|
「簡単ケータイA5528K」開発者インタビュー
|
|
「~しやすさ」をテーマにした年配者にも使いやすいケータイ
|
|
|
|
簡単ケータイA5528K
|
今夏auから発売された京セラのCDMA 1X端末「簡単ケータイA5528K」は、幅広いユーザー向けにデザインされたケータイだ。現在、auの「簡単ケータイ」シリーズは「A1406PT」と「A101K」が発売されているが、A5528Kは3機種目の「簡単ケータイ」としてラインナップに加わることになる。
auでは、使いやすくなるための機能がある水準を超えた機種を、「Friendly Design」としてアピールしており、その中でも「簡単ケータイ」シリーズは、連絡先を割り当てられる「ワンタッチキー」や大型フォント表示機能など、ケータイに不慣れな人、視力が衰えた人向けの機能を搭載している。
具体的にはどのような機能が搭載されているのか。今回はA5528Kの開発を担当した京セラの通信機器関連事業本部 マーケティング部 マーケティング課の長島 三氣生氏と同部デザイン課の光永 直喜氏に聞いた。
■ 3つの「~しやすさ」がキーワード
|
京セラの光永氏(左)と長島氏(右)
|
――まずはA5528Kのコンセプトについてお聞かせください。
長島氏
どこのキャリアでもそうですが、50歳以上の年配者向けや体の不自由な方向けのケータイは種類が多くありません。そこで「簡単ケータイ」では、そういった人たちを含め、幅広い層に使っていただけるようなモデルを目指しました。
そうしたモデルには、使いやすさと簡単さがキーワードになります。実際に使いやすさとしてどのようなポイントがあるかというと、文字の大きさやボタンの押しやすさなどがあります。今回は目の不自由な方にも使っていただけるように、ということで、音声読み上げ機能も採用しました。さらに、加齢により高域の声が聞き取りにくくなった方など向けに「はっきり通話」機能も搭載しています。
光永氏
デザインはシニア層を意識しました。「簡単」や「使いやすい」、といったことも重要ですが、たとえば年齢層を問わず、普段から当たり前のように使っている家電などがあります。そういったものと同じようにケータイも使ってもらいたい、と考えてデザインをしました。親しみやすさや心地よさに重きを置いています。
テーマは「親しみやすさ」「見やすさ」「使いやすさ」の3つの「~しやすさ」です。これらをキーワードにデザインしました。具体的には、たとえばキートップの印字デザインでは、文字が大きいことはもちろん、文字の太さも重要です。
また、テンキーはフレームレス・ドーム形状デザインで、押しやすくなっています。さらに発信・終話キーはシールが貼ってあるようなイメージでデザインを変えていて、特に発信キーは着信時に光ってお知らせします。テンキー以外のキーについては、ドーム形状ではなく、たとえば家庭の照明のスイッチのように、指にフィットする反ったデザインにして、親しみやすさを与えています。
|
|
フレームレスデザインで、ドーム状に盛り上がっているテンキー
|
着信時に通話ボタンが光ることで、押すべきボタンをガイドする
|
|
ドームとは逆にへこんでいる形状のキー。指のかかりがよい
|
――キーが反っているのは珍しいデザインですね。これは普通のケータイにも今後、搭載されるような要素なのでしょうか。
光永氏
実は、この反っているキーは、人差し指で押すという年配層ならではの使い方を意識したデザインです。ケータイに慣れている方は、キーを人差し指で押すことが少ないので、あまり一般端末向けのデザインではないかもしれませんね。
キーでいうと、キートップに表示されている数字などは鉄道など公共機関でよく使われている「フルティガ(Frutiger)」というフォントを採用しています。読ませるフォントではなくて、ぱっと見て認識させることに定評のあるフォントを採用しました。
|
簡単モード時のメニュー
|
――画面のフォントはどうなっていますか。
長島氏
画面のフォントはフルティガではありませんが、拡大フォントで表示する機能があります。ユーザー調査では、32ドットあれば見やすい、という結果が出ているので、デフォルト設定の「簡単モード」では極力32ドットで表示できるようにデザインしています。
――色弱の方なども意識されているのでしょうか。
長島氏
意識したカラーデザインにしていますが、それよりも音声読み上げ機能ですね。音声読み上げ機能は、A5515Kで採用して以来、やっていませんでしたが実は、音声読み上げ対応の新機種が出ないのか、視覚障害の方から問い合わせも多くいただいておりました。音声読み上げ機能では、簡単モードのメニュー項目や電池残量、発信時の相手先読み上げまで行なわれます。画面を見ないでも、簡単モードの主な機能は音声だけで使えます。
――音声読み上げ機能を搭載した機種は少ないですが、一般端末に載せるのは難しいものなのでしょうか。
長島氏
技術的な問題よりも、音声のメモリを積むのでコストが余分にかかったりします。そこで、優先順位を考えると、一般端末では省かれてしまっています。ただA5528Kでは、その端末コンセプト上、音声読み上げを搭載することで差別化を図っています。
|
|
側面の読み上げボタンを押すことで、メニューやメールなど、操作中の項目を読み上げる
|
視力が衰えた人にも見やすい待受画面もプリセットされる
|
――新機能の「はっきり通話」はどのような機能なのでしょうか。
長島氏
年輩の方などは、高音域が聞き取りにくくなります。そこで、そうした音域、具体的には1,000~2,000Hzの音だけを大きくしています。必要のない方は、この機能をオフにしておくこともできます。
――この種の端末ですと、年輩の方が自分のために買うだけでなく、ケータイを持っていない親に持たせる、ということも多いかと思います。そうした「親に買ってあげる」という層向け機能はあったりするのでしょうか。
長島氏
ケータイショップなどで店員の方から聞くと、お客さまでご両親にケータイを持たせたとき、なかなか電話に出てくれないという話がありました。着信に気づかない、ということです。ここを意識して、ランプやキーが光るとか、バイブレーターの振動も大きくするとか、着信音も大きくするなどの工夫を行なっています。とくにバイブレーターは2種類あるのですが、標準で強い設定になっています。通常の端末よりも強いですね。
このあたりは、「10のでかい機能」、ということで「10でか」といっています。
――10でか、というのは具体的にはどういったものなのでしょうか。
長島氏
「でか文字」、「でか液晶」、「でか受話音」、「でか着信音」、「でか着信ランプ」、「でかバイブ」、「でか時計」、「でかピクト(簡単モード待受時に電池残量や電波状態の表示が大きくなる)」、「でかアラーム(通常モードのみ)」、「でかメニュー(通常モードのみ)」です。
|
サブディスプレイはサイズも大きいが表示も大きい
|
――さらにディスプレイも大きいわけですが、サブディスプレイの方はモノクロです。個人的にはサブディスプレイはモノクロ液晶の方が明るい場所でも見やすくて良いと思うのですが、珍しいですよね。
光永氏
厚さの問題もあります。本当は有機ELの方が薄くできますが、この機種の場合、コンセプト的にコンパクト化への優先順位が低く、かつ常時表示も重要なので、モノクロ液晶を搭載しています。
――3つのワンタッチキーは、「年寄り臭い」と敬遠するユーザーもいると思いますが。
長島氏
そういった場合は、別のモデルも検討していただければよいのではないかと思います。ここはあえてターゲットを分けています。
――本日はお忙しいところ、ありがとうございました。
■ URL
製品情報(京セラ)
http://www.kyocera.co.jp/prdct/telecom/consumer/a5528k/index.html
■ 関連記事
・ au、「簡単ケータイA5528K」を29日発売
・ 2.6インチ液晶の簡単ケータイ「A5528K」
(白根 雅彦)
2007/09/05 12:11
|
ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.
|
|
|
|
|
|