iPhone駆け込み寺
iPhone 17は買うべき? どのモデルがいい? 各モデルとの違いから選び方を考える
2025年9月18日 00:00
2025年秋のiPhoneは、4モデルが発表された。今年は“Plus”が姿を消し、かわりに「iPhone Air」が追加され、「iPhone 17」「iPhone 17 Pro」「iPhone 17 Pro Max」というラインアップとなった。
現行モデルとしては、2025年春発売の「iPhone 16e」、安価な型落ちモデルとして2025年秋発売の「iPhone 16」も販売されるので、いま新品のiPhoneを買うなら、基本的にはこれらの6モデルから選ぶことになる。
ではこの秋、iPhoneを買うならどれを選ぶべきか。本稿ではモデル選択の助けとなるべく、発表された情報などを元に、今回発表された4モデルの違いや前モデルからの進化ポイントなどをじっくりねっとりと解説していく。
大きさは3種類。軽いけど軽さ目当てで選びにくいiPhone Air
まずは、各モデルの大きさの違いをざっくり解説しよう。以下は最新モデルと前モデル、そして比較参考として過去のminiモデルとAirと同じディスプレイサイズのモデルの数値をピックアップしている。
今回追加されたラインアップを、ディスプレイが小さい順に並べると、iPhone 17とiPhone 17 Proがともに6.3インチ、iPhone Airが6.5インチ、iPhone 17 Pro Maxが6.9インチとなる。新しいラインアップのiPhone Airは標準サイズより少し大きい。
軽い順に並べると、iPhone Airが165g、iPhone 17が177g、iPhone 17 Proが206g、iPhone 17 Pro Maxが233gとなる。従来同様、Proモデルは重たい。
ディスプレイサイズが少し大きめのiPhone Airだが、薄さに全力投球したデザインにより、現行ラインナップでは最軽量となる。同じディスプレイサイズ(6.5インチ)の過去モデル、iPhone 11 Max Proは226g、iPhone XS Maxは208gだから、それに比べるとiPhone Airの165gはだいぶ軽い。
しかしiPhone 17との差は12gで、前世代のiPhone 16(170g)とは5gしか違わない。過去の軽量モデル、iPhone 13 mini(140g)やiPhone SE(第3世代が144g)などからの移行先となるような「軽いiPhone」ではなく、「画面が大きいのにあまり重たくないiPhone」と考えるべきだろう。
また、iPhone Airは最薄iPhoneではあるが、薄いこと自体にはあまり意味はない。カメラ部の分厚さはiPhone 17などと大差がないし、幅も長さもあるからポケットに入れやすいわけでもなく、より小さいモデルに比べると片手では操作しにくくなっている。
一方、6.3インチディスプレイ搭載でボディサイズもほぼ同等のiPhone 17とiPhone 17 Proの2モデルは、29gもの重量差がある。カメラや内部構造などの違いから、iPhone 17の方が明確に軽い。
とはいえ、iPhone 17も177gなので、iPhone 12以降のスタンダードモデルとしては、最も重たい。「軽い方が技術的に優れているはずなのに、人類のサイズや筋力が巨大化しているわけでもないのに、なんでスマホは毎年重たくなってるんだろな……」と筆者も思う今日この頃である。
とはいえ、前モデルのiPhone 16は6.1インチ、iPhone 17は6.3インチと、そもそも大きくなっているので、それで7gしか増えてないのは優秀とも言える……のだが、なんで6.1インチのままで軽量化・高性能化・高コスパ化する方向に行かなかったのか、と思わなくもない。
そういった意味で言うと、「iPhone Airは重たく進化し続ける昨今のスマホに対するアンチテーゼとして優れた選択肢を提供してくれる」(早口)……はずなのだが、格段に軽いというわけではなく、重量だけを見るならiPhone 17でも大差ないのでは、となるのが惜しい。薄型でなくても5.8インチくらいで150g未満だったら、軽量コンパクトなiPhoneを求めているユーザーに手放しでオススメできるのだけど。
ちなみに、iPhone Airでは珍しくアップル純正アクセサリとしてストラップ対応のバンパーも用意されている。こちらのバンパーは重量が約13gと、一般的なジャケットケースの半分以下の重量だ。iPhone Airに装着した総重量は約178g程度、素のiPhone 17と同じくらいで、トータルでそこそこ軽くなるのはありがたい。
新デザインのAir、デザイン刷新のProモデル
前モデルが存在しないiPhone Airだが、そのデザインは従来モデルとはだいぶ異なっている。カメラ周辺の凸部が左右の幅いっぱいまで伸ばされていて、そこにはカメラだけでなくメインの基盤も内蔵している。カメラ部より下は、ほとんどがバッテリーで極端に薄くなっている。
iPhone Airも、従来のiPhoneと同様に側面フレームは金属、前後面はガラスパネルという構成だ。側面フレームは鏡面仕上げのチタニウム合金が使われている。強靱なチタニウム合金を使うことで、薄くても頑丈というわけだ。
鏡面仕上げの金属は、指紋が残って目立つなどの欠点もあり、最近のiPhoneでは採用されていないが、その辺りが気になる人はジャケットケースか純正バンパーを使うべきだろう。
Proモデルは、前モデルから大幅なデザイン変更がなされている。前Proモデルまで側面フレームはチタニウム合金だったが、iPhone 17 Pro/17 Pro Maxでは、スタンダードモデルと同じアルミニウム合金になっている。
背面カメラ周辺の凸部も金属となり、Air同様に凸部は左右に広がっている。カメラ部以外、背面の中央から下部にかけてはガラスパネルで、非接触充電にも対応する。内部の金属フレームは、熱間鍛造と精密切削加工により背面・側面が一体で加工された「ユニボディ」となっていて、構造的にも材質的にも高い強度を発揮する。
アルミニウム合金よりチタニウム合金の方が強靭とされるが、熱伝導率は桁違いにアルミニウム合金の方が高い。iPhone 17 Pro/17 Pro Maxはプロセッサなどが発する熱をベイパーチャンバーで金属フレームに伝達し、全体で効率的に熱を発散する構造となっている。
この放熱効率を重視したデザインが、今回のProモデルのミソとなっている。昨今のスマホのCPU/GPUパワーは向上する一方だが、実使用環境、たとえば長時間のゲームプレイ時では、プロセッサーや本体の温度が高くなりすぎて、処理性能を落とすというケースも少なくない。
iPhone 17 Pro/17 Pro Maxは放熱性能を向上させることで、高い処理負荷を長時間、継続できるものと予想される。これがどのくらいの差になるのか、正直、実機で比較しても容易には分かりそうにないが、ゲーマーにとってはプロセッサー性能向上よりも影響があるかもしれない。
地味に大きいディスプレイ仕様の統一。常時表示は伊達じゃない!
iPhone 16シリーズまでは、スタンダードモデル(無印やPlus)とProモデルでディスプレイ仕様に差があったが、今回はProモデルでなくても可変フレームレートの「ProMotion」や常時表示に対応している。全モデル対応なので、これらの機能のためにProモデルを選ぶ必要はなくなった。
ProMotionは、ゲームを嗜む人などには体感に影響する一方、画面の動きが少ないときは、電池持ち向上に貢献する。ProMotionなどで120Hzに慣れた人は、そうでないスマホなどを見ると目がちらつくように感じることもある、らしい。ここの感じ方には個人差があるが、ないよりあった方が良い仕様だ。
一方の常時表示は、地味ながら多くの人に影響する仕様でもある。
というのも、常時表示のiPhoneでは、待機状態の暗い画面を上スワイプすることでロック解除ができるのだ。なんらかの操作(画面タップや本体を持ち上げる、ボタンを押すなど)で画面表示してから上スワイプする必要のある常時表示非対応モデルに比べると、ロック解除前のワンアクションが省ける。頻繁に行なう操作だけに、影響は小さくない。
常時表示のiPhoneだと、待機状態でも時刻や通知の有無、ロック画面用ウィジェット、ライブアクティビティを確認できるので、デスクなどの定位置にMagSafe充電スタンドを設置するのもオススメだ。
Proのカメラは引き続き進化するも、メインカメラは今回も据え置き
カメラの性能を見ると、やはりProモデルはスタンダードモデルを圧倒する。iPhone 15シリーズではProとPro Maxでカメラに性能差があることがあったが、iPhone 17 Pro/17 Pro Maxでは(少なくとも公表情報では)性能差はない。
今回、もっとも大きく仕様が変わったのは望遠カメラだ。内部反射で焦点距離を確保する「テトラプリズム」を引き続き採用するが、センサーが大型化し、1200万画素(12MP)から「48MP Fusion望遠」へと進化した。一方で画角は120mm相当から100mm相当へ、倍率で言うと5倍から4倍へとやや劣化している。
焦点距離の減少は、センサーサイズ大型化の影響と推定される。光学機器の大きさは、受光部の大きさに比例する。発表されているスペックを見る限り、センサーサイズは長さで1.25倍、面積で約1.56倍になっている。同じ画角を実現しようとすると、単純計算で光学系の体積は約1.95倍となってしまう。これはさすがに実装が難しいので、焦点距離を短く=倍率を低くすることでサイズ増を抑えているのだろう。
望遠性能が落ちるかというと、そうでもない。48MP Fusion仕様なので、12MP相当のクロップズームを使うと、元の2倍の200mm相当(8倍)となる。iPhone 16 Proは12MPで120mm相当(5倍)なので、望遠時の画質は向上していると見られる。
超広角カメラについては、iPhone 16 Proでは「48MP超広角」だったが、iPhone 17 Proでは望遠カメラ同様、「48MP Fusion超広角」になっている。画素数は同じだが、「Fusion」の名前を冠したことで、内部処理が強化されたものと見られる。
Fusionって何よ、というと、ぶっちゃけ筆者もよくわかっていない。「48MPの高解像度データをビニング(集約)処理して24MPや12MPの高精細・高精度な写真を記録」「複数のフレームを合成」「AIなどで画素補間」といった内部処理を強化しているのがFusionで、最終的に出力される画質が向上している、らしい。
超広角カメラにおいては、Fusion化でクロップズームの画質が向上していることがポイントになる。「超広角カメラでズームしたらメイン広角カメラと同じ画角になるから意味ないじゃん」と思われるかもしれないが、マクロ撮影時にはクロップズームを使うことが多いので、実は使用頻度が高い。
メインの広角カメラは、スペック上はiPhone 16 Proと変わっていない。なんならiPhone 14 Proから変わっていない。ハードウェア面では変更があったとしても小さな変更だろう。しかしiPhone 17が採用するメインカメラより高性能なカメラだ。センサーサイズが少しだけ大きく、暗所性能などに優れている。
普段使いにおいては、やはりメインの広角カメラを使うことが多いので、ここに大きな改善がないのは残念なところでもある。が、もはやスマホのカメラは現実的なサイズ・デザインを維持した上で進化するのに限界に達しつつある。そして実際に撮影した画像を見ても、大きな進化が必要とされるほどの不足は感じない。すでに映画撮影などに使われるくらいの性能は実現している。スペック据え置きは、妥当な判断とも思う。
スタンダードモデルのカメラも少し進化。Airのシングルカメラも悪くない
iPhone 17と前モデル(iPhone 16)を比較すると、メインの広角カメラのスペックは変わっていないが、超広角カメラが「12MP超広角」から「48MP Fusion超広角」へと強化されている。スペック的にはiPhone 17 Proと同等だ。
前述の通り、48MP Fusion超広角になることのメリットは小さくない。最近のiPhoneは「ラーメン丼を画面いっぱいに撮影する」程度でもマクロ=超広角カメラに切り替わる。美味いものの写真を深夜にSNS投稿するのが趣味の飯テロリストならば、超広角カメラの48MP Fusion搭載は無視できない。
メインの広角カメラは、iPhone 17 Proよりもセンササイズが少し小さいし、何ならスペックではiPhone 15から変わってもいない。ただ、日常の写真を撮るならば十分な性能は持っている。
iPhone Airの背面カメラは、1個だけのシングル構成だ。公表されているスペックで見る限り、センサーサイズなどもiPhone 17のメインカメラと同等の性能を持っている。
iPhone 16eもシングルカメラ構成で、やはり「48MP Fusionメイン」を搭載するが、使ってみた感じや外見上の大きさから、iPhone 16などのメインカメラよりセンササイズが小さいのでは、と推測される。細部の鮮明さや暗所の性能が若干劣っているのだ。
iPhone Airでは、シングルカメラ構成でも手を抜くことなく、iPhone 17と同等のカメラを搭載しているのがありがたいポイントだ。結局のところ、メインの広角カメラを一番使うので、その画質が良いのは重要なのである。
ただ、マクロ撮影に対応していないのが少し心配だ。前述の通り、ほかのモデルではラーメン丼くらいでもマクロに切り替わっている。それと同じメイン広角カメラで、どこまで寄って撮れるのだろうか。ここは実機で確認したいポイントだ。
なお、iPhone 17とiPhone AirはRAW撮影などプロ向けの機能には対応していない。iPhone AirはA19 Proを搭載しているのだから、RAW撮影に対応していてもイイじゃん……と思わなくもないところだが、筆者なんかは仕事で使う写真でもRAWを使わないくらいなので、レタッチをゴリゴリにやるとかでなければ、RAW非対応でも構わないとは思う。
フロントカメラは民生品では極めて珍しい正方形センサを採用
画面上部のフロントカメラは、12MPの「TrueDepthフロントカメラ」から「18MPセンターフレームフロントカメラ」へと強化されている。
「TrueDepth」の呼称がなくなっているが、スペック表を見るとTrueDepthテクノロジーによるFace IDと書かれているので、従来通り、顔などの立体形状を認識する機能は搭載されているようだ。TrueDepth機能は顔認証だけでなく、VtuberやCG製作のフェイストラッキング用途にも広く使われているので、ここが省かれないのは重要である。
センターフレームは、MacやiPadのフロントカメラにも採用されているカメラシステムの名称だ。広めの画角になっているが、AIが被写体となる人物を認識し、その部分を自動追尾してクロップズームしてくれる。MacやiPadは卓上に固定して使うので、これはビデオ通話時にけっこう役に立つ。
このセンターフレームがiPhoneにも搭載された形だが、iPadやMacとはかなり実装が異なっている。まず、正方形センサを搭載している。正方形センサを搭載するカメラは、ビデオ・スチール問わず民生品では非常に珍しく、天体観測や医療、産業用などに限られている。
センサーが正方形になることで、縦に構えていても、横に複数人が並んだ状態の自撮りが撮影しやすくなる。標準では従来と同じ縦長画像となるが、センサ範囲内の人物を認識し、自動で横長画像に切り替わるらしい。
また、広い画角と余裕のあるセンサー領域を生かし、動画撮影時にはアクションカメラ並みの手ぶれ補正機能を発揮する。MacやiPadは卓上に置いて使うことを前提としているが、iPhoneは手に持って使うのが基本なので、この仕様は非常に重要だ。
画素数は12MPから18MPに増えているが、広角レンズからクロップすることを前提としているので、画質向上はあまり期待できない。しかしフロントカメラの用途を考えると、画質よりもセンターフレーム機能の方がずっと楽しそうな要素ではある。
全モデルeSIM専用。取り扱いには注意が必要も恩恵アリ
eSIMは契約情報が書き込まれたSIMカードをスマホに内蔵させる仕様で、ネットワーク経由で契約者情報を書き込み、回線を開通させられる。従来のiPhoneでもeSIMは利用可能だったが、日本において今秋のiPhoneは4モデル全て、SIMカードスロットのないeSIM専用版が販売される。
そもそも、iPhone AirはeSIM専用版しか存在しないが、ほかのモデル、iPhone 17/17 Pro/17 Pro Maxは物理SIM対応版も存在し、欧州などではそちらが販売される。アメリカ本国ではiPhone 14シリーズからeSIM専用版で展開していたので、日本など一部市場がアメリカに合わせたような形になっている。
eSIMはSIMカードを挿すかわりに、キャリアからネットワーク経由で契約者情報をダウンロードすることでモバイルネットワークにつながる。現在はNTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルの主要4社とそのサブブランド、一部のMVNOがeSIMに対応している。
eSIM非対応のMVNOとか、会社支給のSIMカードを使わなければいけないとかで、物理SIMカードスロットが必要な人は、そのままではiPhone 17シリーズやiPhone Airに移行はできない。キャリアを変えるか、会社の情シスに相談しよう。
SIMカードからeSIMへの切り替えは、通信キャリア側にeSIM発行をお願いする必要がある。iPhoneの「設定」アプリの「モバイル通信」の項目でeSIM化したい回線のところに「eSIMに変更」という項目があれば、そこからeSIMの切り替えオンライン手続きに入れる。日本の大手キャリア(サブブランド含む)はこのオンラインeSIM切り替えに対応している。
実際には、さまざまな理由でeSIM化がスムーズにいかない可能性がある。eSIM発行時にトラブルが発生して解決できるのは平日昼間のみ、みたいなパターンも「eSIMあるある」だ。iPhone 17シリーズ発売のタイミングで各キャリアのeSIM管理システムやサポート窓口に多大な負荷がかかると予想される。各ユーザーの契約状況などによってどんなトラブルが発生するかは「やってみないとわからない」。なので、買い換え前にeSIM化しておくのが無難だ。逆にトラブルが発生しないと、「え、これだけで切り替わっちゃうの?」というくらい簡単にeSIMへ移行できる。スムーズにいけば3ステップ、1分かからないくらいでSIM無効化・eSIM発行・eSIM書き込みが完了する。
iPhoneに入っているeSIMを別のiPhoneに移行するときは、「クイック転送」という機能が利用できる。こちらも日本の大手キャリアなら対応している。eSIM化よりもクイック転送の方がトラブルが発生しにくいので、あらかじめeSIM化を完了させておき、iPhoneを買い換えたあとにクイック転送するのが無難なやり方でもある。
といっても、クイック転送についてもソフトバンクが0時30分〜23時30分の実施を推奨していたりと、いつでも気軽かつ確実に実行できるとは限らない。やるならサポート窓口が営業していて混雑していない日時を選ぶのがベターではある。
AndroidスマホとiPhoneとの間でのeSIM転送は、iOS 26以降とAndroid 16以降の対応スマホで可能になったが、こちらはまだ日本のキャリアは対応していないようだ。現状ではアメリカのAT&T、T-Mobile、VerizonとドイツのTelekomが対応しているらしい。AndroidスマホとiPhoneを併用していて、頻繁に回線を入れ替えたい人にも、eSIM専用版iPhoneはオススメしにくい。
eSIM化にはちょっとした手間と手続きトラブルのリスクがあるわけだが、メリットがないわけではない。オンラインで発行できるというメリットもあるが、「抜き取ることができない」というのもメリットとなっている。SIMにPINを設定していなくても、紛失拾得や盗難に遭ったときに不正使用を防げるのだ。
あとスマホがeSIM専用化となる間接的なメリットには、というかアップルにしてみればこれが大きな狙いなわけだが、実装体積を節約できることがある。薄いiPhone Airを作ったり、空いたスペース分のバッテリを大きくしたりできる。
iPhoneのスペック表にある連続ビデオ再生時間をeSIM専用版の日本と物理SIM版のイギリスで比較すると、iPhone 17 ProはeSIM版が最大33時間、物理SIM版が最大31時間だ。iPhone 17 Pro MaxはeSIM版が最大39時間、物理SIM版が最大37時間となる。SIMスロットの容積で2時間分、バッテリが増えている。
なお、iPhone 17については、ナゼかeSIM版も物理SIM版も最大30時間で差がなかった。ナゾである。空いたスペースは何に使ったんだろ。
バッテリー性能は大幅向上。どのモデルも十分な性能
そもそもeSIM版などは関係なしにiPhone 17シリーズはiPhone 16シリーズから3〜4割、バッテリ持続時間が向上している。薄型のiPhone Airですら、バッテリが大きいはずのiPhone 16 PlusやiPhone 16 Proと同じだ(連続ビデオ再生時間で最大27時間)。
以前は、バッテリーの持ちが心配でPlusモデルやProモデルを選ぶ、という人もいたが、iPhone 17シリーズについては、もはやバッテリーでモデルを選ばなくて良いと思う。iPhone 17シリーズのバッテリー性能でも足りないなら、もはやどのスマホでも難しいので、MagSafeバッテリーを持ち運んだ方が良い。
iPhone Airと同時に「iPhone Air MagSafeバッテリー」という純正アクセサリーが発売しているが、こちらは価格が1万5800円とやや高価だ。MagSafeモバイルバッテリーはAnkerやCIOなどさまざまな会社から多種多様な製品が出ているので、価格・大きさ・信頼性などのバランスを取って選ぶと良いだろう。移動中など使っていないときに充電する癖をつけると、スマホの内蔵バッテリ容量は半分でも問題ないくらいだ。
プロセッサーの性能も順当進化
今年のiPhoneも新世代のプロセッサを搭載している。iPhone 17は「A19」、iPhone AirとProモデルは「A19 Pro」を搭載する。
このあたりの違いは、そこまで細かく公表されていないので、「順当に進化している」としか言いようがない。ただ、A18とA19ではGPUパフォーマンスが20%しか変わってないようなので、A16からA18(非ProのA17は欠番)のときほどの性能ジャンプはないと言えるだろう。まぁ20%の性能差もかなりのものだけど。
新しいポイントとしては、AI処理向けのNeural Engineはそのままに、GPUの各コアにNeural Acceleratorが搭載された。よくわからないが、従来よりも重たい生成AI処理(画像処理や大規模言語モデルなど)での負荷分散などに使われると推定される。
システムメモリー容量は公表されていないので不明だが、ネット上では開発ツールやベンチマークツールの解析などから、iPhone 17は8GB(iPhone 16シリーズと同等)、iPhone AirとProモデルは12GBと噂されている。
当面の間は8GBメモリで不足はないはずだ。しかし発表されていながら実装が遅れているApple Intelligenceのオンデバイス生成AI機能などは、多大なメモリーを使うとも予想されるので、近い将来のアップデートで機能性や快適さで差がつく可能性は否定できない。
とはいえ、多大なメモリーを使うのは、大規模言語モデルや画像処理、クリエイティブ系アプリなどに限定されるので、現時点での端末選びでそこまで気にする必要はない、と思う。将来のことはわからないけど。
なお、iPhone AirはA19 Proを搭載するが、USB-CはUSB 2.0で通信速度は480Mbpsまでと、Proモデルの仕様にはなっていない。それどころかiPhone 17も対応しているDisplayPort出力に、iPhone Airは非対応となっている。
USBの速度は、「使ってるSSDが遅い」とか「パソコンとの同期速度が足りない」とかの具体的な理由がある人にとっては、ちょっと残念な仕様だが、逆に言うと現時点で困っていない人にとっては、おそらくどうでも良い仕様ではある。そもそもデータ転送も充電も有線を使わない方が便利であり、無線に適応できたなら有線に退化する必要はない。
しかしDisplayPortについては、ARグラス型ディスプレイ「XREAL」などが使えないのが残念だ。いまは持っていなくても、将来的にARグラスを使いたい人は、iPhone Airは避けた方が良いかも知れない(ちなみにiPhone 16eも非対応である)。
価格はそこまで上がらず。ただし128GBモデル廃止
価格はというと、iPhone 17の最小容量の256GBモデルが12万9800円からと、iPhone 16の最小容量の128GBモデルの初出価格(12万4800円)よりやや値上がっている……が、256GBだとiPhone 16は13万9800円なので実質的には1万円値下がりしている。ディスプレイサイズも大きくなったことを考えると、非常にコスパが良い。
安い128GBモデルがなくなったのは善し悪しだが、オンデバイスの生成AIなどのおかげで、OSやアプリが占有するストレージ容量は増えていくと予想される。ストレージ最小容量を上げてきたのも、そうした用途が増えると見込んでのことだろう。
iPhone Airはというと、256GBモデルが15万9800円で、iPhone 16 Plusより安価だ。画面サイズは小さくなっているが、薄さ・軽さにコストがかかっていると思うと、コスパは悪くない。
Proモデルはと言うと、やはり同一容量で比較するとiPhone 16シリーズの初出時価格より少し値段が下がっている。完全な新設計であることを考えると、これもかなり頑張っているが、iPhone 17 Pro Maxは256GBモデルでも19万4800円と、なかなかにヘビーなプライスだ。
で、どう選べば良いかというと
どのiPhoneを選ぶかは、各個人の使い方や求める機能、好みのサイズ感、予算で総合的に決めるべきだ。
今回のiPhoneを見てみると、スタンダードモデルであるiPhone 17に“スキ”がなくなっている。順当に進化しているだけでなく、スタンダードモデルながらディスプレイが常時表示に対応したので、使い勝手面でProモデルとの差がほぼなくなった。これまで以上に、「とりあえずスタンダードモデルのiPhone 17を選べば間違いなし」と言えるようになった。
Proモデルはというと、よりプロ向けスペックを強化してきている。たとえば動画撮影時、複数カメラで同期させる「Genlock」に対応してきたのは、プロの映像製作現場に影響を与えそうだ。しかしこのあたり、一般の人には関係がないプロ向け仕様である。
iPhone 17とiPhone 17 Proの違いで一般の人に関係しそうなところは、「望遠カメラの有無」「高負荷処理時の放熱性能」あたりだろうか。これらのために5万円以上のコストと30g以上の重量差を許容できるか、というところでもある。
iPhone 17 Pro Maxはというと、iPhone 17 Proの大型版で、大きさとバッテリー持続時間以外に違いはないので、ディスプレイサイズ目当てでなければPro Maxを選ぶ必要はない。しかし今世代ではPlusモデルがなくなったので、6.9インチという大型ディスプレイを使いたいなら、高くてもiPhone 17 Pro Maxしか選択肢はない。
ただ、iPhone 17とiPhone Pro Maxの価格差は6万5000円だ。少し足せばiPad mini(7万8800円)が買える。大きめの画面で動画やマンガなどのコンテンツを楽しみたいなら、「iPadを追加購入する」ことをオススメしたい。iPadにおける動画やマンガの快適さは、iPhoneの比ではない。
iPhone Airはというと、「画面が大きくても重たくない最新iPhoneが欲しい」というニーズ向けだ。決して「軽いiPhone」ではないことに注意が必要である。確かにiPhone 17よりは軽いが、重量差は大きくない。マクロ対応の超広角カメラがないし、下端にスピーカーがないので、横持ちでの動画再生時にステレオにならないのも注意が必要だ。ただしプロセッサーはA19 Proだったり、基本スペックはiPhone 17の上位互換になる部分もある。
iPhone Airは完全新規モデルなので、選ぶのが難しいところだが、とりあえずひとつ言えるのは、まったく新しいデザインなので、店頭などで実機を触ってから検討するべきだろう。
もちろん、「今年は買い換えない」という選択肢は存在する。ただ、先日リリースされたiOS 26はけっこう重たい。iPhone 12あたりだと動作の重たさを感じるかもしれず、そこに不満を覚えるなら買い換えタイミングだ。miniについては代替できるコンパクトモデルがないので、粘りたい気持ちはよくわかるけど……。








