スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」

マウスがベタベタするから色んなテープを貼って解消を試みるッ!!!

 現在使用中のマウスはロジクールの「MX Master 3S」。性能も機能性も最強に強まっており、俺的には最高のマウスだと言えよう。

ロジクールのハイエンドマウスこと「MX Master 3S」。最高に使いやすいマウスのひとつだ。

 しかし、欠点……というか、厄介な点がひとつある。それは、MX Master 3Sの上部のラバー的素材の面の一部がベタベタしてくること。まあMX Master 3Sに限らず、表面がラバー的な素材の製品にはありがちな現象だ。

 上記リンクの記事タイトルには「マウスが加水分解でベタベタ化」とあるが、これは原稿執筆当時の俺の誤認識。現象としては加水分解ではなかった。加水分解は、たとえばシューズのソールが長めの時間経過とともにボロボロと崩れてしまうような現象だ。

 マウス表面のラバー的な樹脂素材がベタベタしてくるのは、ブリーディングやブリードアウトと呼ばれる現象だそうだ。これは合成樹脂の表面に主成分(ポリマー)とは異なる合成樹脂構成物質がにじみ出る現象。ちなみにブリード(bleed)は「血が出る」、「樹液がにじみ出る」、「染料や顔料が染み出る」という意味。

 にじみ出る物質は、合成樹脂に色を付ける着色剤、合成樹脂を柔らかくする可塑剤、油分など。合成樹脂により、にじみ出る物質は多種多様だ。

 合成樹脂表面へにじみ出した物質を拭き取るなどすればベタベタは消えるが、それは一時的な対症療法のようなもので、ブリーディング自体を止めることはできないそうだ。また「物質が十分にじみ出終えるとブリーディングは収まる」とも言われている。

 で、愛用中のMX Master 3Sでも、このブリーディングが起きている。ヒドいブリーディングではなく、1週間程度するとベタつきが感じられ、そのときにアルコールでベタベタを拭き取れば解消……するが、また1週間くらいするとベタつきが感じられてくる。

ちょっとわかりにくいと思うが、親指を置く部分がとくにベタついてくる。指が当たる部分のベタつきが強く、それ以外の部分はすこーしだけベタ付くという感じ。

 週に1度ベタベタを拭き取るの……メンドクサいニャ~、と。それと、アルコールで拭き取るとベタベタがスッキリ拭き取れるものの、ラバー的素材が僅かに削り取られて消耗していく感じがある。また、塗装された部分の色が剥げてくる。

アルコールで拭くとベタベタがよく取れるが、ラバー素材が僅かにすり減り、塗装も剥げてくる。

あらま、ベタベタが一発解消でツルツルになる……チート?

 1週間でベタベタしてくるMX Master 3S。使い勝手はサイコーなんだが、ベタベタ除去のメンテナンス作業がヒッジョーにメンドクサイ。

 ……でも、そのメンドクサイい作業、必要? ベタベタを感じなければいいだけだし、ベタベタを除去しようとせず、ベタベタ感から逃げればよくない?

 などと今さらながら思い、ベタベタをナニカで覆ってしまう方法を考えた。たとえばベタベタの上にテープを貼っちゃうとか?

 さっそく試してみたら、あらま、ベタベタが一発解消! ベタベタだった部分がツルツルに! まあ当然と言えば当然だが。

ベタベタしている部分をテープで覆ってしまう作戦。使うテープは、3MのScotchブランド「黄ばみにくい超透明テープ」シリーズのうち、小さいサイズのもの。このパッケージではもう売られていないかもしれない。
ベタベタを覆うように貼った様子。貼った部分がテカテカ・ツルツルになるが、当然ベタベタは感じられない。

 イイじゃんイイじゃんこれイイじゃ~ん! そうか、これだけでよかったのか。ベタベタと対峙せず、ベタベタを回避すればいいだけだった! なんでこういう方法を今まで思いつかなかったのか? 思考の偏りってヤツか。

 ベタベタ部分にテープを貼った状態でMX Master 3Sを半月ほど使い続けた。ベタベタが感じられることがなく、けっこう快適に使える。そしてベタベタ除去作業からも解放された!

 ただ、細かいことを言うと、テープを貼っていないMX Master 3Sと比べると、いくつか違和感がある。気にするほどに……コレはちょっとヤかも、と思えてくる違和感だ。

 ひとつは、テープを貼った部分にあるシワや気泡。使った「黄ばみにくい超透明テープ」は伸縮性がほとんどないので、立体的なカーブだらけのMX Master 3S表面にピタリと貼ることができない。貼った直後はピッタリと貼れているように見えるが、すぐにシワや気泡ができてしまう。

 また、このテープの表面はツルツル。汗をかく気温だと、指先の汗とテープのツルツル感で、なんかMX Master 3Sの表面がヌルヌルしているような感じがする。MX Master 3Sのラバー的素材のサラサラ感とはかなり違って……好みの感触にはほど遠い。

 表面がサラサラしたメンディングテープも使ってみたが、手持ちのメンディングテープは伸縮性がほとんどない。なので、MX Master 3Sに貼っても最初からシワだらけになった。また、粘着力がイマイチでマウスのラバー的素材から剥がれやすい感じ。サラサラ感はいいが、シワだらけだし剥がれやすくて残念……みたいな?

このテープはどうよ? じゃあこっちのテープは?

 前出の超透明テープよりもイイ感触のテープはないか? いろいろ試し始めた俺。

 まず試したのが、ダクトテープ。強力な粘着力の布テープで、いろいろな用途に使える。まあマウスに貼ってるヤツはほとんどいないと思うが。

いわゆるダクトテープ。強力な粘着力と少々の伸縮性があるので、ダクトパイプの接合部などに貼って気密性を保ったりできる。
マウスに貼ってみた。シワや気泡ができにくく、しっかり貼れた。

 ダクトテープはまずまずの使用感。ただ、色的に違和感ありまくり。前出の超透明テープよりツルツル感がないものの、ダクトテープもけっこうツルツルしている。

 続いて、養生テープ。塗装時などに使うテープで、塗装のはみ出し防止などに使える。ちょっと硬質だから……どうかな?

こんな養生テープをマウスに貼ってみる。
けっこう硬いテープなのでピッタリとは貼れなかった。

 養生テープを貼ったマウスは見た目が非常にショボい感じ。ただ、シワや気泡は感じられにくく、表面のサラサラ感もまずまず。見た目はジャンクっぽいが、使用感は意外とイイ。

 続いてガムテープ。粘着力強めの布テープで、製品により表面質感や伸縮性が少々異なる。

黒いガムテープを貼ってみる。
手持ちのガムテープがピッタリと貼れた。

 ガムテープ、これまで試した「ベタベタ回避テープ」としてはいちばん好感触。ピッタリ貼れたし、表面のザラザラ感も悪くない。しばらくMX Master 3S powered by ガムテープを使ってゆきたいッ!!!

マスキングテープもパーマセルテープも「ベタベタ回避テープ」として秀逸ッ!!!

 仕事場でブツ撮り(商品撮影)をしていたとき。背景紙をテープで固定していて「あっ……これイイかも!」と思えるテープを発見。

 いわゆるパーマセルテープで、とくに撮影の現場で多用されている紙テープ。けっこう強い粘着力がありつつ、剥がしやすさもあり、多くのパーマセルテープは表面がマットでサラサラした質感だ。

撮影時に背景紙を固定したのに使ったマスキングテープ。「mt foto」というシリーズで、白、グレー、黒がある。グレーはホワイトバランスを取るのに使えたりして便利。マウスには黒を貼った。
マウスに貼った様子。若干の柔軟性があるので、ピッタリと貼ることができた。写真ではシワがあるように見えるが、っていうかあるが、指に違和感を覚えるほどではない小さくなだらかなシワなので実用上問題ない。

 マスキングテープ! スゲっ! ピッタリ貼れて、十分な粘着力で、表面のサラサラ感もバッチリ! マウスに貼るならコレだッ!!!

 とは思ったが、アレも試してゆきたいッ!!! 本家パーマセルテープだッ!!!

Permacel社だった頃の本家パーマセルテープ。現在は、たとえばShurtape社製テープがよく知られている。
こちらもマウスにピッタリと貼れた。

 本家パーマセルテープもいいニャ~! 前出のマスキングテープよりも、よりMX Master 3Sの表面質感に近く、非常に快適に使える。粘着力は上のmtブランドテープより強い。

 ほかにもいろいろなテープをMX Master 3Sのベタベタ回避に使ったが、俺的にオススメなのはパーマセルテープとマスキングテープ。ピッタリ貼れることと表面のマット質感が自然だからだ。

 ただ、パーマセルの類は1巻2000~3000円してお高い。また、その値段がマウスベタベタ回避のパフォーマンスにつながるかと言えば、「パーマセルとマスキングテープとでそんなに差はないかな~」という感じ。

 なので、表面がマット質感のマスキングテープがフツーにオススメ。マウス表面がベタベタしててイヤ~ンって感じの方は、ぜひマスキングテープでブリーディングのベタベタを回避していただきたいッ!!!

スタパ齋藤

1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。