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「911SH」開発者インタビュー
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初代アクオスケータイを超える「アクオスケータイ」を
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11月25日、3インチ液晶ディスプレイを搭載するワンセグ対応のシャープ製3G端末「911SH」が登場した。ディスプレイが90度回転しながら、キー側ボディと密着するというサイクロイド機構を採用したアクオスケータイの2代目で、商品企画を担当したシャープ通信システム事業本部 パーソナル通信第二事業部商品企画部の奥田 計氏は「アクオスケータイを超えるアクオスケータイを目指した」と語る。
■ 薄さに注力
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シャープ奥田氏
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――911SHは、アクオスケータイの後継機とされていますね。
905SHがおかげさまでヒットし、「アクオスケータイを超えるアクオスケータイ」を目指して開発を進めてきました。全ての面で905SHを超えようと考えました。
911SHでは「薄型が特長でヒットした弊社705SH並の薄いボディ+サイクロイド機構」をサイズ目標に開発を進め、少しでも厚くなりそうな要素が出てきた時には、すぐに担当者を集めて“緊急対策ミーティング”を開催しました。各担当者の知恵を出し合って、コンマ単位で薄くしていったのです。
――ディスプレイが大型化しているのに、薄くなるというのは不思議に思えますね。
そうですね。確かにディスプレイは2.6インチから3インチになって、面積比で1.3倍大きくなりました。その分、ボディサイズが大きくなってしまっては意味がありませんので、側面のプロテクター部分に工夫を凝すなど、額縁をコンパクトにして、幅は約50mmに抑えています。
また、薄型化の取り組みの中で一番のポイントはスピーカーの位置を変えたことです。905SHでは、キー側ボディの背面、ヒンジ寄りの場所に配していましたが、911SHではヒンジの中に置きました。スピーカーがヒンジ部中央に配されたことで、常に正面から音が聞こえ、音もより大きく、指向性が高まるという効果も生まれました。
またヤマハさんの技術を用いて、ニュースやドラマ、スポーツなど、コンテンツにあわせた最適な音響効果を発揮する機能も搭載しています。ドラマ向け設定のチューニングを行なっていた頃、ちょうど放送されていたドラマの主演俳優の「つぶやくようなセリフも聴き取れるように」といったことも追求しました。
■ ワンセグ関連
――905SHを超えた部分、としてはワンセグの視聴時間が約5時間になり、1時間長くなりました。
バックライトのLEDを高輝度化しています。つまり同じ明るさを出すのにも、より少ない電力で済むようになったのです。また、911SHでは4時間半の録画を可能としていますが、これはバックライトを付けた状態での計測であり、閉じて録画すれば液晶表示は消えますので、その分長く録画することができます。
操作面では、横画面でワンセグを視聴する機会が多いという905SHユーザーの声を反映して、横画面の状態で十字キーの上下の操作で音量を変更できたり、メニュー操作の多くをカバーするなど、操作性を改善しています。画面表示についても、好みにあわせて拡大モード、等倍モードなど表示サイズを変更できるようにしています。また卓上での操作をしやすくするよう底面をフラットにすることにもこだわりました。
ちなみに、横画面にしてワンセグを見ていると、画面にデータ放送は表示されません。サイクロイドスタイルでは画面を縦に切り替えることで簡単にデータ放送を表示できますが、911SHでは、縦画面に切り替えてからデータ放送が表示されるまでの時間が、905SHよりスピーディになっています。また縦画面に切り替えた状態でも映像を拡大して表示できるようになりました。
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録画データを分割できる
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――録画機能では、録画データを分割できるそうですが、これはどういったものでしょうか?
905SHにも録画機能は備わっていましたが、さらに使い勝手を向上させるため、さまざまな機能を盛り込みました。1つは、録画データの再生時に「#」キーと「*」キーで、30秒スキップ、15秒バックができるようにしたことです。そして、もう1つが、再生中にサイドキーを長押しすると、その場面でカット(分割)するというものです。分割すると、データそのものも分割され、要らない部分は削除できます。
この機能を使えば、たとえば番組中に面白い場面があれば、そこだけ残して人に見せ、話題にするという使い方ができます。
――自分だけで楽しむ機能というよりも、友人などとのコミュニケーションとして利用するわけですね。
そうですね。これは2号機である911SHだからこそできた機能だと思っています。個人的に、深い思い入れがある機能です。ちなみに録画データは分割しても規格に則ったもので、905SHでも再生できます。
このほか、放送される番組情報からの録画予約がワンタッチでできるようにしているのも、新たな機能の1つです。従来でも電子番組表アプリから録画予約できましたが、911SHではテレビの音を聞きながら、メニュー操作で手軽に録画予約できるようになりました。
――画質については今回いろいろ設定が追加されていますね。
当社のアクオス開発部門にも911SHの画質についてアドバイスをもらいながら、奥行きのある、より自然な色合いを目指しました。テレビの映像は、長時間見ることになりますので、派手すぎると目が疲れやすくなる一方、そういった画質を好まれる方もいます。また映画などコンテンツによって暗いものもあります。そこで911SHでは「標準」「ダイナミック」「映画」と選択できるようにしました。また、更にシャープネス、黒レベル、コントラストなどお客様の好みによって調整できるようにしました。
――ワンセグでは、チャンネル切り替えに時間がかかるという印象が強いのですが……。
その点も905SHに比べて、少しですが切り替え速度が速くなっています。また、911SHでは切り替えた瞬間にプリセットされているチャンネル名が表示されるなど、ユーザーインターフェイスも改善しています。
このほか、チャンネルは地域によって異なりますので複数のチャンネルリストを登録できるようにしています。911SHではたとえばチャンネルリストの1番は「23区」という形に登録すると、画面に「23区」と表示され自分がどのエリアに設定しているか一目でわかるようにしています。また、東京から大阪に移動すると、同じ24chの周波数に対して異なる放送局を受信します。そこで911SHの画面にエリアを変更するかどうか表示するようにしています。
■ 携帯電話としての使い勝手
――「おなじみ操作」というユニークな機能が用意されていますね。
「おなじみ操作」はMNP(携帯電話の番号ポータビリティ制度)へ向けて、ソフトバンクモバイルさんの発案で導入されているものですが、メニュー遷移をこれまで慣れ親しんだ携帯電話機のようにカスタマイズできる事が特徴ですね。
――905SHでは、横画面で楽しめるゲームなどがありましたが、911SHではいかがでしょうか?
「リッジレーサー」「太鼓の達人」など、横画面で楽しめるゲームが4本プリセットされています。サイクロイドの新しい形がいろいろなアイデアを呼んで、「ゲームしてみたら面白いかも」という開発メンバーの一言から横向きゲームの実現に繋がりました。911SHが発売され、今後はさらにワイド画面対応のゲームが拡充すると期待しているところです。
また、ゲームだけではなく、ドキュメントビューアーやフルブラウザも横画面で表示できるようにしています。画面を横に倒すと自動的に表示が切り替わりますので、コンテンツにあわせて縦横切換えれば見やすくなると思います。また、3インチ液晶ディスプレイの大きな画面で見やすいよう、フォントもあらためて設計しなおしています。
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計7色をラインナップ
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――7色というラインナップは、これまでにないことですね。
多色展開という意味では、ソフトバンクモバイルさんの端末で他にも今秋から登場していますが、限定色ではなく、全て標準色としてラインナップしたのは、初めてではないかと思います。
表面の仕上げは、光沢感のあるグロスタイプが4色、ストライプを入れたものが3色となっています。ストライプについては905SHでは布の織り目のなす不均一感を表わしたデザインを施していましたが、911SHでは、均一のストライプによる人工的な素材感が出ており、アクセサリーテイストの金属パーツとの対比が、シンプルで、上質な印象をもたらしていると思います。
905SHでは、初のワンセグ搭載機、デザインもシックであったことなどから、ユーザー層は30代以上の男性が中心でしたが、911SHではボディカラーを充実させたことにより、さらにユーザー層が拡大することを期待しています。
――ありがとうございました。
■ URL
製品情報(シャープ)
http://www.sharp.co.jp/products/sb911sh/
製品情報(ソフトバンクモバイル)
http://mb.softbank.jp/mb/product/3G/911sh/
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2006/11/29 11:11
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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