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「SA700iS」開発者インタビュー
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肩の力を抜いたFOMA端末を作りたかった
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NTTドコモから登場した「SA700iS」。GPSによるナビゲーション機能が注目される。三洋電機初のFOMA端末で、同社がドコモ向けに端末を供給するのも実に6年ぶりとなる。その三洋がどのような意図でSA700iSを作ってきたのか。同社で商品企画を担当した山崎裕史氏、畠山彩子氏、デザインを担当した麻生弘子氏に聞いた。
■ W-CDMA最高峰の市場にチャレンジ
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SA700iS
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――ドコモ向けには本当に久々の端末供給ということになりますが、どういった経緯でSA700iSを開発することになったのでしょうか?
山崎氏
三洋が端末メーカーとして常に意識してきたのは、技術的に世界の先頭を走りたいということです。NTTドコモは、W-CDMA分野では世界トップの通信事業者であり、この最高峰のFOMAという市場で勝負したいと以前から思っていました。
これは我々の勝手なイメージかもしれませんが、FOMAといえば最先端で高機能・高性能という風に見えました。我々としては、もっと肩の力を抜いたFOMA、誰でも簡単に使える、かゆいところに手が届くようなFOMAを作りたいと考えていたのです。
ちょうどそんなことを考えていた折りに、ドコモさんの70Xiシリーズで私たちの端末をご採用いただける機会を得ました。実際に開発に着手したのは2004年の春でした。先ほども申し上げた通り、90Xiシリーズにはない価値観を求めるユーザーもいるということから、三洋ならではの70Xiシリーズを開発していこうということになりました。
■ 女性のライフスタイルをサポートしたい
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左から山崎氏、畠山氏、麻生氏
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――SA700iSの一番のウリは、やはりGPSナビということになるのでしょうか?
畠山氏
コンセプトにしたのは「マイナビゲーションFOMA」というものです。このナビゲーションという言葉には2つの意味がありまして、1つは女性のライフスタイルをナビゲーションするという意味、もう1つはGPSのナビゲーションという意味です。
SA700iSを企画する上で念頭に置いていたのは、女性のライフスタイルをサポートしてくれる端末を作ろうということでした。私も一応女性ですし(笑)、まず自分自身がどういう端末が欲しいのか、ということを考えながら企画をスタートしました。
女性向けだからといって、なよっとした感じではなく、20代~30代で仕事をバリバリやっている女性というイメージです。メインターゲットが女性だと言っても、もちろん男性ユーザーにも使っていただけるように注意しながら開発を進めました。
――デザインも女性を意識したものですか?
麻生氏
そうですね。女性がターゲットということで、インテリアなどからヒントを得ながらデザインして行きました。閉じている時はシンプルでインテリアになじむ目立たない存在ですが、開けて使う時にキレイとか、カッコイイとかいう風と思っていただける存在にしたいと思いました。
側面から見ると、S字を描いたようなデザインになっていることがよく分かります。雑貨などでは見たことがある形かもしれませんが、ケータイではあまり見たことが無いんじゃないでしょうか。ここは、見た目にカッコイイと感じるだけでなく、実際に手に取って使った時の持ちやすさというところも意識した部分です。画面が前面にせり出していますので、自然と見やすくもなります。
実は、こうすることでヒンジ部の設計が難しくなってしまったのですが、どうしても譲れない点だったので(笑)、機構設計担当と互いに歩み寄りながら開発を進めて行きました。強度的な問題というより、加工の難しさですね。
■ 注目のGPSナビ機能
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GPSナビ機能を簡単に呼び出せる「いちおしナビ」ボタン
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――これまでも世の中にはGPSサービスはあったわけですが、今回の端末に搭載されているGPS機能の主な特徴は?
山崎氏
初期の商品コンセプトにありますように、「気楽に使って欲しい」という思いから、GPSの機能を追いかけるのではなく、どのようにすればライフスタイルをナビゲーションできるかという思いから企画検討をしました。
一つは、メニュー画面や操作性もわかりやすいように工夫をしました。例えば、今回の端末は電子コンパスは搭載していませんが、ソフトウェアを工夫し、常に進行方向が上に表示するようになっています。これがあると地図が苦手という方でも問題ありません
次に、料金面です。お客様にご負担いただくのはパケット通信料のみで、毎月のiモード情報料は不要です。
畠山氏
実際に使う人がどういう風に使うんだろうということを考え、なるべく簡単な操作でナビを利用できるように、ユーザーインターフェイスを含め、検討を重ねました。端末を開くと、テンキーの下にボタンが用意されています。一押しで位置を教えるイチオシ機能のボタンということで「いちおしナビ」ボタンと名付けました。ナビしてほしいと思った時には、とにかくこれを押せば大丈夫です。
――ベースバンドチップはクアルコムのMSM6250で、ナビを含め、主要なアプリケーションはBREW上で動作しているということですが。
山崎氏
W-CDMA方式の端末をBREWベースで開発するという点については、特に大きな障害にはなりませんでした。既に当社では、W-CDMA方式(UMTS方式)で海外向けの端末を開発してきた経験がありますので、開発のし易さという点では有効だったのではと考えています。
■ ナビ以外の便利機能
――ナビ以外のオススメ機能というと?
畠山氏
メールをよくする女性向けに、SA700iSにはメールを音声で読み上げてくれる機能を搭載しています。実は、この音声読み上げ機能は、音声通話の着信があった時などに着メロ代わりに使うこともできるようになっています。アドレス帳と連携し、「○○さんからお電話です」「○○さんからメールです」といった風に相手の名前を読み上げてくれます。この機能を本気でお使いになる方がいるかどうかわかりませんが(笑)、そんなお遊び機能も用意しました。ちなみに、目覚まし機能も「○時○分です」という風に時刻を読み上げてくれます。こちらは便利にお使いいただけると思います。
それから、「英単語辞書」という機能も便利です。英和・和英の簡易辞書として利用できるというものです。実は、販売店さんに説明した際に思いのほか好評だったのが、オマケとして付けたクイズ機能でした。暇つぶしには持ってこいの機能です。もちろん英語の勉強にもなります。この辞書機能については、「カメラde辞書」という機能も用意していまして、いわゆるOCR機能なのですが、英単語をカメラで読み取って、その場で単語の意味を表示できるようになっています。
このほかでは、PictBridgeにも対応していますから、プリンタとSA700iSをFOMA共通オプションのUSBケーブルと繋いで、ケータイで撮った写真を簡単にダイレクトプリントできます。最大2時間まで録音できるボイスレコーダー機能もオススメです。
FOMA初参入ということで、総力をあげて開発に取り組みました。ぜひ店頭で端末に触れてみていただきたいですね。
――お忙しい中、ありがとうございました。
■ URL
製品情報(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/product/gps/sa700is/
製品情報(三洋電機)
http://www.sanyo-keitai.com/docomo/sa700is/
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(湯野 康隆)
2005/09/27 11:12
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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