スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

画像生成AI「Midjourney」とPhotoshop、クリスタを使ってマンガ・スタイルに挑戦してみたッ!!!

 有名な画像生成AI「Midjourney」。俺の場合は2023年3月から使い始めたが、我ながら意外なことに、その後も飽きずにずーっと使い続けているのであった。

 使い続けている理由はいくつかある。

 ひとつは紙媒体やWeb媒体で記事を書く際の「イラスト」を容易に生成できること。イラストの発注は手間も時間もかかり、もちろん料金も発生する。「記事の賑やかし」や「雰囲気作り」程度のイラストなら、今の画像生成AIで十分だと感じる。Midjourneyを使うと高効率・安価・スピーディーにイラストを生成でき、仕事において実用的なのだ。

 また、最近では(Discord経由ではなく)Webアプリで使えるようになった。UIも次々に使いやすくなり、高機能になり、生成した画像の整理もしやすくなった。「前にこういうの生成したよな〜アレを使えばいいか〜」といったとき、その画像を非常に探しやすくなった。

 それと、創作としておもしろいこと。以前Midjourneyで生成した風景に対して「よりリアルになるようにレタッチ」したことをきっかけに、最近はMidjourneyの絵をベースに、絵本のようなものを創作している。

 上記記事には、Midjourney生成の風景のなかにある「看板などの日本語じゃない文字」を徹底的に日本語化するようにレタッチした、という話を書いている。だが、それにはもう飽きた……というか、キリがないので、やめた。

2023年6月にMidjourneyが生成した「千と千尋の神隠しっぽい風景」。ソレっぽいのだが、商店の看板に謎の文字が書かれている。気持ち悪っ!
謎の文字をレタッチして日本語へと「校正する」という……まあ遊びですな
余談だが、左が2023年6月に生成したもので、右が2025年3月頃に生成したもの。どちらも同じプロンプトを使っているが、総じて現在の最新バージョンのMidjourneyは「より強い臨場感と繊細な光量で描画している」と感じられる。でも街の中の看板などは、相変わらず謎の文字だ。

 生成された風景のなかの謎文字を日本語へ「校正する」という遊びに飽きた俺。現在は絵本的なものを作るようになった。たとえば↓こんな感じ。

創作物の例。AI生成の背景、オブジェクトなどをコラージュしつつレタッチし、それに短い文章を加え、絵本のようなものを作っている。この前段階では小説+挿絵というスタイルだったが、文章に重点が置かれるスタイルで作るのは面倒っていうか進捗が遅いので、「絵とそれを簡単に説明する短い文章だけの絵本みたいな創作物」を作るようになった。1日に20ページくらい作れたりする。使っているアプリはPages(ワープロアプリ)。複数ページのPDF化も容易なので、簡単に絵本のようなものを作れる。なおこの創作物はサンプルのため、AI生成の背景にテキストを足しただけで、人物やオブジェクトの追加、レタッチなどは施していない。……あー誤植! ×「ベンチ座っていた」 ○「ベンチに座っていた」 いや〜サンプルということでさっき急いで作ったものなのでぇ〜

 で、この創作が、意外に楽しい。AI生成の「絵」は、かなり高速にて出力できる。たとえばMidjourneyのTurboモード(生成速度のオプション)を使うと、10〜15秒で4枚出力できる。

 速いGPU(ビデオカード)を載せたマシンがあれば、もっと超速く生成可能だと思う。また現在は無料で使えつつ商利用も可能なAIモデルが多数流通しており、無料配布の完成済みLoRA(Low-Rank Adaptation/画像生成AIなどを効率的に運用するためのファインチューニング方法のひとつ)が多数ありつつ、自分でLoRAを作ってより強いオリジナリティを出すこともできる。

 でもMidjourney、ラクで便利なんスよ。Webアプリなら外出したときの空き時間にパパッと生成の続きができる。スマートフォンでもタブレットでもできる。画像はダウンロードできるほかMidjourney上に保存されて、ヘタな画像ブラウザよりも効率的に生成済み画像を扱える。

 結局、生成AIとゲームにしか使わない高価なGPUを買って、自分のマシンのなかで画像生成を行うより、月に20〜30ドル払って生成AI遊びするほうがいい、と俺は判断している。あれ? 話が逸れた?

スマートフォンだと小説や絵本は読みづらい?

 作った絵本的なPDFは、たまに友達に見せたりしている。内容的には好評っていうか喜んでもらえるのだが、ひとつ問題があった。

 それは、文字と絵を同時に追えないということだった。狭い画面のなかで絵をじっくり見ようとすると、拡大表示などをしたくなる。全体像を見て、興味のある部分を拡大、みたいな。

 だがそうしていると、文章が見えにくい。絵の全体像を表示していると文字が小さくなって読みにくく、逆に文字を読みやすい大きさに拡大すると絵の全体像などが見えにくくなる。

絵の全体像が見える状態。絵本1ページ分の表示イメージだ。絵の全体像が見えるものの、これだと文字が小さくて読みにくい。……誤植
絵の細部を拡大してじっくり見ていると、文字はほとんど見えなくなる。てか……誤植
文字を読みやすい大きさにすると、今度は絵がほとんど見えなくなる。あぁ……誤植

 とくに老眼が入ってくると、この「絵と文字を同時に楽しめない問題」は重大。ある程度の大きさ以上のタブレットやPCでは出ない問題ではあるが、スマートフォンで手軽に楽しめないのはなぁ……。

 んんん……? これと似た問題、あっアレか電子書籍か。

 電子書籍でもまた、小さい画面だと小説や絵本は楽しめない。雑誌もそうかも。いや楽しめないってことはないが、文字サイズと挿絵などが起こすジレンマが付きまとう。

 でもなんで俺のスマートフォンにはKindleアプリ入ってんの? ……あーコレはアレだ、スマートフォンでマンガ読むためだった。マンガだと、絵とセリフなどがバランスされたサイズになっているので、ストーリーを読みながら絵を見ることができる。

 そうか、じゃあ俺の絵本的な創作も、マンガのスタイルでやればいいのか。いいかもマンガ・スタイル!

マンガ・スタイルにしたら、創作に10倍時間がかかるようになった、が……

 試しにPhotoshopでマンガ・スタイルに挑戦。絵本の絵となる画像をコラージュし終えたら、ソコにストーリーやセリフや入る枠やフキダシを入れていく。そしてその中にストーリーやセリフを書き込んでいく。

マンガのスタイルで前出の創作物を作り直した。スマートフォンで表示しても、絵と文章の両方を同時に追っていける。なお、1画面上だけではテキストが収まりきらないので、画像のサイズを変えたり、若干の変化をつけて、ページ数を増やすという方法をとった。……あーっ誤植! ×「醒める」 ○「覚める」 いや〜サンプルということでさっき急いで作(以下略)

 なかなかイイ! マンガ・スタイル、イイ!

 のだが、Photoshopだけで作ろうとすると、フキダシ類の作成や文字の入力がけっこーメンドくさい。それまでの製作スタイル───画像はPhotoshop上で一気に作り、添える文章はPages上で書いていたが、Photoshopだけでそれと似たことをすると、創作時間が10倍かかるようになった感じ。……まあ、フキダシ類がある程度増えてくれば、既存のフキダシ類をペーストして、そこに文字入力する程度だから、このスタイルでの創作が進めばラクになってくると思うが。

 って思ったところで思い出したのが、イラスト・マンガ制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」通称「クリスタ」である。そうそう、もっと思い出した、前に買ったんだこれ。しかも「フキダシを簡単に作りたい!」という理由で、だった。

 確か「コミPo!」というマンガデザインツールがきっかけだった。コミPo!によるマンガをもっと高度化させたい! 的な流れでクリスタを買ったのだ。

 余談だが、じつは昔、4コママンガをよく描いてたんスよ。Photoshopや手で4コママンガを描いていたのだ。しかも商業誌に連載していた。昔、短期間だが、プロマンガ家だったのだ。

 さておき、今ってクリスタどうなってるのかニャ〜と見てみたら、えええっ! そんな機能やあんな機能が! そんな凄いアプリだったのか? ユーザーが作った便利そうなブラシ類も安価(ていうか低CLIPPY)で入手できるっぽい!

 なんか最後にクリスタ使ったのは10年以上前だが、ものすごーく効率良くマンガを製作していける時代っぽい! すっご!

クリスタだと、ストーリーや台詞を入れる枠やフキダシを自由自在に描ける。クリスタはアップグレード購入したが、マンガ専用のフォント(アンチック体)も付属していたもよう。 ……誤植

 クリスタでのセリフ・文字入れだが、こういう創作物のテキスト挿入機能としては、Photoshopよりも使いやすい気がした。位置移動がクイックでありつつ、文字サイズを慎重・手軽にコントロールできた。さっすがマンガ用!

凄いぞクリスタ! Photoshopとの相性もイイし!

 クリスタを使うのは久々なので、最初は使い方がイマイチわからなかった。ので、素直に「CLIP STUDIO PAINT PRO 公式ガイドブック 改訂3版 Kindle版」を読んで学習。1〜2時間後には基本操作がだいたいできるようになった。

 そしてクリスタのレイヤー操作などもわかった。さらにはクリスタで枠・フキダシ・台詞を加えた画像をPhotoshop形式で書き出すこともできた。また、Photoshopで作成した多数レイヤーを持つ画像を、そのままクリスタで開けたりもした(※Photoshop特有のレイヤーなど情報は反映されないことがある)。そこに枠・フキダシ・台詞を加えた画像をPhotoshop形式で保存することもできた。

 という感じで、とりあえずのワークフローができた。Photoshopでのレタッチ・コラージュ → クリスタでの枠・フキダシ・台詞の追加 → Photoshopでその画像を開いて最終調整、みたいな。

 そうなんだ〜Photoshopとクリスタってけっこう互換性高いんだ〜。これ、マンガ系の創作するにあたって最強の組合せなのかもしれない。

 ……それに、これらのアプリを使うと、画像生成AIとコラージュとテキスト追加で、マンガを容易に作れちゃうかもしれない。いやマンガっていうか、マンガ・スタイルのグラフィック作品? を凄い効率で作れるかもしれない!

 ちなみに、Photoshopを使う必要があるかなと思うのは、AI生成の生成物ってまだまだ不完全だったり不自然だったりするからだ。その不完全さや不自然さは、プロンプトを頑張ったり、うまい設定を見つけ出したり、いろいろな方法である程度抑えることはできる。

 だが、俺的には、「ここ不完全だからレタッチで直そう!」というやり方が効率的だと感じている。多すぎる(あるいは少なすぎる)AI生成の指の本数を何度手で描き直したか! でも手っ取り早いし! みたいな?

 あとAIの顔画像って、だいたいコッチを見てるんスよね。それを回避するプロンプトもあるが、プロンプト中で目の色とか目の表情とか指定していると、なーんかこっちを見ちゃう。その場合も、Photoshopで眼球の位置を変え、白目を塗るなどして調整すれば、だいたい「そう、そっちを見ていただきたかった」という目の向きになったりする。

 ともあれ、クリスタとPhotoshopで、AI生成画像でまだまだ遊んでゆきたいッ!!! そのうち絵本みたいなのを売ってマネタイズしてゆきたいッ!!!

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。