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「N705i」インタビュー
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“美しいカデン”amadanaがケータイを手がける理由
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N705i
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昨年、デザイン家電ブランド「amadana」(アマダナ)が携帯電話を手がけることが明らかにされた。NTTドコモより発表されたamadanaケータイ「N705i」は、amadanaを展開するリアル・フリートとNEC、ドコモのコラボレーションによって生まれた折りたたみ型のFOMA端末。家電ブランドの中にあって、ユニークな製品群をようするamadanaが手がけた初の携帯電話となる。今回は、端末の企画に携わったリアル・フリートのセールス&マーケティングチームの鈴木純子氏に、amadanaケータイの企画意図などを聞いた。
■ 限定モデルの予約販売は2日で予約完売に
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リアル・フリートの鈴木氏
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2日で予約販売を終了したN705i(brownish wood)
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――12月1日より、N705iの1色である5,000台限定の「N705i(brownish wood)」の予約販売が開始されました。
おかげさまで予約販売の限定モデルは2日後には完売となりました。予約受付サイトには一時アクセスしにくい状態になり、我々としても予想以上の反応に本当に驚きました。
――限定モデルにはシリアルナンバーが刻印されるとのことですが、1番は誰の手に渡ったのですか?
1番にふさわしい方にご予約いただいた、ということにさせていただきます(笑)。
――端末コンセプトについて教えてください。
今回の「N705i」は通称amadanaケータイと呼ばれています。これまで、デザイン面では携帯電話の筐体を協業する試みがあったかと思います。今回はそれを1歩先に進め、さらに深くコラボレーションしていこうとしました。ブランドとのコラボレーションは、デザインケータイの新しいフェーズだと考えています。
ドコモ、NEC、リアル・フリートの3社の協業のきっかけは、2年前までさかのぼります。「デザイン性・機能面」で妥協の無い新しい価値を持ったケータイはできないかと3社でプロジェクトを進めてきた成果がamadanaケータイとなります。
――amadanaのユーザーというのはどういった方なのでしょう。
製品展開する上で特にユーザー層のターゲッティングは行なっていません。直営店などで購入される方は20代後半から40代の方が多いですね。もちろん、もっと年配の方も購入されています。
――海外メーカーでは、世界的なファッションブランドとコラボレーションした端末が登場しています。しかし、amadanaは家電ブランドということもあってそういったブランドとは少し違うようですね。
amadanaは“美しいカデン”をコンセプトとし、10人に1人が劇的に愛してもらえるようなものづくりを目指した日本の家電ブランドです。日本で一番のキャリアであるドコモさんと、信頼性に定評のあるNECさんの中に“新興家電メーカーである”amadanaが加わると、少しミスマッチを感じてしまう方もおられるかもしれません。携帯電話は大量に生産され、ユーザーにもっとも近い電子機器ですよね。そのため製品開発自体もマスコミュニケーションとならざるを得ない部分があるかと思います。そこに私たちが加わることで、従来とは違うコミュニケーションや製品開発ができたと思っています。
なお、デザインだけを我々が提供したのではなく、企画開発からコラボレーションしたamadanaラインナップの1機種であるという思いをこめ、端末にはamadanaのロゴを入れました。
■ 技術力と美しさをもう一度世界に
――amadanaはブランドの名前を貸すような製品は作らないということですか?
そうですね。機能面も含めたコラボーレーションです。そのため、705iシリーズでは国内メーカーでは唯一のGSMローミング対応となっています。これは、コラボレーションするにあたって、世界中で使えるamadanaである必要があると考えたからです。
江戸時代に西洋ではその美しさと技術の高さを賞賛して漆器のことを「JAPAN」と呼びました。その当時、日本橋の室町一丁目の漆問屋が集まるあたりは「アマダナ(尼店)」と呼ばれており、amadanaというブランド名はそこからきています、漆のように家電の技術力の高さは日本が世界で一番だと思いますし、その技術の高さと日本の美しさをもう一度世界にアピールしたいと考えたからです。
amadanaケータイは、世界にアピールという意味で国際ローミングへの対応は必要でした。またamadanaのユーザーさんは海外をよく行き来される“ジェットセッターな”方が多く、そういう面でも国際ローミングはどうしてもサポートしたかったのです。
――ワンセグ機能への対応には何か理由がありますか?
機能面ではNECさんに頑張っていただきました。デザインケータイは「機能が劣る」、「デザインだけだ」と言われることが多いので、我々としては技術的にも最新のスペックが欲しかったのです。そういう意味でワンセグが必要でした。なお、スタイルを壊さないために、今回のワンセグ機能はアンテナレスとなっています。長く使っていただけるスペックになったかと思います。
――これまでのデザインケータイは、未来的なものや金属的な質感のもの、現代美術でいうミニマル・アートのように装飾をそぎ落としていくものなど登場しています。ただ、amadanaケータイはそういったものは少し違う感じがしますね。全体的に落ち着いていて、どこか懐かしいような感じと言えばいいのでしょうか。
そうですね。限定版では木目パネルを採用するなど、より一層落ち着いた風合いになっています。また、ボディカラーの調整にも何度もトライしました。デザインを行なった鄭(インテンショナリーズ代表の鄭秀和氏)は、「団塊フォン」なんて読んでいましたね(笑)。
■ 限定モデルとプロパーモデル
――限定モデルとプロパーモデルを用意された背景を教えてください。
いわゆる“企画もの”として製品を出したくなかったので、限定モデルだけとは企画段階から考えていませんでした。逆に、プロパーモデルだけでも成立しないと思いました。我々のブランドが持つ世界観を限定モデルで表現しつつ、プロパーモデルにブリッジしていくようなコミュニケーションが必要だと考えました。
――携帯電話の機能的な進化が緩やかになっていく中で、メーカーやキャリアが端末デザインに本格的に目を向けるようになってきました。こうした中でamadanaケータイが登場することになりましたが、このタイミングをどう感じていますか?
本当に良いタイミングだと思っています。販売方法が変更され、携帯電話を長く使っていく方向になってきている中で、機能だけを追及するのではなく本当の意味で使う人のスタイルを表現できることが、これからの携帯電話に求められる流れとなってきていると思います。そういった流れの中、最新の技術トレンドを盛り込んだ薄型フルスペック携帯であるN705iは、新しい価値を提供できるケータイに仕上がったと考えています。
――開発までに大変だったことはありますか?
シンプルにすごく大変でした(笑)。携帯電話は精密機器であるため、デザイン上の制約が非常に高い。amadanaらしさをいかにだしていくか、ということと常に戦っていた気がします。結果的にはすごくいい形でamadanaらしさを出せたと思っています。
――GPS機能以外、90Xiシリーズにもっとも近いスタンダードモデルだと思うのですが、なぜ705iシリーズなのでしょうか?
デザインと機能を両立するために、どちらのラインナップで発売すべきか非常に悩みました。機能面を重視すれば90Xiシリーズになるわけですが、それだとどうしても大きく、厚くなってしまいます。NECさんの尽力により、機能的に90Xiシリーズと遜色のない70Xiシリーズの機種として開発することができました。
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待受画面
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――内蔵コンテンツもamadanaらしい味付けがされていますね。
そうですね。内蔵コンテンツはamadanaのプロジェクトメンバーであるTYCOON GRAPHICSが担当しています。更に今回はテイ・トウワさんにサウンドプロデュースを担当していただきました。書き下ろしの新曲が着うたフルとして搭載されているほか、着信音と効果音もそれぞれ3種類ずつ作っていただいています。
また、amadanaのカタログではお馴染みであるイラストレーターの白根ゆたんぽさんのイラストをモチーフとした待受コンテンツもプリセットされています。
――amadanaというと小ロット生産のイメージがあります。
そうかもしれませんね。ただ、総合家電ブランドとして携帯電話を出していくことは計画しておりました。これまで我々は、マスコミュニケーションを一切やっておりませんが、大量に生産される携帯電話にamadanaのブランド名が入ることはやり方を変えずにただ認知度を上げていく上で、意味があることだと思っています。
実は、携帯電話を発表した11月にリアル・フリートは設立5年目をむかえました。設立当初からいずれは携帯電話を出したいと話していたので、5年目の節目に発表できたのはうれしいですね。発売は1月下旬以降となりますが、是非一度ご覧になっていただきたいですね。
――ありがとうございました。
■ URL
リアル・フリート
http://www.realfleet.co.jp/
製品情報(リアル・フリート)
http://www.n705i-amadana.com/
製品情報(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/product/foma/705i/n705i/
製品情報(NEC)
http://www.n-keitai.com/pickup/n705i/release/
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(津田 啓夢)
2008/01/11 11:46
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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