スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

マウスの「ベタベタ問題」が解消!? ロジクール「MX Master 4」がサイコーなマウスでハッピーな件

 2025年10月30日に発売されたロジクールのフラッグシップマウス「MX Master 4」。直販税込価格は1万9900円~2万1890円(保証期間により価格が異なる)となっている。

ロジクールのフラッグシップ・マウスシリーズの最新型ことMX Master 4。前のモデルから形状などはあまり変化がなく、ソフトウェアやUIの面が大きく刷新された。
カラーはグラファイトとペールグレーが用意されている。USB Type-C充電式でPCとの接続はBluetooth(Bluetooth Low Energy BLE 5.1)もしくは専用USBドングルを使用する。

 このマウス、前モデルの「MX Master 3」から表面素材が変更されたと事前に知ったので、思いっ切り速攻で予約注文した。前モデルは表面素材がラバー素材(たぶんウレタン系)で、これがブリーディングというベタベタ現象を起こしやすかった。

 表面がベタベタしても使用できる。ベタベタは拭き取れば一時的にサラサラ感を取り戻す場合もある。

 だが、一度ブリーディングを起こすと、そうそう収まることはないので、ずーっとベタベタしたマウスと付き合うことになる。ベタベタしたマウスを使っていると気分が滅入る。

使用していたロジクールのMX Master 3Sはブリーディングを起こしてラバー素材表面からベタベタした液体が滲み出てきた。親指が当たる部分がテカっているが、マウス表面の滑り止めラバー素材がベタベタしている状態。樹脂素材がベタベタしてくるのは、ブリーディングやブリードアウトと呼ばれる現象だそうで、合成樹脂の表面に主成分(ポリマー)とは異なる合成樹脂構成物質が滲み出るもの。滲み出した物質を拭き取るなどすればベタベタは消えるが、それは一時的な対症療法のようなもので、ブリーディング自体を止めることはできないそうだ。また「物質が十分に滲み出終えるとブリーディングは収まる」とも言われている。

 で、新型MX Master 4は表面素材が硬質な樹脂とシリコン(左右横側)へと変更になった。硬質樹脂やシリコンは変質しにくいので、たぶんブリーディングのベタベタも起きにくいハズ!

 というコトで速攻で買って先日届いて使い始めたわけだが、これならベタベタしてこなさそうという確信めいた感触を得た。こういう硬質樹脂とこの手触りのシリコンがベタベタしてきたという経験がないので、きっとヘーキであろー。

左側の親指が当たる部分(着色箇所)がシリコン素材。ほかは硬質樹脂だ。
右側にある薬指や小指が当たる部分(着色箇所)もシリコン素材。

 MX Master 4を使い始めてまだ半月経過していないが、マウスとしての機能性は後述のようにサイコー。そして「この感触ならベタベタ現象は起きそうにないぞ~」というのが俺的に最も重要な使用感である。

 前の機種は「サイコーに使いやすいマウスなのに……ベタベタしてムカツキ過ぎて滅入ってくるゼ!」という感じで残念であった。

 だが、MX Master 4はたぶんベタベタしてこない感じ(知らんけど)。あぁなんて爽快なんだ! ベタついてこないハードウェアってステキ! みたいな?

 あーよかった♪ さておき以降、MX Master 4のマウスとしての使用感や機能性についてレビューしてゆきたいッ!!!

MX Master 3に慣れていたら、MX Master 4にもすぐ慣れる

 MX Master 4購入当初、前の機種であるMX Master 3と比べつつレビューしよっかなーとか思っていたが、使ってみたら気が変わった。というのは、MX Master 4はMX Master 3とだいたい同じ使い勝手だから。「基本的な部分は」ってコトだが。

 たとえば両機はサイズも大きさも、そして素材も、少々違うが、手を乗せた感じではその違いは「感じられない」もしくは「些細」という印象。動かしたりボタンを押したりしたときの基本的な操作感も非常に近い。

 たぶん、もうMX Master 3でロジクール・フラッグシップ・マウスとして完成の域に入っているので、形状や操作感を変更する必要がなかったのだと思う。まあ逆に、MX Master 3は非常に使いやすいマウスだったので、MX Master 4になったらガラリと変わって使いにくくなった的なコトにならなくて嬉しいわけだが。

MX Master 3S(MX Master 3のボタン音が静かなタイプ)とMX Master 4を並べてみた。MX Master 4のほうが少し大きいが、手にした感じはほとんど同じ。ボタン類の押下感などもほとんど同じだと感じる。
ボタンの位置は若干変わった。個人的には使いやすくなったという印象だ。

 といった感じで新旧ほとんど同じ感触で使えるので、MX Master 4を買ったその日から違和感なく使いこなせた。

 なので、「MX Master 3のベタベタがぁぁぁ~!」と発狂寸前の人は、MX Master 4に即買い換えても大丈夫……だとは思うが、身体とくに鋭敏な手に触れるハードウェアなので、買う前に実機に一度触れるのが無難だと思う。「あーこの位置のボタンは押せないかも~」って場合もありますしネ!

感触フィードバック&Action Rings機能が新鮮♪

 MX Master 4でもっとも目立つ機能性は感触フィードバック(ハプティクス技術)が盛り込まれたこと。MacBookとかのトラックパッドにある、押したりすると振動したりして、その振動から「押せたんだ」と感じられるというアレ。

 どこにソレがあるかというと、親指が接する左側面エリアで、そこにある「触覚フィードバックセンスパネル」が感触フィードバック対応のボタンとなる。

親指が当たるシリコン素材のエリアが触覚フィードバックセンスパネルで、電源を入れている間は押せば振動を感じるし、操作イベント時に振動で知らせたりもする。

 このパネルが、電源を入れるとちょっと振動したり、ペアリング前に心臓の鼓動のような振動をしたり、ほかの操作時に震えたりと、マウスの挙動としては新鮮なのであった。

 便利かどうかは使う機能によるが、これまでこの感触フィードバックを体感して、半分くらい「あら便利~♪」であり、もう半分くらいは「これはちょっと……」という感じだった。

 MX Master 4などのロジクール製マウスの多くは、Logi Options+アプリ(ドライバーのような役割)で細かくカスタマイズできる。キーアサインもかなり自由に行える。

 で、初期値では触覚フィードバックセンスパネルに「Action Rings」というLogi Options+アプリの新機能が割り当てられている。触覚フィードバックセンスパネルを親指で押すと、画面上にリング状の8つの円が表示され、その円をマウスポインターで選ぶとPCやアプリのいろいろな機能をダイレクトに呼び出せるというものだ。

Action Rings機能をPC画面上に表示させた様子。8つの円が現れ、そのひとつをクリックすると割り当てられた機能に直接アクセスできる。使用時は円にマウスオーバーすることで機能名が表示される。
Action Rings機能はLogi Options+アプリで提供されるもの。MX Master 4がLogi Options+アプリのAction Rings機能を呼び出しているというイメージだ。Logi Options+アプリを使い、マウスのどのボタンからAction Rings機能を呼び出すか、Action Rings機能の詳細はどうするのかをカスタマイズできる。
Action Rings機能を呼び出すと最初に8つの円が表示される。単純に設定すると8つの機能を呼び出せることになる。
新たにいちばん上の円をフォルダとし、そのなかに最大収納数となる9つの機能を割り当て、デスクトップ上でAction Rings機能を表示させた様子。最初に現れる8つの円をフォルダとし、それぞれのフォルダに最大収納数となる9つの機能を割り振ると、72の機能を割り当てられる。

 MX Master 4を使って親指でボタンを押すと、Action Rings機能が呼び出されて、そこから8つの機能やフォルダを呼び出すことができる。上記のように設定すれば72の機能を割り当てられる。

 でもそんなに多く……とか思うわけだが、表示された円にマウスオーバーすると機能名がポップアップ表示されるので、意外なほど実用的。親指で押してAction Rings機能出して、あとはマウスを僅かに動かして機能を選ぶだけなので、非常にラクにいつもの機能やアプリにアクセスできるという感覚。

 ただ、よく使う機能の登録作業は必要。また、どの機能をどこに割り当てるかという試行錯誤も必要。カスタマイズものだけに、ガンガン使う前には少し手間がかかるのであった。

 一方で、アプリによってはプリセットが配布されていたりする。たとえばPhotoshopのプリセットを使うと、誰もがよく使うような機能をAction Rings機能から呼び出せて実用的だ。

Photoshop用プリセットを使っている様子。プリセットはLogi Options+アプリのAction Rings機能から直接入手できる。

 そういったプリセットの設定を気に入るかどうかは別だが、事前のカスタマイズ作業が要らないというのも、そういうプリセットの利便性だ。もちろん、プリセットの設定を変更して自分の使い方に合わせることもできる。

 ちなみにこのAction Rings機能は、ロジクールのいろいろなマウスで使える。MX Master 4以外で試してみたが、MX Master 3でもMX Master 3SでもMX Master 2でも使えた。ロジクール製の多ボタンマウスならなんでもイケる? のかもしれない。ただし、当然だが、MX Master 4以外では感触フィードバックの振動は起きない。

 ただ、なんでもAction Rings機能で使うゾ! と頑張ると、若干疲れるかもしれない。Logi Options+アプリ上でAction Rings機能のカスタマイズをするのが少し面倒だから……というか、Logi Options+アプリ自体がそーんなに使いやすくない、と思う。

 また、PC上で特定の機能やアプリを呼び出すというツールはいろいろあったりする。macOS版なら↓こんなのがあり、使用中のアプリのメニューをマウスポインターのすぐ横に表示させたりできる。

 まあでも、MX Master 4だと、親指ちょっと動かしてAction Rings機能を呼び出して、マウスを少し操作するだけで多用する機能にアクセスできるというのは、スムーズでいいかもしれない。もしかするとキーボードよりずーっと長時間手に触れているデバイスなので、マウスだけでいろいろなコトをできまくりにするという方向性は正しいかもしれない。

細々した便利さも加わった、でもイマイチなところも少々……

 ココもイイな~と思った、ちょっと細々した点も。ひとつは、MX Master 4ではマウスソールが大型化したこと。けっこーな大型化。

 あと、見るところ、MX Master 4の裏面にはネジがいっぱい露出している。以前までの機種ではネジの多くがマウスソールに覆われていたので……これってMX Master 4は市場に流通するパーツを使って自分でメンテナンスしやすい、ということ? まあ分解しちゃうと保証外なので自己責任の行為になるが。

MX Master 3SとMX Master 4の裏面。MX Master 4はマウスソールがかなり大きくなった。そのためか使用時に動かしたとき、僅かな差だが、より静かに動くようになったと感じる。
MX Master 4の底面には「これ全部外せば簡単に分解してメンテできそう」という感じのネジが多々。マウスソールが大型化したり、表面材質を変更したりして耐久性が上がったため、メーカー側でメンテナンスするときに効率良く分解できるようにしたのかもしれない。

 イマイチな感じがしたのは、親指が触れるボタン(触覚フィードバックセンスパネル)が、かなり容易に押せてしまうこと。押しやすいのはいいのだが、不意に押しちゃって予期しないAction Rings機能の発動が起きてしまいがち。

 まあ別のボタンにAction Rings機能を割り振ったり、触覚フィードバックセンスパネルを押しても「何もしない」と設定したりすればいいのだが……。でもソレではせっかくの触覚フィードバックセンスパネルがモッタイナイなあ、と。

 まあちょっと意識して使えば、触覚フィードバックセンスパネルを不意に押さなくなるとは思う。すぐに慣れられそうな感じではある。

 他方で別のイマイチ感も。具体的にはPhotoshopのプリセットを使っていると、「えっこんな操作で?」というトコロで触覚フィードバックセンスパネルが振動するのだ。「あーイイっすね~このタイミングで振動」というのもあるんだが、「いやココで振動されると気が散るんですけどぉ~」みたいなシチュエーションもある。

 という感じで、たまにウザい感触フィードバック。まあこういうのは時間の問題で、徐々にブラッシュアップされて使いやすくなっていくのだとは思う。

 それから全然別の観点でのイマイチ点が。やっぱり結局、多くの人にとってMX Master 4の直販税込価格が1万9900円~2万1890円というのは「お高い」。もっと言えば「たかがマウスに2万はナイ」って人もあると思う。まあ開発費かかってんでしょうね~。

 ただ、冒頭でMX Masterのベタベタ問題に悩まされつつもMX Master大好き野郎の俺としては、MX Master 4が2万円というのは高いって感じでもない。もちろん安いほうがありがたいが、MX Masterの使い心地を知ってしまうと、高くてもあの使用感と機能性があるからなぁ~、となってしまう。

 まあこのあたりは人それぞれ価値観イロイロって感じではある。だが、やはり、MX Master 3とかMX Master 4とかは、かな~りサイコーに快適で便利なマウスなので、興味があれば、ああ買わないとしても、ぜひ一度は試用してみてほしいッ!!!

Amazonで購入
スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。