|
気になる携帯サイト 制作者に聞く
|
|
無料携帯カラオケ「ヒトカラ」を仕掛けたセガの戦略
|
|
|
セガが提供する無料のカラオケサービス「ヒトカラ」が会員を伸ばしている。昨年9月のサービス開始以来、7カ月で100万会員を獲得し、若い世代を中心に「ケータイ・カラオケ」を楽しむユーザーが増えてているようだ。
今回、セガのモバイル事業の責任者である、モバイル統括部 統括部長の株田実氏に話を聞く機会を得た。「ヒトカラ」の人気の秘密について、その詳細をうかがった。
|
セガの株田氏
|
――それではまず、ヒトカラを開始した経緯を教えてください。
日本の携帯電話人口が飽和状態となり、有料コンテンツがなかなか伸びにくい状況ですが、通信の高速化や通信料が安くなってきたこともあり、データ通信自体は大きく普及してきました。パソコンがダイヤルアップからADSLブロードバンドに変わっていったようにアスペクトが変わり、これは広告媒体としての可能性があると思いました。
――携帯向けのカラオケサービスは、有料という先入観があったのですが、無料化に踏み切ったのは勇気のいる決断だったのではありませんか?
そこはやはり、早すぎるというのがセガの社風ですので(笑)。
メガドライブの時代にメガモデム(メガドライブ専用通信モデム)を提供し、通信を使ったバンキングサービスなどを提供したことがありました。その時代、私はネットワーク部分を担当していたのですが、1200bps程度の速度でバンキングをやるのは、今だから言えますがはっきりいって無謀でした(笑)。Dreamcastの時は、「ファンタシースターオンライン」(通信ゲーム)をブロードバンド時代の少し前に提供し、当時は、自宅の電話が全然繋がらないと言われたましたね。そのようにいつも我々は早すぎたんです。
でも今、市場は熟してきたと思います。通信速度、定額パケット、利用料の3拍子がそろってきて、有線の中で我々がやってきたことがようやくケータイでも実を結びつつあるのではないでしょうか。
――なるほど、100万ユーザーを突破されましたが、携帯電話でも成功をつかんだと?
いえいえ、そうはいってもモバイルに関して我々は遅れてきた参入者です。弱い立場の我々が自分たちのポジショニングを示すためには、余所にない自分たちにしかできないものを考えなければなりませんでした。
そうした中で、意外なところにあったのがカラオケだったんです。ケータイのカラオケサービスは、カラオケのデータを元々持っていなければサービス展開が難しいのです。そういう部分に絞り込めたことで、我々の予想を上回るお客さまに支持をいただきました。
――コンテンツの独自性が受け入れられたということですが、現在の中心となるユーザーはどういった人ですか?
半数が10代の女性で、次いで20代の女性が多いです。若い世代の口コミの力がサービスを広げてくれました。若年層の日常の中にカラオケは浸透しており、そこにセガとしての独自性がうまくマッチしたことが爆発的に広がった理由かなと思います。
――ユーザーはどういった利用スタイルで楽しんでいるのでしょうか?
1人で部屋で練習するといった自宅で楽しむ用途のほかにも、車で楽しむ人が多いようですね。家族旅行など、皆で歌を歌って楽しんでいただいています。これから夏の帰省シーズンもありますし、楽しく帰省できるような展開を考えているので楽しみにして欲しいですね。
――今後、ヒトカラとほかのサービスを連携させるような展開が増えていくのでしょうか?
我々は、大手コンテンツプロバイダーのように、いきなりポータルをやることは無理でしょうし、その部分で勝ち目はありません。ヒトカラは、音楽という分野で100万ユーザーを超えました。ほかの分野でも100万ユーザーを獲得するべく、ユーザーを切り分けてサービスの拡充を図っていきたいですね。そういった異なるものを繋げていくというのは可能性として非常に高いと思います。
――ビジネス面をうかがいますが、ヒトカラは広告媒体なので、ある程度のユーザーが獲得できなければ媒体としては展開しにくいと思います。どのあたりから「このサービスはいける!」と感じましたか?
最初の目標は100万ユーザーだと考えていました。その次に300万、その先と続いていければと思います。100万ユーザーを突破したことで、まずは最初のステージをクリアした段階です。
――ユーザーを拡大していくための新展開など、今後どういった方向性を考えていますか?
あらゆる可能性を検討していますが、我々はゲーム会社ですから、ヒトカラでもゲームを配信していきます。タントアール、メガドライブやサターンなどのゲームはがミニゲームとしてFlashで投入していける状況になりました。ゲーム会社のセガとして、ゲームもどんどん楽しんでいただきたいですね。
――ヒトカラをリニューアルされたばかりとうかがいましたが、広告展開などにも新展開がありますか?
7月にサイトをリニューアルしたので、アフィリエイト型の広告も展開します。また現在、森永製菓のハイチュウとのコラボ企画なども実施しています。
今回のリニューアルではポイントサービスなども導入しました。サイト内では「ヒトカラット」いう仮想通貨が使われます。サイト訪問時やカラオケを歌うとこの「ヒトカラット」が貯まるようになります。貯まったポイントは、ゲームや今後提供するサービスなどで使えるようになります。
無料のサービスですので、有料公式サイトとはひと味違ったFlashゲームやWebゲームなども積極的に展開していきたいですね。携帯電話のコンテンツサービスの中で、Webゲームは最初の頃からあるジャンルですが、定額パケットが普及したことで、あらためてその裾野がひろがりつつあるんです。我々の制作部では、有料課金のコンテンツとしては出しにくいけど、楽しめるゲームというものがたくさん出ています。CGM的に皆がアイデアを持ち寄って楽しくなるような、課金モデルではやりにくいアイデアにもチャレンジしていきたいと思っています。
我々はゲーム会社ですので、期待を裏切らない楽しいコンテンツを用意できると思っています。この部分、ぜひ使ってくださいね(笑)。
――それでは最後に何かメッセージがあればお願いします。
セガならではのこだわりを持って、ケータイならではの楽しさをどんどん投入していこうと思います。もちろん、皆さんからの良いアイデアがあればどんどん持ち込んでいただきたいですね(笑)。
――そういう持ち込みって普段からあるんですか?
そうですね、結構ありますよ、「セガ」としか住所を書かずにお送りいただいたりとか(笑)。
――今後の楽しい展開に期待しています。本日はどうもありがとうございました。
■ URL
ヒトカラ
http://mkara.jp/
■ 関連記事
・ セガ、ママ向け一言ブログ「ひとこめママ」
・ セガの無料アプリ「ヒトカラ」、50万人突破でPSPなどプレゼント
・ セガ、無料のiモード向けカラオケ楽曲配信サービス
(津田 啓夢)
2008/07/11 12:37
|
ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
Copyright (c) 2008 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.
|
|
|
|
|
|