「SIMPURE N1」開発者インタビュー
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PDCからの乗り換えを狙うシンプル・コンパクトFOMA
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NEC製のFOMA端末「SIMPURE N1」は、必要最小限の機能を搭載した、最軽量FOMAだ。ケータイの高機能化が加速するなか、シンプルさにこだわったのには、理由があるという。NEC モバイルターミナル事業本部 モバイルターミナル事業部 商品企画部 主任の井上 達哉氏に聞いた。
■ ターゲットはPDCからの乗り換えユーザー
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NEC 井上氏
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――まず最初にSIMPURE N1のコンセプトについてお聞かせ下さい。
井上氏
SIMPURE N1は昨年末から開発を開始しています。その当時はPDC(mova)のユーザーが半分以上いて、なかでも20Xや25Xシリーズのユーザーが1,000万近くいました。彼らを調査したところ、現状のままで良いという人もいましたが、半数以上の方が、「機会があればFOMAに変えたい」と思っていることがわかりました。ではなぜ変えないのか、と調べたら、「サイズやデザイン、使いやすさで、自分にあった端末がない」という理由でした。そうした20Xや25Xシリーズユーザーが欲しい商品を研究して企画したのが、このSIMPURE N1になります。
――具体的にはどのような特徴があるのでしょうか。
井上氏
90Xよりコンパクトで、デザインも70Xシリーズみたいにとんがったものではなく、飽きの来ないシンプルなものにしました。コンパクトさでは、FOMAとしては最軽量で、容積も最小となっています。小さいにもかかわらず、連続通話時間・待受時間はFOMA最長です。PDCユーザーの移行を想定し、PDCの利点を押さえた、FOMA入門機種としての特徴を持っています。
――だいぶ機能が絞り込まれているようですが。
井上氏
機能に関しては、新しい機能に飛びつく人をターゲットにしていないので、通話や基本機能の使いやすさを考慮して開発しています。一方で20Xや25Xシリーズになかった、iアプリやFeliCaなどには対応していません。しかし、テレビ電話などFOMAの基本機能には対応しています。
■ 初代SIMPUREとは中身がまったく違う
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ボタンの配置も、クリアボタンが「2」の上にあるなど、国内のデファクトに従っている
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――初代SIMPURE Nでは、メニュー構造やボタン配置などが国内のNECの端末と異なりましたが、今回は通常の国内端末に戻りましたね。
井上氏
前のSIMPURE Nは海外で作ったものをベースにしたため、従来のFOMAとは違っていました。しかし今回は90Xシリーズと同じソフトウェアを使ったため、国内端末の流れに戻っています。名前こそ同じSIMPUREですが、初代とはまったく違っています。ちなみに、「電話帳お預かりサービス」や「おまかせロック」といったN903iに搭載されている最新機能にも一部対応しています。
――90Xベースということは、マルチタスクにも対応しているのでしょうか?
井上氏
従来のようなマルチタスクには、対応していません。自由にタスクを立ち上げ、切り替えるということはできません。ただし、メール作成中にiモードを見る、といったことはできます。
――このほか、SIMPURE N1ならではの新機能としては何があるのでしょうか?
井上氏
画面のコントラストを下げ、のぞき見を防ぐ「プライバシーアングル」をNEC端末としては初搭載しています。ボタンや画面を含めた全面抗菌にも初めて対応しました。
――電池の持ちが向上していますが、電池容量が増えたのですか?
井上氏
電池の容量は従来機種と変わりません。省電力設計よる消費電力の低下で、結果的に電池の持ちが向上しています。
――初代ではGSMに対応していましたが、今回は対応していません。これはなぜでしょう?
井上氏
初代のSIMPURE Nは、海外モデルがベースだったため、GSMを内蔵していましたが、初代SIMPURE Nの購入動機を調査すると、「シンプルさ、コンパクトさ」という元々のコンセプトで購入した人が一番多いんです。GSM搭載は二番目か三番目ですね。
■ 「デパートで買い物をする主婦」をイメージ
――デザイン面では背面にジュエルがあるなど、女性向けの印象を受けます。
井上氏
20Xや25Xシリーズユーザーが多い、30代の女性をコアターゲットにしています。ジュエルもカラーバリエーションごとに違ってますし、背面スピーカーの穴も、花柄をモチーフにデザインしています。どうやってターゲットとなるユーザ層に訴求をしていくか、現在いろいろと検討しています。
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カラーバリエーションごとに、背面のジュエルの色も異なる
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ボタン部のライトも特徴的。光り物が好きな女性を意識しているとのこと
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――30代の若い主婦を対象とするのであれば、デパートでPRすると効果的なのでは。
井上氏
そうですね。実は裏話として、今回、メニューデザインや待受画面のデザインのコンセプトは、「二子玉川の高島屋」になっています。郊外の住宅地にあるデパートで、休日に買い物をしているような主婦、というイメージです。
――なるほど。本日はどうもありがとうございました。
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(白根 雅彦)
2006/12/05 15:16
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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