|
動画の楽しさをFOMAで伝えたい
|
|
~SH700i開発者インタビュー~
|
|
|
|
SH700i(ホワイト)
|
2001年秋のスタートから3年余り、ユーザー数が1,000万人に達しようとするFOMAの更なる普及を目指すべく、新たに700iシリーズが投入される。先頃その4機種が発表されたが、中でもシャープの「SH700i」は、「FOMAらしさ」を動画でアピールするというコンセプトを掲げている。
シャープが「SH700i」に込めた狙い、テーマは一体何なのか、商品企画を担当した伊藤 謙一郎氏に話を聞いた。
■ シャープの700iはどうあるべきか
|
SH700iの商品企画を担当した伊藤 謙一郎氏
|
――まず、SH700iの開発コンセプトについて教えてください。
伊藤氏
ただ普及させるだけの機能で良いのだろうか、それだけでは戦えないのではないか、ではシャープの700iはどうあるべきか、ということからスタートしました。まずメインターゲットとなるのは、ムーバを使い続けているユーザーです。既に900i、901iが登場しても50Xiシリーズを使うユーザーをどうFOMAに取り込むのか、という点を考えました。
どう見せれば、FOMAの一番良い点をアピールできるのか。シャープが今回出した答えは“動画”です。ムーバでも動画機能は用意されていますが、メールで送信したり、外から受信するといったことは難しいのが実情です。しかしFOMAであれば、かなり自由度が高まります。そこで動画をトリガーとして、「携帯電話にはまだ楽しいことがある」ことをアピールしようと考えました。そのため、モバイルASV液晶も搭載することにしたのです。
動画をアピールするため、2つの特徴を持たせました。1つは、液晶とカメラの角度を一致させるためにつけた角度、もう1つは、独立ムービーボタンです。動画に関する一連の動作を全てこのボタンで行なえます。そこまでするからこそ、このボタンを備えた意味があると考えています。また、動画機能をイメージさせるため、ビデオ機器でおなじみの赤い丸を刻んでいます。
ユーザーがどのような印象をFOMAに対して抱いているのか、実際にリサーチしてみると「動画ができる」という声が多かったのです。そこで、体験してもらえることに徹しようということになったのです。
|
|
撮影しやすいよう、カメラ周辺は角度がつけられている
|
本体右サイドの「独立ムービーボタン」
|
■ デザインも“動画”をモチーフに
|
SH700iの“顔”になる126万画素CCDカメラ
|
伊藤氏
「SH700i」の外観、デザインとしての造型も動画機能をモチーフとしています。端末をたたんで、メインカメラが見えるようにした場合、SH700iは大きな円から切り出したような形にしています。端末の上下が丸みを帯びていて、そこが円の輪郭にあたるわけです。円の中心から縦にスパッと切りとったイメージを演出しています。
また端末を開いて、側面から見た場合、緩やかな弧を描くような形にしました。端末下部からカメラ周辺、端末上部へと続くラインですね。この円のイメージは一体何か、と言えばレンズなんです。造型として動画をそしゃくした結果、レンズを想定したデザインにして、弧を残した形状にしました。
――ということは、SH700iの“顔”になるのはカメラ側になるんですね。
伊藤氏
ええ、その通りです。シンプルな中に、大きな円という記号を配したわけです。テーマを決めてデザインを起こしていくというのは、シャープらしいと言えるかもしれません。
今回、SH700iは、ホワイト、シルバー、ブラックの3色を用意しています。このうち、ホワイトはライムグリーンを添えましたが、このカラーは「楽しい」「面白い」といったキーワードをイメージしました。この2つの単語は、SH900iやSH901iとは異なる発想です。テーマとしては、「エスプリ」「アグレッシブさ」を演出しています。アグレッシブと言っても、とことん使い倒すのではなく、積極的、能動的に使うということです。
ブラックは、「モード」という考え方をベースにしていて、少し洒落た使い方を含んでいます。一方、シルバーは「上品さ、エレガンス」をテーマとしています。
当社が従来から言い続けていることなのですが、カラーを考える場合、年齢層や性別からの切り口ではなく、携帯電話の捉え方・使い方に対してアプローチすることにこだわっています。どう使ってくれるのか、どう使いたいのかと。それに対して、こういう色はどうですか、と提案しているのです。
ソフトウェア面、たとえばプリセットしているメニュー画面用のアイコンも外観とリンクした考え方をしています。内蔵アイコンは2種類あって、1つは「Avant-garde」という名称を付け、背面液晶周辺のスクウェアなイメージにあわせたもの。もう1つは「Sophistique」で、カメラ周辺などに配した丸いイメージとリンクさせています。これは、ボディカラーにあわせたわけではなく、世界観やモチーフを広げるためのデザインなのです。
|
|
「上品さ、エレガンス」をテーマにしたシルバー
|
「モード」をベースにしたブラック
|
■ 新しい機能はなくても楽しさは伝えられる
――700iシリーズは、一部で廉価版と言われていますが、今までのFOMA端末に手を出せなかったユーザー層には合いそうですね。
伊藤氏
SH700iでは、技術的に新しいものが入っているわけではありません。ただ、軽くカジュアルにして、レベルの高い機能を入れました。そして使い勝手を向上させて、楽しさを伝えようと。サイドの独立ムービーボタンを静止画撮影のつもりで押してしまっても、「間違っちゃったけど、動画って楽しい」と感じていただけるようにしました。だからこそ、このボタンは動画専用にして、その楽しさを伝えることだけに絞っているのです。
既に90Xiシリーズを持っている方はいいんですが、ムーバからFOMAに乗り換えるに至っていない方々がたくさんいます。リサーチの際には、どうしてだろうと一番悩みました。ハイクラスな携帯電話を求める人と、自分のペースにあわせる人がいるわけで、まだFOMAに乗り換えていない方は後者に当たるのではないでしょうか。そういった方々に対して、90Xiシリーズにない価値を持たせることで700iで乗り換えてくれるかなと考えています。
――ありがとうございました。
■ URL
SH700i 製品情報(NTTドコモ)
http://www.nttdocomo.co.jp/p_s/products/foma/700i/sh700i/
■ 関連記事
・ 動画撮影しやすいデザインの「SH700i」
(関口 聖)
2005/02/09 18:55
|
ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
Copyright (c) 2005 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.
|
|
|
|