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「G’zOne W62CA」開発者インタビュー
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スリムで高機能に生まれ変わったG’zOne
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W62CA
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2006年夏モデルのW42CAから2年、今夏、新しい防水&タフネスケータイ「G'zOne W62CA」が発売される。今回のW62CAでは以前のG'zOneに比べどこが進化したのか。今回は開発を担当したカシオ日立モバイルコミュニケーションズのカシオ営業グループ マーケティングチームの高木 健介氏と第一事業部 戦略推進グループ 商品企画チームの佐合 祐一氏に話を聞いた。
――2年ぶりのG'zOneですが、一体なにが変わったのでしょうか。
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カシオ日立モバイルコミュニケーションズの高木氏
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従来のG'zOneから武骨さが減ったデザイン
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高木氏
全く新しく生まれ変わりました。デザイン、機能ともに新しい道を進んでいます。
まずデザインですが、前のW42CAに比べると、厚さは29mmから19.9mmへと大幅に薄型化しました。いままでのG'zOneというと、武骨でワイルドなイメージでしたが、今回は洗練されスマートでタフネスなイメージになっています。G'zOneを知っている方ならタフネス性能が心配になってしまうほど変わったと思います。もちろん、タフネス性能は従来と変わりなく、デザインの堅牢感はキーコンセプトとして維持されています。
このデザインの変化にプラスし、今回は非常にハイスペックになっています。カシオとしては初めてのKCP+対応機種となります。ほかにも、ワンセグやおサイフケータイといったトレンドサービスも押さえています。こうした機能・スペックを確保しつつ、スリムな薄型デザインに進化していることもポイントの一つです。G'zOneは新しく生まれ変わった、と思っていただければと思います。
いままで「G'zOneは欲しいけど厚みが……」と思っていた人も多いかと思います。そういった方もW62CAではフォローしよう、ブランドとして広げていこう、というのが今回の方向性です。
コンセプトとして「SLEEK TOUGH」というキーワードを設定しています。SLEEKというのは、「なめらか」とか「カッコイイ」という意味で、アメリカではCOOLと同じような意味合いで使われる単語です。見た目はスマートだけど実はタフ、相反することを重ね合わせることがコンセプトです。
今回はG'zOneとしては初めて、コンセプトナビゲータとして俳優の玉山鉄二さんを起用しています。見た目はスマート、でも中身は熱い、ということを伝えられたら、と思います。
――KCP+採用のWIN端末として、以前のG'zOneにはなかったおサイフケータイやワンセグ、Bluetoothといった機能も搭載います。しかしそれでも薄型化した、というのはスゴイですね。
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カシオ日立モバイルコミュニケーションズの佐合氏
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電子ペーパーを採用している背面ディスプレイ
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佐合氏
薄型化においてかなり苦労しました。20mmを切るために、0.1mm単位の努力を積み重ね、19.9mmを実現いたしました。
今回は薄型化を実現するために、背面ディスプレイに電子ペーパーを採用しました。電子ペーパーは、液晶や有機ELに比べて薄型で、衝撃に強いという特性があります。また、これまでのG'zOneの背面ディスプレイは、モノクロ液晶の常時表示でやってきましたが、有機ELだと寿命の関係で常時表示はできません。薄型・耐衝撃性能・常時表示の点で、今回は電子ペーパーを採用しました。
また、電子ペーパーは表示が切り替わるたびに電池を消費しますが、実は秒表示の切り替えならばモノクロ液晶より電池消費が小さいという利点もあります。
電子ペーパーは全ドット型ではない、セグメント表示型ですが、秒表示の部分だけ細かいセグメントになっていて、メール着信なども通知できるようになっています。
――G'zOneというと耐衝撃性能が売りの1つですが、薄型化しても大丈夫なのでしょうか。
佐合氏
今回はケースと構造材を一体化しています。背面パネルには段をつけ、構造強度を上げました。素材もガラス繊維が入ったプラスチックなど、強くしています。薄型化はしていますが、耐衝撃性能も防水性能も以前のモデルと同等です。
高木氏
端についている衝撃吸収のバンパーも従来と同じウレタン素材を使っています。電池カバーも、W61CAなどのモデルとは異なり、従来のG'zOneと同じスクリューロックカバーとなり、パッキンと併せて防水しています。
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ヒンジ側のバンパー。角にこうしたウレタン製バンパーがある
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スクリューロックタイプの電池カバー
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USBクレイドルに対応する充電接点
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――カバーというと、今回はBluetooth搭載により、イヤホンカバーを外さずにワイヤレスで音楽が聴けるのが良いですね。
高木氏
auとしても、ワイヤレスは強く打ち出していくようです。au Smart Sportsもフェーズ2となりましたし、防水+Bluetoothは強みになると考えています。
――au Smart SportsのRun&Walk向けに今回は歩数カウンターも付いたようですが。
佐合氏
今回は加速度センサーを搭載し、歩数計測ができるようになりました。従来はGPS情報のみでしたが、今回は加速度センサーの歩数情報とGPSを組み合わせることで、Run&Walkもより精度の高いものになっています。ケータイアレンジでメニュー画面と待受画面に消費カロリーを表示できるようにもなっています。
――WIN端末として標準的な機能以外の、G'zOneならではの機能というのもあるのでしょうか。
佐合氏
もちろんあります。今回はG'zGEARとしてアウトドアで使える6つのツールを搭載しました。
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EARTH COMPASSの標準モード
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まず「EARTH COMPASS(アースコンパス)」です。こちらは電子コンパスを利用したツールです。ただ単に方位を示すだけでなく、モードを切り替えると、自分のいる場所から見た日本の名山や世界遺産などの方位がわかるようになっています。ただの方位コンパスというツールではなく、大きな画面を生かすべく、自然や地球を感じられるようなものに仕上げました。
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EARTH LOCATORの垂直表示モード
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続いて「EARTH LOCATOR(アースロケーター)」です。ちなみにG'zGEARは本体を振ることでも6つのツールを切り替えられます。これは加速度センサーを使った機能です。
アースロケーターはGPSを使い、現在自分がいる場所や高さを表示するツールです。まず高さ表示では、その高さの建造物や生息する生物などを表示させられます。地図表示では、日本地図上でどのあたりにいるかが表示されます。地図は詳細なものではないので、ナビゲーションで使えるようなものではありませんが、ちょっとしたお遊び的なものになっています。
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HEAT GAUGE。地球温暖化を実感させる
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「HEAT GAUGE(ヒートゲージ)」は温度センサーを使ったツールです。今回のW62CAには、温度センサーが内蔵されています。ここで計測した気温と、自分のいまいる場所における1975年と2000年の同日の最高・最低気温が表示されます。気温データについては、47都道府県の2つの年間データを内蔵しています。場所指定は手動選択もできますが、GPSで近い場所を自動選択することもできます。
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SEATIDEのグラフモード。cm単位で潮の満ち引きを示す
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「SEA TIDE(シータイド)」は潮位を表示させます。これはカシオの腕時計、「PROTREK」や「G-SHOCK」にも入っている潮位グラフ=タイドグラフと同じようなもので、1日の潮位をグラフで示すモードと現在の潮位が何分かを示すモードがあります。こちらも場所を指定することが可能で、主要なシースポット100カ所から選べます。釣りやサーフィンなど、潮位が参考になるアウトドアスポーツ向けのツールです。
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SUNRISE SUNSET。太陽がどの高度にあるかを示す
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「SUNRISE SUNSET(サンライズサンセット)」は太陽の動きを示すツールです。太陽の高さを表示したり、日の出・日の入り時間を表示したりできます。こちらも当然、場所を指定したり日付を切り替えることができます。
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ASTRO CALENDARの月齢表示モード
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「ASTRO CALENDAR(アストロカレンダー)」は月の満ち欠けを表示させるツールです。日付を切り替えて、流星群などの天文イベントを探すこともできます。モードを切り替えると、太陽と地球、月の位置関係を表示させることもできます。
これら6つのツールは、当然アウトドアツールとして実用することができますが、アウトドアにいなくても自然を感じて欲しい、という思いを込めてデザインしました。
高木氏
シータイドは一般の方にはピンとこないかもしれませんが、釣りをする方にはとても好評なんですよ。ただそういった実用だけでなく、都会の生活でふとした瞬間にこれらのツールで地球を感じてもらおう、と考えています。
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スポーツ向けに拡張されたタイマー機能
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――従来のG'zOneというと、背面ディスプレイでも使えるなど、タイマー機能が特徴的でしたが。
佐合氏。
今回は背面ディスプレイでは使えませんが、スポーツタイマーとして機能を充実させています。カシオ計算機のスポーツ用腕時計「PHYS(フィズ)」の開発担当者に協力してもらって作りました。サッカーのロスタイマーモードやトレーニング・インターバルを計測できるタイマー、100本のラップを記録できるタイマーがあります。ラップ記録は保存することもできます。
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キーはシートタイプ
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各キーに凹凸があるため、触ってみてもシートキーらしさを感じない
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――良く見ると、シートキーを採用していますね。一見すると普通のフレームレスタイプのキーにも見えますが。
佐合氏
シートキーは防水と薄型化に有利、ということで採用しました。しかし平面的にならないよう、ブロックを配置して使いやすさを追求しました。
高木氏
薄型化を追求するケータイのシートキーは、押したときの感覚が小さく、シートキーにするのは最初、心配な面もありました。しかしW62CAのシートキーはクリック感もよく押しやすくできあがったと思います。
――カシオはここのところ2軸ヒンジデザインが多かったですが、G'zOneは2軸にはならないのでしょうか。
佐合氏
2軸ヒンジはやはり耐衝撃性能というところで難しい、というのが現状です。ここ最近のG'zOneは3機種続けて折りたたみでやってきておりますので、いろいろな形状で耐衝撃性能が出せるか、という検討は引き続き行なっていきます。
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新しいキャラクターとなるゴリラ
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――そういえばカシオ端末でおなじみのペンギンではありませんね。
高木氏
今回は、絶滅危惧種のゴリラをキャラクターに採用しています。「エコ」と「エゴ」の2匹のゴリラがいて、人間の環境保護に対する表と裏の面を表現しています。
2005年のTYPE-Rでも、auとNPO「Think the Earth」が共同開発した地球時計「live earth」のBREWアプリを先駆けとして搭載しました。今回も最近の環境問題への意識の高まりなど時代の変化に合わせ、身近に地球を感じるという視点を取り入れています。
――本日はお忙しいところありがとうございました。
■ URL
製品情報(KDDI)
http://www.au.kddi.com/seihin/ichiran/cdma1x_win/w62ca/
製品情報(カシオ計算機)
http://k-tai.casio.jp/products/w62ca/
特設サイト
http://gzone.jp/
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(白根 雅彦)
2008/06/13 13:57
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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