法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

2025年のモバイル業界を振り返る――携帯電話会社や主要メーカーの2025年はどうだったか? 2026年はどうなる?

 2025年のモバイル業界は新製品や新サービスが発表される一方、物価高などによるコスト増を反映した新料金プランも発表され、話題となった。政策面では12月に施行された「スマホ新法」が話題になり、2026年は再び各社の販売施策に手が入る動きも見えている。

 今回は国内の各携帯電話会社や主要メーカーについて、1年を振り返りながら、独自の視点で評価をまとめてみよう。

コスト増で変化しはじめたモバイルライフ

 2025年のモバイル業界ではさまざまなニュースが伝えられたが、多くのニュースの背景に見えてくるのは「コスト増」というキーワードだろう。

 日本経済は長らく続いたデフレを脱却し、物価が上昇する傾向にあるが、その背景にはさまざまなコストを価格に反映する動きがある。

 モバイル業界も同様で、料金プランの改定をはじめ、スマートフォンも価格上昇を抑えるためのラインアップの見直しなどが見受けられた。

 たとえば、料金プランではNTTドコモが「ドコモMAX」、auが「バリューリンクプラン」を新たに発表した。

 それぞれに料金プランの方向性は違うものの、いずれも発表会見では「コスト増を反映して~」という発言が続いた。これらに対し、ソフトバンクは決算会見で代表取締役社長執行役員兼CEOの宮川潤一氏が「値上げをしたい気持ちはすごくある」と述べながら、現状の料金プランが好調であることを踏まえ、2025年中の料金プラン改定は見送られた。

 従来から「わかりやすいワンプラン」を謳ってきた楽天モバイルは、料金プランの改定こそなかったものの、ワンプラン路線を見直し、コンテンツサービスのU-NEXTをバンドルした「Rakuten最強U-NEXT」を発表したほか、既存プランのユーザーに対してもデータ通信量がはじめて3GBを超えると、楽天ポイントを付与するキャンペーンを実施するなど、ARPU向上に取り組んでいる。

 一方、端末についてはここ数年、スマートフォンを構成する部品や輸送費、人件費などのコスト増を受け、全体的な価格が高騰する傾向が続いているが、徐々に各社のラインアップにも変化が見えはじめた一年だった。

 国内で最大シェアを持つiPhoneは、主力モデルの「iPhone 17シリーズ」3機種と「iPhone Air」という4モデル構成を展開。春には「iPhone SE(第三世代)」の流れを継承する普及価格帯のモデルとして「iPhone 16e」を投入し、10万円を切るiPhoneを実現していた。

 Androidスマートフォンでは2024年の段階で、ソニーがハイエンドコンパクトモデル「Xperia 5」の発表を見送ったり、シャープがフラッグシップの「AQUOS R」シリーズの価格を抑えた「AQUOS R9」を投入したりしていた。

 今年もその流れは継承し、「Xperia 5」の後継モデルは今年もなく、シャープは準フラッグシップの後継「AQUOS R10」を発表しつつもの最上位の「AQUOS R9 pro」の後継モデルは発表が見送られた。

 スペック面でも変化が見られ、かつては各社のフラッグシップには米Qualcommの「Snapdragon 8」シリーズの最新チップを搭載したモデルがラインアップされていたが、ここ数年はこうした取り組みをするモデルが限らている。

 代わりにひとつ前の世代の「Snapdragon 8」シリーズを採用したり、FCNTの「arrows Alpha」のように性能向上が著しいMediaTekのチップセットを採用したりすることで「ハイエンド」級を謳う機種も登場している。

 こうした動きはチップセットの高騰が関係しているものの、その一方でチップセットの性能差によって、ユーザーの体感速度が大きく変わるほどの差が得られなくなりつつあるという側面もある。

 高いグラフィック性能を求めるゲームなどは少しニーズが異なるが、一般的な用途やAIの活用であれば、必ずしも最新かつ最上位のチップセットが必要ではなく、むしろメモリー(RAM)やストレージ(ROM)の方が重要という解釈もできる。

 同様のことはカメラなどにも言え、1インチのイメージセンサーや超高画素のイメージセンサーを採用していない機種でも画像処理エンジンの向上などにより、高品質な写真や動画が撮影できるようになっており、カメラ性能による差別化は徐々に難しくなりつつある。

 こうしたコスト増によって、変化が見えはじめたモバイル業界のサービスや製品だが、スマートフォンについては2026年以降、かなり厳しい状況を迎えると推察される。

 僚誌「PC Watch」や「AKIBA PC Hotline!」などをご覧になっていればご存知だろうが、AIの利用拡大により、AIデータセンターの建設ラッシュが進んでおり、DRAMやNAND型フラッシュメモリーといったメモリー半導体の価格が急騰している。

 その影響はパソコンやスマートフォンにも及び、すでにパソコンに利用するメモリーやSSDは2倍以上に価格が上昇している。スマートフォンについても同様で、業界関係者によれば、各メーカーの調達力によっては2026年モデルの値上げが避けられない状況にあるという。

 ここ数年、AIがスマートフォンの可能性を大きく拡げてきたが、そのAIの普及によって、スマートフォンの価格が大きく上昇してしまうかもしれないというのは、何とも皮肉な話だが、いずれにせよ、ユーザーとしては自分が購入する端末の価格と性能のバランスを今まで以上にじっくりと見極める必要がありそうだ。

モバイル業界の新たな競争軸はサブスクリプションと金融?

 2020年の楽天モバイル参入以降、モバイル業界では各社のポイントサービスを軸に、「経済圏競争」がくり広げられてきたが、2025年はコンテンツなどのサブスクリプションと金融サービスが競争軸として、一段とクローズアップされる形となった。

 前述のように、NTTドコモは今年4月、新料金プランを発表したが、主力となる「ドコモMAX」にはスポーツの映像配信サービス「DAZN for docomo」を標準でバンドルした。

 その後、バンドルするサブスクリプションサービスに「NBA docomo」を追加。2026年2月からは「Leminoプレミアム」「dアニメストア」を加えた4つのサブスクリプションサービスから最大2つのサービスを選べる形に進化させている。

 また、楽天モバイルも前述のように、今年6月にU-NEXTと業務提携し、映像配信サービス「U-NEXT」をバンドルした「Rakuten最強U-NEXT」の提供を開始した。楽天モバイルとしては、頑なに固持してきたワンプラン路線を見直し、ARPU向上を狙えるプランとして打ち出した。

 U-NEXTはヤマダ電機と展開するMVNOサービス「y.u.mobile」の上位プランで「U-NEXT」をバンドルしてきたが、楽天モバイルとのバンドルプランを実現したことにより、さらに販路を広げることになった。

 さらにU-NEXTは11月、自らのMVNOサービスとして、NTTドコモ網を利用した「U-NEXT MOBILE」を開始し、こちらでも映像配信サービスをセットで提供している。

 映像配信サービスではグローバル市場でも強い「Netflix」や「Amazonプライム」が注目されているが、「U-NEXT」の有料会員数は11月に500万人を突破しており、国内の映像配信サービスでは最大手に成長しつつある。

 こうしたサブスクリプションサービスをバンドルする動きは、以前からauが「Netflix」「DAZN」「Amazonプライム」などをセットにした料金プランを提供し、今年5月に発表した「バリューリンクプラン」にも継承されているが、NTTドコモが追随し、楽天モバイルもバンドルプランを打ち出したことで、サブスクリプションサービスがひとつの競争軸になりつつある。

 各携帯電話会社としては解約抑止などの効果を狙っているとされるが、ユーザーの視点で考えると、各サービスと個別に契約するよりも、普段自分が利用している携帯電話会社経由で契約することで、サブスクリプションサービスが管理しやすくなる。

 うまくすれば、10~20%程度のポイント還元も受けられるというメリットがあり、2026年以降も各携帯電話会社でのサブスリプションサービス獲得競争が活発になりそうだ。

 もうひとつの競争軸である金融サービスは、これまで各社のポイントサービスを活かす形で、決済やクレジットカード、証券サービスなどとの連携を強化してきたが、KDDIがauじぶん銀行を子会社化し、NTTドコモが住信SBIネット銀行を買収したことで、いよいよ銀行サービスも含めて、各携帯電話会社が包括的に金融サービスでサポートする(囲い込む)体制が整いつつある。

 料金プランにおいても各社のクレジットカードの引き落とし口座をauじぶん銀行やd NEOBANK(ドコモSMTBネット銀行)に設定することで、ポイントや金利などを優遇する施策を打ち出しているが、既存のメガバンクなどに口座を持つユーザーがメインバンクを切り替えるほどの動きになるかどうかは未知数だ。

 たとえば、社会人として、働きはじめたばかりであれば、クレジットカードの引き落としや口座振替の件数もそれほど多くないため、比較的、切り替えやすいかもしれないが、ある程度、年齢を重ね、結婚や出産など、ライフステージが進んだ人にとっては、すでにメインバンクとして何年も活用した実績があり、手続きをしなければならない件数も多く、切り替えにはかなり躊躇しそうだ。

 もっともひとつの突破口になりそうなのが住宅ローンで、地域や物件などの条件によって、差があるものの、長くメガバンクを利用してきたからといって、住宅ローンを受け付けてくれるわけではなく、なかには不条理な条件を突きつけられたケースも耳にするため、各携帯電話会社が関係する銀行サービスでは柔軟な対応とわかりやすい案内を進めることで、メインバンクの切り替えを促すことができるかもしれない。

 また、ソフトバンクについては傘下にPayPay銀行があるが、PayPayが完全子会社化したばかりで、グループ内の金融サービスの体制を整えつつある状況にあり、銀行サービスと連携した料金プランなどは打ち出されていない。

 とは言うものの、PayPayはコード決済サービスで最大手であり、PayPay銀行も「50年ローン」を提供するなど、ユニークな取り組みを進めており、今後はソフトバンクやワイモバイルなどで連携した料金プランや優遇施策などが提供されるかもしれない。

 楽天モバイルについては説明するまでもないが、楽天銀行がネット銀行で預金残高も口座数もトップの存在だ。

 筆者は楽天グループが携帯電話事業に参入する際、「銀行や証券、クレジットカードなど、携帯電話サービス以外をほとんど持っていることが強み」と評価していたが、実際にはこの5年間、楽天グループ内の連携がなかなか進まなかったのも事実だ。

 ただ、楽天モバイルの事業が楽天グループ全体の業績に大きな影響を与えるようになったこともあり、今年は楽天銀行や楽天証券、楽天カードなどで、楽天モバイルに関連する優遇施策が徐々に増えつつある。

 NTTドコモやKDDIの金融サービスの拡大によって、今後、楽天グループも新たな優遇施策が求められることになるかもしれない。

2025年の携帯電話各社はどうだったか?

 さて、ここからは2025年のNTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルについて、評価しつつ、国内に端末を供給する主要メーカーについても短くコメントしたい。ユーザーによって、見方や捉え方は違うかもしれないが、ここではあくまでも筆者独自の視点で評価した内容をお伝えするので、その点はご理解いただきたい。

NTTドコモ

 2024年に代表取締役に就任した前田義晃氏による体制の2年目を迎えたNTTドコモ。本業である携帯電話サービスについては、一昨年から指摘されているネットワーク品質は徐々に改善が進んでいるものの、地域によってはまだ不十分な印象があり、これに伴う解約(MNP)も増えているように見受けられる。

 NTTドコモとしては引き続き、資金も技術も積極的に注ぎ込んでいるとのことで、2026年は従来の「ドコモ品質」の安心感を取り戻してほしいところだ。

 ネットワーク以外の部分では「ドコモMAX」を軸にした料金プランの改定、住信SBIネット銀行買収による金融サービスの強化が注目された。

 料金プランについては発表時、一般メディアでは「値上げだ!」と騒がれたものの、Impress Watch Video「法林岳之のケータイしようぜ!!」の「NTTドコモ 新料金プランどれにする?」で選び方を解説したように、従来の料金プランとの差額はそれほど大きくない。

 NTTドコモの料金プランに限った話ではないが、「どれがお得」という視点ではなく、「どれが自分の使い方に合っているか」を見極めることが重要だろう。

 金融サービスの強化については、一昨年のマネックス証券との連携はある程度順調に進み、これまで投資に興味がなかったライトなユーザー層も掘り起こすことができ、dポイントによる投資も着実に浸透した印象だ。

 これに対し、住信SBIネット銀行(ドコモSMTBネット銀行)については具体的な施策の発表が2026年に入ってからであり、ユーザーにどのようなメリットが提示されるのかは未知数だ。

 本来であれば、NTTドコモの描く銀行サービスの未来像を示して欲しいところだが、12月に催された会見を見る限り、三井住友信託銀行と住信SBIネット銀行側の「いかにして、NTTドコモの顧客基盤を活かして、儲けていくか」という商売っ気ばかりが見え隠れして、やや主従が逆転しているような印象も受けた。

 NTTドコモにとっては念願の銀行サービスであり、ライバル各社に対抗していくうえでも欠かせないピースであるだけに、しっかりとハンドリングして、ユーザーに喜ばれるサービスに育てて欲しいところだ。

KDDI(au、UQモバイル、povo)

 2025年のKDDIは社長交代と本社移転という大きな2つのイベントが注目を集めた。

 社長交代については2月に発表され、4月に正式にスタートし、ケータイ時代から事業を牽引してきた髙橋誠氏が代表取締役会長に、松田浩路氏が代表取締役にそれぞれ就任した。

 高橋氏は個人的にも古くから取材などでたいへんお世話になったが、2022年に起きた大規模障害の会見では、テレビや新聞などの厳しい指摘や質問に対し、技術に裏打ちされた的確な応対とわかりやすい説明で、一般ユーザーからも評価を得たことは記憶に新しい。

 髙橋氏としてはAIをはじめとする技術の進歩に興味が尽きないとのことだが、新しい世代に任せた方がいいだろうとの判断で、松田氏に引き継ぐことにしたという。

 社長に就任した松田浩路氏はエンジニア出身で、商品企画などを担当していたこともあり、取材でお世話になったが、近年はGoogleやApple、スペースX(Starlink)といったグローバル企業との交渉を担当していたことで知られる。KDDIがいち早くStarlinkのサービスを提供したり、GoogleのAIサービスとの連動を実現してきたことは、松田氏の功績によるところが大きいとされ、今後もグローバルのトレンドを踏まえた事業計画が期待される。

 もうひとつの本社移転については、ユーザーにとって、あまり関係がないように思われるかもしれないが、本誌や僚誌「グルメWatch」などでも伝えられているように、三菱商事と共に傘下に収めたローソンの店舗を高輪本社内にオープンし、新たなビジネスモデルを模索しようとしている。

 ユーザーに関係するところでは、英OpenSignalでも評価を得たモバイルネットワークの安定性、au Starlink Directやau 5G FastLaneなど、ネットワークの優位性が際立っていた。

 au Starlink Directについては当初、auで販売した対応端末のみが対応機種として挙げられ、オープン市場向けに販売された端末は対象外とされていたが、その後、対応が見直され、現在はオープン市場向けのSIMフリー版も動作確認が取れたものが順次、対応機種に加えられている。

 料金プランは前述のように、「バリューリンクプラン」を発表したが、一般メディアで「値上げだ!」と騒がれていたほどの上昇ではなく、むしろ、「Pontaパス」を内包したことで、実用面が向上したという見方もできる。

 ただ、気をつけなければならないのは、auに限らず、料金プランを発表したからと言って、ユーザーがすぐに切り替えてくれるわけではないため、内容を理解してもらえるように、ていねいな説明やガイドが求められる。

ソフトバンク(ソフトバンク、ワイモバイル、LINEMO)

 NTTドコモやauがコスト増を反映した新料金プランを発表する一方、ソフトバンクは既存の料金プランを維持しながら、増収を達成するなど、堅実な事業展開が目を引いた。ただ、ソフトバンクとして発表される内容はAIの話題などが多く、今ひとつ一般ユーザーに直接、関係するものが少なかった印象も残る。

 そんな中、ソフトバンクユーザーにとって、ひとつ朗報となったのは、サムスンの「Galaxy」シリーズの取り扱い再開だろう。

 サムスンはNTTドコモ、auを中心に、「Galaxy」シリーズを供給しているが、ソフトバンクに対しては2015年の「Galaxy S6 edge」を最後に、供給が途絶えていた。

 これが2025年2月の「Galaxy S25」シリーズから取引が再開され、今夏にはフォルダブルの「Galaxy Z Flip7」「Galaxy Z Fold7」も発売された。

 ユーザーの反応もかなり良かったようで、11月には「Galaxy Z Fold7」のカラーバリエーションも追加されている。販売では端末購入サポートプログラムの「新トクするサポート+」で、かなりアグレッシブな価格を設定し、ユーザーの支持を集めている。

 端末販売では幅広いラインアップを揃える一方、新たにオープン市場向けのSIMフリー端末を扱う「SoftBank Free Style」を開始しており、「Xiaomi 15T」「Xiaomi 15T Pro」「OPPO Find X9」などの販売が開始されている。

 同様の取り組みとしては、auが「au +1 collection」でSIMフリー端末を扱っており、今後、こうした各携帯電話会社でのSIMフリー端末販売が定着していくかどうかが注目される。

 ソフトバンクでもうひとつ触れておきたいのがネットワークだ。モバイルネットワークの品質ではKDDIが英OpenSignalで高い評価を得ているが、ソフトバンクも上位を争っており、宮川社長は決算会見で「現場からすると、あの評価基準はおかしいと言う。だが、負けているのは事実なので、1位を目指す」とコメントしていた。

 電波を利用する通信やネットワークの品質は利用環境によって刻々と変化し、調査が難しいとされるため、一概に比較できない面もあるが、ソフトバンクが12月に開催した説明会では、千葉県の舞浜駅周辺で「5G SA(スタンドアローン)」を本格的に展開したことで、ユーザーの体感速度が大幅に改善した状況が披露されており、エリアの広さなどを除けば、ソフトバンクのモバイルネットワークのパフォーマンスもかなり高いレベルで展開されていると言えそうだ。

楽天モバイル

 楽天モバイルは今年12月25日、かねてから公約として掲げていた1000万回線契約を達成することができた。

 今年7月時点での契約数は900万回線なので、5カ月間で約100万回線の契約と獲得できたことを意味する。

 楽天モバイルの過去の契約増のペースを考えると、この5カ月間はやや無理のある回線獲得を図ったのではないかという指摘もあるが、サービス開始当初、過去の「4番手の移動体通信事業者」の契約数が500万程度に阻まれていたことを考えると、楽天モバイルの1000万回線突破は評価されるべきだろう。

 ただ、1000万回線突破は今後、楽天モバイルが抱えるトラフィックの問題が一段とクローズアップされることが予想される。楽天モバイルは4G LTEの周波数帯域として、1.7GHz帯と700MHz帯を割り当てられているが、700MHz帯(3MHz幅×2)は2026年以降に提供を開始する米AST SpaceMobileの衛星を利用した「楽天最強衛星サービス」に割り当てる見込みだ。

 そのため、4G LTEは今後も1.7GHz帯(20MHz幅×2)を使う必要があり、それ以外は5Gにトラフィックを逃がしていくしかないが、残念ながら、楽天モバイルの5Gのエリアは他の3社に比べてかなり狭く、2025年6月にも総務省から5G基地局の開設計画の遅れについて行政指導があり、5Gのエリア整備が急務となっている。

 また、楽天モバイルが謳う「最強のエリア」は、自ら構築したエリアだけでなく、KDDIのローミングによって支えられている部分がかなりある。

 三木谷浩史代表取締役会長は、1000万回線突破の会見でKDDIへの感謝の意をくり返し述べていたが、KDDIとのローミングの契約も2026年9月30日が期限となっており、それまでにはローミングの継続やエリア縮小などを決めなければならない。

 ローミングを継続し、5Gエリアの整備を進めるのも手だが、当然のことながら、KDDIへの支払いも継続するため、費用負担は減らないうえ、監督官庁の総務省もあまりいい顔はしないだろう(元々、楽天モバイルにはかなり甘いが……)。

 一方、料金プランについては「楽天最強U-NEXT」を追加したのみで、大きな変更はなかった。

 一昨年に発表した「最強家族プログラム」や「最強シニアプログラム」などのオプションプログラム(割引サービス)は継続しており、エリアや通信品質などにそれほど厳しくないユーザー層への浸透を図っている。

 ただ、楽天モバイルの料金プランなどにひとつ苦言を呈するなら、プレスリリースやプレゼンテーション資料などに掲載される各プランの料金の表記が割引を前提にしていることが少なからずあった。

 広告などであれば、他社も含め、そういった表記も行なわれてきたが(これも問題だが……)、プレスリリースなどの公式資料でもそういった表記をくり返すのは、はっきり言って、好ましくない。

 自ら「最強」を謳うのなら、正々堂々と料金を表記し、勝負してもらいたいところだ。

2025年のメーカーはどうだったか?

 次に2025年の主要メーカーについて、注目機種を挙げながら、評価をしてみよう。これも筆者独自の視点に基づく評価なので、その点はご理解のうえ、ご覧いただきたい。

Apple

 国内で半数近いシェアを持つアップルは、2月に普及モデルの「iPhone 16e」、9月に主力モデルの「iPhone 17」シリーズと「iPhone Air」を発売した。

 主力モデルはeSIM専用になったことで、トラブル時の対応を敬遠し、あえて「iPhone 16」シリーズ以前の旧機種を選ぶユーザーも少なくない。

 iPhone史上最薄で注目を集めた「iPhone Air」は、完成度が高いものの、シングルカメラやバッテリー駆動時間の短さなどから、あまり芳しい反響を得られていない。

 Proモデルの2機種はカメラが同等になり、ディスプレイサイズのみで選べるようになったが、価格とのバランスを考えれば、「iPhone 17」で十分な印象だ。

 Apple Intelligenceは日本語対応もスタートしたが、翻訳や画像生成などはすでに多くの他製品で実現されており、今後、アップルとして、AI時代にどうアドバンテージを築いていくのかが注目される。

サムスン

 主力の「Galaxy S25」シリーズ、普及モデルの「Galaxy A25 5G」や「Galaxy A36 5G」、フォルダブルの「Galaxy Z Flip7」「Galaxy Z Fold7」を国内市場に投入したサムスン。

 10年ぶりにソフトバンク向けの供給を再開したことで、かなり販売数を伸ばした印象だ。

 販売数は「Galaxy S25」や「Galaxy A36 5G」が稼いでいるのだろうが、もっとも評価できるのは、やはり、フォルダブルとは思えないほどの薄さを実現した「Galaxy Z Fold7」だろう。個人的には2025年の「ベストモデル」だと評価している。

 また、スマートウォッチの「Galaxy Watch」シリーズや「Galaxy Buds」において、Googleの「Gemini」を利用できる環境が整ったことも大きい。

 日本の場合、「街中で声を出して、Geminiを起動できる?」といった指摘もあるが、クルマの中や自宅などでも手軽に使えるため、スマートフォンとAIで連動できるスマートウォッチやイヤホンは重要な存在になっていくはずだ。

シャープ

 2025年は上半期は「AQUOS wish5」と「AQUOS R10」、下半期に「AQUOS sense10」を発売したシャープ。

 なかでも「AQUOS sense10」は定番モデルらしく、携帯電話会社4社に採用されるほか、MVNO各社や家電量販店、ECサイトなどでも扱われ、もっとも幅広い販路で購入できる端末になった。

 一般的なノイズキャンセリングではなく、ユーザーの声をAIで認識して、その声だけを抽出して、音声通話をクリアにする「Vocalist」など、AIを実用に活かした機能が評価できる。

 ラインアップで残念なのは「AQUOS R」シリーズのproモデルの投入が見送られたことだろう。

 本稿でも触れたように、フラッグシップモデルはスペックの高さからコスト高になり、販売価格も高くなってしまうが、それに見合う機能や仕様がなければ、ユーザーに受け入れられない。その点を考慮して、見送られたのかもしれない。

 また、スマートフォンではないが、「ロボホン」の開発チームが生み出した「ポケとも」もAIを活かしたユニークな商品だ。AIが身近な存在になっていくうえで、こういったアプローチができるのは「ツボ」を心得ているシャープらしい取り組みと言えそうだ。

Google

 春に「Pixel 9a」、夏に「Pixel 10」シリーズ4機種を発表したGoogle。

 2024年は「Pixel 8a」が大ヒットを記録したが、2025年はライバルメーカーも近い価格帯に魅力的な製品を相次いで投入してきたことで、2024年ほどの勢いは感じられなかった。しかし、「Gemini」をはじめとしたAI機能がわかりやすく、iPhoneからの移行を検討するユーザーからの関心が高いとされる。

 「Pixel 10」シリーズはProモデルの「超解像ズームPro」が望遠カメラの新しい領域を切り開いたとも言えるが、「補正というより、オブジェクトを生成しているので、これは写真じゃない」といった指摘もあった。

 ただ、自撮りで使われてきた「ビューティモード」などもAIによる補正なので、何をもって「写真」と呼ぶのかも判断が分かれる。

 「Pixel 10」シリーズでもうひとつのトピックは、QuickShareを利用したAirDropとの相互接続だろう。現時点では「Pixel 10」シリーズのみの対応だが、今後、他のPixelシリーズに展開するのか、Androidスマートフォンの次期バージョンに搭載されるのかなどが注目される。

ソニー

 2024年にコンパクトモデル「Xperia 5」の投入を見送ったため、2025年は上半期に「Xperia 1 VII」、下半期に「Xperia 10 VII」の2機種を投入したソニー。

 ただ、残念ながら、「Xperia 1 VII」は発売から約1カ月後に不具合が発覚し、該当ロットを回収、修理をすることになった。

 製品を製造、出荷し、一定の時間が経過した段階で問題が発生するという、ややレアな不具合だったため、ソニー側も事前に発見できなかったようだ。

 不具合の発生で一時的に販売を停止したため、販売時期がずれ込み、ライバル機種がひしめく激戦の商戦期に挑むことになってしまった。

 製品としては非常に完成度の高い端末で、既存のXperiaシリーズのユーザーからの支持は高いが、他機種のユーザーをひきつけるようなインパクトに欠けるのも確かで、今後、Xperiaシリーズとして、どのように巻き返しておくのかが注目される。

シャオミ

 2019年の日本市場参入以来、着実に支持を拡げてきたシャオミだが、今年は念願の「Xiaomi Store」を首都圏に開設し、シャオミのスマートフォンやIoT製品、家電製品などを触れられるようになった。

 2026年は関東以外のエリアにも出店する計画で、オンラインを中心に展開してきたシャオミがリアル店舗でも攻勢をかけることになる。

 スマートフォンについては、「Xiaomi」シリーズや「REDMI」シリーズに加え、「POCO」シリーズを本格的に展開し、気が付いてみれば、国内に端末を供給する国内外のメーカーで、もっとも多くのモデルを揃えるメーカーになった。

 それぞれの価格帯別に、多くのモデルを取り揃えているのはさすがだが、矢継ぎ早に新製品が投入されるため、ユーザー側からはどのモデルがどんな機能や特長を持っているのかがわからないという指摘も多い。

 「Xiaomi Store」で実機を手にすれば、ある程度わかるのかもしれないが、やはりメーカーとして、もっと製品をしっかりと説明して、消費者に理解してもらえるように取り組む必要がありそうだ。

モトローラ

 2025年のモトローラはスタンダードな「motorola edge 60 PRO」、フォルダブルの「motorola razr 60」シリーズを投入。

 「motorola razr 60」はオープン市場向けのほかに、NTTドコモとソフトバンクに採用され、上位モデルの「motorola razr 60 ultra」はauで販売されるなど、各携帯電話会社での取り扱いが拡大した一年だった。

 グローバル市場でもフォルダブルスマートフォンの成長が著しく、iPhoneからの乗り換えも多いと言われ、国内ではSnow Manの目黒蓮をブランドアンバサダーに起用することで、幅広い層に浸透を狙い、徐々にその成果も現われつつあるとされる。ただ、ブランドイメージが先行している感もあり、「moto ai」などの機能面の優位性がうまくアピールされていない印象もある。

OPPO

 ミッドレンジの「OPPO Reno A」シリーズ、エントリーの「OPPO A」シリーズ、フラッグシップの「OPPO Find」シリーズを展開するオウガ・ジャパンは、2025年もそれぞれの後継モデルを投入。

 「OPPO Reno」シリーズについてはおサイフケータイ対応の「OPPO Reno13 A」に加え、グローバル市場向けのモデルをベースにした「OPPO Reno 14 5G」も投入し、ラインアップを拡充した。

 従来は「OPPO Reno A」シリーズが幅広いユーザーに支持され、好調な販売を記録していたが、同じ価格帯にライバル製品が急増した影響か、ここ数年は存在感に陰りが見えている。

 フラッグシップモデルの「OPPO Find X9」はHasselbladとの協業で開発したカメラやおサイフケータイ対応が注目されるが、約15万円というやや高めの価格帯なので、「OPPO Reno A」シリーズのような販売は難しい。

 より多くのユーザーに受け入れられるような説明やアピールがどこまでできるだろうか。

FCNT

 富士通の携帯電話事業を継承し、Lenovo傘下で復活したFCNT。6年ぶりの「らくらくホン F-41F」をNTTドコモから発売する一方、arrowsの最上位モデル「arrows Alpha」をオープン市場向けとNTTドコモ向けに供給を開始し、11月には楽天モバイル、12月には「au +1 collection」での取り扱いもスタートした。

 「らくらくホン F-41F」についてはNTTドコモの3Gサービス「FOMA」が2026年3月31日に終了するため、既存モデルのユーザーの買い換え需要に欠かせない存在。

https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/2002722.html

 大竹しのぶのテレビCMだけでなく、FOMA版のユーザーに買い換えを呼びかけるようなテレビCMも流すなど、積極的に取り組んでいる。

 製品化についても今となっては部品の調達が難しい「折りたたみヒンジ」やサブディスプレイなどをLenovoグループの調達力を活かして製造するなど、製品化に並々ならぬ姿勢がうかがえる。

 「arrows Alpha」も「F」のDNAを受け継ぎ、「玄人受け」する機能や仕様をしっかりと実現している。

Nothing

 スマートフォンやオーディオ製品などを展開する英Nothingは、国内向けにNothingブランドで「Nothing Phone(3)」と「Nothing Phone(3a)」、CMFブランドで「CMF Phone 2 Pro」を投入。

 この他にオーディオ製品で「Headphone(1)」や「ear(3)」、スマートウォッチで「CMF Watch 3 Pro」などを発売した。

 Nothingの製品群はいずれも独特のデザインが印象的だが、機能面もユニークで、2025年はスマートフォンで新たにAIを活用するツールとして「Essential Space」を搭載したり、「ear(3)」では充電ケースに搭載したスーパーマイクを使い、通話や音声メモを利用できるようにしている。

 アップデートの説明画面が英語表記のままなど、かつての「外国製」的な要素が残っているが、他社のスマートフォンにはないデザインや機能は非常に楽しみであり、なかでも「Nothing Phone(3)」は今年の「ベストユニーク賞」をあげたいくらい、お気に入りの端末だ。

2026年のモバイル業界はどうなる?

 さて、最後に2026年のモバイル業界がどうなっていくのかを考えてみよう。2025年は本稿でも触れたように、コスト高による料金プランの改定や端末ラインアップの見直し、決済サービス、AIなどが注目されたが、2026年はまた違った動きが見えてきそうだ。

 まず、ここ数年、経済圏競争が注目されてきたモバイル業界だが、携帯電話サービスの本質はモバイルネットワーク、つまり、「いかにつながるか」がもっとも重要なテーマだ。

 auが「ずっと、もっと、つなぐぞ。au」を掲げ、ネットワークの改善と強化をアピールしてきたが、ソフトバンクも負けじと猛追している。

 対するNTTドコモはここ数年のネットワーク品質の低下を巻き返すべく、積極的に設備投資を続けており、楽天モバイルも1000万回線を突破したことで、5Gネットワークのエリア拡大が急務となる。

 これらのことを考え合わせると、2026年のモバイル業界はネットワーク品質や快適性、エリアなど、モバイルネットワークの本質を問う年になるかもしれない。

 たとえば、現在の5Gサービスは、4Gのコアネットワークと組み合わせる「NSA(Non StandAlone)」が中心だが、5Gのみでネットワークを構成する「SA(StandAlone)」で接続すれば、5Gネットワークのパフォーマンスをもっとも引き出すことができる。

 以前は「将来的には5G SAを使うように……」くらいのイメージだったが、各携帯電話会社も5G SAサービスの提供を開始し、対応端末もかなり増えてきている。

 各社のデモや説明会では、「5G SA」を利用したものが非常に多く、2026年はおそらく多くのユーザーにとって、身近な存在になってくるはずだ。

 また、5G SAと同じように、今後、活用が期待されているのが5Gのミリ波だ。

 現在の5Gサービスで利用されているのは、「Sub6」と呼ばれる6GHz以下の周波数帯で、各社には100MHzずつの帯域幅が割り当てられている(KDDI/沖縄セルラーは100MHz幅×2)。端末も「Sub6」のみに対応するモデルがほとんどだ。

 一方、28GHz帯を利用する5Gのミリ波も4社に割り当てられているが、帯域幅は400MHzずつと4倍も広いため、モバイル通信のパフォーマンスはかなり高い。

 電波が減衰しやすく、障害物の影響を受けやすいといった制限はあるものの、スタジアムやアリーナといった開放空間には展開しやすく、NTTドコモが手がける東京の国立競技場や愛知のIGアリーナなどはすでにミリ波のアンテナが設置されている。

 国内でミリ波対応端末は非常に少なく、2025年に発売された端末で言えば、「Galaxy S25 Ultra」「Galaxy Z Fold7」「Pixel 10 Pro Fold」「Xperia 1 VII(キャリア版のみ)」などに限られているが、ミリ波対応端末は端末購入補助が最大5万5000円(税別)まで認められているため、割引がフルに適用されれば、これまでよりも割安に購入できる。

 かつては「ミリ波に対応してても使う場所が……」と言われていたが、徐々に利用できる環境は増えてきており、ユーザーが2~3年程度端末を使うのであれば、2026年に購入する端末はミリ波対応をひとつのチェック項目として考えてもよさそうだ。

 そして、2026年の展開でもうひとつ注目しているのは、映像配信などのサブスクリプションサービスだ。

 本稿の冒頭でも触れたように、今年、各社は「量から質へ」を謳い、料金プランに「DAZN」や「U-NEXT」などのサブスクリプションサービスを組み合わせてきた。

 楽天モバイルを除けば、主要3社の契約数はすでに飽和状態にあり、今後は他のサービスを拡大しながら収益を上げていくことになるが、2026年は野球の「WBC」をNetflixが独占配信したり、サッカーのワールドカップもDAZNが中継することが発表されている。

 こうした大きなイベントをきっかけに、今まで以上に幅広くサブスクリプションサービスが利用されるようになっていくことが予想される。

 今年も例年通り、長々と書いてしまったが、2026年のモバイル業界はもっとユーザーにとって、便利で楽しくワクワクさせるサービスや製品が展開されることを期待したい。