リーフ型のデザインが特徴のGSM/W-CDMA端末「Nokia 7600」。同端末の日本語対応版が6月15日に発売される。デザイン重視の端末が日本のキャリアからも何種類か発表・発売されている。従来から世界市場でデザインコンシャスな端末を発売しているのがノキア。「Nokia 7600」の発売を前に、今後の日本市場での展開をノキア・ジャパンのマーケティング担当者に聞いた。
■ グローバルで作ったモノが日本でも販売できる環境に
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「私自身、持つモノはこだわりたい」と語る、マーケティング部ディレクター 鈴木 雅宣氏
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-「Nokia 7600」の日本語版が発売となりますが、日本語版の投入に至るまでの経緯を教えて頂けますか?
鈴木雅宣氏(ノキア・ジャパン マーケティング部ディレクター)
「ノキアでは、1つでも多くの国、1人でも多くの人に、1つでも多くの製品を届けたいと考えています。東京を含め、ロサンゼルス、ロンドンなど世界の主要都市で年1回、生き方やモノの価値観、ニーズを調査する『ライフスタイル・サーベイ』を実施していますが、その結果を踏まえたライフスタイル・ニーズに基づいて製品を開発しているのがノキアです。デザインコンシャスな端末を求める層、同じ価値観を持つ方は全世界にいらっしゃいますので、そういった方に製品をお届けできるようにというのがノキアの基本コンセプトになります。
GSMも含め40機種ほどを世界で展開していますが、機能を絞ったエントリーユーザー向けの製品からチタンを使用した高級モデルまでさまざまなモデルを展開をしています。そういったモデルを日本でも展開していきたい、というのが基本的な考え方です。日本ではどこのケータイを持っていますか?と聞くと、ドコモです、ボーダフォンです、などとなりますが、海外ではノキアを持っています、となります。携帯電話メーカーとして、日本でもこう呼ばれるようになりたいとずっと思っていました。
今まではケータイ=電話番号でしたが、グローバルでは携帯電話と電話番号が入ったSIMカードが分かれて売られているものです。ハードウェアにあたる携帯電話は好きなものを使えますし、1人で2台、3台と持つことも希ではありません。友達にプレゼントする、なんてこともありますし、家族から譲り受ける、ということもあるでしょう。我々は携帯電話のメーカーとして“ノキア”ブランドでモノを売っていきたい、というのが基本的な考え方です。
やっと、日本でもW-CDMAのネットワークが導入され、我々が世界市場で展開している機種を投入できるようになりました。そうすれば、あとは言葉の問題だけですし、Nokia 7600の日本語版ではソフトウェアのほか、キートップの日本語化も行なっています。日本で既に販売しているNokia 6650では、トライアル的な意味合いもあり、まず通話ができることを優先して日本語化までは行ないませんでしたが、これからは短い期間に何機種かを投入するといったグローバルと同じような展開もできるのではないかと考えています」
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ソフトウェア、キートップも日本語化されたNokia 7600
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-今後日本市場に投入されるW-CDMA対応端末に関しては、Nokia 7600と同様の日本語化が行なわれるのでしょうか?
鈴木氏
「基本的には、今後開発されるW-CDMA対応端末については日本でも使用できるようにと考えています」
-今回の「Nokia 7600」で利用できるSIMカードは、NTTドコモとボーダフォンのSIMカードということになるのでしょうか?
鈴木氏
「日本国内の料金で利用する、ということに関して言えば、NTTドコモとボーダフォンの2社になり、ノキアとして現在確認しているのは、ボーダフォンのSIMカードでの動作です。原理的には、NTTドコモ、あるいはボーダフォンとローミング契約を結んでいる海外のキャリアのSIMカードも、音声、SMSについては使えることになります」
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左から鈴木氏、マーケティング部マーケティング スペシャリスト CRM担当の矢澤 友晴氏、マーケティング部マーケティング コミュニケーション マネージャーの日下部真一氏
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-Nokia 7600の基本的な通信設定などはどうすればいいのでしょうか?
日下部真一氏(ノキア・ジャパン マーケティング部マーケティング コミュニケーション マネージャー)
「Webのブラウジングについては、ボーダフォンのGPRSなどのベアラー設定をして頂くことになります。メールの設定は、パソコンで使用しているものと同じ設定をすることで、契約しているプロバイダなどのメールが利用可能になります。マルチアカウントに対応しているので複数のメールアカウントを利用できますが、受信フォルダが同一なので利用には少し工夫が必要かもしれません。
製品のパッケージには詳細な設定を案内する冊子がつきませんが、Nokia 7600製品サポートサイト内に、個別の情報を入力すればユーザー毎の通信設定が1から順に表示されるWebページを用意します」
-端末を発売している通信キャリアと競合する面はないのでしょうか?
鈴木氏
「携帯電話ビジネスは端末と回線があってが成り立つものですし、これからノキアが日本で展開していく端末は、どこの通信会社のSIMカードでも使用できますよ、というものです。しかし、通信会社固有のコンテンツは使えません。また、同じ見た目の製品でも、通信会社の端末として発売することもあり得ます。海外では、スタンダードなものと、SIMカードをセットにしたもの、という形で展開しているところもあります。さまざまな製品を供給したいという考えと同じく、サービス面でもユーザーの方にいろいろな選択肢を提供できればと考えています」
■ 買い換え中心の市場へ、端末にはそれなりの価格が健全
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税込で73,290円。BEAMSやTHE CONRAN SHOPなどで限定版も企画されている
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-ノキアの端末は、インセンティブ(販売奨励金)により店頭販売価格が低く抑えられた日本の端末と比べるとどうしても値段の差が大きいわけですが、販売価格を抑えるという面から、日本のキャリアと組んだり、あるいは違った販売方法でコストパフォーマンスの高い端末を投入する予定はありますか?
鈴木氏
「今回のNokia 7600は税込で73,290円という値段になりましたが、今後第3世代携帯電話の機種を多く投入できることになれば、エントリー的な製品、つまり機能を絞ったお求めやすい製品から、逆にさらに高い価格の製品もでてくるかもしれません。種類が増えていくことによって、価格帯もある程度のレンジで提供できるのではないかと考えています。
日本ではの携帯電話の浸透率が高まり、これからは買い換え中心の市場になっていくことが予想されます。そういった市場で、負荷を負ってキャリアさんとプロモーションをするよりは、端末は端末としてそれなりの価格として使う側の人たちが認知し利用されていった方が、より自然で健全なビジネスモデルになっていくのではないかと思います」
-海外で販売されているさまざまなオプション品については、今後日本でも積極的に販売されるのでしょうか?
鈴木氏
「Nokia 7600を含めて、カバーやヘッドセットなど、今後出てくる端末で使えるものはどんどん展開していければと考えています」
-日本で購入したノキア端末へのサポート、例えば修理などはどうなるのでしょうか?
鈴木氏
「基本的にすべてノキアが責任を持って対応し、ハローノキアというフリーダイヤルを通じてのやりとりになります。海外のノキアストアでは必ず修理ができるケア・コーナーを設けていますが、日本でも同じようにできればと検討しているところです」
-「Nokia 7600」の販売経路ですが、大手家電量販店などでも販売されるのでしょうか?
鈴木氏
「今の時点では、詳細は調整中です。こればかりは詳細を詰めて“相思相愛”とならなければ実現が難しいわけですが、ノキアの製品が好きだ、と言っていただける方とは常に前向きに検討したいと思っています」
-本日はお忙しい中、ありがとうございました。
■ URL
Nokia 7600 製品情報
http://www.nokia.co.jp/7600/
Nokia 7600 製品サポート(設定方法など掲載予定)
http://www.nokia.co.jp/7600/support.html
ノキア・ジャパン
http://www.nokia.co.jp/
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(太田 亮三)
2004/06/14 16:43
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