スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

2025年の「俺的」神ガジェット総決算! キーボード沼の行き先と「画面付き」充電器が最高だった

 さて、今年もあと10日くらいで終了。本連載も今回が2025年の最終更新ということで、今回は今年に記事内で取り上げた物事を振り返ってゆきたいッ!!!

 ざっくりした印象で、2025年に取り上げた回数が多かったのがキーボード。俺的には数年に一度「キーボードの波」が来る感じだが、2025年がそんな年だったのかもしれない。

 つい最近扱ったのがPFU「HHKB Professional Classic Type-S」。打鍵感が非常に良いコンパクトなキーボードだが、「日本語配列版HHKBには矢印キーがある」ということで、記事を書いた後に「やはりコンパクトキーボードはイイ!」、「これを機会に日本語配列版HHKBに移行してしまえ!」とか思い立った。

2025年10月21日発売のPFU「HHKB Professional Classic Type-S」。USB Type-C接続のみに対応しつつハイエンドモデルと同じType-Sキーを採用したHHKBのハイコストパフォーマンス・モデルだ。直販価格は税込3万1900円。これは日本語配列版で、右下には矢印キーがある。
こちらは同モデルの英語配列版。独立した矢印キーはなく、fnキーと同時押しで矢印キーと同等の入力となるキーがある。矢印キー多用野郎の俺にとっては、HHKBの英語配列版はなかなか慣れることができない。

 英語キーボード派の俺ではあったが、矢印キー使いたさから日本語キーボード派になろうと、かなり日本語配列版HHKBを使った。日本語配列キーボードに慣れちゃえば、キーボード選びの選択肢が大きく広がるとも考えた。

 慣れようと日本語配列キーボードを使っている途中で、「でもこういうコトをそんなに頑張ってもなー」とは思った。だが、「頑張ったことないから一度くらい頑張ってゆきたいッ!!!」と自分を奮い立たせて日本語配列に慣れようとした。

 結果……まだ慣れようとしている途中だが、「もしかしたら英語配列版だけどちゃんと矢印キーもあるコンパクト系キーボードの東プレ「REALFORCE RC1 Keyboard」を使えばいいのか?」と思った。そして現在は、そのREALFORCE RC1も交えつつ、この先使うべきキーボードとキーボード配列を試しているのであった。

東プレ「REALFORCE RC1 Keyboard」。REALFORCEシリーズフルサイズキーボードと比べると70%サイズのREALFORCEキーボードで、静電容量無接点方式の東プレスイッチを採用している(HHKBのキースイッチとほぼ同じ)。日本語配列と英語配列が用意されているが、どちらの配列にも独立した矢印キーがある。価格はすべて3万5860円。
色違いのキーキャップなども別売されている。また、東プレの別モデル・Mac配列キーボードのキーを、REALFORCE RC1に装着することもできる(メーカー保証外)。

 REALFORCE RC1はHHKBほどは小さくも軽くもないが、テンキーレスキーボードよりずっと小さく、無理してキーを省いている感じではなく、英語配列・日本語配列ともに矢印キーがあるので、なんかも~俺に最も近いコンパクトキーボードなのかもしれない。

 もうちょっと試行錯誤して結果を出し、その試行錯誤のアレコレまで含めた体験をぜひ記事化してゆきたいッ!!!

 ……でもまあ、自分に最も合うキーボードをアレコレと試行錯誤するのは、やはりオモシロい。ライターなのでキーボードは毎日もっとも多用する身近なデバイスだし、自分に合うキーボードでタイプすると、なんかこうちょっとハイになるような没入感がある。

 そういう観点では、リニューアル発売? された、Unicomp「Mini M」というキーボードも、俺にとってはサイコーのキーボードのひとつだ。

近年発売されたUnicomp「Mini M」。レビューはコチラ。クセが強いキーボードではあるが、好きな人は「こういうの大好き!」となる一種の逸品だ。
これがその前身のひとつである「IBM Model M Space Saver 1393278」。25年くらい前に「既に昔のキーボード」であったが、その頃に買って使ったらサイコーに良くてビックリした。

 これらのキーボードもイイんだよなぁ~、とか思いつつも、「あまりこういうキーボードにこだわっても沼るしなぁ……」とモヤっている。のだが、「沼っちゃおっかニャ~」と思ったりもして、これらIBM方面キーボードのキーキャップをMac配列にカスタマイズしつつあったりする。これもまた、機会があったら記事化してゆきたいッ!!!

使いやすいマウスを探していくのも楽しいのダ!

 ここ数年は愛用のマウスに悩まされてきた。マウス表面のラバー素材がベタベタしてくる症状に辟易しつつあった。

 愛用のマウスはロジクールのMX MASTERシリーズ。だが最近のモデルは全部表面のラバー素材がベタベタしてくるのであった(ブリーディング現象)。しかし、2025年10月30日に発売されたロジクールのフラッグシップマウス「MX MASTER 4」は表面素材が変更され、ベタベタする可能性が激減した……と思われる。

わりと最近まで使用していたロジクールのMX MASTER 3Sはブリーディング現象を起こしてラバー素材表面からベタベタした液体が滲み出てきた。親指が当たる部分がテカっているが、マウス表面の滑り止めラバー素材がベタベタしている状態だ。樹脂素材がベタベタしてくるのは、ブリーディングやブリードアウトと呼ばれる現象で、合成樹脂の表面に主成分(ポリマー)とは異なる合成樹脂構成物質が滲み出るもの。滲み出した物質を拭き取るなどすればベタベタは取れるが、これは一時的な対症療法のようなもので、ブリーディング自体を止めることはできないそうだ。また「物質が十分に滲み出終えるとブリーディングは収まる」とも言われている。
最新型のMX MASTER 4は、表面素材が硬質な樹脂とシリコン(左右横側)へと変更になった。硬質樹脂やシリコンは変質しにくいので、たぶんブリーディングのベタベタも起きにくいハズ! 1カ月以上使っているが、ベタベタは起きていない。

 MX MASTER 4をはじめとするマウスの記事もけっこう書いた。ベタベタ記事も。

 キーボードと同様、手に触れるデバイスはコダワリどころで気にしどころ。アレコレ試していくこと自体楽しい。

モバイルバッテリーとUSB充電器、ケーブルも容量も使用スタイルも激変?

 ここ数年で「ずいぶん変わったなあ」と思うのがモバイルバッテリーやUSB充電器などの給電関連デバイス。以前は容量や出力、携帯性や基本的な扱いやすさ、それらに見合った価格かどうかで選んでいた。単純な選び方をしていた感じ。

 だが、最近の俺の場合、上記の要素はもちろんだが、「あれば絶対便利な付加価値」を重視するようになった。

 たとえばディスプレイの搭載。出力や給電状態などを数値で可視化してくれたりするので、「急速充電中だ」、「このくらい充電されると出力が自動的に抑制されるのか」といったことがわかって興味深いし役立つ。それ以前に「ちゃんと充電されているのかどうか」を目視一発で確認できて実用的だ。

 そしてとくにイイと感じるのは、モバイルバッテリーもUSB充電器も、充電用ケーブル巻き取り式や内蔵式である製品。携帯用のモバイルバッテリーやUSB充電器の場合なら「ケーブルを別途持ち歩く必要がナイ」、「ケーブルの携帯し忘れがない」というメリットがある。

 また、充電するデバイスにケーブルをつなぐだけで充電を始められる。1回の接続だけ。ケーブル巻き取り式や内蔵式でない場合、デバイスにケーブルをつないで、バッテリーや充電器にもケーブルをつなぐ。接続の手間も半分にできるのは、些細かもしれないが快適な要素だ。

これは「Anker Prime Charger (250W、6 Ports GaN)」というUSB急速充電器。高出力・多ポートであるのに加え、各ポートの出力などを詳しく数値にて可視化するディスプレイを備える。スゲく便利。時計機能付き。ただし直販価格1万9990円とお高い。
こちらは「Anker Solix C200 DC Portable Power Station」というポータブル電源。ただしAC100V出力(コンセント)やシガーソケット出力は非搭載。バッテリー容量は192Wh(6万mAh相当)で合計最大出力は200Wなので、強力なモバイルバッテリーというイメージだ。コレを置いた場所がどこでも「充電ステーション」になるので、コンセントがない場所でもデバイスの充電大会ができる。大きさは約幅10×奥行き11×高さ18.5cm、重さは約1.9kg。セルは3000サイクル充電に対応したLiFePO4(リン酸鉄リチウムイオン)バッテリーで比較的に安全性が高い。
これは「Anker Power Bank(25000mAh、Built-In&巻取り式 USB Type-Cケーブル)」というモバイルバッテリーで、2本のUSB-Cケーブルを「内蔵」している。巻き取り式のUSBケーブルの長さは約70cm。ケーブルを必要な長さまで引き出すとそこで止まり、再度少し引くと巻き取られていく。一体型USB-Cケーブルの長さは約30cm。ケーブル内蔵でありかつディスプレイ搭載でヒッジョーに実用的だ。直販価格は1万4990円。
コレはTOPADREブランドの巻き取り式ケーブル内蔵USB充電器。Amazonで4999円だったが、現在は販売終了のようだ。携帯向けのUSB充電器だが、ケーブルが巻き取り式なのでナニカと便利。ポート類の反対側にあるACプラグは折りたたみ式。USB Type-Cケーブル端プラグ部は本体にマグネット吸着する。

 まあでも、ケーブル巻き取り式や内蔵式の場合、ケーブルが断線などしたら、モバイルバッテリーやUSB充電器の一部が壊れたのと同義。やや脆弱なパーツが使われているから製品寿命が短い、という考え方もできる。

 しかし俺の場合、そういう製品をアレコレ使っているが、ケーブルの断線やコネクタの故障は経験していないし、ケーブル巻き取り式のモバイルバッテリーやUSB充電器で巻き取り機構の故障も経験していない。そもそも、単体のケーブルでも断線などの故障は記憶にない。たぶん俺のケーブル類の扱い方が丁寧だからだと思う。

 ただ、巻き取り式のUSBケーブル単体品は、ひとつだけ故障経験アリ。分解してみたら接点にグリスが付着していて、接触不良を起こしていた。マイナーなメーカーの製品で、製品管理がおろそかだったのだろう。ともあれ、そういうケースは有り得る。

 まあそのあたりはユーザーの考え方次第。しっかりとした製品保証を提供しているブランドの品を買えば、より安心して使えるとも思うので、興味があればぜひチェックしてみてほしい。

なんだかんだで毎日or頻繁に役立っているモノたち

 2025年に紹介した製品で、毎日役立っているモノも少なくない。その筆頭はBenQのモニター掛け式LEDライト「ScreenBar Halo 2」。同様にセミオーダーのアクリル製「台」と「キーボードラック」も毎日役立っている。

ディスプレイ上部にBenQのモニター掛け式LEDライト「ScreenBar Halo 2」を置いている。画面に光が写り込むことなく机上を照らしてくれる省スペースデスクライトというイメージだ。
電源のオンオフや調光などはワイヤレスリモコンで行う。最初「ワイヤレスリモコン、要るかぁ~?」とか思ったが、都合のいい位置に置いてライトをコントロールできるのは非常に便利だ。
ディスプレイの下にあるのがセミオーダーのアクリル台(2個)。これによりディスプレイが揺れにくくなった(ほぼ揺れない)。非常に快適♪
こちらはセミオーダーのアクリル製キーボードラック。キーボードを覆うようなラックで、キーボードカバーとなりつつ、キーボード上の空間にモノを置けるようになる。キーボード不使用時のホコリ避けともなってイロイロ便利。

 こういう製品、後から考えると「毎日使ってるし便利だしでコスパめちゃ高い!」と満足感がアガる。毎日役立つモノはいいっスね~♪

 それから、ときどきだが役立っているものもある。「コレじゃないと……代替品がない」みたいなモノ。スキャナーである。

写真はPFU「ScanSnap iX2500」という最新のドキュメントスキャナー。ScanSnapシリーズは、以前は大量の紙書籍を電子化するために連日役立った。最近では、たまにであるが、たまった紙書類や本を一気に電子化するのに役立っている。
フラットベッドスキャナーのキヤノン「CanoScan LiDE 400」。ドキュメントスキャナーで読み込めない・読み込みにくい原稿にはフラットベッドスキャナーが便利だ。カメラ機能が高画質化しているスマートフォンで撮るという手もあるが、スマートフォン写真はコンピュテーショナルフォトグラフィーが割り込んできて原稿に対して忠実度の高いデジタル化が苦手。原稿をなるべくそのままデジタル化したい場合、こういったフラットベッドスキャナーが役立つ。

 ドキュメントスキャナーもフラットベッドスキャナーも、役立つのは月に1度くらい? みたいな頻度。だが、やはり俺にとっては「無いととても困るハードウェア」なのであり、もう何年も「たまーに超役立っている」という存在であり続けている。感謝! また使うゼ!

やっぱり2025年もAIにアレコレ助けられた

 言わずもがな、2025年もAIが大きな進化を遂げつつ、俺の仕事や趣味をアレコレと助けてくれた。進化も変化も著しいので、今年のコトでももう過去の事象。過去をふり返って、どのAIがどうだったと書くことはしない。

 AIに総じて感じるのは「過去のデータが現在のAIで化けた」、「いまのデータは近い将来にAIで化けるかも」ということ。過去のファイルがAIで「こんなにツカエるようになった!」とか「現在扱うのが面倒なファイルでもきっとAIがどうにかしてくれるようになる」みたいな。

 たとえば文書ファイルなら、ちょっと前なら「自分で全部読んで要約するのはタイヘン」と感じられた量でも、現在ならAIに読んでもらってAIに要約してもらう、ということが可能だ。テキストで日記なんかつけている場合、それをAIに読み込ませて、いろいろな角度から分析してもらうようなことも可能で、使い方次第でたいへん役立つ。

 AIによる画像のアップスケーリングなんかもそうだ。まだ情報によってはあやふやなアップスケールを行うこともあり、たとえば文字はアップスケールするほどに崩れて「これ文字じゃなくなってる~」的なことも起きる。

 だが、風景に含まれる森とか雲とか地面とかそーゆー非人工的なものだとアップスケール後も自然に見えたりする。ちょっと前は「写真を拡大処理したらモヤモヤになっちゃった~」ってのが普通だったが、いまは「AIでアップスケールするとクッキリのまま大きくなるネ♪」という時代になってきた。

 そういうコトが多方面で起きている。人の写真を何枚か与えると、とてもリアルなその人の動画を生成したりする。過去では有り得なかった処理が、AIにより現在では可能になり、実用レベルにもなっている。

 そういえば、2025年は会話型AIが画像生成もガンガンやるようになった。これまでテキストの会話だけだったAIに写真を見せて「これをイラストにして」とリクエストするとそれに応えるとか。

 そのつながりで試したのが、AIによる写真トレースだ。トレースとは、元絵などを透かしてなぞり写すこと。写真をトレースすると、いろいろ愉快な利用法があるが、トレース自体がメンドクサイし、意外にコツが要る。でもAIだとほとんど一瞬で、写真をキレイにトレースしてくれる。

人が猫と日向ぼっこしている写真に加え、猫が単独で写っている写真の、合計2枚の写真をAIに渡した。そして「画像を線画にして」的にリクエスト。詳細は上記記事に書いた。
Geminiの出力結果。素材としてのトレース結果はクセがなくイイ感じ。
ChatGPTの出力結果。より詳細なトレースとなった。
AIによるトレース(線画)に色を塗っていくと、手軽に塗り絵を楽しめる。

 たとえば「あの写真もこの写真も全部塗り絵の原画になる!」という遊び方ができる。またGeminiのトレース結果をプロの画家に見せたら「線に迷いがないトレースですね~」と驚いていた。

 ただ、その画家と詳しくトレース結果を見ていくと「この線は不要ですよね」、「こっちの線もなんとなく引いただけっぽい」という「人間だったらやらない線の抽出」を多々していることがわかった。

 トレースは描いた線をどう処理していくかの手段なので、不要な線は邪魔なだけであり、線の取捨選択が案外難しい。AIはそこまで考慮していないので「それっぽい線画」を出力しているだけと思われる。

 ともあれ、1分かからずこういうトレースをしちゃうなんて、やはりスゴい。どんどんイロイロなコトができるようになっているAI。この先、AIがなにを起こすのか、やはり興味が尽きない。AIにも引き続き注目してゆきたいッ!!!

 てな感じの2025年。モノ的にもいい製品があったし、AIも予想以上の進化を見せてくれたし、なかなか豊作って感じの1年だと思う。今年も本連載をお読みくださってありがとうございます。来年もよろしくお願いいたします。

 それでは、よいお年をお迎えください。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。