|
iSyncインタビュー
|
|
国内の携帯にも対応したシンクロソフトをDavid Conway氏に聞く
|
|
|
|
アップルコンピュータ アプリケーションズ・ディビジョン プロダクト・ライン・マネージャーのDavid Coway氏
|
アップルコンピュータは2月、同社の同期ソフト「iSync」の最新版となるバージョン1.4を発表した。これまで、GSM端末などの海外端末にしか対応していなかったiSyncだが、新バージョンでは国内の携帯電話でも利用できるようになった。今回、iSyncと携帯電話のシンクロ機能などについて、iSyncのプロダクト・ライン・マネジャーのDavid Conway氏と、プロダクトマーケティング PowerBook/AirMac担当課長の福島 哲氏にお話を伺う機会を得た。
― ではまず、iSyncについて一体どういった機能なのか説明していただけますか。
David Conway氏:
パソコンの世界には様々なデバイスがあり、アップルではiPhoto、iTunes、iMovieといった様々なデバイスを管理するソフトを提供しています。日本では、携帯電話やPDAといった個人間でコミュニケーションをとるデバイスが昨今大変増えています。こうした中でiSyncでは、携帯電話やPDAの使い勝手がより便利なる機能を提供しています。
携帯電話は、コミュニケーションだけでなく、カメラやビデオ、音楽など複数の目的を持っている非常にユニークなデバイスですね。このような中でそういう端末のことをデジタルハブと呼んでいますが、我々のMacもそういう役割を持っており、デジタルハブを通して、相互のコミュニケーションやインタラクションを行ないます。
― ところで、なぜシンクロさせるのですか?
David Conway氏:
今の生活の中では、パソコン、携帯電話、PDA、iPodなどたくさんのデバイスがあり、それぞれがアドレス帳などを持っています。そしてこのデバイス間で、ある情報はこのデバイスにはあるが、一方にはないといった不都合が起こる場合が多々あるのです。こうした問題に解決できるのがiSyncです。従来、シンクロというと、デバイスとデバイス間の1対1のシンクロはできましたが、iSyncを用いることでよりたくさんのデバイスを同時にシンクロさせることが可能になるのです。
シンクロナイズをすることによって、どのようなデバイスでも常に自分の情報を持つことができる。それがシンクロナイズすることの考え方です。PDA、iPod、.Macサービスなどをサポートし、今回さらに、日本の携帯電話ユーザーもiSyncを利用してシンクロできるようになりました。
.Macでは会社のMacintoshと家庭のMacintoshのカレンダーやアドレス帳、ブックマークなどを同期させることができます。また、iPodでは音楽プレーヤーとして利用するほか、アドレス帳やカレンダーを取り込むことも可能となっています。
例えば、ジムで音楽を聴きながら運動して、ロッカーまで携帯電話を取りにいかなくてもiPodで電話番号をアドレスを確認できるのです。このほか、Palm OS搭載のPDAともiSyncはシンクロできます。
そして最後に、非常に大事なのが携帯電話とのシンクロナイズです。複数の携帯電話間でシンクロナイズさせることも可能です。
― 日本ではサードパーティからの提供ですね。
David Conway氏:
日本の携帯電話向けにはリュウドが開発したソフトを使うことで、iSyncのシンクロ機能が使えるようになります。携帯電話とシンクロナイズできるソフトを我々はとても楽しみにしています。なぜなら、日本は携帯電話や携帯電話文化のリーダーと言っていいいからです。このソフトでは、携帯電話の限られたメモリに、全てや一部をシンクロナイズ可能で、カレンダーについても、複数のカレンダーを同期化したり、全てを同期化させるといったことが可能となっています。
― 日本ではBluetoothではなく、USBケーブルでの接続ですね。
David Conway氏:
海外でもBluetoothに対応していないものについては、USBケーブルで利用することになります。アップルはスタンダードを好ましく思っています。今のところ日本ではケーブルソリューションとなりますが、日本でもやった方がいいということになれば、Bluetoothにも対応していきたいと考えています。
― データの一部、全部、複数のシンクロが可能ということですが、差分データだけ持ってくることも可能ですか?
David Conway氏:
携帯電話が持つアドレス帳データをそれぞれコンフィグレーションできるので、最近のシンクロから変更があった部分だけシンクロさせることももちろん可能です。携帯電話そのものの性能にもよりますが、考え方としては、シンクロナイズボタンで、前回からの変更をみて、それぞれのデバイスの情報を比較して、全部が同じ情報を共有できるというものです。
― Mac OS Xのスケジュール管理ソフト「iCal」とシンクロできるということでしたが。
David Conway氏:
iCalにはユニークな特徴があり、複数のカレンダーを管理し、家庭や職場、フットボールクラブで予定が重なっているところも、半透明で表示させることが可能です。
また、カレンダーをインターネットやイントラネット内でパブリッシュすることがも可能で、.Macのメンバーであれば、サーバーにカレンダーを置いて、他のユーザーがカレンダーを利用するといったこともできます。もちろん見かけ上もとても美しいカレンダーですよ。
このほかアドレスブックともグループ間でシンクロナイズできます。欧州のGMS端末では、アドレスブックの写真を携帯電話とシンクロさせることが可能な端末もあります。
■ デモンストレーション
続いて、福島氏によるシンクロナイズのデモンストレーションとなった。
福島氏:
実際に携帯電話を登録する場合は、最初の同期のときだけ、携帯電話とパソコンの情報をマージするのか、パソコンのデータを携帯電話に上書きするか選択します。
― 画像のアイコンは登録する携帯電話によって変わるんですか?
福島氏:
画像のアイコンは117機種のアイコンが用意されており、ユーザーが自分の携帯電話を接続すると、それに応じてアイコンが表示されます。例えば、INFOBARはNISHIKIGOI、ICHIMATSU、BUILDINGの3色が全て用意されています。全ての端末の全てのカラーが用意されているわけではありませんが、INFOBARなどのデザインコンシャスな端末は全色用意しています。
また、新機種についても、iSyncのプラグインのようなものが用意されており、リュウドさんの方で、随時新端末の画像アイコンが追加されます。
― 携帯電話とアドレスブックのシンクロ
福島氏:
端末を登録すると通常の同期が可能となります。例えば、パソコンでは自宅のメールが追加されることがよくあります。一方、携帯電話の方には別の新しい携帯電話のメールアドレスが入っているとすると、従来これを同期させるのはやっかいでした。iSyncではシンクロさせることで、パソコンのアドレスブックと携帯電話上に両方の新メールアドレスが登録できるのです。従来はパソコンのデコードレベルのシンクロが主でしたが、iSyncではフィールドレベルで同期が可能となっています。
― カレンダーの同期
福島氏:
iCalでは、カレンダーデータが公開されているiCal倉庫というものがあります。いろいろな種類のカレンダーデータがあり、ネットワークにある天気のデータをiCal上に持ってきたり、Jリーグのサッカー試合情報の予定をiCal上に表示させることも可能です。iCal倉庫では自分の作ったカレンダーデータをアップロードできるのです。
David Conway氏:
ユーザー1人1人がパブリッシャーになれる機能です。
福島氏:
自分で作ったカレンダー以外も自分のカレンダーの中に登録できるということは、世の中のイベントを取り込んでいくとスケジュールが立体的になります。
そしてポイントは、こうした情報が携帯電話に持っていけるということ。携帯電話には以前からスケジュール機能が搭載されていますが、あまり使われていないようです。iCalのこうした機能を使うことで、携帯電話のスケジュール機能も見直されてもいいのかなと思いますね。
― カレンダーはvCalendarで?
福島氏:
そうです。iCalのようなこうしたたくさんの情報は、なかなか携帯電話の小さい画面で操作するのは難しいです。アップルはパソコンの会社であるため、パソコンを使って入力します。パソコンは携帯電話と違って画面が大きく、スケジュール検索ができるというのも特長です。たとえば、サッカー好きの人が天気予報とサッカー情報をiCalとシンクロさせておけば、どこでも確認できる。晴れたら競技場で、天気が悪ければテレビでといった具合に。
また、ToDoなどのデータも携帯電話とシンクロ可能で、iCalでアラーム付けたデータもそのまま同期できるため、時間がくればアラームが鳴ったり、バイブレーションします。
David Conway氏:
もちろん携帯電話側からアラーム設定をiCalに送信することも可能です。
福島氏:
現状では、国内はケーブルで携帯電話と接続するしかないですが、海外ではこれがBluetoothとなります。ケーブルなしで、シンクロボタンを押すだけでカバンの中に携帯電話が入っていても勝手に同期できるようになっています。国内のBluetoothの事情についてはアップルだけの力ではどうにもならない部分もあるんですけど。
|
|
アドレスブックを携帯電話とシンクロ
|
iCalのデータを携帯電話とシンクロ
|
|
「パソコンと携帯電話は、お互いが補完できるような関係が良い」とConway氏
|
― ノートパソコンと携帯電話の役割をアップルではどう考えているのですか?
福島氏:
真ん中にMacがあり、それをとりまくように携帯電話のような様々なデバイスがあるイメージですね。結局、アップルがなぜこうしたことをやるのかというと、パソコンも携帯電話もデジタルデバイスだが、どんなに進歩しても携帯電話がパソコンより性能が高くなることはないのです。常にパソコンの方が性能が上で、パソコンにはいろいろデバイスを結びつける口がたくさんある。携帯電話はやりとりできるデータの種類が限られている一方、パソコンはいろんなデータを取り込んで加工して出すことが得意です。パソコンの一番得意なところを進めるというのが我々の指名だと思っています。だからiCalやアドレスブックなどとのシンクロはパソコンがないとできないようになっているんです。
David Conway氏:
普通の人は携帯電話は常に持ち歩いていてもパソコンは持ち歩かないです。お互いが補完できるような関係が良いと思います。パソコンに入っているデータとシンクロできれば、瞬時にいろいろなことができるし、パワフルだしね。
― iSyncとBluetooth、携帯電話を使ったシンクロは米国ではどの程度使われているんですか?
David Conway氏:
BluetoothとUSBケーブルの両方ありますが、アメリカやヨーロッパでは最初はハイエンドの携帯電話しかBluetoothに対応していませんでした。しかし、だんだんミドルクラスの端末に浸透してきており、徐々に広がりつつあるのではないでしょうか。
― 携帯電話ユーザーとパソコンユーザーは必ずしも一致しておらず、携帯でメールやインターネットを使うユーザーがパソコンで同じことをやっているわけではないですが、iSyncの利便性をどうやってアピールしていきますか?
David Conway氏:
日本では携帯電話は生活の一部になっているということは認識しています。携帯とパソコンで相互に補完できるのではないかというのが我々の考え方ですね。
― 今後、こうした携帯ユーティリティがソフトやケーブルがアップルブランドで提供される可能性は?
David Conway氏:
将来の製品についてはコメントできませんが、日本の携帯電話市場は非常に大きく複雑です。日本のそうした市場をよくわかっているパートナーと一緒にやるのがいいのかなと思いますね。
― 日本ではBluetoothがまだまだ普及していませんが、今後の市場をどう見ていますか。
David Conway氏:
水晶玉で将来を占うわけにはいきません。アップルがBluetooth製品を進めているのは、日本の市場も意識した上でのこと。東芝などもBluetooth搭載携帯電話を出されるということで、将来的には広がりを見せるのではないかと考えています。そうなって欲しいですね。
― お話を伺ってiSyncの利便性がとてもよくわかりました。ハイエンドのユーザーはこうした機能を使いこなして利便性を感じるのでしょうが、一般的なユーザーもこうした機能を使いこなせるようになるでしょうか?
David Conway氏:
フィードバックを見ると、現在のところMacユーザーからはこうした製品を大変喜んでいただいているように思います。今回日本でも対応したことで、どういう結果になるのかとても楽しみですね。
― 本日はお忙しいところどうもありがとうございました。
■ URL
プレスリリース
http://www.apple.co.jp/news/2004/feb/18isync.html
アップルコンピュータ
http://www.apple.co.jp/
■ 関連記事
・ リュウド、iSync機能対応の「携帯シンク Plus for Mac」
(津田 啓夢)
2004/03/05 12:35
|
|
|
|
|