スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

最高の打鍵感を無線で! Unicompの有線キーボード「Mini M」をBluetooth化してゆきたいッ!!!

 20世紀にあった古のキーボードだけど21世紀の現在に復刻な感じでカムバックした「めちゃメカニカルな感じ」の有線キーボードことUnicomp「Mini M」。せっかく蘇ったんだから、ぜひコレをBluetooth化してゆきたいッ!!!

Unicomp「Mini M」はバックリングスプリング(buckling spring)式のキー・メカニズムを採用したUSBキーボードだ。モトは1988年製のIBM製キーボードだが、その当時のカタチに近い機構やキー配列が受け継がれつつ、2021年2月にはUSB接続の復刻版的な扱いで発売された。日本からでも注文可能。詳細は↓の記事リンクにて。

 上記Unicomp「Mini M」キーボードを買った後、このスゲくウルサいメカニカルなキーボードをけっこう使っている。打つと快感。あ~キモチいい♪ 「こういうの使い続けるのもアリなんだよなー」と思って使っている。

 一方で、仕事のときには東プレのREALFORCE R3シリーズMac版「R3HH21」を使っている。理由はPCとワイヤレスで接続できるサイッコーに打ちやすいキーボードだから。

東プレREALFORCE R3シリーズのMac版「R3HH21」。PCとのBluetooth接続・USB接続に対応しているMac向けキーボードだ。

 Mini MとREALFORCE R3は、使用感がかなり違うキーボードである。打ち心地も打鍵音も大きく異なる。誤解を恐れずに書いてみると、Mini Mは古いアップライトピアノで、REALFORCE R3は現在のプロ志向電子ピアノみたいな? 油絵の具とデジタル描画ツールの違いみたいな? でも、どちらもヒッジョーにイイんである。

 そして両者はキー配列もサイズ感も近い。なので、古のキーボードと現代的キーボードではあっても、わりと違和感なく2台を併用できていたりする。

REALFORCE R3(Mac版/R3HH21)のキー配列。
Mini Mのキー配列。

 2台を併用している感じとしては、「音と打鍵感が違うくらい」というイメージ。まあ細かな機能は違うが、テキスト入力装置としては同じように便利&愉快&気分良く利用できる。

 ただしMini MはPCとUSB接続であるのが不便。PCと有線接続して使うというのが、なんだかんだでイロイロとメンドクサイのだ。

 俺の場合、メインマシンのMac Studioには、USBハブとか外部ストレージはつながっているものの、机上にはケーブルがないことがほとんど。キーボードもマウスもBluetooth接続だからだ。

キーボードもマウスもBluetooth接続なので、MacのBluetoothをオフにしようとするとこんなダイアログが表示される。そうなんですよね~今の時代、Bluetoothがないとコンピュータを制御できなくなるケースが多いんスよね~。

 キーボードもマウスも無線接続なので、それに合わせて机上の環境も「ケーブルのことは考えていない状態」になっている。「ここにケーブルがくることないからスタンド置いちゃえ~」みたいな?

 そこにUSBケーブル接続のMini Mを出すと、USBケーブルがスゲく邪魔。Mini Mを使うのは楽しいし快適だが、使うたびに「USBケーブルめんどくせー邪魔~」「Mini Mがワイヤレスキーボードだったらなぁ」と思うのであった。

 そこで今回はMini MのBluetooth化にトライしてゆきたいッ!!! 結果から言えばアッサリ成功したッ!!!

BitTradeOne「USB2BTPLUS」で一発成功、便利な時代になったニャ~♪

 Mini MのBluetooth化に使った機材は、BitTradeOneの「USB2BTPLUS」というアダプター。USB接続のHIDデバイス(キーボード/マウス/ゲームコントローラーなど)をBluetoothデバイスにしちゃうという便利な製品だ。直販価格は8778円。

これがBitTradeOne「USB2BTPLUS」のパッケージだゼ!!! USB2BTPLUSは、たぶん「USBトゥーBluetoothプラス」って読むゼ!!! 電源供給用USBポートの違いで、Type-CタイプとMicro-Bタイプがあるゼ~ッ!!!
これがBitTradeOne「USB2BTPLUS」本体だゼ!!! 相変わらずBitTradeOne製品は電子工作テイストがあってナイスだゼ!!!

 で、いきなり正直な話をすると「BitTradeOne製品はマニアックで取っつきにくい」という印象があった。また実際に使ってみると「わかりにくい」という印象もあった。

 たとえばBit Trade One「USB CABLE CHECKER2」を買ったときもそうだった。サクッと使い始められる……わけではなく、多少は説明書を読みつつお勉強しないとダメ、みたいな。まあモノのカテゴリーが全然違うってのもあるが。

 で、今回使った「USB2BTPLUS」もそうなのかなーと思っていた。のだがしかし、使ってみたらサクッと使えてMini MのBluetooth化が一発完了。誰が使っても「まあまず間違わない」というスムーズな使い勝手なのであった。

Mini MをBluetooth化するにあたって用意したのは、Mini M本体、Mini M接続用USBケーブル(Mini M付属品)、USB2BTPLUS本体、USB2BTPLUS給電用USB-A/USB-Cケーブル。USB2BTPLUSはUSB給電で動作するが、今回使ったUSB2BTPLUSの給電用ポートはUSB-Cとなっている。
USB2BTPLUSに給電するとLEDランプが点灯する。USB HIDデバイスを接続し、USB2BTPLUS上のボタンでペアリング先を選び、ペアリングボタンを押せば、PCやスマートフォンなどとペアリングできるようになる。詳しい使い方はBitTradeOneのWebサイトにある。

 必要な機材を用意して、つないで、USB2BTPLUSに給電して、PCなどとペアリングするだけ。フツーのBluetoothデバイスと同様に設定できる。USBマウスなどでも試してみたが、USB2BTPLUSは一般的なUSB HIDデバイスを超手軽にBluetoothデバイスに変身させる便利なアダプターなのであった。

 さておき、USB2BTPLUSを使い、Mini MをMac StudioにBluetooth接続。すると、いつものように↓こうなった。ちなみにMini MはUS配列キーボードだ。

Bluetooth化したMini MをMac Studioとペアリングさせると……Bluetooth初回接続時のいつものダイアログが表示された。「製造元"Topre Corporation”のデバイス」と表示されているが、これは何かの間違いかバグかなんかで、つなごうとしているのはBluetooth化したMini Mである。
言われたとおりにキーを押す。「Z」キーである。
続いて「/」キーを押す。
この状態で「完了」をクリックすればペアリング完了。
必要があれば「システム設定」→「キーボード」→「キーボードショートカット」でキーの機能割り当てを変更する(macOSの場合)。
キーの機能割り当て(キーバインド)の変更は、「システム設定」→「キーボード」→「キーボードショートカット」→「装飾キー」で行う。複数のキーボードが接続されている場合は、「キーボードを選択」の部分にターゲットとは別のキーボード名が表示されている場合があるので、正しく選び直す必要がある。

 という感じで、Mini MとUSB2BTPLUSをつないだら、その流れで一気にペアリングから設定まで完了。いつものBluetoothキーボード接続と同じ~♪ あらカ~ンタン♪ 古のキーボードがこんな手間なくBluetooth化されちゃっていいの? とか思ったりした。

Bluetooth化したMini Mの使い心地は?

 サクッと済んだMini MのBluetooth化。ではでは、その使い心地は?

 結論から言えば、Mac StudioとMini Mは、USB接続でもBluetooth接続でも、同じように快適に使えている。テキスト入力中の遅延とかもない。完璧。Mini MとMac StudioをつなぐUSBケーブルがなくなった、だけ、みたいな?

 ただ、この記事を書いているとき、Bluetooth接続を解除したり、ペアリング自体を解除したりして何度かテストしていたら、(それが原因かもしれない)不具合もあった。

 具体的には、たま~にって感じだが、USB2BTPLUSの電源を入れてもMac Studioと自動的にBluetooth接続しないことがあった。これはMac Studioの再起動で直った。また、Mac StudioとUSB2BTPLUSのペアリングを解除し、再度ペアリングしても直った直った。

 そうして正常化したあとは、USB2BTPLUSの電源が入れば自動でMac StudioとBluetooth接続される。

 しかし、この問題が起きたのは上記のようにペアリングを解除したりとアレコレしていたときだけ。前出のスクリーンショットでは「製造元"Topre Corporation”のデバイス」と誤って表示されていたが、ソレも上記テストのタイミングで取ったものなので、Bluetoothペアリングを不必要に繰り返して起きたOS側の問題なのかもしれない。

 なお、USB2BTPLUSは接続先を3つ設定でき、USB2BTPLUS上のボタンで接続先を変えられる。Mac Studioのほか、iPhoneともペアリングしてみたが、USB2BTPLUS上のボタン操作で手軽に接続先を変更できて便利である。

Bluetooth化したMini Mは、もちろんiPhoneなどのスマートフォンやiPadなどのタブレットと接続して使うことができる。
iPhoneとMini MをつないだときのiPhone側の表示。中央はMini Mから入力中。Mini Mの電源をオフにしてBluetooth接続を終了すると、iPhone側にはソフトウェアキーボードが表示される(右)。

モバイルバッテリーを電源に、ケーブルも最適化してみる

 Mini MのBluetooth化はアッサリと成功。いつだか忘れたが、かなり以前に単なるUSB HIDデバイスをBluetooth化しようとしたときは、Bluetoothドングルが必要だったり、ドングルとホストの相性があったりして、手軽じゃなかったような曖昧な記憶があるが、最近は手っ取り早く済んじゃうんスね~♪

 あと、もう10年前の話だが、Mini Mの前身である往年のキーボードことIBM「IBM Model M Space Saver 1393278」も、PS/2・USBアダプターで「アッサリ蘇った」という記憶がある。時代が違うから昔のキーボードをいまのPCにつなぐの無理だろ~と思っていたが、アッサリと。

 アッサリ、というのは、この「IBM Model M Space Saver 1393278」はPS/2という古いインターフェースで、それが今の(と言っても10年くらい前の)コンピュータにつながるものなのか? 無理では? とか思っていたがスッとつながったからだ。

 一昔まえは、PS/2キーボードをUSBポートしかないPCにつなぐとか、USB HIDデバイスをBluetoothデバイスに変身させるとか、そーゆーのってけっこうマニアックでメンドクサイもしくは無理だったんスよ~。でも、いまってカンタンにデキちゃってビックリ。いまのOSの懐が深くなったからか、アダプターがコナレてきたからか、どちらにせよユーザーとしてはありがたい。

 だがしかし、Bluetooth化しただけのMini Mは、まだ使いにくいのであった。それは、Mini MにつないだBluetooth化アダプターことUSB2BTPLUSの電源を、USB充電器から取っているから。USB充電器とキーボードは、USBケーブルで接続されていて、やっぱりそのケーブルが邪魔なのであった。

 そこで、USB2BTPLUSの電源をモバイルバッテリーにしつつ、使うケーブルも短いものにしてみた。モバイルな感じのBluetoothキーボードとしてMini Mを使えるようにしてみたというわけだ。

前出のBluetooth化済みMini Mは、USB2BTPLUSが外付け感が強いつながり方で、そこにつながる給電用USBケーブルも邪魔だった。それらを短いUSBケーブルとモバイルバッテリーと置き換えることで、スッキリさせてゆきたいッ!!!
短いケーブルでMini MとつないだUSB2BTPLUSは、Mini M上部にペタリと貼っちゃう。
短いケーブルでMini Mに給電しているモバイルバッテリーも、Mini M上にペタリと貼っちゃう。
ひとまず完成。モバイルバッテリーとしてさらに薄型・小型のものを使ったり、USB2BTPLUSの貼り付け位置を工夫すれば、さらに自然な「古だけどモバイルなキーボード」ができるかもしれない。

 おー、なかなかイイ! 最初は「Mini MのBluetooth化を試してみたい」くらいに思っていて、じつはソレをずっと使い続けるというアタマはなかった。のだが、モバイル志向な無線Mini Mとして展望が広がってくると、さらにマジメにMini MのBluetooth化を進めていきたいような気がしてきた。

 ……たしかMini Mの内部って、わりと空間があったような? そこに薄型モバイルバッテリーを埋め込んで、さらにガワを外したUSB2BTPLUSも埋め込んで、LEDランプやボタン類へMini M外側からアクセスできるように改造して、埋め込んだモバイルバッテリーに外部から充電できるようにもして……とか妄想してしまう。

 まあ完全にメーカー保証外だしヤバい要素もある改造ではある。が、やってみたいかも! Mini Mは現行のキーボードで、現在購入可能なので、そういう改造も「思い切れればヤレる」のでであり「サイコーに失敗したら買い直せる」のであって、なんかこー妄想に歯止めが利かないかもしれない。

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。