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「W53H」開発者インタビュー
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有機EL採用で映像にこだわったWoooケータイ
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この冬の最新モデルとして日立が市場に投入するのは、映像にこだわったWoooブランドのワンセグケータイ「W53H」だ。有機ELディスプレイの採用など日立のワンセグケータイへのこだわりを、日立製作所 デザイン本部 ホームソリューションデザイン部 リーダ主任デザイナーの池田 稔氏、およびカシオ日立モバイルコミュニケーションズ 開発設計本部 機構設計グループの小山 博之氏、同社 事業統括グループ 企画チームの白澤 聡氏、同社 日立営業グループ マーケティングチームの吉田 征義氏に伺った。
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歴代の日立製ワンセグケータイ
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――今回のコンセプトについてお聞かせください。
吉田氏
いよいよWoooワールドに、ケータイという新しい仲間が加わります。日立ではWoooブランドで、ハイビジョンテレビやブルーレイディスクのビデオカメラなど、より美しい映像にこだわった製品を展開しています。ハイビジョンテレビは一家に一台というご家庭の方が多いと思いますが、一人が一台を所有するケータイが、Woooワールドの最初の扉を開く「あなたのWooo」となることを期待しています。
白澤氏
W53Hの商品コンセプトを検討するにあたっては、今年の秋冬というタイミングを強く意識しました。ケータイでテレビが観られるのは当たり前で、買い換えで2台目のワンセグケータイを購入するユーザも増える時期ですから、ユーザの要求レベルも高くなっているだろうと。
ケータイだからとはいっても、やっぱりワンセグを綺麗に観たいでしょうし、ワンセグ付きだからといってもサイズが大きくてはだめで、コンパクトで薄くないと手にとってもらえなくなっている時期ですよね。そこで、「SLIM & Beauty」をコンセプトとし、ケータイの枠を飛び越えて薄型テレビWoooを目指そうと開発をスタートしました。
開発の中では、「美しい映像にこだわるWooo」のブランドの一員としての画質を実現するために、ディスプレイと高画質エンジンにはこだわりました。「一番映像の綺麗なディスプレイを採用する」というこだわりから有機ELディスプレイの採用を決定したのですが、これまで液晶で再現することの難しいとされていた赤色なども鮮やかに再現しています。
また、「映像の美しさを引き出す」ことへのこだわりという点から、日立のデジタル高画質技術である「Picture Master for Mobile」を搭載して、さらに有機ELディスプレイ専用にチューニングを行なっています。実は有機ELディスプレイは、色をあまりにも鮮やかに再現してしまうことから、そのままですと赤や緑が非常にビビッドな色として強くでてしまいます。そのため、画像の調整には細部までこだわって、鮮やかでありながら見やすい高画質を実現しました。ほかにも、明るさにあわせて画面を自動で調整する「光センサー連動によるγ補正」によって、屋外での画面の見にくさを解消するように画質を補正したりしています。このあたりはモバイル用途のケータイならではの機能ですね。
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左から吉田氏、池田氏、小山氏、白澤氏
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――デザインはどんなことがテーマになっているのでしょうか。
池田氏
Woooケータイということで、「先進」と「上質」が基本になっています。先進の技術によって、映像の滑らかさはもちろん、外観やGUIも含めて上質感にとことんこだわっています。W53Hのターゲットとしているとしている、20代後半~30代の、新しい物に飛びつくよりも、ゆっくりと上質なものを選択する人たちに満足してもらえるデザインとしてまとめあげられたと思っています。
「Cutting edge Design」と呼んでいるのですが、メタルの塊をさくっと切ったようなエッジを効かせたデザインになっています。そのため、なるべく薄型であること、フラットであること、そして面ごとに異なる質感がでるように偏光する塗料、強化ガラス、メタリック処理などにこだわりました。ヒンジ部の曲面や、スムースなサーフェスなどがアクセントになっています。
カラーに関しては、それぞれ「都市」がテーマとなっています。ジャパンブラックは日本の大都市をイメージしながら、漆塗りのような日本の伝統文化なども表現しています。ノルディックホワイトは北欧の静かで落ち着きのある街を、ユーロパープルではヨーロッパの伝統と新しい文化の交じり合った都市をそれぞれイメージしています。また、画面デザインも暗闇の中の光をイメージさせるメニューや、高級ホテルに置いてあるディレクトリーブックをイメージしたメニューなど上質感を大切にしています。
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セルフスタンド機能。この角度でヒンジの傾きを止められる
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――最薄部が14.2mmとワンセグケータイとしては、非常に薄型のボディに仕上がっていますが、設計にはどのような工夫があったのでしょう?
小山氏
薄型で行くということで、どこに何を入れるかをパズルのように試行錯誤することになりました。基板のサイズは従来製品と比較すると、ほぼ半分のサイズにまで小さくしているので部品のレイアウトには本当に悩まされました。スペースを確保するために、0.01mm単位で何度も見直しを重ねて、ようやく形にすることができた時は嬉しかったですね。今回のモデルのmicroSDのスロットはバッテリーフタの下部に配置されているのですが、「もうここにしか置けない」という感じでしたね。
操作キーは実はシートキーになっているのですが、どう作りこんでいいのかについても悩みました。従来のキーとあまりにも操作感が異なってしまうことを避けるため、デザイン面も含めシートキーっぽくない押しやすいキーの作りにこだわっています。
白澤氏
ワンセグのアンテナは、ヒンジ部に内蔵されています。もちろん、感度はW52Hとほぼ同等の性能を維持しています。実はアンテナの内蔵はデザイン的な配慮だけではなく、薄型を実現するための工夫の一つでもあるんです。
それと、設計面だけでなく仕様面に関してもかなり議論しました。薄くするためには機能を絞り込む必要があるわけですが、何を残して何の機能を削るかをギリギリまで検討しています。ワンセグとしての機能はもちろん、おサイフケータイなど実用性の高い機能は削らない事を目標として検討を進め、最終的にかなり使えるケータイとしてまとめられたと思っています。
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セカンドプロフ機能。名札代わり利用できる
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――セルフスタンドやセカンドプロフなど、ユニークな機能も多く実装していますね。
白澤氏
セルフスタンドはこだわった機能の一つです。カフェなどにある小さいテーブルの上や資料で一杯のオフィスのデスクでも、コンパクトにワンセグを楽しむことを想定しています。そのため、見やすい角度で止まるよう、ヒンジ部分もきちんと作りこまれています。
立てた状態で時計表示する時にも、デスククロックのようにカッコよく使えるんですよ。そこで、デザイナーにも時計のデザインもかなりこだわって作り込んでもらいました。
犬の育成アプリ「Dogz 3D Remix」もこのセルフスタンドで使うと楽しいですよ。走り回ったり、ゴロゴロしたり、昼寝をしている姿をいつでも眺められて、かなり癒されます(笑)。犬ではないんですが、日立ならではのキャラクターも入れましたので、ぜひ楽しんでもらえたらなと思っています。
セカンドプロフはオリジナルのプロフィールを表示する機能で、テキストだけではなくオリジナル画像なども表示可能です。オフ会や合コンでニックネームや自己アピールなど軽い情報を表示して名札代わりに使って欲しいですね。もちろんセカンドプロフの情報を赤外線で交換することもできます。ジャケットやシャツの胸ポケットに引っ掛けて利用することを想定しているので、薔薇の花の画像なども用意してあるんです(笑)。テーブルの上で相手に向けてセルフスタンドで立たせて、自分のセカンドプロフを見せるという使い方もあるかもしれませんね。
自分で作成した画像も表示できるので、アイデア次第で色んな使い方で遊んでもらえたらいいなと思っています。
――本日はお忙しい中、ありがとうございました。
■ URL
製品情報(日立製作所)
http://k-tai.hitachi.jp/w53h/
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(編集部, 北原静香)
2007/11/29 11:04
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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