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jigブラウザ開発者インタビュー
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プラグインで機能追加を実現、フルブラウザの新たな挑戦
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さまざまな機能をプラグインとして追加できるようになった携帯向けブラウザアプリ「jigブラウザ」。バージョン7.0.0では、アプリの上にVM(バーチャルマシン)を搭載し、各機能をプラグイン化するという新たな試みがなされた。機能拡張やカスタマイズ性が向上した最新jigブラウザについて、開発担当者に話を聞いた。
なお、jig.jpの開発拠点は福井県にある。このためインタビューは、Webカメラを使って、福井と市ヶ谷(jig.jp本社)を結んで行なわれた。
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jigブラウザ開発担当の大葭原嵩昌氏(左)と坂本尚嗣氏(右)
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jig.jp本社にてインタビュー。写真は、jigブラウザ開発担当の畑山直也氏
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――jigブラウザの開発部隊は福井にいるとのことですが、そちらの環境はいかがですか?
大葭原嵩昌氏
風が吹いてビルが揺れるのはちょっと(笑)。でも、広いというメリットがあるのでゆったりやれますね。
――jigブラウザの特徴は?
坂本尚嗣氏
現在、多くのフルブラウザが世に出ていますが、特徴は機能の多さと、ユーザーインターフェイス(UI)の速さですね。パソコン用のWebサイトが見られるという点は他と同じですが、配色やユーザーエージェントなどの細かい使い勝手は違うのではないでしょうか。カスタマイズ性の高さも魅力だと思います。
また、カーソル移動時の単純な最高速度という意味ではない、加速に対するチューニングには気を使いました。あとはリンク吸着をどういう条件で、どのように吸着させるかという計算処理はこだわったところです。
――パソコン向けのアプリケーション開発と異なる点は?
坂本氏
携帯向けとパソコン向けの開発は全く別ものです。パソコン向けは、プログラムのサイズを気にせず、わかりやすさやメンテナンス性が要求されますが、携帯向けはそうはいきません。容量に限界があるため、プログラムを走らせたときクオリティが中心となり、その分、メンテナンス性が低くてわかりにくいプログラムになってしまいます。
――新バージョンの特徴や、苦労された点を教えて下さい。
坂本氏
これまでのjigブラウザは、タブが左側にありましたが、これを上に移しました。従来通りブラウザとして利用し、ツールの中から、jigletというプラグインをダウンロードして、ユーザーの好みに応じて機能を追加していく形になります。
苦労したのは、とにかくVMですね。VMを搭載したことで、開発当初はバグがどの部分に発生しているのかさっぱりという感じで、バグの報告が来ると、それを1つずつトレースしてつぶしていくという地道な作業が必要でした。
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配色機能※写真は開発中のもの
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RSSリーダー機能。ケータイ WatchのRSSを取得してみた。※写真は開発中のもの
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TOOLからjigletを選択※写真は開発中のもの
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――どのようなjigletが用意されるのでしょう?
坂本氏
背景画面や文字の色をRGBで変更できる配色設定機能やスケジューラー、検索エンジン機能などがあります。このほか、RSSリーダー機能などもあります。
――どうしてVMで機能を外に出すことにしたのですか?
畑山直也氏
こうした機能をアプリ本体に組み込むと、それだけでアプリ容量を圧迫することになるので、jigletから動作するようにしました。今後、本体から切り出せる部分は、どんどんjigletにしてしまおうと考えています。
これまで、ユーザーの要望に応えて機能を追加していった結果、かえってアプリケーションが重くなってしまうことにもなりました。jigletを使うことでアプリケーションの軽量化が行なえるのも特徴です。人によって使う機能が違うので、カスタマイズできるようにしましたが、既存のUIも残しますので、これまで通りに使うことも可能です。
また、開発キットも用意しました。Javaアプリを作れる開発者であればjigletを開発できると思います。一般の方にも作っていただけるように、jigletのポータルサイトでも周知していく予定です。
――jigletにできないこともあるのでしょうか?
坂本氏
ブラウザ本体のコンポーネントを利用するようなものは、現状jigletにはできません。これは今後の課題ですね。設定関係はシンプルなので、今後もアプリ側でやるようにするつもりです。
――オススメ機能は?
坂本氏
jigletは始まったばかりです。今あるものは、どちらかというとサンプルの要素が強く、これまでのjigブラウザに足りなかったものを補うという感じですね。現状では、待受RSS、配色などが便利ではないでしょうか。
jigブラウザは待受アプリに設定できるので、待受アプリの状態で「RSSティッカー」というjigletを待受画面に表示させることが可能です。iチャネルに近いような機能ですね。待受でRSSが取得できるようになると、例えばパソコンで受けているメールをPOPサーバーに見に行く機能を利用して、パソコンに届いたメールを待受画面に表示させることも可能です。普段パソコンで見ているRSSをiチャネル風に取得できます。
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お気に入りなども全画面に表示して閲覧性を高めている※写真は開発中のもの
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――ブラウザ本体のメニューUIを変更した理由は?
坂本氏
これまでのjigブラウザは、画面の一部に表示させるものでしたが、これを全画面に表示させることで、見やすくしたかったからです。
――逆に言うと、メニュー画面を開くと画面が全てメニュー表示されてしまうことになるのでは?
坂本氏
そこは悩みどころで、かなり議論しました。そこで、タブを選ぶときだけ、裏の画面も確認できるようにしました。携帯電話の限られた画面サイズの中で表現する必要があるので、なかなか難しいところですね。
畑山氏
それと、アプリで使えるキーにも制約がありますから。
坂本氏
ボーダフォンの場合は、アプリからクリアキーが使えないので、iアプリからVアプリに移植するのは大変でした。
――今後、jigletではどのようなことができるようになりますか?
坂本氏
まずは命令系のAPIを充実させたいと考えています。ユーザーからの要望や、ほかの開発者の意見も取り入れて進めて行ければと思っています。また、実現させるかどうかは未定ですが、ブラウザとコンポーネントを分けられるようにしたいですね。これは個人的にやりたいと思っています。
畑山氏
私は、個人的にクリップボードを実装させたいですね。テキストを範囲選択して使うようなやりかたです。
――例えばjigletの有料課金なども考えられるかと思いますが。
畑山氏
そうですね、そういう方向性も検討していきたいですね。
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jigletVMは元々、坂本氏が趣味で作ったものだったという
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――では最後に何かひとことお願いします。
坂本氏
使っている分にはあまり意識しないとは思いますが、今回のVMの実装には相当がんばりました。まさか、休日に趣味で作ったものが、ここまでになるとは思いませんでしたね(笑)。
――えっ!? 趣味で!?
坂本氏
はい(笑)。実は畑山が作ったjigムービーも最初は趣味でした。
畑山氏
面白いかなと思ってやったことが、いつの間にか仕事にになってしまいました(笑)。弊社の場合、変なもの作ったら、周りが面白がって、じゃあそれをサービスにしてしまおうという流れは結構多いですね。
――なるほど、先ほど個人的に作りたいと話された部分が、jigブラウザには活かされているのですね。本日はお忙しい中ありがとうございました。
■ URL
ニュースリリース
http://www.jig.jp/release-br/060508.html
jigletポータルサイト
http://jiglet.jp/
■ 関連記事
・ VMを搭載し機能追加が可能になったjigブラウザの最新版
(湯野 康隆, 津田 啓夢)
2006/05/09 13:00
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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