スタパ齋藤の「スタパトロニクスMobile」
フラットベッドスキャナー「CanoScan LiDE 400」で紙書類を電子化してゆきたいッ!!!
2025年8月12日 00:00
今回扱うハードウェアは、2018年9月6日発売のフラットベッドスキャナー、キヤノン「CanoScan LiDE 400」である。7年前の製品! だが現在でもAmazonにて9873円で買えるほか、多くのショップで1万円以下で購入できる。
紙ドキュメントの電子化はScanSnapだッ!!! PFUドキュメントスキャナー「ScanSnap」シリーズで高速スキャン&PDF化だーッ!!! とか鼻息の荒い俺であるが、天下のScanSnapにも苦手はあるのだ。
ScanSnapは紙書類のスキャンをヒッジョーに効率良く行えるドキュメントスキャナーだ。しかし、スキャン対象によってはScanSnapは不向きだったり、ScanSnapだと問題が多発したりすることもある。
たとえば台紙の上に写真が貼られたようなポストカードや、何かから剥がしたなどして一部が薄くなったりしている紙焼き写真など。ScanSnapの初期設定だと、こういう原稿を「原稿が重なった状態」として重送扱いされがちで、スキャン動作が止まったりする。ので、重送検知の設定をオフにしてからスキャンする必要がある。
ただし、その場合はホントの重送も検知されないので、実際は「重送扱いされそうな原稿だけを重送検知オフにする」みたいな手間がかかる。
あるいは、ノート類。普通に使っているノートなら、ページ毎バラバラになるようにカットするなり断裁するなりすれば、ScanSnapで問題なくスキャンできる。
しかし、ノートの「ノド(開いたときに中央に見える綴じ目の部分)」ギリギリくらいまで書き込んであるノートの場合、そのノド近くの書き込みまで含めたスキャンは諦めざるを得ない。カット/断裁してノートをバラす場合、ノド付近は切り落とす必要があるからだ。
ほか、不定形っつっても度が過ぎるだろ的なサイズがバラバラな一連の紙類とか、紙質(とくに硬さや厚さ)がヤケに違う原稿とか、二枚の紙が貼り合わされている表紙や背表紙なども、ScanSnapが苦手とする原稿だと思う。
そういう原稿は、頑張ってScanSnapでスキャンしようとせず、素直にフラットベッドスキャナーでスキャンするのが無難であり、かつ、かえって時短になる。
そこでキヤノン「CanoScan LiDE 400」なんですよ奥さんっ!!! ほかにもフラットベッドスキャナーはあるにはあるものの、現在、入手性も販売価格もサポートも「まずまず安心・納得」できるのはコレだけなんですよダンナさんっ!!!
そしてUSB Type-Cケーブルでパソコン(Win/Mac対応)とつなぐだけでサクッと使えてお手軽なんだョお坊ちゃんっ!!! というわけで今回は「自炊(紙書類を電子化してPCやスマートデバイスで閲覧すること)目線」でキヤノン「CanoScan LiDE 400」をレビューしてゆきたいッ!!!
フラットベッドスキャナーで自炊する必要はあるのか?
蔵書を自炊するとかいう場合、フラットベッドスキャナーを使う必要性はまずナイと思う。ScanSnapとか、あるいはキヤノンのドキュメントスキャナーを使い、「どーしてもこのページだけスキャンエラーが出る!」という場合だけ、そのページを個別にスキャンするのがいいと思う。そのページだけスマートフォンで撮ってPDFに追加するのもいいかもしれない。
だが、前出のような紙類───ScanSnapをはじめとするドキュメントスキャナーでスキャンするには不都合があるような原稿の場合は? 「ScanSnapなどではスキャンしにくい紙書類」として手帳を例示したが、ほかにもいろいろあったりする。
たとえば、いろいろ書き込んじゃっていて見開き全体で電子化したい紙書類───通帳とか卓上カレンダーとか。ページの上にメモなどを貼っちゃってるけど、ページとそのメモを個別に電子化したい書類とか。明治・大正・昭和の虫食い入り古文書など、スキャナーに通したらクシャクシャになったり切り裂かれたりしりそうな原稿とか。
俺の場合、そういうのがフラットベッドスキャナーでのスキャン対象となった。
ScanSnapも使っているが、ScanSnapでのスキャン対象の多くは、書籍や定型の書類。数ページ?十数ページの書類はだいたいA4サイズかそれ以下で、一度にまとめてScanSnapでスキャンしても問題がなかった。書籍類も断裁さえすればScanSnapで高速で電子化できた。
だが、ScanSnapでスキャンするとたぶん失敗する(試したら失敗した)書類もけっこうあった。それらは「そのうちスキャンしたいニャ~」と「見て見ぬ振りをしていた書類」だった。
だが最近「そろそろどうにかしよう」とそれら書類を見てみたら、思ったより多量にあった。古文書もマジであった。ともあれ、そういった書類のうちのひとつ……というか1ジャンルが「紙の手帳」である。
手帳は俺が20歳代前半(1988年頃)の頃の働き始めから7冊(7年分)くらいがあった。また2017年から現在まで日報のようなカタチで手帳に記録を残しているので、それが8冊以上。
どちらも前出の手帳の例のように、ノドの部分まで書き込んでいたりして、断裁→ScanSnapでの連続スキャンが難しい。
前者の手帳は見開き2週間タイプなので、1年分(約52週分)で26面のスキャンが必要。これが7年分で、182面分のスキャンとなる。
後者の手帳は見開き1週間タイプで、1年分で52面のスキャンが必要。これが8冊として416面分のスキャンとなる。
えぇぇぇぇ~っ? 手帳だけで約600面も? これを全部、フラットベッドスキャナーを使って手動でスキャン? うわ、想像しただけで吐きそう!
この時期、フラットベッドスキャナーの前で吐いてたら「彼はフラットベッドスキャナー操作に集中しすぎて熱中症になったに違いない」などと救急搬送されそう! というわけで、そういう紙書類のスキャンは近未来の俺、早くとも今年の冬あたりの俺に任せるってコトにしていた。
フラットベッドスキャナーでスキャン必要がある!!! てかスキャン・電子化したいっ!!!
手帳を始めとする未スキャンの紙書類。「アレがあるハズ」と机上の空論的に算段しただけで約600面。フラットベッドスキャナーを使って600回もスキャンする必要がある。
……まあでも、毎日少しずつでもスキャンし始めニャいとニャ~って感じで、あくまでも一応、スキャン対象の手帳やらの実物を引っ張り出してみた。ら!!!
手帳以外にもにも預金通帳とか手紙とかメッセージカードとかそーゆーものが多々あって、どれもScanSnapではトラブルが起きそうな原稿類。これらフラットベッドスキャナーでスキャンすべき紙書類、ザッと見積もって、1000面近くなりそう。
……手帳ねえ。何書いてたんだろう?
あーこの日にパソコン……あぁシャープのX68000を買ったんだ。お金は……当時の通帳を調べたら引き出した金額あったりして? あっ! あった! タイミングもまさにこれ!
といったふうに、紙資料上の情報がリンクした。あ~らオモシロい!
それから、簡単なお礼が書かれた郵便があった。メッセージには、ある湖の名前が出てきている。なんのコトかまったく心当たりがない。郵便物の消印の日付は……擦れていて、ちょっと判読し難い。
……あ、でもこの頃に湖って、クルマで行ったんだろうなあ。ドライブ?
現在ならスマートデバイス&Googleで訪問履歴が残っているが、当時(1993年頃)ではそーゆーのはない。行動記録を自動で残せるスマートデバイスはおろか、デジタルカメラすら……あっフィルム式カメラの紙焼き写真のデート(写し込み日付)は?
少し前にScanSnapで全部スキャンした紙焼き写真(元フィルムなし)。そのデートから一応撮影時期を分類していたが、ザッと見返してみると……あ! この湖! 郵便のメッセージと合致! そして写真の時期から郵便の消印もほぼ特定できたっ!!! さらにその日付をもとに手帳を調べてみると、誰とドライブしたかも判明!
という感じで、引っ張り出してきた古い紙書類、単体では「これってナンのコト?」的な情報だったりしがちだが、複数の情報───手帳と通帳とか、手帳と写真など、情報の断片を組み合わせていくと、スゲく昔の行動などが案外正確に特定できてヒッジョーに愉快!!! ということがわかった。
これはオモシロい!!! 謎の写真がなんの写真かわかる。メモ書きの行動を具体的に知ることができる。まあそうでないコトもあるが、これら情報を全部電子化し、よりクイックに扱えるようにしたいッ!!! 外見的には古い紙とかの山だが、内容的には「私的なお宝」だゼっ!!!
などと急激に古い私的紙書類の価値に目覚め、フラットベッドスキャナーを使い、前のめりな感じで紙書類スキャンを開始した俺であった。
実際はこんなふーにスキャンした
フラットベッドスキャナーのCanoScan LiDE 400による、1000面近い原稿紙書類スキャン。半月くらいかかるのかニャ~と思っていたが、毎日3~4時間くらい集中・徹底してスキャンしたら3日程度で終わった。
書類のスキャンには労力がかかったものの、とくに問題なく終了した。だが、CanoScan LiDE 400専用アプリ(ドライバー)に問題があった。単純に、俺のmacOS環境ではそのアプリが動作しなかったのだ(以前は動作したが現OSバージョン「macOS Sequoia 15.5」の俺環境では動作しない)。
ということで、「Vue Scan」という汎用のスキャナ用ソフトウェアを使うことにした。とっくの昔に生産完了となった古のスキャナーとかでも動かせちゃうという、なかなかスゴいアプリなのだ。
古くからのフラットベッドスキャナーユーザーにとっては、VueScanのほうが使いやすいかもしれない。何dpiでどうスキャンしてどこに保存して……みたいなコトをシンプルに設定できる。お手軽さはないものの、その一方でストレートなわかりやすさがある。
てな感じで、俺は1000面近い紙書類スキャンを完了した。フラットベッドスキャナーで1000回もスキャン! 超絶お疲れさま>俺!!!
さて、スキャンした結果から言うと、捨てられずに死蔵していた紙書類を電子化できたことは、非常に愉快でありかつ超有用であると痛感した。過去の記録としてとても大きな意味を発揮してくれたからだ。
辻褄が合うカタチで、各種紙書類の記録が明確にリンクし、過去に経験してきたことをよりリアルに反芻できるようになった。
……も~し~か~し~た~ら~、近い将来、こういう各種記録から、過去の自分の行動要約をAIが作ってくれるようになるかも?
ユーザー「ねぇ~チャッピー、1996年8月頃の俺って、なにしてた?」。
ChatGPT「最も情報が多いのは1996年8月28日です。写真から、ドライブをして、湖畔に行ったことがわかります。写真の傾向から、湖畔で午前中から夕方までを過ごし、魚を釣ったこともわかります」。
ChatGPT「次に情報が多いのは1996年8月10日です。手帳の記録ではダイヤモンド社に打ち合わせに出掛けています。時間は15時~17時の2時間で、ザウルスというPDAの単行本作成のための……」。
みたいな? 紙書類とか写真のデジタル化が終わって、これらを相互に参照できる状態とはなった。だが、そーとー興味あることじゃないと、その資料の参照作業がメンドクサイんスよね?。そういうの、AIが肩代わりしてくれたらなー、とか思ったり。
AIはさておき……も~し~か~し~て~、そういう「捨てられなくてずっと死蔵している紙類」って、アナタの身近にもけっこうあるのでは? 「記録はこれっきりだし」的に保存している紙類。
そういう紙類を、複数種類電子化して、縦横無尽に読み解こうとすると、おもしろ~い発見が多々あるように思う。なのでゼヒ! フラットベッドスキャナーかScanSnapかは置いといて、そんなふうな紙類も電子化を! そして楽しんでみていただきたいッ!!!



















