般的なケータイのように利用できます。
――個人向けにはセキュリティ機能は提供されないのでしょうか。
松木氏
法人向けBlackBerryのセキュリティ機能はBlackBerry Enterprise Serverという企業設置サーバーとBlackBerry端末の間でEnd-to-Endでセキュリティが確保されています。一方、個人向けサービスでは、一般ISPのメールも取りに行くので、そのISPのセキュリティ性能に依存するということになります。
一般ISPとBlackBerry専用サーバーを両立させたいお客さま向けには、9月1日から個人向けのブラックベリーインターネットサービスと法人向けの「ブラックベリーエンタープライズサービス」の両方を利用できる「ブラックベリーデュアルサービス」の提供を開始します。
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BlackBerry 8707h
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――BlackBerryというのは、いわゆるスマートフォンとして解釈して良いのでしょうか。
松木氏
これまでのスマートフォンは、ITリテラシーの高い方が自ら環境を設定して利用するという位置づけの製品だったと思います。しかし、BlackBerryは、そうでない人でも、スマートに使うことができます。メーラやスケジューラをややこしい設定をしないでも使いたい、というのであれば、BlackBerryは必要にして十分なものです。
ユーザーがやりたいのは「端末を持つこと」ではなく、「端末で用事を片付ける」ことです。Windows MobileでもBlackBerryと同じことはできますが、ユーザーがカスタマイズできる部分が多いだけいろいろと考えてシステムを組み上げなくてはいけません。実は私もそうですが、その行為自体がが好きな人もいるわけですが、みなさんがそういうわけではありません。
――BlackBerry向けに月額1680円のパケット割引オプション「ブラックベリーデータ通信パック」を用意されています。8万パケットまで定額となっていますが、これで足りるものなのでしょうか?
松木氏
わたし自身、5個のメールアカウントを登録してテストしていますが、8万パケットは超えないですね。普通にメールを見て、テキストが中心のウェブアクセスであれば、普通は5万パケットくらいになるのではと思います。
BlackBerryの場合、通信の際に圧縮もかかりますし、メールも最初の数キロバイトだけ自動受信するため、長文のメールで、後半の文書を読む必要がない場合は余計なデータをダウンロードしません。また、添付ファイルも必要に応じてダウンロードする形式です。たとえば、PowerPointのファイルが添付されていた場合は、ページ単位でダウンロードできます。お客さまにも通信事業者にも優しい仕組みを採用しています。
――BlackBerryを買われる方は、海外にも良く行かれる方が多そうですが、国際ローミング時の料金に特別な仕組みはあるのでしょうか。
松木氏
基本的には通常の端末と同じで、ローミング時にはその国ごとの料金がかかります。ただし、iモードの場合に必要なセットアップチャージ(1アクセスごとに50円または100円、50ないしは100パケット含む)がBlackBerryではかかりません。BlackBerryは定期的にサーバーアクセスしてメール等の有無を確認しているため小さなパケットが飛びますが、いちいちセットアップチャージがかからないのは大きなポイントです。
――現在のところ日本対応機種は「BlackBerry 8707h」のみで、ちょっと寂しいかな、とも感じます。海外で販売されているモデルなど、多機種展開されるのでしょうか。
松木氏
他機種展開は考えていまして、今年度内に新機種をラインナップしようと検討しています。RIM社でも海外で近々新製品が発売になるとの報道もありますので、その日本語版の登場にも期待しています。
――日本独自の端末という可能性は?
松木氏
考えたいところですが、流れとして「全世界共通端末」というコンセプトがあるので、日本独自仕様で何か、というのは難しいかもしれません。まだ具体的な検討には着手できていませんが、普通のFOMAにソフトウェアでBlackBerryを載せることができれば、既存のFOMAユーザーがBlackBerryサービスにもっと手軽に触れることができるのではないかと思います。
――フルキーボード端末というと、ガジェット好きのブロガーなどにも好まれていますが、そういった方向に展開する可能性は?
松木氏
そういった方向に用途を限定して展開していくことはないと思います。BlackBerryは「画面を見続ける」というものではなく、むしろ画面を見る時間を少なくして、普段の生活をより楽しくするためのツールにしていきたいと考えています。
海外ではBlackBerryは医師や議員、秘書、コンサルタント、弁護士など、組織の一部として動くというよりは、個人としての知的活動に重点を置く人に人気があります。日本でもそういった方々に支持されるソリューションになると考えています。
――本日はお忙しいところありがとうございました。
■ URL
製品およびサービスの情報
http://smartphone.nttdocomo.co.jp/
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(白根 雅彦)
2008/08/01 11:13
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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